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自販機からエンタープライズ人事システムの導入PJまで。最高の従業員体験を支えるメルカリのCorporate Engineeringチーム

2019-11-26

自販機からエンタープライズ人事システムの導入PJまで。最高の従業員体験を支えるメルカリのCorporate Engineeringチーム

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1,800人を超えるグループ全体の業務をITで支えるCorporate Engineeringチーム。「最高のEmployee Experience(従業員体験)の提供」をビジョンに、2019年10月から新体制となりました。

もともとは社内ITチームとCorporate Solutions Engineeringチームとして別々だった、Corporate Engineering。上場から約1年が経ち、組織が急拡大しながらグローバル化が進むメルカリグループならではのCorporate Engineeringのあり方とは? Corporate Engineeringの須藤、和田、武田、篠嵜に話を聞きました。

あえてグループ名から「IT」を明示的に外した理由

ーチームの名称や組織体制が10月より変わりましたが、改めてCorporate Engineeringのミッションと業務内容、組織体制についてついて教えてください

須藤:Corporate Engineeringというと何をしているチームなのか、聞き馴染みがないかもしれませんが、世界的にはわりとメジャーで、Googleにも存在している名称です。業務内容としてはグループ全社で利用するITシステムの立案・導入・改善や、各システム間でのなめらかなデータ連携を可能にする基盤の構築、オフィスITの導入・改善を行います。

ーチーム名に「IT」という言葉がなくなりましたね。

須藤:はい。名称から「IT」を組織名から外したのは「情シス屋さん」「IT屋さん」さんというイメージを払拭したかったからです。特に日本では、「情シス」「IT」といえば、会社のITシステムやセキュリティの根幹に対してコミットしているので「守り」の仕事が多いイメージがあるんじゃないでしょうか。今回、体制だけでなく組織の名称を「Corporate Engineering」にしたことで、全社から信頼され、相談され、エンジニアリング的アプローチを駆使して、最高の従業員体験を実現したいと思っています。
須藤 吉公 (Yoshiaki Sudo)Corporate Engineering チーム マネージャー

ーCorporate Engineeringでは、具体的にどういった役割を持つチームで構成されているのでしょうか?

須藤:Corporate Engineeringには今、5つのチームが存在していますが、各チーム連携して横断的に業務を行えるようにしています。メルカリも組織が急拡大し、全社的なシステムの置き換えや移行のプロジェクトが同時に複数進められることも多くなりました。そのなかで、プロジェクトマネジメントを求められるようになってきたこともあり、その業務に専念するチームを新たに新設しました。それがIT BPRです。

Corporate Engineeringチームの組織図(メルカン編集部作成)

ー社内のITシステム全般を強化し、スケールさせるための新体制なんですね。

須藤:現在約1,800名の組織に対し、パートナー含め約40名のチームメンバーがいます。この規模の会社だと、業務に対してチームの人数は少ないほうかもしれません。そのぶん、1人の管掌範囲が広く、チームメンバーが一人ひとりマイクロディシジョンできる(アイデアを自ら実行し、検証し、意思決定する)ような環境なんじゃないかと思います。

ー現在、メルカリのエンジニアの約4割が海外から来たメンバーです。業務システムや日々のITサービス関連の問い合わせ対応では、英語必須になっていたりしますか?

須藤:そうですね。導入するシステムやツールは、基本的に日英対応必須で、グローバルスタンダードに沿ったものしか入れない方針にしています。日本語のみのツールは、必然的に選択肢から外れますね。和田さんが担当している社内システム、そして篠嵜さんが担当しているITサービスではどうですか?

和田:メルカリで独自に社内開発している評価システム「Reviews」、人事ベータベース基盤「Teams」はメルカリUSでも使われています。そのため、当然ながら英語対応してますね。

篠嵜:IT Serviceへの問い合わせも、英語でのコミュニケーションが明確に増えましたね。感覚的には、やりとりの3割程度が英語対応になっています。


和田:一方で、海外から来たメンバーには日本語を使う人も増えたと思います。メルカリではオリジナルの「やさしい日本語※」のプログラムがあるのですが、僕らもそのプログラムを受けました。日本語も英語もネイティブではないメンバーに対しては、やさしい日本語でコミュニケーションするシーンも増えてきましたね。

須藤:僕ら日本人メンバーも英語を勉強するし、グローバルメンバーも日本語を勉強して、お互いコミュニケーションしようという姿勢はメルカリらしい多様性だと思いますね。

※「やさしい日本語」とは、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすくした日本語のことです。災害の多い日本では、災害時に、日本語も英語も十分に理解できなくとも必要な情報を受け取れるよう、考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりで、最近注目を浴びています。

脱属人化! Workday導入プロジェクト

ーでは、それぞれのチームで行っていることについて聞きたいと思います。今回、新設された「IT BPRチーム」ですが、ここでは何をしているのですか?

