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メルペイCPO交代。メルカリとメルペイをひとつにするための選択

2019-7-1

メルペイCPO交代。メルカリとメルペイをひとつにするための選択

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2019年7月1日、松本龍祐がメルペイChief Product Officer(以下、CPO)の退任を発表しました。次に「メルペイCPO」のバトンを託されたのは、フリマアプリ「メルカリ」のプロダクトオーナーである伊豫健夫ーー。

スマホ決済サービス「メルペイ」がリリースされたのは、同年2月。その間、コード払いやネット決済など続々と新機能をリリースしてきたメルペイが、なぜこのタイミングで「CPO交代」の決断に至ったのでしょうか? そして、これまでJP版メルカリやUS版メルカリを担当してきた伊豫がメルペイへの異動を決めた背景は? 今回のメルカンでは、メルペイCPOの松本と伊豫による対談を行いました。

「メルペイに来ない?」と誘い続けていた

松本:メルペイCPO交代が決まってから、伊豫さんとはけっこうな頻度で1on1などしてきました。そんななか、改めて対談するのは新鮮ですね(笑)。よろしくおねがいします! さっそくですが、メルペイCPOの打診を受けたとき、正直どう思っていたんですか?

伊豫:それはもう「驚いた」の一言に尽きますね。でも、今思い返してみると、松本さんは会うたびに「メルペイに来ない?」と誘ってくれていた気がします(笑)。それがまさかメルペイCPOの打診に変わるとは。

松本:そうでしたね(笑)。僕としては伊豫さんにメルペイへ来てほしくて、ずっと声をかけていました。

伊豫:むしろ聞きたいのですが、なぜ僕をメルペイCPOに推したんですか?

伊豫健夫

松本:メルペイのプロダクト開発はステークホルダーも多く、規模が大きい。なによりメルカリの「機能」としてお客さまに提供しています。そしてメルカリグループの3本柱の1つとして、絶対にグロースさせなければならない。伊豫さんはUS版メルカリを経て、JP版メルカリのすべてを現場で見てきた唯一のプロダクトマネージャー(以下、PM)でした。これほどメルカリそのものを熟知しているのは、伊豫さん以外にいません。

伊豫:恐れ多いですね。松本さんが声をかけ続けてくれたおかげで、僕のなかでも「メルペイに強くコミットすれば、メルカリが目指す世界観の実現角度を上げられるんじゃないか?」と想像し始めていたところでもありましたので。

松本:本当ですか! 声をかけ続けてきてよかった〜(笑)。

PMとしての新規事業立ち上げ担当、グロース仕掛け担当

伊豫:僕たちのことを知らない人もたくさんいると思うので、お互いのバックグラウンドについても話しましょうか。僕も、松本さんに聞きたいことは多いですし。

松本:どうぞどうぞ。

伊豫:数ヶ月違いとはいえ、僕も松本さんも2015年に入社していますよね。僕のイメージでは、松本さんって連続起業家なんです。前職を退職後、なぜメルカリグループに入り、メルカリのPMを経てソウゾウ立ち上げを選んだのですか?

松本:当時は起業することも考えていました。ちょうどそのとき、進太郎さん(代表取締役会長兼CEO)から「新規事業をグループ会社(ソウゾウ)でやってみない?」とオファーされたんです。メルカリの成長スピードにもその後の展開にもワクワクしていましたし、そのなかで新たに事業を立ち上げるチャンスは今しかないと思ったんですよね。伊豫さんは?

松本龍祐

伊豫:当時の僕は、スタートアップ界隈に精通していたわけではありませんでした。ちょうど英語力を鍛えるために、日本語メディアからの情報を遮断していたので、メルカリのことも、進太郎さんのことも知らなくて。求人メディアで偶然見つけたことがきっかけでしたね。

松本:この頃、ちょうどテレビCMを始めたばかりだったのに見ていなかったとは(笑)。何が決め手だったんですか?

伊豫:面接でいろいろなメンバーと会ったのですが、みんなプロダクトの話をしていたんです。ものづくりに対する情熱と一極集中な雰囲気がとてもいいなと思いました。それに、前職ではBtoBだったこともあり、真逆の世界でもあるCtoCに挑戦したい気持ちもありました。入社後は3ヶ月ほどJP版メルカリを担当し、それから約2年、US版メルカリを担当していました。そして2017年に再びJP版メルカリに戻り、現在に至ります。

松本:当時のJP版メルカリは、さらにグロースを加速させていこうとしていたタイミングでした。US版メルカリとのギャップはありましたか?

