メルカリの新卒採用担当者が、新卒メンバーの入社当時から現在までを探っていく特集企画。ファーストキャリアとしてメルカリを選んだ新卒メンバーたちは、今何を思い、どのようなキャリアを手にしているのでしょうか?
第2回目は、メルカリの研究機関「R4D」にエンジニアとして入社し、現在はグループ会社であるメルペイでプロダクトマネージャー(以下、PM)を務めている新卒メンバー・中村奎太にインタビューを実施。
メルカリから内定を受け取りつつも「入社したいとはあまり思っていなかった」と話す中村。そんな彼がメルカリに入社を決めた最終的な理由は、いったい何だったのでしょうか。また、エンジニアとして入社し、現在はPMを務める中村が描く、これからのキャリアとは? インタビュアーは学生時代から彼を知り、実際に採用を担当していた、奥田綾乃(新卒採用チーム)。インタビュー終盤には、「新卒ならではのキャリアパスがもう少しハッキリしていてもいいのでは?」と、奥田に切り込む中村。その胸中に迫ります。
「内定をもらったものの……」メルカリ入社に踏み切れなかった理由
奥田:改めて話すのは久しぶりなので、何だか緊張しますね(笑)。今日はよろしくお願いします。さっそく、入社の経緯と理由から聞かせていただけますか?
中村:面接みたいですね(笑)。もともとフリマアプリ「メルカリ」が大好きで。頻繁に洋服を売ったり買ったりするほどのヘビーユーザーだったんです。それから、インターンシップに応募しました。
奥田:そこからなぜ、メルカリのインターン生に?
中村:きっかけは、LinkedInです。「メルカリに興味ないですか?」と、当時採用を担当していた石黒さん(Organization & Talent Development Team マネージャー)から連絡をいただいたんです。でも正直、当時は企業としてのメルカリにあまり興味がなくて。
奥田:あらま。
中村:僕自身、新しいものをゼロから立ち上げることが好きなんです。でも、当時のメルカリは拡張フェーズにあり、ビジネス的にも成熟している印象があったので「入社したい!」と考えていませんでした(笑)。今後メルカリで強烈なインパクトを残すような施策はそれほど生まれないんだろうなと勝手に思いつつ。でも、アメリカでの事業展開に興味があったので、話だけでも聞いてみようと思って会いに行ったんです。
中村奎太(プロダクトマネージャー)
奥田:話を聞いてみて、どうでしたか?
中村:驚いたのは、会う前から僕が書いたコードをチェックし、技術レベルなどをしっかり把握してくれていたこと。技術の話題だけでなく、これからさらに新しい事業を展開する予定があることまで話してくれました。そして「興味があれば、面接など受けてみませんか?」と言われ、当時興味があったAIエンジニア枠での採用選考を受けることにしたんです。
奥田:私が入社したときには、すでに中村さんは内定者でした。なので、初めて会ったときに「エンジニアですよね?」と話しかけた気がします(笑)。
中村:そんな感じでしたね。内定をもらうと同時に、メルカリで初めて開催された「Mercari BOLD internship」にも誘われました。これは、100人の学生をアメリカに派遣し、現地でいろいろ体験してもらうというもので、間違いなくおもしろいと思い、参加しました。僕もアメリカで、現地のサービスにたくさん触れられたので、参加できてよかったですね。
奥田:しかし、メルカリから内定を出していましたが、中村さん自身が入社を決意するまでにはさらに1年くらいかかっていますよね?(笑)
奥田綾乃(新卒採用担当 マネージャー)
中村:「Mercari BOLD internship」はとても楽しかったのですが、メルカリに入社して働くイメージをなかなか持てなくて(笑)。僕個人としても、メルカリみたいなビジネスをつくりたいと考えていたんです。そんなとき、濱田さん(メルカリCPO)と初めて話す機会がありました。そこで「ブロックチェーン技術を使ってプロダクトをつくってみたいんだよね」と話している濱田さんを見ていて、めちゃくちゃワクワクして! ブロックチェーンに興味もありましたし、おもしろいことができるかもしれないと思って、まずはインターン生として入社しました。
奥田:それから、一週間程度で入社を決めてくれました。インターン生時代、メルカリの研究機関であるR4Dでどんなことをしていたのですか?
中村:メルカリのインターンシップには「プロダクトをつくることが重要」という考えがあり、当時は業務範囲を限定せず、いろいろなポジションで働いていました。2018年に入社後は、R4Dでエンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。当時はブロックチェーン技術などをメルペイのサービス内に取り入れ、次のメルカリのコンセプトモデルとして開発されていた「Mercari X」プロジェクトを担当していました。その後、PMとしてメルペイへ異動し、現在に至ります。
経営陣や先輩から学び、マネジメントスキルも習得
奥田:エンジニアとして入社し、今はPMとして働いていますよね。これは中村さんが、メルカリ入社前から考えていたキャリアパスだったのでしょうか?
