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「信頼できるPMとは?」入社7ヶ月目のメルペイPMが18名にヒアリングし、導き出した答え

2019-11-12

「信頼できるPMとは?」入社7ヶ月目のメルペイPMが18名にヒアリングし、導き出した答え

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「信頼できるPMとは?」。これは、プロダクトマネージャー(以下、PM)を名乗る誰もが問い続けていることでもあります。そして、メルカリ・メルペイで働くPMたちも同じです。

そんななか、メルカリ・メルペイメンバーが情報共有に使用している社内wikiで、あるドキュメントが公開されました。それは、入社7ヶ月のメルペイPMである辰巳憲太朗が「信頼できるPMとは何か?」を明文化するため、18名のメンバーにヒアリングを行い、自分なりにまとめたもの。今回のメルカンでは、そんな彼のドキュメントを公開します。

※この記事は辰巳が社内でシェアしたドキュメントをメルカン編集部で再編集し、掲載しています。

なぜ書いたのか?

「信頼できるPMとは何なのか?」を自分なりに明文化するため、18名のメンバーにヒアリングを行い、自分なりにまとめたものになります。以下の3点を中心にヒアリングを行いました。

1:働きやすい・働きにくい人
2:PMの仕事をどう考えるか、PMへの期待値
3:信頼できる・信頼できない人(PM)

新卒研修が終わり、チームに配属されたタイミングで一番感じたことは「PMという仕事は、メンバーから一定の信頼を得なければプロジェクトを進めるのが難しい」でした。PM一人ではプロダクトをつくり上げることはできず、いろいろなメンバー(デザイナー・エンジニア・QA)と協力する必要があります。

プロダクトの土台となり、責任を持つのがPMの仕事。信頼できるPMじゃなかったら、安心してデザインできないし、実装できないし、QAしてもらえない。そこで、この四半期のOKRの1つを以下のように設定し、これをアウトプットにしたいと思います。
(とはいえ、期間内にできていないので未達です…反省です…)

ちなみに、マネージャーである田辺めぐみさんも、僕のOKRに合わせて「信頼されるPMとは〜新卒に返り討ちにあった話〜」を書いているので、ぜひご覧ください。

object:チーム(エンジニア・PM・デザイナー)から信頼されているPMになっている
Key Result 1:信頼されているPMという定義が明文化されている
Action Plan:KRのアウトプットを行う、チーム内外にヒアリング

信頼されるPMとは何なのか?

先ほども書いたように、プロダクトは自分一人でつくり上げることはできず、他のメンバーと協力しながら進めていくことになります。そのため、他のメンバーが「どんな人と働きやすいのか」「働きにくいのか」を知りたいと思いました。そこで、「働きやすい人・働きにくい人」を質問。そのサマリと、感じたことを徒然に書いていきたいと思います。

【人間的な要素】

・ 枠にとらわれず取り組める人
・ 柔軟な人
・ 思いやりがある人

まず挙げられるのが「枠にとらわれずに取り組める人」です。PMの仕事、エンジニアの仕事の枠にとらわれずに、一緒につくっていける人は一緒に働いていても働きやすいし、何より楽しい。また、「柔軟な人」は、意見を聞いたうえで考える、柔軟な姿勢を持っている人を指します。難しいことは「できません」ではなく、諦めず一緒にできる方法を考えながらつくっていける人ですね。そして「思いやりがある人」。相手の立場や状況を考えて行動できる人、または相手のことを考えて行動できる人。働く相手のタイプに合わせて働くような、気遣いできる人

【スキルベース】

・ 強みがはっきりしている人
・ slackでの文字コミュニケーションに気を遣える人
・ リクエストからのレスポンスが早い人
・ 初期(企画)の段階から巻き込んでくれる人

「強みがはっきりとしている人」とは、何ができる・できないのかがはっきりとしているので、補い合うことができる状態を指します。「slackでの文字コミュニケーションに気を遣える人」は、slack絵文字やスタンプ、感嘆符を入れてくれるだけでOKなので、何かしらのリアクションを返せる人のこと。「リクエストからのレスポンスが早い人」は、言葉のとおりですね。「初期(企画)の段階から巻き込んでくれる人」は、プロジェクトに参加するメンバーのなかにはできれば企画の上流から参加したい人が多いということ。確かに、企画の下流から参加しても納得感がないことがあります。