伊豫:US版メルカリに関しては、生活環境も文化も違うなかでプロダクトづくりを進めていたので、本質的なインサイトに迫るまで苦労した記憶があります。というのも、どんな施策でも何かしらのリアクションが生まれる一方、その他の複合要因が多すぎて……。楽しさと苦悩が入り交ざった時期でしたね。逆にJP版メルカリは、ちょっとした施策だけではわかりやすい数字の変化が起こらない。

松本:真逆だったんですね。

伊豫:そうなんです。当時のJP版メルカリは、もっとライトに使ってくださるお客さまが多いと思い込んでいました。しかし、実はメルカリを支えてくださっていたのは熱量の高いお客さま。つまり、自分なりの使い方を確立しているお客さまが多かったのです。インサイトの把握に手応えを掴んでからは、グロース施策を考えるのがスムーズになっていきましたね。

松本:伊豫さんが急成長中サービスのグロース施策あるあるに陥っていたとは。僕の場合、メルカリグループでのミッションはずっとゼロイチでの新規事業立ち上げでした。そこで一番悩み続けていたのは、やはりメルカリ本体に比べたときのインパクト。ソウゾウでの事業はどれも成長していましたが、大企業になっていくメルカリグループのなかで考えると、やはりインパクトとして足りないところがありました。

伊豫:その時々で変わる経営方針とのバランスも難しそうです。

松本:そうですね。メルカリグループの歴史のなかでは、リソースの9割をメルカリUSに回すと判断したこともありました。そうなると、当然ながら新規事業をバラす必要があります。一方で、JP版メルカリに注力するとなれば、ソウゾウが立ち上げたメルカリ カウルやメゾンズを単体で進めるより、本体に取り込んでもらったほうが多くの方々に使ってもらえます。カウルにあった「バーコード出品」は、そういった判断でした。

メルペイ、ソウゾウが「メルカリのグループ会社」である意図

松本:ソウゾウもメルペイも、メルカリグループのグループ会社として設立されています。そんな2社を、メルカリを担当し続けてきた伊豫さんはどう見ていたのですか?

伊豫:やはり事業のフェーズが違っていることもあり、メルカリとは異なる空気を感じていましたね。メルカリは、メンバーみんなで大きな1つのプロダクトを見ています。そのため、認識の差もほとんどありません。いい意味で一体感があります。しかし、ソウゾウやメルペイは複数の遺伝子が一箇所に集まっているイメージ。だからなのか、すごく不思議でした(笑)。

松本:不思議(笑)。「バリューも同じだし、雇用形態もみんなメルカリに基本的には一本化しているのに!」ってことですか?

伊豫:そうですね。なんと言いますか、メルカリと同じ匂いがするはずなのに、まったく異なる思考を持つメンバーが集まっているように感じるんです。そのせいか、いい意味で議論はいつも喧々諤々としているところがありました。

松本:そう言えば、ソウゾウとメルペイは似ていると言う人もいます。これは、ゼロから事業を立ち上げたことがあるメンバーが多く集まっているからかもしれません。1つの事業を育て続けることはもちろん大事ですが、だからこそ新しい血を入れることも大事。ソウゾウもメルペイも、そういった意図もあり、グループ会社として設立されています。

伊豫:グループ会社として別々で動きながらも、サービスとして見ると1つのラインでつながっていることにも意味がありますよね。

松本:そうですね。メルペイでは当初、メルカリとアプリを分けることも検討していました。しかし、メルカリの熱量高いお客さまがなめらかに使えることを最優先で考えると、シンプルなものにすべき。そして、同じアプリ内でメルペイを展開することにしたのです。

伊豫:同時並行で、メルカリグループではマイクロサービス化を進めていました。そのため、メルペイ側でのそういった判断に反対意見はありませんでしたね。支払手段となって新たなデータサイクルを生み出すメルペイは、メルカリにとっても重要な存在です。

松本:伊豫さんとは、メルカリとメルペイをどうインテグレーションするかを話し合ってきました。そこで特にバチバチとした雰囲気にならなかったのは、サービス内容は違えど、1つの大きなプロダクト、そして同じお客さまに向けて開発している認識があったからなんですよね。

このタイミングでの交代は「事業をより加速させるための決断」

松本:ソウゾウやメルペイだけなく、僕は起業家としてもPMとしても、事業やサービス立ち上げに多く関わってきました。これは、僕自身がグロースよりも立ち上げのほうが得意ということもあります。伊豫さんはこれまでPMとしてグロースに関わることが多かった印象もあるのですが?

