メルカリで働くソフトウェアエンジニアに、ちょこっとお話を聞いていく本シリーズ。第44回は、メルペイiOSチームのテックリード(TL)@akifumiが登場します。
メルペイのリリース前に入社したという@akifumi。最近ではセブン銀行ATMからの現金チャージ機能開発を担当していた彼ですが、大変だったことは?また、現金チャージ機能の接続テストで感じた「手応え」とは何だったのでしょうか?聞き手は、同じくメルペイiOSチームのエンジニアリングマネージャー(EM)@jarinosukeです。
PC画面から「リモート勤務どうですか?」
@jarinosuke:@akifumiさーん、PC画面からこんにちは〜。ちょっと雑談しましょ〜。
@akifumi:そこは「ちょっとお話いいですか?」じゃないですかね?
@jarinosuke:ちょっとお話いいですか!?
@akifumi:はい、どうぞ!
@jarinosuke:最初に、リモート勤務はどうですか?
@akifumi:通勤時間がない分、開発に集中できている気がします。メンバーとの雑談が減っているので、少しさみしく感じているところはありますが。
@jarinosuke:そうそう、作業する分には最適ですよね。プルリクの数を見ていても、統計的には上がっています。やることがしっかり決まっていれば、リモート勤務のほうが、生産性は高まるのかもしれませんね。
@akifumi:一方で、仕事の区切りがわかりづらくないですか?もう少しだけ…と思って仕事をダラダラ続けがちになってしまうと言いますか。あと、自宅のPCではマシンパワーが足りないです。奥さんも働いているので、MTGが重なったときにできるだけ離れる必要があったり。ちょっと気を遣いますね。
@jarinosuke:それは同感です。
中国旅行で初めてキャッシュレスの世界に触れる
@jarinosuke:では、話を本題に戻しまして。入社時期を教えてください。
@akifumi:はい!僕がメルペイに入社したのは、2018年6月です。もうすぐで2年経ちます。
@jarinosuke:おめでとうございます!
@akifumi:ありがとうございます!入社したきっかけは、前職のDeNA時代に、中国に住んでいた友人を訪ねに旅行したこと。そこで、キャッシュレスの世界を初めて体験して…。スマホだけで出前をとったり、買い物をしたりしていて、スマホ決済の面白さに夢中になっていましたね。ちょうどそのタイミングで、メルカリグループからメルペイ誕生のニュースを見ました。そこに書かれていた「信用を創造する」というテーマに興味が湧き、転職を決めたんです。
@jarinosuke:メルペイがリリースされる前に入社していたと思うのですが、当時の様子はどうでしたか?
@akifumi:あのときのメルペイは、とにかくいろいろな機能開発が同時進行で走っていました。機能ごとに縦割り状態で開発していて、そのなかで僕はメルペイの設定画面の開発を担当していたんです。たしか、まだリリースもしていないので明確なKPIなどもなく「リリースが目標」な時代でした。
セブン銀行ATMのチャージ機能での「得難い体験」
@jarinosuke:今は何をしているんですか?
@akifumi:2つあります。まず、年明けにリリースしたセブン銀行ATMからのチャージ機能です。これは、約半年ほどかけてつくりあげていきました。そもそもメルペイでのチャージは、メルカリでの売上金か、銀行から入金するかの2択。しかし、メルペイが対応していない銀行を使っているお客さまにとっては、メルカリでの売上金を使うしかない。そのため、銀行以外でチャージできる機能へのニーズはありました。
@jarinosuke:そこで、セブン銀行ATMからのチャージだったんですね。
@akifumi:決済サービスならではの難しさは、自社以外のステークホルダーと連携するところ。セブン銀行ATMに関しては、当然ながら担当の方とやりとりする必要がありました。セブン銀行さん側から仕様書をもらい、それをもとに開発を進めていくのですが…金融関係の日本語はとても難しくて、海外メンバーだけでなく、日本人である僕らも理解するのに時間がかかりました(笑)。
@jarinosuke:そういえば、現地へ行ってテストもしていましたね?
@akifumi:しました!実際にメルペイへチャージできたときは、やっぱり感動しましたね。今まではスマホ内にとどまる動作を見てきただけに、コンビニにあるATMとアプリがつながった瞬間は、まさにオフラインとオンラインが結合された手応えがありました。
@jarinosuke:僕にとっても、銀行口座にある紙幣や硬貨が、自分たちのつくったサービスの中でのお金になることは、メルペイでの得難い体験の1つですね。
@akifumi:そして、セブン銀行ATMからのチャージ機能のほかに、既存機能のリファクタリングなどを行っています。既存機能をより良くすることはもちろん、どうすれば開発しやすくなるのかを担当していたメンバーと話し合いながら進めています。
@jarinosuke:メルペイは、リリースに向けてスピード重視で開発を進めてきたところがあります。そこを改めて整備し、新機能を追加しやすい状態をつくろうとしているんですね?
@akifumi:そうです。そもそもメルカリグループ全体の事業スピードが速いので、技術負債が出ることは避けられません。そこをしっかりテコ入れする意識があることは、とてもいいですよね。
TLに求められる役割は「PMの相談相手」
@jarinosuke:@akifumiさんは、メルペイiOSのTLでもあります。ひと口に「TL」と言えど、その定義は人によって異なるところも多いです。@akifumiさんにとって、TLはどんな役割だと思いますか?
@akifumi:個人的には「PMの良き相談相手」という表現がしっくりきています。PMが実現したいものに対して、エンジニアサイドは何ができるのか、時間や人はどれくらい必要なのか。これを相談相手として提案しています。あと、iOSなどのモバイル開発は横断的にアサインされる職能です。Backendはマイクロサービスごとに分けられますが、モバイルは必要なところへ優先順位に従ってアサインされる必要がある。なので、TLはPMへの技術的サポートのほか、プロジェクト把握や進行も求められますよね。
@jarinosuke:PMを技術的にサポートするという感じですね。そして、僕にとって@akifumiさんは「めちゃくちゃいろんなことができる人」。だからこそ聞きたいのですが、@akifumiさんは今後のキャリアをどう考えていますか?引き続きiOSエンジニア?
@akifumi:難しいところですね。基本的には、世の中にインパクトがあることをしたいと思っています。そのための関わり方が、エンジニアやマネージャー、PM、どれでも特に問題ないと考えているんです。もちろん、iOSエンジニアは楽しいから今もやっているんですけど。今後のキャリアについては、悩んでいるところですね。
@jarinosuke:めっちゃわかるわ。でも、「楽しいことをやっていきたい」という軸があるのは、@akifumiさんの良いところですね!
@akifumi:先ほど@jarinosukeさんは「めちゃくちゃいろんなことができる人」と言ってくれました。でも、さまざまなプロジェクトを横断しながら開発できるのは、他のメンバーとの協力関係があったうえで、何とか回せています。もし今以上のスピードで開発が進むとなったら…それこそ、引き続き信頼関係を保ちながら仕事をしていきたいですね。