メルカリの成長と進化を、静かに、しかし力強く支えている部署があります。それが、「技術力と実現力でメルカリの可能性を広げる」というチームミッションのもと活動する、Corporate Engineering Team、通称「CET」です。
社内のさまざまなプロダクトチームと連携しながら、技術基盤の構築やメンバーの働く環境づくりに日々尽力しているCETのメンバーたち。一見、彼らは、メルカリグループの「縁の下の力持ち」的存在にも見えるかもしれません。しかし、実際にはメルカリの事業の成長と変革を技術面からドライブする存在なのです。
CETの魅力は、それだけにとどまりません。変化のスピードが速く、新しいチャレンジの連続であるメルカリにあって、CETのメンバーたちは時に既存の枠組みを飛び越え、イノベーションの原動力ともなっているのです。CETには、新しいチャレンジに前向きな組織風土があり、ダイバーシティを尊重する文化が根付いています。
そしてなにより、前例のない困難な課題に果敢に立ち向かう、メンバーたちの熱意と推進力。そんなCETの「挑戦する人たち」の姿勢は、メルカリのDNAそのものと言えるかもしれません。
今回は、CETで活躍する3人の女性メンバーをお迎えし、それぞれの信念やキャリアビジョンも交えながら、話を聞いていきました。この対談を通して、メルカリの成長とCETメンバーの成長が、どのように結びついているのか。ぜひ感じ取っていただければと思います。
この記事に登場する人
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角尚美(Naomi Sumi)ワークスアプリケーションズ、チームスピリットにてQAエンジニアとして自社プロダクトの品質保証に従事。途中ドイツでのワーキングホリデーを挟みつつ、2021年7月にメルカリに入社。2022年7月からCET内のAccounting Products Teamのエンジニアリングマネージャーとして働いている。現在は滋賀県からリモートワークで勤務をしながら、二匹の猫と生活をしている。 -
田中ライカ(Raika Tanaka)ITの知識を元にした新しいUX(体験)の創出、本質的な課題設定、解決に向けての豊かな発想力が強み。2022年1月にメルカリに入社。現在はCET Planning & OpsのManagerとして、従業員や組織の可能性を広げるためのビジネスモデルや業務プロセスの進化・変革を目指している。 -
今野憂奈(Yuna Konno)株式会社ボルテージにてスマートフォンアプリのゲーム開発に従事。その後、アクセンチュア株式会社にてDWH構築・システム間データ連携処理や業務向けWebアプリケーション等のデリバリー業務に従事。2022年11月にメルカリに入社し、現在はCET内のPeople Products Teamのプロダクトマネージャーとして働いている。
3人が語る、CETのミッションとは?
── 本日は、メルカリのCorporate Engineering Team、通称「CET」に所属する3名の方に集まっていただきました。それでは、まずはそれぞれの役割とミッションについてお聞かせください。
@maru-chan:私はPeople ProductsというチームでPMを担当しています。私たちのチームでは、おもにメンバーの評価に関わるシステムを担当しています。具体的には、Reviewsという評価のためのシステムや、Teamsという組織図に関わるシステムなどですね。
私たちのミッションは、こうしたシステムを通じてメンバーの成長をサポートすることです。そのためにも、エンジニアやデザイナー、QAといったチームメンバーがそれぞれの役割で円滑に働けるように心がけながら、日々仕事に取り組んでいます。
@sumi703:私はAccounting Productsというチームでエンジニアリングマネージャー(EM)を担当しています。People Productsのおとなりさんのようなチームと言えるかもしれません。私たちのミッションは、メルカリグループの会計に関わるプロダクトをつくることです。
会社の現在の財務状況を可視化するために、メルカリグループの各サービスから会計に関する情報を集約して、経理チームに提供するプロダクトの開発を行っています。インプットとしては各サービスの取引や決済に関わるチームから情報を受け取り、アウトプットは経理チームに対して行う形ですね。私はエンジニアとPMが所属するこのチームでEMとして、メンバーのピープルマネジメントを通してチームのパフォーマンス向上に努めています。
角尚美(@sumi703)
@raika:私はPlanning & Operationというチームでマネージャーをしています。このチームは、ロードマップ策定などのCETの戦略に関わる機能と、CETとして予算管理や予算計画、購買の計画などを横断的に見る部署です。これまで、各チームがバラバラに行っていたOperation業務を集約して機能を強化しようというのが狙いです。Planningのほうはまだまだこれからという段階なのですが、私自身の得意領域でもあるので、マネージャーとしてその役割を担っていければと思っています。
── なるほど、3人それぞれポジションは違えど、CETひいてはメルカリの成長のために日々尽力されているわけですね。そんなみなさんに伺いたいのですが、CETが持つ「技術力と実現力」で、実際になにを成そうとしているのでしょうか?
