メルカリで働くソフトウェアエンジニアにちょこっとお話を聞いていく本シリーズ。第33回ではメルカリAIチームのソフトウェアエンジニアである@antonylamにお話を聞きました。
コンピュータービジョン(画像処理)分野で博士号を持ち、埼玉大学で助教を務めていた@antonylamは、なぜメルカリのエンジニアとして働くことになったのでしょうか?AIチームのエンジニアリングマネージャー @shibui.yusukeと、AIチームメンバーの立ち話シリーズを3本連続でお届けします。
埼玉大学助教からメルカリのソフトウェアエンジニアに転身
@shibui.yusuke:Hi Antony. 今回は、メルカリに入社するまでは大学で先生をしていた@antonylamさんにお話を聞きたいと思います。まずはこれまでの経歴を教えてください。
@antonylam:アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校でコンピューターサイエンスの博士課程に在学していたのですが、JSPSサマー・プログラムをきっかけに、日本へ訪れました。プログラムの派遣先だった東京大学で良いボス(指導教員)に出会えたことも大きかったです。その後アメリカで博士を取得し、再び日本に来て、ポスドクとして国立情報学研究所(NII)に勤務。その後、埼玉大学で助教になりました。専門はコンピュータービジョンです。
@shibui.yusuke:メルカリに応募したきっかけは何だったのでしょうか?そもそも、それまでメルカリって知ってました?
@antonylam:知りませんでした(笑)。きっかけは、リクルーターからのメッセージ。ちょうど転職を考えている時期だったので、話を聞くことにしました。面談を重ねて、メルカリの事業への理解を深めました。メルカンの英語記事はもちろん、日本語記事もGoogle Translateで翻訳し、かなり読み込みましたよ。
メルカン編集部:おおお…嬉しいです(感涙)。
@shibui.yusuke:メルカリに転職を決めた理由は?
@antonylam:ワークライフバランスが良さそうだと思ったからです。正直、アカデミアの世界はオーバーワーク気味だったんですね。メルカリの「Go Bold(大胆にやろう)」というバリューも気に入ったし、シャッフルランチ(職種や所属関係なく、ランダムに選ばれた社員同士がランチに行く制度)も良いなと思いました。あと、海外カンファレンスなどの参加を、会社が公式にサポートしてくれることも魅力的でしたね。もちろん、参加する意義を認めてもらうことが前提ですが。また、純粋に研究者として研究するよりも、民間企業に所属し、リアルで膨大なデータを活かしたプロダクト開発がしたいと思ったことも動機の1つです。
@antonylam(AIチーム、メルカリMLエンジニア)
@shibui.yusuke:そして、メルカリに来ていただきました。メルカリは働きやすいですか?
@antonylam:イエス!多様なバックグラウンドを持つメンバーがたくさんいるし、会社としても積極的にD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に取り組んでいます。AIチームに関しては英語でのコミュニケーションが基本なので、言語バリアも感じません。GOT(グローバルオペレーションチーム)のサポートも手厚いと思います。ただ、古いドキュメントは日本語のみしかないなどはありますけどね。
@shibui.yusuke:そんな@antonylamさんには、入社早々から機械学習を使った配送方法推定のプロジェクトをお任せしました。これは、お客さまが入力した商品情報から、適切な配送方法を提案する機能です。@antonylamさんとしては専門外のプロジェクトだったかと思いますが、9月に無事リリースできました。このプロジェクトは本当にやりきってもらったと感じています。
@antonylam:確かに、僕の専門はコンピュータービジョンでしたが、このプロジェクトでは自然言語処理(Natural Language Processing)を使うので、畑違いでしたね。ここでは、多数あるMLアルゴリズムの中でも、迷惑メール分類などに使われる「ナイーブベイズ(Naive Bayes)」という古典的なものを使うことにしました。ナイーブベイズを使ったのは、学生自体以来ですね(笑)。結果、シンプルな実装だけど、高い精度を実現することができたんじゃないかと思います。
@shibui.yusuke:1つのプロジェクトをやりきったというのは、本当に素晴らしいことだと思います。他にも、チームメンバーの論文のレビューも手伝っていますよね。メルカリで機械学習エンジニアとして働くやりがいはなんでしょう?
@antonylam:膨大なお客さまのデータセットがあることですね。でも、そのデータはとっ散らかっていています。お客さまによってラベリングされたデータは、必ずしも正しいものではなかったりするので。
写真左は@shibui.yusuke(メルカリAIチーム、エンジニアリングマネージャー)
@shibui.yusuke:研究者からすると、メルカリのデータは整ってないんじゃないかと思います(笑)。
@antonylam:あと、この会社では新しいチャレンジをたくさんできることも楽しいですね!最近では、マルチモーダルでなにかやりたいと思っていたりするんです。例えば、カタログをきれいにするために機械学習を使うとか…やりたいことは無限にあります。
@shibui.yusuke:今後の活躍に期待しています。これからもよろしくお願いします。
写真左から、@shibui.yusuke(メルカリAIチーム、エンジニアリングマネージャー)、@antonylam(メルカリAIチーム、MLエンジニア)、@y-oshima(メルカリAIチーム、MLエンジニア)、@cournape(メルカリAIチーム、エンジニアリングマネージャー)