こんにちは、メルカリPRチームの@ricchaこと中澤です。
先日、2月20日に「Mercari Conference 2020」を開催させていただきました。このプロジェクトのオーナーとして数ヶ月間全力で走り抜け、無事終了した今、そこそこ落ち着いた日々が帰ってきました。
さて今回は、今後このような大規模カンファレンスに取り組む方の参考になればと思い、カンファレンスの準備過程、当日、そして振り返りを紹介させていただきます。
準備は半年前から
- 10月(5ヶ月前)
- ・開催の承認・予算確保
- ・会場押さえ
最初に「メルカリ日本事業についてのカンファレンスを開催する」という企画が始まったのは、開催から約5ヶ月前の2019年10月。メルカリグループ全体の企業広報を担うコーポレートPRチームから、経営会議に提案を行いました。
大規模なカンファレンスを行うには、数千万円〜の予算と、社内関連チームの協力が必要になります。この時点では、経営陣にその必要性を理解し、実施を承認してもらうための企画書を作成していました。
「開催目的」「ターゲット」「想定コンテンツ」「予算」などの内容に加え、「開催しなかった場合のリスク」「メルペイカンファレンスの際の参考例」などを含め、「なぜこの時期に開催するのか」という理由も記載。骨子の段階で、「一次流通と二次流通の融合」をテーマとすることは決めていました。
また、たいていのイベント会場は数ヶ月先まで予約が埋まっています。カンファレンスの企画が始まったと同時にイベント会社さんに連絡し、2月中を目処に候補会場探しを開始。この時点ですでに候補は2〜3件しかなく、キャンセル待ちも多くかなり埋まっている状況でした。
「イベント会場探しは半年前から」が大事です!
- 11月〜12月(3〜4ヶ月前)
- ・デザインコンセプト制作
- ・登壇いただく企業さまへの打診
- ・動画制作開始
無事、経営会議で承認が通ったあとは、イベント会社さんと会場の本予約を進めながら、社内でも関係チームとキックオフ。特に密に連携することになる、BizDevチーム(事業開発)と、Creativeチーム(デザイン)と相談を開始しました。
まずBizDevチームとは、登壇いただくパートナー企業さまについて、候補先をリスト化。提携などの案件の進捗状況にあわせて、どんな内容を、どなたにお話しいただくのか。BizDevチームの担当者から先方の状況をヒアリングしてもらいながら、PR側では登壇依頼状の準備、プレゼンテーション本編の検討を進めていきました。しかし、提携案件は不確定要素も多く、「登壇企業が決まらない→プレゼンの流れを決められない」という状態で、構成を決めるのに難航していたのもこの頃でした…。
Creativeチームには、カンファレンス全体のコンセプトのテーマの「融合」や、想定のカンファレンスの構成案を伝えた上で、デザインドラフトを提案してもらいました。準備してもらったドラフト3案の中から、経営陣やPRチームなど関係者で集まって1案を選び、その後デザインのブラッシュアップを重ねて決定していきました。細かい点についてはデザイナーにすべてお任せでしたが、テーマにぴったりの素敵なデザインが決まって興奮!
コンセプト決定後は、ノベルティや会場装飾(オブジェなど)、パンフレット、スタッフTシャツ、ドリンクウォーターなどたくさんの制作物について、のちのち変更の可能性が少ないものから次々に着手していきました。詳しくはのちほど、デザインチームの公式noteに公開予定です!
