こんにちは。メルカリQAチームの米山です。
今日はQAチームで現在進めている活動の一つ、「TPI NEXT®」に沿ったプロセス改善の話をしてみたいと思います。
メルカリのQAチーム
どんなことをやっているのか
QAチームのメンバーは現在9名。検証対象は日本版のアプリは勿論、US版アプリ、WEB版、CSツールなど様々です。メルカリでは、アプリの機能ごとに開発チームが別れており、QAメンバーがそれぞれのチームに所属し、各々の案件を担当しています。
メルカリのQAチームについては、こちらの記事でも紹介していますので、ぜひご参照ください。
TPI NEXT®とは?
TPIはTest Process Improvementの略で、オランダのSogeti社で開発されたプロセス改善の手法です。主に欧米の企業で数多く活用された実績があるそうです。昨年日本語訳された書籍が出版され、JaSST等のイベントも通じて日本国内でも広まりつつあります。

- 作者: 翻訳者:薮田和夫、湯本剛、皆川義孝
- 出版社/メーカー: 株式会社トリフォリオ
- 発売日: 2015
- メディア: 単行本
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具体的にはテストプロセスを16のキーエリアに分けて、プロセスの成熟度を判定します。
このキーエリアとレベルは標準的なものがTPI NEXT®には用意されていますが、現場によって適宜入れ替えたりすることも可能です。
メルカリに当てはめた場合でも必要なプロセス、不要なプロセスがあるので、そこは内容を理解した上で取捨選択しながら進めています。
なぜメルカリのQAチームで試してみたのか
メルカリのQAチームは、発足してからの約2年の間に1名(2年前)⇒6名(昨年)⇒9名(現在)と急激にチームが拡大しています。
その一方、QAに関するプロセスはほぼ2年前のままという部分が多く、途中からチームに参画した各メンバーも、「このやり方は適さないのではないか」という想いを様々な部分で持ちつつもまずはスピード優先で今までのやり方を踏襲してきました。
具体的にブレークダウンしてプロセスを変える事はとても労力が必要ですし、目の前のタスクが山積みの中で、そこまで手を回せなかったんですね。
そんな中、JaSST’16 Tokyoというイベントで、「”自己評価”と”自己改善”で始めるテストプロセス改善」というセッションを拝聴し、TPI NEXT®に興味を持ちました。(講師は「TPI NEXT® ビジネス主導のテストプロセス改善」の書籍を、昨年日本語に翻訳した方々です)
そこでチュートリアルとして、TPI NEXT®のクラスタセット(≒優先度)Aのチェックポイント(16個)を各現場で達成できているか判定をしたところ、メルカリはまだまだだなと痛感。是非メルカリにもプロセス改善として取り入れたいと考えました。
そして丁度その頃来期のチーム目標を掲げるタイミングがあり、提案⇒やってみようという経緯になります。
メルカリで試してみて
導入時のポイント
- 想いを先行させすぎず、導入効果を考えてみよう
まずこういったプロセス改善系の話は、
「それやったところで良くなるの?」
「またタスク増えるんでしょ?」
「そもそも誰がやるの?」
といった意見が出がちで、導入する前に話が終わるケースが多いと思います。
そこで、具体的な話を展開する前に、導入したいという想いだけ先走らないよう、導入によってどこが改善されるかという点を熟考しました。
(変化に対し批判で終わらない、改善の必要性を感じているメンバーが揃っていることにも助けられ、比較的スムーズに導入できたと思います。)
- メンバー主導で実務に沿ったプロセス改善
プロセス改善を進める場合、一般的には専属の担当が置かれたり、マネージャクラスの管理者主導で進めるケースが多いと思いますが、メルカリではメンバーが主導で、業務と平行しながら進めています。メンバー主導で進めることにより、実際の業務に沿った形での改善を進めらるメリットがありました。
- 全てをやろうとしない
改善すべき部分を全てやろうとするのではなく、今の業務の進め方に必要だと思われる部分のみを採択し、現状での必要最低限な選択を意識することで、少ない工数の中での改善活動を続けられています。
導入後の効果
- 課題が浮き彫りに
導入にあたり、メルカリQAチームで現在出来ている部分/出来ていない部分が洗い出せたことが、単純に良かったと思います。
- 適用具体例:情報のナレッジ化
TPI NEXT®のクラスタセットの中には、「欠陥管理」という項目があります。
メルカリでは、本リリース前に検知したBug(欠陥)やリリース後に検知されたBug(障害)の振り返りが不足していると感じてました。
その点を解消すべく、Bug情報や煩雑な検証手順、過去のテストケースも含めてWikiにまとめ、有益な知識・経験・事例・ノウハウを蓄積するという方法を採択しました。これを実現させることにより「テストウェア管理」(≒テストケースの管理)も同時に改善でき、今後更に情報を充実させれば、属人化の抑制にも繋がると考えています。
一番大事なポイントとこれから
本プロセス改善活動は、まだまだ全ての面で改善途中であり、まだまだやることだらけです。都度チューニングすべきポイントはあると思いますが、一番大事なのは各メンバーが、この活動によって「これまでより改善したね」ということを実感できる事だと思っています。
また、メルカリと同様にTPI NEXT®を導入しようと試みているQAエンジニアは他社さんにもいますので、そういった方々とも情報交換しながら進めています。うまくいった点も反省すべき点も、今後のQAイベントやmercan(メルカン)で振り返り結果を発表できたらと思っています。
QAチームはまだまだ大募集中!
今回取り上げたTPI NEXT®の導入しかり「こうしたら良くなるのでは」、「こんなこともやってみたい」という想いを実現したい方、チャレンジできる環境がメルカリにはあります。
メルカリの今後の展開に対し、まだまだQAエンジニアの数は追いついていません。UKでの展開も控え、USでも絶賛プロダクト開発中(QAも海外赴任&出張しています!)のこの環境で、様々なチャレンジをしたい方、是非力を貸してください!