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「遠慮せず、声に出していいんだ」メルカリEMが子育てをして得た気づき

2019-6-27

「遠慮せず、声に出していいんだ」メルカリEMが子育てをして得た気づき

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メルカリには多様なバックグラウンドを持つメンバーが集っています。そんなメルカリにとっての「Diversity & Inclusion(以下、D&I)」とは、特別な取り組みではなく、日常の業務のなかに宿る考え方です。誰もが気持ちよく、活発に働けるメルカリのあり方を考え、実践しているメンバーにインタビューを行いました。

藤田明子は、Quality Assurance(以下、QA)チームでエンジニアリングマネージャーを務めながら、子育てにも奮闘するメンバー。その他にも、テック業界で働く女性のエンパワメントを目的とした世界的なカンファレンス「Women Who Code CONNECT」に参加するなど、精力的に活動しています。しかし、そんな彼女がD&Iに関する活動をスタートしたのは、ここ最近のこと。なぜ彼女は変化し、自らアクションを起こすことができたのでしょうか。彼女を変えたきっかけ、そしてメルカリでの働き方について聞きました。

「守り」から「攻め」に転じたQAエンジニア

ーまずは藤田さんのキャリアについて教えていただけますか。

藤田:大学時代は海洋工学を専攻していて、情報工学とは全く異なる領域を学んでいました。しかし、時代はMicrosoft Windowsの全盛期。これからはITの時代だと直感し、この業界に入りました。プログラマーとしてキャリアをスタートさせ、その後QAエンジニアにキャリアチェンジ。前職が管理業務がメインだったこともあり、もっと挑戦的で、成長できる機会を探していたところ、メルカリに出会ったんです。

ーメルカリにジョインした理由は何だったのでしょうか?

藤田:一言で表すと、人の魅力が大きかったですね。忘れもしませんが、私の面接官だった慎也さん(メルペイ Head of HR & Culture)の印象がすごく良かったんですよ。どの話題もすべてポジティブで、純粋にこの人と働きたいと思いました。

藤田明子(Quality Assuranceチーム エンジニアリングマネージャー)

ー「ポジティブ」とは、具体的にどういうことでしょうか?

藤田:前職での私の仕事は「いかにタイムカードの漏れをなくすか」や「いかに端末が紛失しないようにするか」など、管理タスクにフォーカスした業務が主でした。もちろん、それも大切な業務の一つなのですが、慎也さんは「守り」というよりも「攻め」の業務を求めていて。「変化のスピードが早い世の中で、QAはどうあるべきか」というような、前を向いた問いを私に投げかけてくれたんです。価値のあるプロダクトを、いかに早くお客さまへ届けることができるか……QAに求めるスピード感覚は非常に驚きしたね。

ー実際にメルカリに入社して、ギャップはありましたか?

藤田:もっとも驚いたのは、予想以上に裁量が与えられているところです。誰かに許可を取らなければ物事が進まない世界から、自分が良いと思ったらどんどんチャレンジできる世界に変わったことは大きな変化であり、ギャップでもありましたね。決まった答えが用意されているわけではなく、私の答えを求められるというか。自由と責任は表裏一体とも言えますが、きちんとオーナーシップを持つことで、これまで以上に考えなければならないので、個人的にも成長できたと思います。あとはエンジニアとの距離の近さですね。

ー距離ですか?

藤田:前の職場のQAとは、エンジニアが実装した機能をデベロッパー環境で動かし、狙い通りに動いているかを確認し、レビューするという役割。いわば、「社内第三者機関」のようなチームでした。それに対して、メルカリの場合はエンジニアが実装したデータやプログラムを、QAエンジニア自身がテストのために書き換えることがあるんです。これはすごく特殊で、一般的には「すべきでない」とされていることなんですよ。例えば、一時的な「しきい値」の書き換えなどですが、ブラックボックステストを長く経験している人間であれば、そういった簡単なアプローチがどれだけテスト効率を上げるのか、わかると思います。プログラムの内容をソースレベルで理解し、エンジニアと一緒にプロダクトをつくっている感覚が強いのも、入社後の良いギャップでしたね。

ー単にレビューに徹するのではなく、一緒にプロダクトをつくるということですね。メンバーからEM(Engineering Manager)に役割が変わって以降、ご自身の仕事に対するスタンスは変わりましたか?

藤田:変わりましたね。マネージャーなので、チームをまとめ、メンバーをケアすることは当然の役割ですが、他にも、プロジェクトタスクに直接関係しない、組織体制の変化や経営のメッセージを、きちんと自分の言葉にする癖が付いたと思います。自分の言葉に噛み砕かないと、メンバーにきちんと伝えることができないんですよね。日々の1on1や会議でのコミュニケーションからメンバーの意見を吸い上げるだけではなく、それをしっかりと具体的な提案まで落とし込み、前向きな効果に変えることがEMの役割だとしたら、私の力はまだまだ足りない。EMになって「マネージャーってこんなに大変なのか」「もっと頑張らなきゃ」と思う機会が増えましたね。

初の海外出張は子ども同伴? Go Boldなサポート体制

ー業務外で何か活動していることはありますか?

藤田:私が主体的に活動していることではないですが、D&Iに関する社内イベントや勉強会へ積極的に参加するようにしています。異なる言語や文化を持つ同士が互いにその知識を深める勉強会をはじめ、メルカリには多様性について学べる機会が数多くあるんです。約40カ国の国籍を持つメンバーが会社に所属しているので、日々色々なことを学び、吸収しています。

ー藤田さんがD&Iに興味を持つきっかけは何だったのでしょうか?