「働きやすい人・働きにくい人」を質問してみた感想

この質問をしてみて一番感じたことは、「働きやすさ」とは柔軟性と思いやりといった「人間的な要素が大きい」ということ。スキルベースでの話に関しても、自分の意識次第で改善可能なものが多い気がしました。

そもそも人間性が合わなければどうしようもない、という意見もあります。しかし、チームで働く以上、メンバーに対して柔軟性や思いやりを持って働きたいと思いますし、スキルベースに関しても自分の意識次第で何とかできそうなところは改善していきたいと思いました。

PMの役割・PMに対する期待値

PMが担当する範囲は非常に広く、会社ごとはもちろん、社内でも「PMとは何か」という職種に対する認識が異なっていたりします。では、エンジニアやデザイナー、QAなど異なる職種であるメンバーは「PM」に対してどんな期待値を持っているのか。何を求めているのかを聞いてみたいと思いました。このあたりの期待値は擦り合っていたほうが、いい仕事ができるはずです。その質問に関するサマリと、感じたことが以下です。(ちょっと長いです)

【PMのいる意味は規模によって変わってくるという話】

聞いてみてわかったのは、組織規模によってPMの役割が変わってくるということです。例えば組織規模がまだ小さい場合、PMが必要ない場面も多かったりします。また、大きな組織で起こりがちな調整や精密なスペックもなかったりする。そのため、エンジニアやデザイナーだけでプロダクト開発できたりします。それに、組織規模が小さいと、PMという職種自体を採用しにくいところもあります。もし組織規模が小さな会社にジョインするときは、PMとしての明確な強み(マーケティング・Web広告に強い、グロースに強い)があったほうがいい。

一方、僕が今いるメルペイのような組織規模だと、どうしても調整ごとが起こりがちです。そのため、PMとして各チームのスペックを把握している人が求められます。

【PMはプロダクトを成長・グロースさせる人たち】

・ PMはお客さまに提供できる価値・事業の売上をどれだけ大きくできるかが腕の見せどころ
・ エンジニアが弱いのは、グロース部分

PMは、プロダクトを大きくするために、適切なタイミング・場所に自分をはれるかどうかが大切。そのため、お客さまに提供できる価値・事業の売上をどれだけ大きくできるかが腕の見せどころです。また、一緒にプロダクト開発に取り組むエンジニアには、流行や競合調査のようなグロースに興味がない人もいます(エンジニア自体が専門職ということもあり)。そんなとき、PMがその役割を担ってくれるとありがたいし、貴重。

【PMにはプロダクト愛が必要不可欠】

・ プロダクトに愛のないPMと働くのは非常に辛い
・ プロダクトに対してワクワクしているような人が最高だし、楽しくつくれる人がやりやすい
・ 誰よりもそのサービス・プロダクトについてくわしく、考え抜いている人がいい
・ 事業はPMが考えてきたものがいい場合もある

上記のくり返しになりますが、プロダクトに愛のないPMと働くのは非常に辛いです。そのため、事業を考えることに対して時間を掛けている人のほうが尊重されるべだし、メインでやっている人のほうが確度が高い可能性もあります。(その代わり、誰よりも事業を考え抜いてくれよとも思われている)

【PMには実行力が必要】

・ PMは自分の得意分野を活かして周りを巻き込み、とにかくゴールを達成する人
・ 開発とデザイン以外のことはすべてやる人
・ 最後は決め、みたいな状況になったときにでも、責任を持ってやり抜く

得意分野を活かして周りを巻き込みつつ、とにかくゴールを達成するために開発とデザイン以外のことはすべてやる。また、最終的なジャッジをメンバーに伝え、納得させるのもPMの大事な仕事です。

【PMはチームメンバーに未来を見せる仕事】

・ メンバーにビジョンを見せ、動機づけする

一つ前のものでも言及しましたが、PMは最終的なジャッジをメンバーに伝え、納得させることも仕事のうち。そこでは、メンバーのやる気を出し、ワクワクさせることも大事だったりします。

