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#4 「AI前提」で仕事を見直し、続く仕組みを考える——Batch 5-6参加者の声

2026-8-28

#4 「AI前提」で仕事を見直し、続く仕組みを考える——Batch 5-6参加者の声

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連載「AI Agent Dayから紐解く10の問い」。

前回の#3では、経理・マーケティング・営業の3名に「部門が違うと、作るスキルはどう変わるのか?」という問いを投げかけました。

今回登場するのは、プライバシーオフィス、CS TnS、メルペイのリスク管理という、いわゆる「守り」の領域を担う3名。全6バッチの最後にあたる、Batch 5-6の参加者です。当日の手応えと、「一度作ったスキルを、どうチームで育て続けるか」という問いを中心に、参加者レポートの最終回としてお届けします。

*本記事の取材はオンラインで実施しました。記事内には、AI Agent Day当日に撮影した写真を、当日の様子のイメージとして挿入しています。

この記事に登場する人

  • 相澤 沙綾(@saaya)

    メルカリ Privacy Officeに所属。個人情報保護関連規程の新規制定やグループ横断のプライバシー対応を担う。ノーコード/ローコード基盤を用いたAIによる業務改善にも取り組んでいる。

  • 川﨑 陽一(@y.kawasaki)

    2017年入社。TnS領域にて不正アカウントや不正決済の対策をMK/MP横断で従事。 現在はCS/TnS AITFとしてTnSの各種プロジェクト推進を担当。

  • 宮脇 千紘(@miya)

    2019年入社。加盟店審査の運用構築・実務を経て、現在はリスク管理チームでメルペイ・メルコインのオペレーショナルリスクモニタリングを担当。Groupのトップリスクに関する年次アセスメントにも携わる。

最後のバッチだから抱えた、期待と焦り

—— AI Agent Dayに参加する前は、普段の業務でAIをどのくらい使っていましたか?

@miya: リスクチームは、二線の中でも比較的AI活用に関心のあるメンバーが揃っていて、「二線でどんなAI活用ができるんだろう」というプロジェクトが以前から立ち上がっていました。私もその1人として、Claude Coworkを使い始める前、2月ごろからClaude Codeを試していたので、結構馴染みがある状態での参加でしたね。

@saaya: プライバシーオフィスでも、問い合わせ対応で過去のナレッジを探してくるといった使い方は以前からしていました。ただ、スキルを作って、個人で使うだけではなくチームでシェアして配っていくという活動はこれまでやったことがなかったので、そこは初めての経験になりました。

@y.kawasaki: 私がいちばん使っていたのはSocrates(社内分析ツール)で、その後にClaude Codeを少し使い始めたくらいのタイミングでした。これまではエージェント利用よりも、個人のチャット形式での活用の方が比重は多かったですね。逆に昔ながらのZapierでトリガーを作って、疑似的に自動化するというのは、こまめに試していました。

—— 先行するBatch 1-4の様子を見た上での参加でした。どんな期待や不安がありましたか?

@y.kawasaki: Agent Day用のSlackチャンネルがすごく盛り上がっているのを見ていて、「もうそんなところまでエージェントを作り込んでいるんだ」と。羨ましいという表現とは少し違うかもしれないんですけど、「早く受けたいな」という気持ちで待っていました。

@saaya: 私はBatch 5にAIチャンピオン*として参加したのですが、すでにチームの皆さんは参加を終えた状態だったので、スキルを作るハードルは低かったんです。

他方で、バッチが1から4まで終わっている状態で、その5だからこそできる成果をどう出せばいいか。1日の短時間で、皆さんの中でちゃんと活用されていくものをどこまで出せるかには、結構不安がありました。

*各サークル単位で、技術のプロではなく「気軽に相談できる人」を重視して選ばれたメンバー

「守り」の職種が作った、3つのスキル

—— では当日は、どんなスキルを作ったのでしょうか。

@saaya: 社内のSlackでリアクション絵文字がたくさんついた投稿や、経営層の方の発信を拾って、その日この会社で何が話題になったのかをClaude Coworkで収集して、Notionのニュースフィードに流していくというものです。何がリリースされたとか、いま社内で何が起ころうとしているというのは、ガバナンス的にはすごく重要な情報なんですけど、目の前の仕事に集中していると追いにくくなっているので。

@miya: 私はClaudeで2つ作りました。二線には「これってどんなリスクがありますか」みたいな相談・質問が結構多いので、過去の自分の質疑をカード化して、自動でQ&Aに答えてくれるスキル。

もう1つは、飛んでくるインシデント通知の中から、メルペイのオペレーション関連のものだけを取ってきて、Notionのデータベースに入れるスキルです。

@y.kawasaki: 私は、もともと動かしていたものをCoworkで再現してみようと思って。Slackで自分の確認漏れがないかというアラートを上げるbotです。自分が返信を返していない、スレッドが解決していない、そういうのを引っ張ってきて流すというもので、よく作る方が多いスキルかなと思います。

▲試行錯誤を行いながら、それぞれの手元でskillが生まれていく

サークルで出会った、他チームの発想

—— サークルでは、他のメンバーが作ったスキルにも触れたと思います。印象に残ったものはありますか?

