社内メンバー同士のコミュニケーション促進のための制度なのに、気がつくと形骸化していた…というのはよく見られる光景です。
メルカリには、メンバー間のコミュニケーションを促す「シャッフルランチ」があります。業務上関わることが少ないメンバーとランチへ行くので、「話せてよかった」といったポジティブな声もあり好評なのですが…。一方で、幹事になると日程やお店を調整しなければならない&立替精算の処理が面倒だったため、ランチ実施率が徐々に下がりつつある現状がありました。
実施後の立替精算処理については「どこでも社食アプリ」を導入することで大幅に工数を削減できました。
とはいえ、なかなか改善しないランチ実施率。残されたのは、シャッフルランチを実施するまでの幹事のタスクです。はたして、どうしたものか。
そんな悩みを解決してくれたのは、普段は通訳や翻訳、言語教育やグローバル人材の採用強化などを担当しているGlobal Operations Team(以下GOT)のStephen Johnson(以下Steve)でした。非エンジニアな彼がシャッフルランチで発生する一部の業務を自動化してくれたところ、52.4%だったランチ実施率が72.4%まで上がりました!
そこで今回のメルカンでは、シャッフルランチの自動化に挑んでくれたSteveに話を聞きました! 取材をしたのは、Culture and Communications(以下カルコミ)チームの、おのです。
「もともとエンジニアリングに興味があった」
ーSteveがGOTにジョインしたのは2017年8月です。いつもは通訳や翻訳を本業としていますが、今回のシャッフルランチ自動化に挑んだ経緯はなんだったのでしょうか?
もともとエンジニアリングに興味があったんです。メルカリを志望した理由も「僕にはエンジニア経験がないけれど、翻訳や通訳のスキルを活かしながら最先端のプロダクトのライフサイクルを肌で感じたい!」と思ったからでした。なので、GOTにジョインしてからも、MTGの通訳や議事録の翻訳をしながら、独学でプログラミングの勉強をしていました。
シャッフルランチ自動化のきっかけは、メルカリ社内で行われているBe Professional Day(以下BPD)でした。ここでは中長期的に開発効率やクオリティに影響しそうなものを、そのときどきのテーマに合わせて開発しています。
僕が参加したときのテーマが「からくりday」。つまり自動化ですね。そのころ、プログラミングを勉強しつつ「社内SNSのようなシステムをつくりたい」という気持ちもありつつ、ちょうど3ヶ月連続でシャッフルランチの幹事に選ばれて「うーん…」となっていたところでした。そして「そうだ、シャッフルランチの仕組みを自動化する機能というのはどうだろう?」となったんです。
注目したのは「幹事の負担を減らすこと」
ーいろいろなタイミングが重なって、シャッフルランチ自動化の開発が始まったわけですね。そのときに考えていたフローはどのようなものだったのでしょうか?
メルカリのシャッフルランチは月1回行われるものです。そのときは以下のような流れになります。
- カルコミがSlackでシャッフルランチのチーム編成を周知
- 幹事に指名されたメンバーがグループチャンネルを作成
- 幹事が日程やお店を調整
- みんなでシャッフルランチを楽んで完了
この中で特に注目したのが「実施されるまでの幹事の負担」です。そこで僕は、次の流れを自動化しました。
- 社員をランダムにシャッフルしてチームを作る(連続で幹事にならないようなロジックも入れる)
- シャッフルランチのチーム編成が決まったら、自動でチームメンバーのグループチャンネルを作成
- メンバーのGoogleカレンダーから、全員の予定が合う日程をピックアップしてグループチャンネル内に自動投稿
- 3でピックアップした候補日程に対してメンバーが投票。最も投票数の多かった日程で、Googleカレンダーにシャッフルランチの予定が設定される
- 日程が確定したら、会社で利用できる立替不要レストランの候補がグループチャンネル内で自動投稿
実装は、ほかのエンジニアメンバーに教えてもらいながら進めました。
結果的にはBPDでは時間が足りず、僕が考えていたすべての機能を実装することはできませんでした。しかし、役員からの賞をもらうことができました。そのときの受賞コメントで「ぜひ最後までやりきってほしい」と言われて…いい意味でプレッシャーになりましたね(笑)。
ーでは、BPDが終わってからさらに開発を進めていたということですか?
そうですね。BPDでは、リリースには程遠い状態でしたので。とはいえ、日中はGOTでの業務があるので、プライベートの時間を使って開発をしていましたね。そして、BPDから3ヶ月近く経ったころに、リリースすることができました!
シャッフルランチの実施率も52.4%→72.4%に向上
ーリリース後の反響はどうでしたか?
管理画面を見ていたのですが、メンバーがシステムを利用してどんどんシャッフルランチを設定していく様子がわかってうれしかったです。
「シャッフルbot最高です!!」といううれしいコメントや、「同じ職種の人とはチームを分けてほしい」といったアドバイスなど、フィードバックもたくさん届きました。この流れにはメルカリのバリューである「All for One」を感じましたね。
おかげで、自動化をリリースした翌月のシャッフルランチまでに、フィードバックを生かして機能を改善することができました。シャッフルランチの実施率も52.4%→72.4%に向上できたと聞き、会社に貢献できたように感じてうれしかったですね。
ーSteveは、普段はエンジニア業務をしているわけではありません。そういった環境から今回のシャッフルランチ自動化に取り組んでみてどうでしたか?
「やりたい!」と思ったことにチャレンジでき、同じGOTのチームメンバーをはじめとして、サポートしてくれるメンバーが周りにいる環境って幸せだなと思いました。特にBPDは、業務外のチャレンジに取り組めるいいチャンスです。
また普段のGOTとしての業務でも、今回のBPDのおかげで、エンジニアメンバーの会話も今まで以上に深く理解し、通訳や翻訳に活かすことができています。一見、業務に関係ないことのように思えますが、やってみると今まで以上のバリューを出せる土壌づくりにつながっていたりするんですよね。
シャッフルランチ自動化については、機能をより良くしていきたいです。そしてさらに言うと、ゆくゆくは大きなサービスのリリースにも関わりたいです!
ー私も、Steveが大きなサービスをリリースしている姿をみたいです! インタビュー、ありがとうございました!