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「採用には王道しかない」「全社員でやるべき」グリーCTO藤本氏×メルペイ石川の #EMTalk レポート【前編】

2020-1-16

「採用には王道しかない」「全社員でやるべき」グリーCTO藤本氏×メルペイ石川の #EMTalk レポート【前編】

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「声を大にして言いたいのは、『採用は社員みんなでやるもの』だということ」
「採用とは、結局は王道しかないです」

2019年11月19日、組織づくりに携わるエンジニアたちが集まり、知見を共有しあうことを目的とした勉強会「EM Talk #1 〜エンジニア採用編〜」を、メルカリ東京オフィスで開催しました。この勉強会は、組織づくりに欠かせない採用・育成・配属・評価・制度などについて、過去の事例・失敗談・成功談・現在の取り組みを共有するというもの。

当日のコンテンツは、トークセッションとパネルディスカッションの2本立て。そこで今回のメルカンでは、トークセッションとパネルディスカッションそれぞれのレポートを前後編でお送りします。

前編では、トークセッションで語られた内容をお届け。登壇したのは、メルペイiOSチームのエンジニアリングマネージャー(EM)石川直樹と、グリー CTOである藤本真樹さん。2人が語った、「エンジニア採用」において意識し続けていることとは何か?

「すべては、メルペイの存在を知ってもらうため」

ートークセッションは、メルペイiOSチームのEMである石川直樹からスタート。「メルペイ におけるエンジニア採用とPR」をテーマに、セッションを行いました。冒頭で、石川がスライドに表示した図を示しながら語ったのは、「メルペイにおけるEMの仕事について」でした。

石川:EMの仕事は、大きく分けて5つあります。PRから始まり、その次に採用活動、採用したメンバーを育成し、評価したあとは会社にリテンションさせる。全員がエンジニアリング組織の成功に向けて、頑張っています。今回は「採用」がテーマのイベントということで、PRと採用について話していければと思います。

ーなぜ、メルペイはPRに力を入れるのでしょうか?その理由を、石川は一言で「認知を広げ、応募の機会を増やすため」と言います。

石川:メルペイはまだまだ始まったばかりの会社で、存在を知らない人も多いと思います。ですから、まずは存在自体を知ってもらうため、PRに力を入れるのです。例えば、メルカリはSwift開発者のための国際コミュニティ「try! Swift Tokyo」などのスポンサーを務めています。そのイベント経由で、メルカリ、メルペイのことを知り、採用選考に進み、実際に働いている人もいます。

石川直樹(メルペイiOSチーム、EM)

ーでは具体的に、どのようなPR手法を実践しているのでしょうか。石川は6つの手法を挙げ、次のように説明します。

1:採用説明会
採用説明会は、「採用」が目的。そのため、メルカリやメルペイの組織そのもの、エンジニアリングチームの説明している。最近ではオフラインでの説明会だけでなく、Googleのハングアウトを使って、オンラインの採用説明会も開催。それによって、海外の優秀なエンジニア層にもリーチできるようにしている。

2:Meetup
Meetupでは、オフラインの場で簡単にLT(ライトニングトーク)や、現場のメンバーによるパネルディスカッションを実施。また、懇親会を開いて、来場者と一緒にお酒を飲みながら交流する機会も設けている。これは、採用候補者が実際に弊社で働いている人に興味を持ち、「応募してみようかな」という気持ちの醸成が大きな目的。

3:Tech Talk
直接的な採用ではなく、技術的な露出とアピールを大きな目的としている。

4:外部イベント登壇
外部イベント登壇もTech Talkと同じ意味合い。採用には繋げておらず、外部でより技術的な露出をすることで、ブランディングの向上に繋げる期待が強い。

5:Gopher道場
全4回の講義+宿題でプログラミング言語Goの実践的な内容を、完全無料で体系的に学べるというもの。メルカリ、メルペイともに開発ではGoを使っているため、そのコミュニティに何かしらの貢献ができればという想いから開催している。

