
こんにちは!ハッカソンの企画・運営を担当した、AI Management Officeの@sae と新卒採用担当の@okd です。
2026年8月31日と9月1日の2日間、メルカリ六本木オフィスで学生向けの「Mercari AI Agent Hackathon for PM」を開催しました。9チームの学生が、メルカリのプロダクトの課題を自分で見つけ、それを解決するAI エージェントや機能をつくる2日間です。
AIエージェントが実装の多くを担うようになり、プロダクトをつくる人に求められるものは確かに変わってきています。その変化を、これからプロダクトをつくる学生のみなさんに直接伝えたいと考えました。どんな人と一緒に働きたいのか。これから何を磨いていってほしいのか。今回のハッカソンは、その期待を2日間のテーマとルールに込めたイベントです。
この記事では、メルカリが求めるタレント像と、それをハッカソン形式にした理由、参加者が2日間で見せてくれたもの、そして私たちが受け取ったものを書きます。

AIエージェントと働く時代に、一緒に働きたい人
メルカリでは、AI Pods(AIを中心に据え、開発プロセスを少人数体制で回す取り組み)と呼ばれる開発の進め方を、社内で検証しています。仕様の詳細化や進行管理、モックアップの作成をAIとエンジニアが担うようになると、プロダクトをつくる人に求められる力が変わります。
いま私たちが最も大切だと考えているのは、「何を・なぜ解くか」を定める力です。お客さまが何をしたくて、どこでつまずいているのかを自分の言葉で語れること。そして、その課題に対してメルカリらしい解き方を自分で定義できること。AIが実装を速くしてくれるほど、この部分の質がプロダクトの価値をそのまま決めるようになります。
さらに重視しているのが、次の4つの姿勢です。
- AIを自分の仕事の一部として使いこなす
- 役割の境界を自分で引かず、必要なことに手を伸ばす
- 答えが決まっていなくても仮説を置いて動き、違えば切り替える
- 今の自分に安住せず学び続ける
スキルや経験は、入社してからでも伸ばせます。一方で、姿勢は後から変えることがいちばん難しい。だから私たちは、この4つを能力と同じ重みで見ています。
まずは、課題を見つけることから
こうした期待は、言葉で伝えるだけでは届きません。だから2日間の設計そのものに込めました。

テーマは「メルカリのプロダクトの課題を見つけて、それを解決するAI Agent/機能を作る」。
課題をこちらから提供するのではなく、課題を見つけることから始めてもらいました。何を解くかを自分で決める経験をしてほしかったからです。評価の観点は初日にすべて公開し、そのうえで課題設定(Why/What)を最も重視すると伝えています。ここが弱ければ、技術的な完成度が高くても上位には残りません。
守ってほしいルールは4つ。
- Go Bold(誰も作っていないものに挑む)
- Why/Whatファースト(動くデモより、どんな課題を解くのかを先に)
- Build(実際に使えることが大事)
- Collaborate(早口で進めない、仲間を置いていかない)
作るものの形は問わず、MCPサーバー・CLI・Web UI・Slack Bot・メルカリ画面に組み込むモックのどれでもよいと伝えました。完成しなくてもよく、途中経過の発表でも構いません。作り切ることより、何を解くかに頭を使ってほしかったからです。
参加条件は、学部や専攻を問わず、AIエージェントの経験も不問。全員がClaudeを使える環境を用意しました。AIが実装を担うのであれば、専攻や経験はプロダクトをつくることの壁ではなくなっていきます。
1時間だけ、別のチームへ
初日の夕方には、もうひとつ仕掛けを入れました。各チームから2名ずつ、計18名に、1時間だけ別のチームへ移ってもらったのです。実際の現場では、メンバーが入れ替わることも、前提が急に変わることもあります。その状況を体験してもらうため、何をするのか、誰がどこへ移るのかは当日まで伏せていました。
移動した人も迎えた人も、初めての顔ぶれで議論することになります。移動先の企画をまとめて自分のチームへ持ち帰った人もいれば、その場の議論を文字起こしして要約を残した人もいました。役割の境界を自分で引かない姿勢は、こういう場面にはっきり出ます。