伊豫:「グロースが得意」というよりも、複雑化した論点を整理し、何が一番良いのかを考え、リードする作業が好きなのかもしれませんね。複雑に絡み合った状態をみると、ワクワクしますし。

松本:先ほどもお話ししましたが、メルペイはメルカリグループの3本柱の1つとして確実にグロースさせなければならない事業。その要になるのが、メルカリとの強固な連携です。となると、JP版メルカリのプロダクトオーナーだった実績があり、数々のグロース施策を仕掛けてきた伊豫さん以外に適任者は考えられません。クドいですが(苦笑)。

伊豫:連携強化については同意ですね。これまでもメルカリと連携してきましたが、組織として距離があることもあり、お互いが無意識に線引きしていました。そこはメルカリ側としても、反省しているところです。

松本:そしてもう1つ。僕がこのタイミングでメルペイCPO交代を決断したのは、これまでメルカリグループで「サービス立ち上げ人」をしてきた僕の役割がひと段落したからです。メルペイはリリースして約5ヶ月。いつまでもリリース直後のお祭り気分を引きずっている場合ではありません。さらに加速させていくには、伊豫さんにバトンを渡すのが一番いいという判断もありました。

伊豫:松本さんは、何かやり残したことなどあったりしますか?

松本:メルペイの醍醐味は、インターネットと非インターネットをつなげていくところ。その先の未来に続く過程を一番最初に見られないのは、正直悔しいですね(笑)。

伊豫:(笑)。

松本:あと、組織的にはメルペイPMのレポートラインをより明確にするため、プロジェクト毎に分けました。こうすることで、うまくいけば数十人規模のチームでもスタートアップ的に動ける体制が築き上げられます。表現が合っているかはわかりませんが、組織もマイクロサービス開発により対応し、進化させていくというか。この挑戦は取り組み始めたばかりなので、結果が気になるところですね。伊豫さんとしては、まず着手していこうと考えているポイントはあるんですか?

伊豫:そうですね……。メルペイはメルカリをより便利に使ってもらうための決済サービスです。そして、僕らにしかないユニークなポイントでもあります。事業は分かれていても、つくりたい世界観やプロダクトは1つです。そのためにも、まずはメルカリとメルペイの距離感を近づけるところから始めていきたいですね。

松本:僕は全面的に伊豫さんを信頼しているので、あとはお任せしたいと思っています。これからのメルペイ、期待しています!

伊豫:バトン、しっかり受け取りました!

プロフィール

松本龍祐(Ryosuke Matsumoto)

中央大学在学中より出版系ベンチャーの立ち上げやカフェ経営などを行う。 2004年より中国企業のSNS立ち上げに参画、2006年にコミュニティ企画・運営に特化したコミュニティファクトリーを設立。2009年以降はソーシャルアプリ開発に特化し、写真をデコってシェアできるスマートフォンアプリ「DECOPIC」が2,800万ダウンロードを記録。2012年9月にヤフー株式会社へ会社を売却。その後同社アプリ開発室本部長を担当後、2015年5月よりメルカリにジョイン。ソウゾウの代表取締役を経て、メルペイの取締役CPOに就任。その後、2019年7月にCPOを退任する。

伊豫健夫(Takeo Iyo)

大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)、株式会社野村総合研究所を経て、2006年に株式会社リクルート入社。中長期戦略策定および次世代メディア開発など、大小問わず多数のプロジェクトを牽引したのち、2015年3月株式会社メルカリに参画。2016年8月より執行役員。US版メルカリのプロダクトマネジメントを担当後、2017年4月より国内版メルカリのプロダクト責任者を務める。2019年7月より、メルペイCPOに就任。

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