メルカリで働くソフトウェアエンジニアにちょこっとお話を聞いていく本シリーズ。第38回では、メルペイのソフトウェアエンジニアでエンジニアリングマネージャー(EM)の@1000chにちょこっとお話を聞きました。
メルペイの設立間もないタイミングで入社した@1000ch。これまでのキャリアからFrontend周り、そしてこれからの話をメルペイVP of Engineeringの@hidekが聞いていきます。
メルペイに入社するまでの話
@hidek:廊下で立ち話するのもアレなんで、部屋でちょっと話しましょうよ。
@1000ch:あ…はい。
@hidek:じゃあ、年始めなんで腕相撲でお互いの運気を感じてみるところから…!
@1000ch:あ…ワタシそういうタイプじゃないんで…。
@1000ch:腕相撲とかじゃなくて、@hidekさん、ちゃんと体調管理に努めたほうがいいですよ。この立ち話も年末に実施予定でしたが、@hidekさんの体調不良で2回もリスケされてるんですから。
@hidek:大変申しわけありません。今年はBe a Proに自己管理も徹底して、みなさまにご迷惑をおかけしないようにします。
@1000ch:はい。ジムも行ってくださいね。
@hidek:(幸先悪いスタートだ…)じゃあ、気を取り直して、入社時期と職種を教えてもらえますか。
@1000ch:2018年3月に、メルペイにソフトウェアエンジニア(Frontend)として入社しました。もともとフリマアプリ「メルカリ」のヘビーユーザーでしたし、メルカリという勢いのある会社が、信用を軸に事業を新しく始めていくことに惹かれました。採用面接ではエンジニアだけじゃなくて、プロダクトマネージャー(PM)など、いろんな職種の人にも会わせてもらいましたね。
@hidek:@1000chさんが入社したころは、まだ僕も入社していなくて。当時、最終選考はメルペイCTOの@sowawaがやってた時期だよね。
@1000ch:ですです。まぁ、面接の9割は@sowawaさんが喋ってるんじゃないかってくらいの印象が残ってますけど。
@1000ch(メルペイ、ソフトウェアエンジニア)
@hidek:え、僕のときもそうだった(笑)。大丈夫か?って思うけど、最終面接では技術的なところ以上にミッションやバリュー、メルペイとはなにか、ってところを見るから設立当初はすごく理にかなってるのかな(?)。なにより、@sowawaさんの話、めっちゃ面白いしね。難しくて、なに言ってるかわかんないときもすごくあるけど(苦笑)。
@1000ch:同意です(笑)。
社会インフラ化しているメルカリ・メルペイだからこそ
@hidek:これまでのキャリアを知りたいんだけど、Frontendのスペシャリストを目指してメルペイに行き着いたの?
@1000ch:最初の3年くらいはシステムエンジニアとして、BackendやDBを扱っていました。Web技術に興味を持ったのは、とある企業イントラ内のWebシステムにアサインされたときです。当時は、jQueryが主流だったんですが、よくできてるなーと思いjQueryライクなライブラリをスクラッチで書いたのが、初めてOSSとなりハマっていき…。それが転職に繋がり、Frontendメインのエンジニアキャリアになっていきました。
@hidek:そうなんだ!@1000chさんはGitHub上での活動やコミュニティ活動も活発だけど、OSSが一つのきっかけなんだね。僕もPerl MongerとしてOSSにコミットしてた時代は、自分がつくったものが、多くの人やサービスに関わっていく感じはすごく嬉しかったことを、今でも覚えてる。ソフトウェアエンジニアとしての成長をさせてくれたものだったなぁ。
@hidek(メルペイVP of Engineering)
@1000ch:ですね。あまり人前で話したりするのが好きなタイプではないんですが、正しい情報を正しく伝えたい気持ちは強いんですかね。登壇とか頑張ると自然と鍛えられて、執筆の機会も得られたりして。
@hidek:『超速本』(※『超速! Webページ速度改善ガイド ── 使いやすさは「速さ」から始まる』(WEB+DB PRESS plus))とかだよね。@1000chさんは社内でもクオリティやパフォーマンス改善、アクセシビリティに対する啓蒙も主体的に行ってくれてるよね。
@1000ch:前職で組織横断型のプロジェクトに携わっていて、その経験や思想をメルカリ・メルペイにも取り入れてみる試みです。
@hidek:そうやって自ら動機付けできるのは、どうしてなの?