中村:僕には、ビジネスやプロダクトをつくりたいという想いがあります。そのため、エンジニアリングだけをやりたいわけじゃないんですよね。エンジニアであろうとPMであろうと、最終的にプロダクトを完成できればいいので、関わり方についてあまりこだわりはありませんでした。今はPMとしてプロダクトづくりにコミットできているので、個人的にもやりたいことはできているように感じています。
奥田:当初はR4DでMercari Xを担当、そしてグループ会社であるメルペイへ異動。中村さんにとって、メルペイ設立はどれくらいのインパクトがありましたか?
中村:正直言うと、メルカリが決済領域へ参入するのは予想どおりでした。なので、そこまで大きな驚きはなかったです。個人的にはそれよりも、R4Dのブロックチェーンチームと連携しながら、ビジネスとして新たな可能性を探る姿勢はメルカリらしくていいなぁと。メルペイへの異動はスキルとしての広がりにもなりましたし、組織自体がゼロから立ち上げられていたこともあり「ここで良いプロダクトをつくっていくぞ」とすごく気合いが入ったのを覚えています。
奥田:メルペイではどのような仕事を?
中村:新しいことを模索するプロジェクトチームと、アンチマネーロンダリング(AML)やテロ対策のシステム全体を担当するチームのPMを務めています。メルペイはまだ初期フェーズ。だからこそ今、AMLなどの「守り」に注力しているんです。特にAMLチームでは、マネージャーも担当しています。
奥田:チームとしても新しいことをやっていますし、エンジニアからPMというキャリアもめずらしいと思うのですが、大変なことはないですか?
中村:もともと大学時代に友人たちと受託開発をやっていたこともあり、大変だと思うことはそれほどなかったように思います。マネジメントに対するイメージも、何となく持っていました。とはいえ、組織内でのマネジメントは初めて。「どういったポジショニングで、どこをケアすべきか」と悩みながら、経営陣や先輩のマネジメントを参考にしつつ、自分なりの方法を見つけていきました。今も、学びの連続です。自分で気づいたことがあったら試し、改善を続けていますね。
奥田:メルカリ新卒が良いのは、新卒扱いされないし、特別扱いとして抜擢されることもないところです。中村さんがPMになったのも、そのときに必要だからアサインされている認識です。それが、とても良いなと私は感じています。
メルカリ新卒の強みは「若さを武器に、言いたいことを言う!」
奥田:中村さんはインターン生時代や入社前後で、メルカリに対するイメージに変化はありましたか?
中村:先ほど少しお話ししたとおり、入社前のイメージだと、メルカリは成熟していて、アメリカを皮切りに世界中へサービスを展開していくのだと思っていたんです。でも、入社してみると思っていたよりも技術に特化していて、「成熟した」というイメージを裏切るくらいに「Go Bold(大胆)」な施策をいくつも動かしているところに少し驚きました。良い意味で、イメージが変わりましたね。
奥田:ひと口に「新卒」と言えど、企業によってカラーなどが異なります。新卒としてメルカリに入社してみて、何か感じるところはありましたか?
中村:「若さ」を強みにしやすい環境だと感じました。というのも「これをやりたいんです」と言ったとき、それが経営陣まで届くスピードが速い。そして、誤解を恐れずに言うと、やりたいと思ったことを率直に「やりたい!」と声を大にして言えるのは新卒を含む若手の特権。意見を跳ね返されたとしても、「でもやりたいんです!」と勢いに任せて言わないと、新卒である意味がない。僕も、進太郎さん(代表取締役会長兼CEO)や直樹さん(メルペイ代表取締役)、濱田さんに直接やりたいことをどんどん伝えています。強いて言うと、新卒ならではのキャリアパスがもう少しハッキリしていてもいいのでは、と感じることはありました。
奥田:キャリアパスというのは?