藤田:2019年4月に米国のサンフランシスコで開催された「Women Who Code CONNECT」という、テック業界で働く女性のエンパワメントを目的とした大規模カンファレンスに参加したのがきっかけですね。まず「女性開発者をエンパワメントするイベント」という切り口に驚きました。自分のなかにあったD&Iのイメージはかなり狭かったんだなと痛感しましたね。

ーそれまでは関心を持っていなかった?

藤田:関心がなかったというわけではありませんでしたが、自分ごととして捉え切れていなかったのは事実です。「女性のエンジニアが少ない」というテーマすら、問題意識を持っていませんでしたからね。今のメルカリには女性のEMは私一人ですが、それすらも問題意識を持っていなくて。でも、WWC CONNECTに参加してから変わました。

ーこれまでのご自身の経験を踏まえて、考え方が変わった点はどんなところでしょうか?

藤田:私は娘がいるのですが、「子を持つママエンジニアにとって働きづらい環境だったかもしれない」と振り返って思いました。例えば、WWC CONNECTに参加するにあたって、まず乗り越えなければならないのが、海外への長期出張です。メルカリには海外・国内問わず出張の機会が溢れていますが、子育て中の私には無縁のことだと、入社以来ずっと諦めていたんです。でも今回、WWC CONNECTへの参加について会社に相談してみると、娘同伴の出張が許されたんです。

ー娘さんと同伴ですか……! それはすごいですね。

藤田:もちろん「出張をしてはいけない」というルールはありません。でも出張することはすごく体力のいることじゃないですか。今回、出張の実現にあたり、会社からは、子どもを含めた出張手配やベビーシッターのアテンド、セッション参加に関するアドバイスなど、手厚いサポートをしていただきました。WWC CONNECTに参加することにも意味がありましたが、まずは海外出張を実現することができたこと自体に、驚きと喜びを感じましたね。

ーお子さんがいることで、「無意識に遠慮してしまうこと」って出張以外にもありそうですよね。

藤田:例えば、メルカリって他社に比べてイベントやチームビルディングなど、社内コミュニケーションの機会が多くあると思うんです。でも私は娘の送り迎えがあるので、全く参加できないんですよ。もちろん親睦を深めるためには参加したい、でも参加できない。社内コミュニケーションが活発であるがゆえに非常に悩みましたね。でも今回の海外出張で、その考え方も変わりました。

ー変わった、とは?

藤田:「参加できないことを、仕方のないこと」と思うことは止め、声に出そうと。自分からバリアを張っていたので、無理そうなことでも「参加したい」とまずは伝えてみることが大切。そうすることで、意外と挑戦できるかもしれませんからね。もちろん、各家庭の状況は異なるので、全員にフィットするものなんてありえないかもしれませんが、できる限り会社はサポートしてくれるし、個人に寄り添ってくれるはず。私自身、今回の出張のような経験をさせてもらったので、今後はできる限り同じような境遇のメンバーへのサポートや環境づくりに協力していきたいと思うようになりました。

世界に挑戦することが、当たり前のカルチャーをつくる

ーWWC CONNECTから帰国後、社内からの反響はありましたか?

藤田:反響……どうでしょう(笑)。でもWWC CONNECTの社内報告会をした際に、プレゼンテーションをしたのですが、その後、個人やチームから相談やヒアリングを受けることは増えましたね。また、今回の出張は一部イレギュラーな対応もあったので、まだしっかりと制度にまで落とし込めていません。なので、その整備も現在進めているところです。

ーポジティブな効果につながっているんですね。その一方でD&Iがまだまだ進んでいないと思うことはありますか?

藤田:それは思いますね。出張以降、積極的にD&Iに関する社内イベントに参加しているのですが、参加者を見渡すと、そのほとんどが当事者なんです。例えば、英語話者中心のイベントには日本人が少ない……。正直、これがメルカリの現状で、D&Iが十分に浸透しているとは言えません。ただ、声に出せない問題意識を持っているメンバーが多いのも事実。そのブリッジに立つことが自分の役割だと感じています。

ーそれでは最後に藤田さんが今後チャレンジしてみたい活動があれば聞かせてください。

藤田:とてもパーソナルな目標ではあるのですが、いつかWWC CONNECTでQAに関するプレゼンテーションをしてみたいです。今年、始めてのWWC CONNECTに参加して「また来年も参加してみたい」と思ったのですが、参加だけでは十分じゃない。次回は「伝える側」に立ちたいと思うようになりました。もちろん参加することも貴重な経験ですが、私がプレゼンをすることで、参加することが当たり前のカルチャーをつくっていけたら嬉しいですね。とはいえ、まずは頭でっかちにならず、気軽に参加し、体感することが大切。身の丈に合ったやり方で、活動の輪を広げ、誰もが働きやすい環境をつくっていけたらと思います。

藤田明子(Akiko Fujita)

横浜国立大学卒業後、プログラマー経験を経て、サイボウズ株式会社に入社し、QAエンジニアとなる。その後、株式会社ディー・エヌ・エーなどのベンチャー企業を経て株式会社メルカリへ入社。現在はQAチームのエンジニアリングマネージャーを務める。

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