@raika:その前に、ちょっとした前提をお話しておきたいと思います。メルカリという会社は、ベンチャーならではのスピード感で成長してきたため、一見するとそうは見えないかもしれませんが、まだまだ取り組まなければいけない課題がたくさんあるんです。社員数も増えて規模が大きくなるにつれ、どうしても個別最適な仕組みでは立ち行かなくなってきています。これからは、全体最適な視点で物事を捉え、基盤を整えていく必要がある。そう考えると、CETの出番ってすごく多いんじゃないかなと思うんですよね。
@sumi703:おっしゃる通りだと思います。これまではスピード重視でどうしても個別最適になりがちだった。各サービスごとに必要なものを必要なときにつくってきたので、ベースとなるデータ基盤みたいなものがまだ十分に整っていない状況なんです。でも、事業が拡大していくなかでは、全体を俯瞰して最適化していかなくてはならない。そこで技術力が問われることになりますよね。
@maru-chan:今までのCETの取り組みって、言ってみればマイナーバージョンアップだったのかもしれません。会社の成長スピードにあわせて、0.1や0.2といった細かい粒度でたくさんのアップデートを重ねてきた。でも、もうそろそろメジャーバージョンを上げていかなくてはいけない時期なのかなと、私は感じています。
一つ上の段階、つまり、1から2へのアップデートを成し遂げるためには、地道な基盤づくりが欠かせません。一朝一夕でできることではないけれど、ここをしっかりやっておくことで、きっとその先には大きな飛躍が待っているのかなと。
@raika:CETが持つ技術力と実現力によって、メルカリにどんな変化をもたらせるのか。それを考えるうえで一番大事なのは、メンバー一人ひとりが本来の仕事によりフォーカスできる環境をつくること。集中して働くことで、自然と成長にもつながっていく。そういう状態を目指したいですよね。
@sumi703:そうですね。そしてメルカリのアップデートには、経営陣が必要な情報に素早くアクセスできるような基盤の整備が不可欠です。そしてその土台となるデータを、現場の開発チームが無理なく実装できるような仕組みづくりも大切になってくる。ここは技術的なアプローチが問われるポイントだと思いますね。事業サイドの負荷を下げつつ、会社全体の生産性を上げていく。CETにはそういう縁の下の力持ち的な役割があるんだと思います。
@raika:面白いのは、CETは「情シス」のありかたをメルカリという会社に合わせるために再定義しようとしているところです。ベストプラクティスを参考にすることは重要だけど、やはりそのまま当てはめればうまくいく、なんてことはありえない。あくまでメルカリにおいて、どうすれば最適解がつくれるのかを、自分たちの頭で考えて実践していかなくてはいけない。正解のない世界で答えを出していく点に、ある種のやりがいを感じますよね。
@maru-chan:たとえば「メルカリをUnleashするためになにをすべきか?」と聞かれても、明確な答えはすぐには出てこないように感じるんですよね。でも、目の前にある課題に向き合っていくことで、「ああ、メルカリの次のステージにいくためには、こういうことが必要なんだな」という気づきが得られるような感覚があって。一つひとつの経験が、私たちの成長につながっているんだと思います。そして得られた気づきをどのようにして形にし、Unleashさせていくのか。それこそがCETの技術力と実現力の発揮どころなのかなと考えています。
今野憂奈(@maru-chan)
CETという「特別な場所」で働く醍醐味と難しさ
── 壮大なビジョンを掲げつつも、日々直面する課題に真摯に向き合う必要があるんですね。一方で、CETという組織で働くうえでの難しさや醍醐味もあるのではないでしょうか?