12月も中旬になると、タスクが増えていきます。そんななか、プロジェクトオーナーの自分がひとりでタスクを抱えすぎてしまい、進捗が可視化されない・スケジュールどおりに進まないという状態に陥ってしまいました…。
そこで、PRチーム内で役割分担を再度整理し、「コンテンツ・パートナー担当(プレゼン本編、登壇・招待パートナー企業、動画などのコンテンツに関わること全般)」と、「制作・オペレーション担当(制作物、体験ブース、メディア誘致など、内容以外の全般)」の2つのラインでそれぞれオーナーを立て、ラインごとの毎週の定例の運営もオーナーにお願いすることに。体制を立て直したおかげで、自分は全体オーナーとして、全体の進行確認や予算の管理、登壇する経営陣との内容議論などに、より時間を使えるようになりました。
年が明けたら、あっという間…
- 1月(1〜2ヶ月前)
- ・展示ブースの内容決定
- ・スライド・スクリプト作成
- ・パートナー企業のご招待
年が明けると、登壇者・関係者も「そろそろやばいな」感が出てきて、一気にドライブがかかりました。イベント会社さんとともに、1ヶ月前までに発注が必要な展示ブースの内容を、詰めて決定。当初は「メルカリステーション再現」などもいろいろ検討しましたが、シンプルに今回実機を初お披露目した「メルカリポスト」の体験ブースになりました。
パートナー企業さまのご招待も本格的に開始。会場の席数が限られていたため、BizDevチームやメルペイのSalesチームなど、企業さまと対峙しているチームメンバーを通じて、ご案内を送付。参加可否の状況と席の残数を把握しながら、毎週進捗を確認し、ぴったりのゲスト数になるように案内を進めていきました。
この頃、一番難航していたのは「スライド作成」。特に、「一次流通と二次流通のデータ連携」という内容を、わかりやすい構成・概念図にすることが難しく、「PRでスライド作成→PRの責任者レビュー→登壇者レビュー→修正」というループを何度か繰り返していました。結果、ボツになったスライドは100枚超え…。
登壇者である経営陣は忙しいので、議論の時間をしっかり確保することもなかなか大変。当たり前ではありますが、大詰めの時期には「経営陣/ステークホルダーのレビュー時間は事前に押さえておく」ことが大事です。
- 2月(20日前〜当日!)
- ・スライドデザイン
- ・プレスリリース作成
- ・登壇者プレゼントレーニング
- ・メディア誘致
2月に入ると、準備も佳境!100枚以上の大量なスライドを、Creativeチームのデザイナーがどんどんデザインしていく作業へ。同時並行で登壇者のスクリプト修正や、登壇パートナー企業さまへのチェックなども入る中、Googleスライドのコメントで日夜修正のやりとりを続け、一気に完成に近づいてきました。
また、スライド内容が固まると同時に、当日発表するプレスリリースの作成や英訳も進めます。たくさんのパートナー企業さまにそれぞれ確認いただいたり、修正点をまた確認したり…と毎日、大量のSlackでのやりとりが飛び交っていました。
本番の1週間前と前日には外部の講師の方をお招きしてプレゼントレーニングも実施。実際に、本番のように話してみること、全く初見の方のフィードバックをもらうことで、新たな気づきも多く、内容をブラッシュアップできました。
プレゼン内容の詰めに時間がかかる時期ですが、同時にメディアの方への招待や、TVメディアに「どんな内容が撮影いただけるのか」の案内なども進めなくてはなりません!この時期はとにかくみんな忙しかったのですが、PRチーム内でも「スライド作成」「プレスリリース作成」「パートナー企業さまへの確認」「メディア誘致」など担当を分けつつ、同じデスクで顔をあわせてマメに確認することで、乗り切りました。
また、カンファレンス数日前になって緊急発生したのが「新型コロナウイルス感染防止への対応」です。開催数日前、経営陣を含めて開催可否について議論し、「パートナー企業さまのご招待を中止し、オンライン開催とする」ことを決定しました。直前の変更ではありましたが、オンライン配信はもともと実施予定だったため、バックアップ用機材の追加などの少ない追加対応で済んだことは幸いでした。
いよいよ当日&終わったあとも大事
- カンファレンス当日
- ・社内でもSlack実況!
そしてついに、迎えた当日!!舞台裏の様子は当日のメルカン記事でもご紹介しているので省きますが、リモート勤務が推奨される中、メルカリメンバーのみんなにも一緒にカンファレンスを盛り上げてもらうため、社内Slackに実況チャンネルを立て、全社チャンネルで告知。
すると、たくさんのメルカリメンバーがオンライン配信を見て盛り上がってくれました!!
登壇が終わった直後に、経営陣も登場(!)するなど、臨場感のあふれるチャンネルとなり、一体感が生まれました!