武田 遼介(Ryosuke Takeda) IT BPRチーム
武田:今はプロジェクトマネージャー(PM)として、「Workday」という統合データ人事システムのSaaSの導入プロジェクトを進めています。Workdayは、GoogleやNetflix、楽天など、数万人規模の会社が入れているようなエンタープライズ向けのシステムなのですが、メルカリのような1,800人規模の会社で導入するのは珍しいかもしれません。

須藤:かなり勇み足ですよね(笑)。

武田:大規模システムの導入自体が、会社の規模が大きくなればなるほど、課題やデータの整理、合意形成の時間も含め、導入コストがどんどん大きくなります。とある数万人規模の会社ではWorkdayを導入するまでに5年もかかったという話も聞きました。メルカリでは1年弱で導入完了を目指していますが、今の組織フェーズで導入しようと経営含め、意思決定しました。

ーそもそもなぜWorkdayをメルカリで導入することになったんでしょうか?

武田:これまでは、社内による内製システムはありましたが機能拡張が間に合わず、人事情報をスプレッドシートで補っていました。しかし組織が大きくなるにつれて、運用が属人化し人的ミスが発生し始めるなど、限界が見えていました。メルカリのグローバルスケールを実現するために、そしてスタートアップらしさを残すために、人事データの一元管理が必要だったのです。また、メルカリがスケールするうえで、重要であるタレントの成長を可視化し後押しするシステムの導入も急務でした。

ーなるほど……! 壮大かつ重要なプロジェクトですね。このプロジェクトはどのあたりに苦労とやりがいを感じます?

武田:現状把握と課題点の整理に苦労しましたね。影響範囲がグループ全社にわたるため、各担当者に現状のヒアリングを行い人事データの所在と運用プロセスを把握するのに時間を要しました。全社で進めている仕組み化に大きく寄与でき、実務担当者がデータ・ドリブンに本質的な業務に取り組める世界を実現することにやりがいを感じます!

メルカリ独自の人事評価制度を内製システムで支えるCorporate Products

ーそしてCorporrate Productsは、以前までCorporate Solutions Engineeringチームとして社内システムの開発・運営などを行っていました。今回の新体制では何を行うのか、改めて教えてください。

和田 洋樹 (Hiroki Wada) Corporate Productsチーム マネージャー
和田:はい。Corporate Engineeringのなかに「Corporate Solutions Engineering」チームがあると紛らわしいだろうということで、Corporate Productsと名付けました。チームのミッションは変わらず「経営・組織課題をエンジニアリングで解決する」。メルカリ独自の人事評価制度や膨大な会計処理をエンジニアリングでカバーするために、一部の業務システムを内製で、スクラム開発しています。主に、社内の評価イベントを回す人事評価ツール「Reviews」、社員とチームの情報が全て詰まったデータベース「Teams」、他に会計システムも開発しています。

ーなぜ、わざわざ内製しているのでしょう? 既存のSaaSで良いんじゃないかという話は、きっと何度も議論されてきたんじゃないかとは思いますが。

和田:SaaSはさまざまな組織で使われ改善される、いわゆる「共有知」なので、組織のシステムとして適切であれば、SaaSを入れてレバレッジをかけることは大前提です。Slackのようなコミュニケーションツールを自社開発はしようとは思いません(笑)。でも、組織としてのメルカリの強みやユニークさは、SaaSだけでは表現できないと思っています。メルカリのユニークさは競争力の根源でもあるので、それをエンジニアリングで支えたいというのがあります。

ーメルカリ社内をエンジニアリングで支えることで、競争力を高める?

和田:そうです。例えば、Reviewsでできることは、4半期ごとのOKR(目標)の設定や、自己評価、チームメンバーから得る360度評価、マネージャー同士でメンバーの評価の目線合わせを行う「Calibration」、本人への「Feedback」。一連の人事評価サイクルをこのシステムのなかで完結させ、それらは全て社員データベース「Teams」と連携しています。このようなメルカリの人事評価の仕組みに完璧に沿うSaaSは、存在していません。だから独自に開発しているんです。開発は、…大変ですよ(笑)。内製プロダクトは自由に実装ができるため、どうしても社内のみなさんから多くのフィードバックを受けることになります。限られた時間のなかで、メルカリのバリューを照らし合わせながら社内の本質的なニーズをどうつかんでどう解決するのが正しいのか、常に問いながら開発しています。

Reviewsのダッシュボード画面の一部

メルカリのカルチャーに合わせたシステム導入・管理を行うIT Service

ー続いて、IT Serviceチーム。メンバーの窓口として社内ではオンライン・オフラインでIT Serviceメンバーをよく見かけますが、改めて業務内容について教えてください。