【ちゃんと議論に火をつけることはPMの仕事】

PM一人で考えられることは、たかがしれています。だからこそ、ちゃんと問題・課題をPMが見つけて、議論に火を付けることが重要。その後、油を注ぐのは、みんなでやればいい。そのほうがいっぱいアイデアが出るし、いいものになる。

【信頼されることも重要だが、みんながワクワクできる環境を整えるのもPMの仕事】

自分一人で全部やるよりは、得意な人に得意な分野をお願いするほうがパフォーマンスが上がります。それに、先ほども書いたように、みんながワクワクして仕事ができる環境を用意するのもPMの仕事。PM=リーダーだから自分がすべてやらなきゃいけないんだ、と考えないようにするほうがうまくいく!

【さまざまな職種を横断して起きる議論に対し、中立的に物事を見てほしい】

例えば、デザイナーとエンジニアで意見が分かれたとき、中立に立って意見を持ってほしい。最初から片方の立場に立って議論してしまうと、もう片方がいくら意見を言っても通らないし、意見する意味もなくなってしまいます。結果的に最高の解決策にならない可能性もあります。

「PMの役割・PMに対する期待値」を質問してみた感想

このように、PMに対してさまざまな期待値があるのだとわかりました。

会社のフェーズが違えば、PMに求められるスキルも変わります。プロダクト愛や「何が何でもゴールさせる」という実行力(気合い)は、僕としては絶対に必要なスキルだと思いますし、PMをやっていくうえで大切にしていきたいところです。

「グロースに強い」「ワクワクするビジョンを持っている」などは人によって違う強みかなとも思いました。どれも強みにすべきだと先輩メルペイPMは言っていましたが、そこに明確な答えはありません。自分のなりたいPMになればいい。PMという仕事は、ほかのPMから吸収できるところがたくさんあり、いいと思ったものは一つでも多く吸収する姿勢も大切な気がしました

信頼できるPM・信頼できないPMとは

このテーマは、このドキュメントのタイトルにもなっています。PMという職種(他の職種もそうだと思いますが)は、信頼してもらわないとプロダクトづくりを進められない。ならば、信頼できるPM・信頼できないPMとはどんな人なのか。質問してみたうえで、自分の意識次第でできること・できないことを、徒然に書いてみます。

【自分の軸をしっかりと持つことが大切】

・ 自分の言葉に責任を持つこと
・ 意思決定の根拠を持つこと
・ 自分の意見なり信念なりを持っていること

これはPMに限らないかもしれませんが、言っていることが二転三転したりして、ぶれまくる人は信頼されません。自分の言葉に責任を持つだけでなく「やりたい」と宣言したものにコミットしない「口だけの人」となるからです。また、事業の数字なり、お客さまの声なり、意思決定の根拠が見せられないPMも信頼されません。なかでも特にNGなのは「上司が◯◯と言っているからやりましょう」みたいな、意思決定の根拠を自分で考えていない状態。自分なりの信念や意見があったうえで意見を変えることについてはOKです。

【確信を持って話をすることが大切】

先ほどの続きになりますが、確信を持って話をしてくれなければ、心配で仕事できない。マネジメントもうまくワークしません。極論、間違っていてもいいから確信を話してほしい。その確信が合っているかどうかなんて、やってみないとわかりません。だからこそ、PMにはせめて確信を持って話せるレベルまで考えていてほしいと思われているのです。

【勤怠がしっかりしていることが大切(賛否あるかもですけど)】

・ 勤怠が悪い人は信頼できない

遅刻してくる・気まぐれで休み・時間を守らない人は信頼できない。何より、一緒に働いている感がないですよね。誰よりも走っている人は信頼できるし、誰よりも働く人は強い(=長時間労働ではない)し、何より一緒に働いている感があります。人として、できていてあたり前と思われるところですが、案外継続してできる人は少なかったりします。

【信頼できるかどうかは、仕事云々よりも人間的な部分も大きい】

人間的なところでもありますが「人がされて嬉しいことをやってくれる人」は信頼されます。誰かが弱っていたら声かけたり、体調を崩していたら声をかけたり、何気ない日常の会話で関係値が信頼を築くようです。