@1000ch:アクセシビリティに関しては、その活動の一環で視覚障害のある方にユーザーテストをお願いしたことがありまして。そのときに、ブラウジング体験に苦労されているのを目の当たりにして、「これはいかんな」と。メルカリ・メルペイは社会インフラとなっていくサービスですし、時間がかかっても取り組んでいきたいことの一つですね。
技術スタックの選定基準、そしてこれからのWeb
@hidek:Frontendの技術周りのことも聞かせてください。Web周りは技術の移ろいが激しいと思うけど、どうやってキャッチアップしてるの?
@1000ch:興味の赴くままですね。ドキュメントも読んで、まずは自分で触ってみることは大切にしてます。
@hidek:メルペイのFrontend周りの技術スタックだとTypeScript、Vue.js、Nuxtあたりかな。この選定理由は?
@1000ch:前提として、メルペイにある多様なプロジェクトに合っているか、今後生まれうる課題を解決可能か。そして、メンテナンスやコミュニティが活発かというのも重視しました。他に挙げるなら、メルカリグループ内での技術スタックの多様性の担保だったり、人材採用上のPros/Consですかね。
@hidek:なるほど。メルペイのエンジニア組織の立ち上げからいると、そういう視点も確かにあるよね。
卸したての推しTは今年も健在
@hidek:@1000chさんに聞きたかったのが「これからのWeb」という大きなお題目について。ネイティブとの比較は事あるごとに語られるけど、Webの可能性についてどう考えてる?
@1000ch:いきなりでかい話だな。
@hidek:ごめん。
@1000ch:どの目線・視点で話すかでだいぶ変わってきますが…。モバイルに関して言えば、Webアプリとネイティブアプリにおけるパフォーマンスの差異が焦点かなと思っています。今はその差が目立つので、ネイティブアプリがモバイルにおけるおもなサービスの配信手段になっています。ネイティブアプリのパフォーマンスを超えることは構造上、難しいですが「その差がわからなくなる(気にならなくなる)」瞬間はそのうち来ると思っています。たぶん。いつか。
@hidek:いつか、ね。
@1000ch:そうです。モバイルデバイスでストアからアプリをDLして使うのは、誰でも当たり前にやっていますよね。アプリのほうがパフォーマンス上の体験がいいというのもありますし、何より人々の「ストアからアプリをダウンロードする」というのが、サービスを使う時に当然の意識になっている。
@hidek:確かに。
@1000ch:ただPCになってみるとアプリを入れないでブラウザで完結している人も多いですよね。単純にパフォーマンスだけ考えればPCでもネイティブアプリが良いと思いますが、これはWebアプリでも我々が期待する体験になっているという良い例かなと思います。
@1000ch:「Webならでは」のいいところは、たくさんあります。例えば、URLで誰でも気軽にシェアできるなど。これから5Gなどによる通信環境の劇的な向上や、モバイルデバイスの性能改善が進めば、この数年でまたガラッと変わっていく可能性はあるかもですね。
@hidek:そうだね。まさにメルカリ・メルペイでもそういった流れにきちんと乗ってお客さまになめらかな体験を提供していきたいですね。
@1000ch:ですね。もともとメルカリはアプリ上でもWebViewでWeb技術を積極的に活用していますし、メルカリアプリ内の機能として提供しているメルペイでも同様です。いわゆるスーパーアプリ化しているものは、一つのアプリ内にミニアプリとしてさまざまな機能やサービスを拡充させていくものですが、使っている技術はWebのものが多い。まさにメルカリ・メルペイとしても、これから面白くなっていくところです。
@hidek:他に、これからやっていきたいことは?
@1000ch:入社して2年経つ頃になってきて、もっと広い視野を持ってグループを見てみると、いくつかあります。まずグループ全体の組織的改善やメンバーの育成。これはEMとして責任を持って進めていきたいです。もう一つはWeb版メルカリなどの抜本的なリアーキテクチャ。また、Web版メルカリではまだアプリと同様の体験を提供できていないですし、メルペイの使えない機能も多い。時間がかかるため「今じゃない」となるものもあるかもしれませんが、やっていきたいです!
@hidek:hidek、応援する!やっていこう。今年もよろしくお願いします。
@1000ch:よろしくお願いします。