篠嵜 洸 (Hiroshi Shinozaki) IT Service チーム。

篠嵜:最もITらしい仕事をしています。システムやPCなどIT資産の管理、運用、テクニカルサポート業務などがメインですが、最近ではメルカリグループ全社で使われているSlackのエンタープライズ版への移行プロジェクトもPMとして担当しました。パートナーとの連携はもちろん、移行タイミングでダウンタイムが発生するので、避難環境の整備や全社の周知に気を配りました。メンバーの協力もあり、無事故で移行完了して安心しているところです。

ーメルカリには来客受付システムのEnvoyのほか、社内の全会議室でオンライン会議がGoogle Hanouts Meetでできるようになっていたり、全会議室にiPadが設置されて会議室予約システムが整ったり、Google Jamboardが社内にたくさんあったり…。さらに、最近では外部イベントでも利用可能なシステムができるようになっていたりと、ここ1年〜1年半で、IT周り・ハードウェアの導入だけでも随分変わりましたよね。

日常的に使われるGoogle Jamboard
篠嵜:Google Jamboardは22台導入していて、これだけ入れている企業はめずらしいかもしれませんね。また、イベントスペースに導入したシステムは、スクリーン投影や音楽の再生など、iPadだけで一通りの操作ができるようにしています。さらにまた、イベントの様子の録画や中継も、ボタンひとつで誰でも簡単にできるようにしました。メルカリグループでは毎日、社内外に向けて何かしらのイベントが開催されています。メンバーならIT機器にくわしくなくても誰でもイベント運営ができるようにすることも、メルカリのオープンなカルチャーに合っているんじゃないかと思い、実装したシステムの1つでした。

イベントスペースのIT機器の操作ができるシステム

ーイベントで使うIT機器周りの運用は本当に使いやすくなったと思います。

篠嵜:ありがとうございます。イチオシは最近導入したばかりのこの自販機です。

ーおお! これはすごい!

篠嵜:でしょ? ぜひ社内に広めてください!(笑)。

ーでは最後に、どんな方がメルカリのCorporate Engineering チームで楽しめそうか、教えてもらえますか?

須藤:急成長してきたメルカリを次のフェーズへ持ち上げることに楽しみを見いだせる方にはおすすめです。またいろんな国籍、バックグラウンドをもった人が存在する会社なので、そういったグローバル観点で仕事してみたい方も楽しめますね。

武田:カオスな環境のなかでオーナーシップを持って前人未到の課題解決に取り組む意欲のある方は最高に楽しめる環境だと思います。

和田:スピード感をもってプロダクト開発に挑むには、技術力はもちろんのこと、なによりも課題の本質がどこかをかぎ分ける嗅覚、そして手段を問わない解決力が求められます。「とんち」の効いた解決策を提示し、みんなに喜ばれるのが好きな方は楽しめるのではないでしょうか。

篠嵜:会社のフェーズは常に変わり続けていますが、変わらずにテクノロジーに対して強い理解と高い期待があります。その期待に答える力と柔軟性を持った方は楽しめるのではないでしょうか。上手くいった時はメンバーが褒めてくださるので力になります。本日紹介したような機材導入に興味がある方もまだまだ余地があるので、楽しめますね!

プロフィール

須藤 吉公(Yoshiaki Sudo)

日立製作所、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)で、ルーターに関するエンジニアとして経験を積む。その後グリー株式会社でインフラエンジニア、株式会社Kaizen Platformでインフラ含むエンジニアリングのマネージメント、その後スマートニュース株式会社でCorporate Engineeringチームを立ち上げマネージャーを務める。
メルカリには2018年9月に入社し、IT teamのマネージャー、メルペイのITチームの立ち上げを歴任し、2019年10月にメルカリに戻り、Corporate Engineering チームマネージャーとしてチームを立ち上げる。

武田 遼介(Ryosuke Takeda)

前職は株式会社セガゲームス(SEGA Games Co., Ltd.)で人事企画・新卒採用を担当。
2018年5月にメルカリに入社。CS Divisionの人員計画、採用戦略、HRBPを担当し、2019年1月にマネージャーに。2019年10月からCorporate Engineeringチームに移籍し、Workday 導入プロジェクトのProject Managerとしてプロジェクトを推進している。

和田 洋樹(Hiroki Wada)

Corporate Products チーム マネージャー。株式会社SRAを経て、2006年にグリー株式会社入社。決済・広告システムや社内システムの開発・運用を行う。その後、株式会社サイカ、フリーランスを経て、2018年1月にメルカリ入社。現在はCorporate EngineeringのCorporate ProductsにおいてPeople Products(評価システム、人事DB)、Accounting Products(会計システム)などの開発・運用マネジメントを担当する。

篠嵜 洸(Hiroshi Shinozaki)

前職は株式会社モンベルで、電算室所属、社内ツール開発・運用を行う。2017年9月にメルカリに入社し、IT Serviceを担当。社内のテクニカルサポートからSlackの移行プロジェクトなど幅広い業務に対応している。

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