@saaya: 私のサークルは守りのメンバーが多かったんですけど、皆さんの発表を聞いたら結構バラバラの視点で作っていて、意外と被らなかったんです。

例えば、自分にとっての意思決定者が「自分の提案に対して何を言ってくるか」という想定問答を作ってくれるスキル。私にはまったくない発想でしたが、先回りして質問を想定して回答に備える、というのは勉強になりました。

@miya: 記憶に残っているのは2つあって。1つは文章のレビューのスキルです。二線は報告書を作って経営に報告する業務がすごく多く、文章の精度が人によってバラバラなので、それを一貫した観点でレビューするというもの。誰に向けた資料なのか、報告なのか承認なのかを事前に選んでからレビューする形になっていて、すごくよくできていました。

もう1つは、金融庁のホームページが更新されたら情報を持ってきてくれるスキル。外の公開情報を集めてくるのはAIに向いているなと思って見ていました。

@y.kawasaki: 私のグループはCS TnSの方が多くて、お問い合わせをAIに読み込ませて回答するといった、個人情報を含む対応が多いんです。

やりたいことは色々思いつくんですけど、セキュリティ的な運用懸念もあったりして、すごく工夫してエージェントを作り込んでいた姿が学びになりました。部門によって、スムーズに使えるときと、いろいろ障壁があるときもあるんだなと。

Agent Dayのその後。スキルをチームで育てる段階へ

—— Agent Dayから数週間が経ちました。あの日作ったスキルは、その後の業務にどう影響していますか?

@miya: いちばん大きかったのは、Notionでスキルを作って再現できるということを、あの日に覚えたこと。やりたいオペレーションがあれば、会話しながらマニュアルを完成系まで持っていってくれるスキルを、NotionとClaudeとで同じように作りました。これを使うと、チームのメンバーが同じクオリティのマニュアルを作れるので、いまはブラッシュアップしています。

@saaya: 1日の中で作って、シェアして、改善までやってみたこと自体が、非常に勉強になりました。私が最後に参加したことで、チーム全体の知識がベースラインとして揃った状態から始められたので、今となってはチームで連携してチーム内にしっかり影響があるスキル、具体的にはプライバシーに関するリスクアセスメントのスキルに着手できています。

@y.kawasaki: 今後なるべくCoworkで皆が使える状況に寄せていけるように、自分が持っているスキルを見直していました。ただ、CoworkとClaude Codeで接続できるものの差分がまだあって。BQ(BigQuery)に触れないので、データ分析が必要になるケースだと、Coworkはもう少し機能の改修がされないと使いにくいところはありますかね。

「置き換える」から「AI前提で組み直す」へ

—— これから、自分やチームの働き方がどう変わっていってほしいと思いますか?

@saaya: まずは「AIで解決できることであるかどうか」を考える。その発想を取り入れられるようになったかなと感じています。

▲@saayaが実際に制作した成果物。社内で盛り上がった話題を可視化することで、社内のトレンドを一望できる

ただ、意思を持ってちゃんとスキルを起動していく、自分の頭の中でできうる仕事を一度スキルに任せてみる、という意思や判断の精度が必要だなと感じています。それがないと、一度作ったスキルが育たず、浸透せずに消えていってしまうので。

—— その意思を、チームとして支える仕組みはありますか?

@saaya: チームという単位では、AIを用いて業務を変えていくというのを、今期からもうチームの目標OKRに入れてしまっているんですよ。本当に活用できるものを作るとなると、チーム全体のプロセスを変えるところから着手しなきゃいけないので、個人の善意やモチベーションだけでは難しいところがあって。OKRに入っているからこそ、協力してくれる方も増えていくかなと思います。

@miya: 自分がいまやっていることをAIに置き換えるという考え方は、割と良くないなと思っていて。そもそもAIでやる前提で考えるのが、意外とできなくて、本当はその発想の切り替えこそが大事だなと。今までは人がやる前提だったからこのやり方をやっているけど、AIはもっと広く、大量なことだってできる。そうなると前提が変わって、プロセスも変わってくるので、その前提をAI前提で見直すことがいちばん重要だなと思っています。

二線ってどうしてもAI活用から一歩引いてしまうケースが多いので、より一層力を入れなきゃいけないね、という話は未だによくしています。OKRの発表会でAI活用の発表も一緒にして、横展開でシェアできるようにしたり、そんな続けていく仕組みも始めているところです。

@y.kawasaki: まずスキルを使ってみるというのは、僕もすごく大事だなと思っていて。やってみて、あとは直していくのを繰り返すのが習慣化できるといいのかなと。

いまキャッチアップしている方が、自分でできることのアイデアが湧かないこともいろいろあると思っていて。アイデア出しの壁打ちすらエージェントとして作ってしまって自己解決できる世界線が、会社全体の底上げという観点では有意義だなと思っています。

まとめ:スキルを発動させる意思と、それを支える組織

3名の話で最も印象に残ったのは、話題の中心が「どんなスキルを作ったか」ではなく、「どうすればスキルが使われ続けるか」に置かれていたことです。

意思を持ってスキルを使う。その意思を個人任せにしないために、OKRへ組み込む。3名が次に向かった先が、マニュアル作成やリスクアセスメントといった「チームで同じ品質を出すための」スキルだったことも、偶然ではないように思います。

一度作って動かなくなったスキルは、静かに消えていく。全6バッチを終えたいま、問いは「どう作るか」から「どう回し続けるか」へと移っています。

次回は、AI Agent Dayを企画したメンバーの振り返りをお届けし、連載の締めくくりとします。

撮影:タケシタ トモヒロ

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