【ピンチのとき・追い込まれたときにどのようなスタンスをとるか】

最後の最後に追い込まれたときに引いていく人、問題が起きたときに対応しない人は基本的に信頼されません。自分のことしか考えていない人には距離感をとらざるを得ないです。

【情報をオープンにしておくことが非常に重要】

・ 報告・連絡・相談をしっかりとしてくれないPMは信頼できない

何か変更や問題が発生した場合は早めに関係するチームメンバー(PM・エンジニア・デザイナー・QA)に相談することが重要。失敗しても早めに相談してくれれば、対応可能なことも多く、逆に黙っていると対応できなくなってしまう危険があります。大きな変更(仕様の変更など)も早めに連絡・相談してくれれば、一緒に考えることができるし、より良いものにできると周りのメンバーは考えています。

【ちゃんと背景も含めて説明してお願いするPMは信頼できる】

依頼の背景も説明せずに「とにかくやれ」だと納得感がないし、プロダクトのクオリティにも影響します。

「信頼できるPM・信頼できないPMの特徴、そのためにできること」を質問してみた感想

今回さまざまな方に「信頼できるPMとはどんな人ですか?」という質問をしてみましたが、その多くが「自分の軸をしっかりと持つ」「確信を持って話をする」「ピンチのとき追い込まれたときにどのようなスタンスをとるか」「情報をオープンにしておく」みたいに自分の意識次第で改善できることが多い印象でした。スキルベースのところは、信頼できるPMという観点においては、みなさんそこまで言及していない気がします。自分の意識次第で改善できることはできて当たり前。できなければ信頼を失ってしまうことだと思います。どんなにすごいスキルを持っていても、自分の意識次第で改善できなければ、信頼を得ることはできません。これを継続することはけっこう大変で、自分も意識してやっていかないといけないと思っています。

あと、意見のなかには、「ちゃんと働いてれば実績が積み重なっていくし、実績ができてくると自信が出てくる」「自信が出てくれば自然と信頼されている状態になっている。だから地道にやっていくしかない」がありました。これには「なるほど」と思いました。近道はなく、自分自身も地道にやるべきことをやっていきます。

結論「信頼されるPMとは?」

これまでの質問や回答を通じて、自分なりの信頼されるPMとは

人として当たり前のこと・できて当たり前のことができた上で周りの人が大事にしていることを理解し働けるPM

だと思います。

ここに書いたことはさまざまなメンバーの意見がまとまったもので、人によって「なるほど大切だよね」と感じるポイントは異なっています。だからこそ、その人が大切にしているポイントをおさえつつ、仕事をすることが重要です(一人で働いているわけではないので)。しかし、こればかりはコミュニケーションをとっていくうえでわかってくることでもあります。このドキュメントをまとめたことで、他のメンバーが大切にしていることがわかって、非常によかったです。

最後に

このドキュメントを社内wikiにアップしたときは、こんなに反響があるとは思わず、ましてやメルカンに載るなんて想像もしていませんでした。

僕自身、上記に書いたことをすべて実践できているとは言えませんが、今後も「信頼されるPM」になれるよう精進していきたいと思います。他のメンバーがPMに求める期待値を知ることは、今のチームでやっていくうえでも、今後のキャリアを歩んでいくうえでも、自分の財産になったと思うほど有意義でした。ぜひ、他の方の参考になれば幸いです。

最後になりますが、このドキュメントは、ネット決済の共通基盤などを開発するメルペイNetpaymentチームのみんなの協力なしには完成しませんでした。メルペイNetpaymentチームのみなさん、ご協力ありがとうございました。

写真左から、辰巳憲太朗と、マネージャーであり先輩PMでもある田辺めぐみ(ともにメルペイNetpaymentチーム)

辰巳憲太朗(Kentaro Tatsumi)

一橋大学卒業後、新卒でメルカリに入社。学生時代は個人でアプリ開発、VCでのインターンを経験。7月よりメルペイNetpaymentチームのプロダクトマネージャーを務める。

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