@sumi703:私たちAccounting Productsの難しさの一つは、メルカリとメルペイという二つの事業を同時にカバーしなければいけないという点です。両者はビジネスドメインが大きく異なるので、会計の仕組みも自ずと変わってきます。
でも、経理チームの情報ニーズに応えるためには、両方の要件を満たす基盤をつくり上げなくてはならない。そこがなかなか大変ですね。その分、自分たちのアウトプットが決算数値や経営の意思決定に直結するんだという責任感やプレッシャーは常に感じています。でもそれ以上にやりがいにもつながっているので、むしろ働く原動力になっていますね。
@maru-chan:People Productsでも、メルカリグループという大きな枠組みのなかで、すべてのグループ会社をカバーする施策を打ち出すのは簡単ではありません。各社それぞれの文化や価値観、これまでの取り組みの蓄積があるなかで、全体最適を目指すのは、正直結構な難易度だと感じています。でも、だからこそ実現したときの喜びもひとしおなんですよね。メンバーの働く環境を、より良いものに変えていくんだというやりがいを感じる瞬間でもあります。
@raika:Planning & Operationは、CETのなかでも特に、メルカリグループで働くすべてのメンバーの「働く環境そのもの」に関わるチームだと思っています。メンバーの誰もが自らの能力を最大限に発揮し、そして効果的に働けるような環境をどうつくっていくか。それを常に意識しながら仕事に取り組んでいます。
私たちの仕事の成果って、なかなか数値では測りづらいんですよね。メンバーの満足度もそうだし、生産性の向上みたいな部分も、一朝一夕では結果に表れない。だからこそ、自分たちの手応えを大事にしながら、将来への布石を打っていく。そこにこのチームで働く面白さがあるのかなと思っています。
田中ライカ(@raika)
@sumi703:入社して間もない頃は、自分のチームで手掛けたサービスだけでなく、過去に他チームが開発したものまで、運用を任されるのに戸惑いましたね。それまではどうしても、自分たちの責任できちんとつくって管理したいという意識が強かったので。でも、それって使う側にとっては関係のないこと。CETとして、メルカリを支えるサービスをトータルで安定運用していく。その重要性を痛感するできごとでした。
@raika:これから先、CETが担当するコーポレートITのロードマップづくりには今のメルカリと向き合って課題をしっかり深堀して考えていきたいと思っています。しかし、サービス開発の最前線で働くメンバーの声は重要です。現場で現在起きている課題感と、今後のメルカリにとって必要な事柄を高い視座で考え続ける。短期の課題と、中長期の課題をバランス感覚を持って本当に意味のある指針になるよう、ブラッシュアップを重ねていければと思います。
メルカリと共に歩む、三者三様のキャリア観
── お話を伺っていると、メルカリという会社の成長と、CETメンバー個人の成長が、いい形で重なり合っているように感じました。最後に、みなさん自身のキャリア観や、これから目指していきたいことについて教えていただけますか?
@sumi703:ここ数年、自身のキャリアについてずっと悩み続けています。IT業界、特に技術畑でロールモデルとなる女性リーダーの姿って、なかなかまだ見えづらいんですよね。だからこそ私は、一人のマネージャーとして、私自身が成果を出すだけではなく、多くの女性が自分に自信をもってリーダーシップを発揮できる支援をしていきたいと思うんです。
技術の世界にも多様なバックグラウンドの人間がいて、それぞれが活躍している。そういう多様性を体現したり、応援できるような存在でありたいなと。性別に関わらず、私のようなタイプの人間も含めて全員が成果にコミットし続けられる環境を、これからもつくっていければいいなと思っています。
@raika:私自身は、自分らしくいられること。それができる環境で思う存分働けることを大切に考えています。理想の環境が見つからないなら、自分の手でつくればいい。そう覚悟を決めたのがメルカリに入社した理由の一つでもあります。
ここは、同じ思いを持つ仲間とともに、理想の働き方を追求できますし、少なくとも、そのチャレンジが許される場所だと信じています。もちろん、多様な価値観を受け入れ続けることで、ときには痛みを伴うこともあります。でも、それ自体が大切な経験なんだと思うんです。私自身の殻を破る機会だと捉えて、これからも前を向いて歩んでいきたいと思います。
@maru-chan:今の私にとって、仕事と家庭の両立が人生のなかで最も大きなテーマとなっています。子供が生まれてから痛感しているのですが、子育てをしながら、正社員としてキャリアを積むのは想像以上に大変なこと。二度の産育休取得を経て現在に至りますが、これまで何度も心が折れそうになりました。それでも私は、仕事にも子育てにも自分なりにまっすぐ向き合っていきたい。それは、簡単なことではないんですけどね。
幸せなことに、メルカリには自分の人生や価値観を大切にする仲間が多いので、私自身も無理せず自分らしく働き続けられています。ゆっくりでも一歩ずつ前に進んでいけたらいいなと思っています。