6:Tech Blog
Tech Blogは、業務での取り組みを自発的に記事にして発信することで、技術的な露出、会社のブランディングに寄与するもの。2019年年末にはアドベントカレンダーをメルカリメルペイで同時に実施した。

「多様なエンジニアを採用するために行っている、4つの方法」

ーこうしたPRの取り組みを通じて、メルペイは採用において何を目指すのか。石川は、メルペイにおけるエンジニア採用の目的をこう語ります。

石川:優秀で多様なエンジニアを採用して、エンジニアリングを通じてプロダクトを成功させる。これがエンジニア採用をしている目的です。「多様」については性別、出身国もそうですが、それらに関係なくキャリアの多様性を保つことが大事だと思います。

ー多様なエンジニアを採用するために、メルペイではおもに4つの方法で採用を行っています。それがReferral(リファラル)、Scout(スカウト)、Agent(エージェント)、Direct(ダイレクト)。

石川:「Referral(社員紹介)」は、メルカリグループ全体で重要視しているチャネルの1つです。メルペイでも、前四半期で全社OKRに取り入れてリファラルを推進しました。そして「Scout」。これは、スカウトメールはLinkedinやWantedlyなどの他社媒体を経由して送り、選考に進んでくださる候補者を探すというもの。メルペイでは、他社媒体ごとに担当を振り分け、それぞれでオーナーを決めて運用しています。

ーAgent、そしてDirectは?

石川:「Agent」は、エージェントに候補者を紹介してもらうというもの。これもメルペイではいくつか施策をやっています。例えば、名前や所属企業を伏せた状態で経験だけを見て、レジュメを持ってきてもらい、面接の結果を各ポジションのEMがエージェントにフィードバックする「ブラインドレジュメ会」をやっています。そのほか、HRチーム主導でエージェント向けにレポートを渡すことで会社の状況のアップデートをリアルタイムで伝えられる仕組みもつくっています。そして「Direct」は会社のHPや他媒体から直接応募いただくものです。

ー具体的なチャネル別の応募者数の内訳を見てみると、リファラルは応募総数に対する割合は少ないものの、内定の割合は高い数値に。「だからこそ、メルカリとメルペイはリファラルをすごく重視している」と石川は言います。また、応募していただいた候補者は書類選考から始まり、技術課題、一次面接、二次面接、最終面接を経て、お互いに問題がなければ内定承諾を出すかたちになります。

「採用は社員みんなでやるもの」

石川:最初は技術的なチェックから始まり、後半に進むにつれて事業への共感やカルチャーフィットを確認するようにしています。

ーセッションの最後、石川はエンジニア採用におけるポイントと課題を語りました。

石川:声を大にして言いたいのは、「採用は社員みんなでやるもの」だということです。ただ、これを言っているだけでは進まない部分もあると思います。ですから、メルカリ、メルペイではそのためのツールとして、目標管理でOKRを使っていたり、採用会食の主催する人の負担を最小化したりしています。例えば、採用会食の承認プロセスが少ない、経費精算も店によってはキャッシュアウトなしでできるなどです。また、採用はオーナーシップが大事なので、EM・HR主導で、メンバーだけでなく経営陣も巻き込んで施策を動かしています。

ー「もちろん、課題がないわけではありません」と石川。

石川:現状の課題は「Non Japanese Speaker」の採用ですね。特にメルペイは、メルカリと比べると日本人が多いです。今後、海外からも優秀なエンジニアを採用していくために、オンボーディングやスペックなどの必要な資料の英語化や、既存の日本人社員の英語トレーニング、入社してくれる外国人メンバーの日本語トレーニングなども行っています。あとは、ポテンシャル採用ですね。現状、中途採用がメジャーなのですが、それだけではいつか限界がきます。例えば、中途でも一定のポテンシャルが見込める人材を採用し、社内で活躍できる場やアサインをEMが提供していく。そんな環境を構築していくべきかな、と思います。