思いがけない効果もありました。別のチームに入って初めて、自分たちの課題がほかのチームと重なっていると気づいたチームがあったのです。実は9チームのうち5チームが、「家に眠っているモノを出品してもらう」という同じ課題に着地していました。課題設定が簡単だったからではありません。「本当に解くべき課題は何か」に本気で向き合うほど、たどり着く先は似てきます。
差がつくのは、その先の解き方です。議論に加わった社員も、同じ点を指摘していました。実際、同じ課題に向き合った5チームは、それぞれ違う解き方にたどり着いています。誰の、どんな瞬間を救うのか。その解釈の違いで、プロダクトは分かれていきます。

9チームが行動で見せてくれたもの
2日間で、学生は私たちの期待に行動で応えてくれました。いちばん大切だと書いた「何を・なぜ解くか」について、実際にあった行動を紹介します。
・失敗の条件を、自分たちで決める
検索しても出会えない商品に、どう出会ってもらうか。これを課題にしたチームは、ユーザーが寝ている間にAIエージェントがメルカリの中を散歩し、本人が検索しなかった商品を翌朝持ち帰る仕組みを考えました。提出資料には「目指すのは好みを当て続けるAIではない。Agentが好みの外側に一度も出なかったら、このプロダクトは失敗している」と書かれています。
おすすめ機能はふつう、好みを当てるほど良いとされます。このチームは、好みを当てるだけなら失敗だと自分たちで決めていました。機能の説明はAIにも書けます。けれど、何ができたら成功か、どんな体験を届けたいかは、つくる本人の中からしか出てきません。
・AIを自分の仕事の一部にする
このチームは、最初からこの案だったわけではありません。当初はVRのフリーマーケットをつくろうとしていて、その案をAIに批判させています。AIからは、VRではかえって偶然の出会いが減ること、この案ではAIエージェントを使う理由が弱いことを指摘されました。チームはVRをやめ、AIエージェントがその人のための店を毎日つくる2Dの売り場に組み替えています。最終案は、当初の案の弱点を突かれた先で生まれました。
・前提が崩れても、その場で決め直す
初日の夜、自分たちの企画と似た「値下げ依頼機能」がすでにメルカリにあると気づいたチームがありました。このチームは企画を止めず、AIに交渉させる利点を考え直しました。検索結果に出てきた商品に、まとめて値下げ交渉を仕掛けられる。これを既存機能との違いに据えています。
商品を3Dモデル化する構想を取りやめたチームもありました。時間と処理コスト、対応機種の制約を確かめた結果です。代わりに、実寸の直方体に商品の実写を貼る方式へ切り替えました。提出資料には「生成AIには出せない、人間の割り切りの判断が入っている」と書かれています。
どちらのチームも、思い描いていた案が通らないと分かった時点で止まらず、手元の条件で何をつくるかを決め直しています。
問いを立てる力に、完成形はまだない
この2日間で最もよかったのは、「何を・なぜ解くか」という問いを、学生が自分で立てる時間をつくれたことです。AIで調べれば、課題の候補はいくらでも出てきます。それでも9チームは、「本当に解くべき課題はどれか」を決めることに多くの時間を使いました。

もちろん、私たちが受け取ったものもあります。仕様を人間が書く代わりに、AIに人間を逆インタビューさせる。作業するAIと、その作業を通してよいか判定するAIを分ける。学生のAIの使い方には、運営が想定していなかったものがいくつもありました。社内でAIエージェントとの働き方を検証している私たちにとっても、学びになるものが多くありました。期待を伝えるつもりでつくった場で、私たちも多くの新しい視点を受け取りました。
これからプロダクトをつくる人に必要な力は、まだ誰も完成した形では持っていません。メルカリも検証の途中にいます。だから、一緒に考えられる人と出会いたいと思っています。
新卒採用担当より
今回のハッカソンは、AIエージェント時代の働き方を体感いただく2日間となりました。
メルカリは変化の連続の中で、前例のない問いに向き合い続けています。だからこそ、AIエージェントとともにプロダクトをつくり、メルカリの未来を創っていく仲間を募集しています。
メルカリのミッションに共感し、AI-Nativeな組織でValueを体現しながら「Go Bold」に挑戦してくださる方と、ぜひお会いしたいと考えています。
FY29向けインターンシップは、年明け以降順次募集予定です。
最新の募集情報はメルカリの採用サイトをご覧ください。