- カンファレンス終了後
- ・結果確認(メディアの露出件数など)
- ・社内報告
- ・費用確認・支払い
- ・残ったノベルティ・備品の行き先整理
無事当日が終わったあとも、まだ仕事は残っています!イベントは、終了後も大事です。まずはメディアの露出件数や内容をチェックし、反響を確認。またSNSなども改めてチェックし、社内外からも感想をヒアリング。PRチームでは、反響を元に、追加での取材提案や今後の打ち出すメッセージの検討など、ネクストアクションを決め、分担まで落としました。
また、KPT方式での振り返りMTGを、PRチーム内で1回、関係チームを含めて1回の2回開催。良かった点と改善点を洗い出し、次回へのノウハウとしてドキュメントにまとめます。
最終的な予算や、請求書の支払い、契約が予定通り進んでいるかも忘れずに確認。途中に展示内容の変更や、オンライン配信の機材追加など、いろいろと修正があったのでヒヤヒヤしていましたが、当初予算通りで着地することができ、安心しました!
最後に毎週開催されている全社定例で、カンファレンスの開催報告を行いました。ここでは、開催目的・当日の様子・露出件数・SNSでの反響などの結果に加え、ここまでさまざまな仕込みを行ってきたPRチームの活動紹介や、関係各チームへの謝辞など、言いたいことを盛り込んで発表させていただきました。
ここまでが、カンファレンス終了から1〜2週間の間に行ったことです。
全体を振り返って
さて、長くなってきましたが、改めてこの数ヶ月を振り返り、大事だったなと思うことを挙げてみます。
1:事業内容を深く理解する
今回のカンファレンスはPRチーム主導で進行しましたが、発表内容のスライドやプレスリリースを創る過程で、初期は事業理解が浅く、そのせいで手戻りすることも多かったな、という反省があります。「データ連携」と一口にいっても、どんなデータを、誰から誰に渡すのか、それにより何のメリットがあるのか、という事業の構造を一度理解し、整理しないとわかりやすく他人に説明することはできません。
スライドを何度も作り直していた頃、上司から「インプットが足りないんじゃない?」と言われてハッとし、社内の関連資料を探して読み漁ったり、関係者にヒアリングしたり、を繰り返すようになりました。(結局、提携内容の契約書を読み込んだことで、理解が深まり、スライドの完成に繋がりました)。
2:Professionalに任せる
12月頃はオーナーの自分がタスクを持ちすぎてしまった時期があり、プロジェクトの進捗が滞ってどうしよう…と悩んでいました。PRチームのMTGで相談したところ「ここは私ができるよ!」「こういう分担にしたほうが、ricchaさんは内容に集中できるんじゃない?」と、周囲のメンバーがどんどん意見をだし、自ら得意な仕事を巻き取ってくれました。おかげで、自分でやっているよりも圧倒的に早く物事が進むようになり、改めて、「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」が揃っているメルカリメンバーで仕事が進む心強さを感じました。
3:All for Oneに社内を巻き込む
今回のカンファレンスは「メルカリの未来にワクワクしてほしい!」という思いで作っていたので、パートナー企業さまやメディアの方が対象ではありますが、社内のたくさんのメンバーも一緒に盛り上がってほしいと考えていました。
そのため、Slackチャンネルでオープンにいろいろな準備を進めたり、メルカンでもレポート記事を準備してもらったり、当日はSlackの実況チャンネルも準備したりと、メンバーにもカンファレンスの開催を認知・参加してもらえるよう、準備を行いました。(本当は社内での実況イベントも予定していたのですが、リモート勤務推奨となったため、Slack実況に変更)
また、カンファレンス終了後にも、全社定例で当日の様子やメディアの露出件数や論調などの情報をシェアすることで、改めて目的や結果への理解を深めるよう活動しました。結果、社内のたくさんのメンバーから「カンファレンスよかったね!」と声をかけてもらい、視聴率もかなり高く「自分ごと化」してもらうことができたと思います。
書き始めたら長くなってしまいましたが、改めて、関係者のみなさん、本当にありがとうございました!
他にも、動画制作、スペシャルゲストへの打診、ノベルティはじめ制作物、翻訳・通訳・ライブ配信の裏側などなど…語りたいことはたくさんあるのですが、今回は大きな準備の流れをご紹介させていただきました!
この記事が、少しでも次にカンファレンスをやる方の参考になれば幸いです。