「採用は時間とお金をかければ成功する、でも…」

ー続いてトークセッションに登場したのは、グリーCTOの藤本真樹さん。「弊社のエンジニア採用における成功事例と課題」と題し、セッションを行いました。

藤本:採用とは、結局は王道しかないです。時間とお金をかければ成功する。手を抜けば失敗すると思っています。だから、覚悟を決めてやるしかないです。

ーでは「王道の採用」とは、どういったものか。そこで藤本さんが例えたのは「掛け算を最大化させるゲーム」「経路からの流入×(選考-辞退)×入社後のパフォーマンス×リテンション期間」。

藤本真樹さん(グリーCTO)

藤本:この掛け算が最大化するように、きちんとKPIを決めていくことが大切。この掛け算を最大化させるときに重要なのが「採用の課題を個別最適しないこと」です。というのも、採用課題を個別最適すると、全体的に変な方向へ進んでしまいます。誰かが採用の「トータルデザイン」をするといいかなと思っています。

「絶対に『採用人数』をKPIにしてはいけない」

ー採用すべき人数が多くなると、必然的に面接回数や担当者が増えます。そうすると、どんなことが起こるか。藤本さんは3つの課題を挙げました。

1:カルチャーがばらつく
優秀だけどカルチャー合わない人を採用してしまう。

2:閾値が下がる
忙しくて人的リソースを欲しているということもあり、すぐに採用してしまう。

3:給与のねじれが起こる
前職の給与が高く、スキルと給与が合わない。そのため、給与のねじれが起こる。

ー「ここでつまずくと、現場のマネジメントもそのほかのこともすごく大変になる」と藤本さん。それが起こらないようにするための注意点とは?藤本さんは次のように挙げました。

ビジョンとバリュー
「この会社どうなっていきたいんだっけ」「どういう人が大切なんだっけ」を大切にする。

流動性
ダメならダメと言える流動性をちゃんと重視する。

期待値
業績が伸びているときは、入社する側も会社に期待している。だからこそ、「入社前に実際はこんな感じだよ」と、入社側の期待値を合わせておく。

KPI
KPI=採用人数にすると、面接通過率を上げようとする動きが発生する。そのため、採用人数を目標にすることは絶対にしてはいけない。

「スタートアップ時代こそ、最後のゲートになる人が頑張るしかない」

ー自社の経験からの失敗を伝えた、藤本さん。さらに、スタートアップのころの注意点も話します。

藤本:スタートアップのころは、採用は厳しいです。だからこそ、どうしても閾値が下がってきます。でも、ここはVPoE、CTOなど最後のゲートになる人が頑張るしかないです。しんどくても、カルチャーをつくっていかないといけないところです

ーそしてセッション終盤になり、「採用をまじめに続けることが大切」と話す藤本さん。

藤本:友だちが話していたんですが、多くの人は3年に1回くらいは転職を考えるものなんだそうです。つまり、単純に36人に毎月ピンを打っていれば、毎月採用できるということです。まじめに続けるしかないです。会社が成熟すれば、今度はリファラルのフェーズになります。そこについては、次のパネルディスカッションに登場するDMM松本さんにお願いしますね。

藤本真樹(Masaki Fujimoto)

2001年、上智大学文学部を卒業後、株式会社アストラザスタジオを経て、2003年2月有限会社テューンビズに入社。PHP等のオープンソースプロジェクトに参画しており、オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティング等を担当。2005年6月、グリー株式会社の取締役に就任。

石川直樹(Naoki Ishikawa)

ヤフー株式会社、株式会社イグニスを経て、2016年5月にiOSソフトウェアエンジニアとしてメルカリに入社。メルカリJP/USアプリの開発に携わった後、2018年1月にメルペイへ。現在はiOSチームのEMを務める。趣味はスティーブン・キングの小説をメルカリで購入し、積読すること。

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