中村:メルカリには、優秀なメンバーが多く集まっています。そして、はっきりとした役職があるわけではなく、基本的にはみんなフラットな立ち位置です。年齢で昇進したりすることもないので、具体的に何をすれば昇進するのかという明確なロールモデルがない。つまり、新卒からすると、キャリアパスがわかりにくいんです。
奥田:そこは今、社内でも課題に感じているところですね。キャリアパスは新卒だけでなく、他のメンバーにも重要なこと。そのため、メルカリグループ全体で制度などを含めて整備しているところです。今年の4月に入社するメンバーへ向けたオンボーディングに関しても、現場配属後に役立つスキル研修を厚めに組み込むなど、トライしています。
中村:その挑戦は、端から見ていても感じています。みんなフラットな立ち位置ということは、肩書で裁量権が変わるわけではないということ。自分の肩にも先輩たちと同じ裁量権があると思うと、プレッシャーに感じる人もいるかもしれません。そういった人たちには、今進められているオンボーディングは、とても良い気がします。僕の場合は、プレッシャーに感じる環境もおもしろいと思えているのですが(笑)。
「若さを武器にする」ために必要なのは、素直さとオーナーシップ
奥田:入社当時、メルカリの新卒メンバーはどういう印象でしたか?
中村:率直に言うと、優秀なんだけど変なやつばかり! バックグラウンドもさまざまだし、考え方も変わっている。すごく多様性があり「この人たちとならずっと話していられるな」と思いました。
奥田:私はメルカリの新卒採用担当を1年以上続けていますが、「メルカリの新卒ってこんな感じだよね」という一貫したイメージはないかもしれませんね。新卒は、メルカリのバリューを体現する第一人者。そういう意味では「メルカリっぽさも必要かな」と思うのですが(笑)。個性豊かなメンバーが多いけれど、どこかにメルカリのコアを感じたりしますか?
中村:「頭の回転がはやくてプロダクトが好き」は職種問わず同じですね。エンジニアでも、技術にコミットしたい思いを持ちつつ、それをどうやってプロダクトに活かすかを考えている新卒メンバーが多いのは、メルカリならではの特徴という気がします。
奥田:これから先、メルカリでどんなことをやりたいですか?
中村:もう少し事業責任者や経営メンバーに近いレベルで、プロダクトづくりなどに挑戦していきたいです。今年2月、昨年から関わり続けてきたメルペイがリリースされました。しかし今後は、僕がより責任を持って生み出したプロダクトによって、メルカリがメルカリらしく目指すべき方向に進み、かつビジネス的にもお客さまにとっても良い価値を提供できるようなプロジェクトにコミットしていきたいですね。
奥田:そのために、何が必要だと思いますか?
中村:僕にはまだ専門領域があるわけではなく、スペシャリストとしての強みもない状態です。そのため、引き続き若さを武器にして、経営メンバーにも考えていることを言い続けます。そして、仕事を任せてもらう。僕は、ジェネラリストの幅を徹底的に広げたスペシャリストになりたいんです。そのためにも、新しい技術を学びながら、ビジネスやプロジェクトマネジメントに落とし込んでいきたいですね。UIやUXを考えたり、マーケティングを考えたりするところまで自分の領域を広げ、新しいアイデアをどんどん提供できるようになれたらと思っています。
奥田:その姿勢、すごく良いですね! しかし、言いたいことを言って実現していくには、周りから信頼してもらうことも必要ですよね。そのために意識していることは?
中村:なるべく素直になることですね。いろいろ考え過ぎて、発言力が弱くなってしまっては意味がないです。自分の想いをきちんと伝えるためにも、素直さは意識しています。あとは、オーナーシップを見せること。自分の裁量の範囲は責任を持ち、完璧なものを仕上げるようにしています。やっぱり、足元がグラついている状態で何を言っても意味ないですからね(笑)。
奥田:あまり周囲を気にせず、思ったことを率直に発言するのは新卒ならではの強み。中村さんが今ある強みを活かしつつ、さらに次のステージへ進もうとしていることがわかりました。これからも若さを武器にアイデアを提案しつつ、中村さん自身の得意な領域をさらに広げてもらいたいです。ありがとうございました!
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中村奎太(Keita Nakamura)
大学在学中にインターン生としてサイバーエージェントでプログラミング教育サービスの立ち上げや、DeNAで動画サービスでの感情分析基盤導入などを行う。その後、メルカリの研究機関「R4D」にインターン生として参加。2018年に新卒入社後はプロックチェーンエンジニアとして、R4D内で進められていた「mercariX」プロジェクトに携わる。その後、グループ会社であるメルペイへ異動し、分散台帳開発チームとAML systemチームのPMを担当。
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奥田綾乃(Ayano Okuda)
2009年 株式会社サイバーエージェントに入社。社長室配属を経てソーシャルゲームのプロデューサーとして企画立案、運用、進行管理を経験した後、複数のゲームを束ねるユニット長として事業戦略、マネジメントを経験。2017年3月に株式会社メルカリに入社。新卒採用に従事。