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「ミッションは変えない、でも…」今の状況下でメルペイCBOが再定義した役割

2020-6-10

「ミッションは変えない、でも…」今の状況下でメルペイCBOが再定義した役割

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「今の状況下」だからこそ考える。以前のような生活に戻るのか、それとも何かしらかたちを変えて進んでいくのか。当然、その流れにあわせて事業の方向性も変えていく必要があります。

そこで先日、メルペイCTO曾川景介に「今の状況下で考えたメルペイの役割」を取材。返ってきたのは「今後のメルペイは、サービスとしてインクルーシブさが求められる」でした。

では、メルペイのビジネス面は、これからどうなっていくのでしょうか?そこで今回は、メルペイ執行役員CBO(Chief Business Officer)の山本真人(mark)をインタビュー。「今の状況下」だからこそ、メルペイはビジネスとしてどんな役割を求められているのか?markが考えていることを聞きました。

※掲載写真はすべて、在宅勤務になる前に撮影したものです。

この記事に登場する人


  • 山本真人(Masato Mark Yamamoto)

    2004年 東京大学大学院 学際情報学府 修士課程修了。NTTドコモを経て、2008年よりGoogle JapanのEnterprise部門 Head of Partner Salesを務める。2014年にはSquare JapanにてHead of Business Development and Sales、2016年からはApple JapanにてApple Pay 加盟店事業統括責任者を務める。2018年4月よりメルペイ執行役員CBOに就任。


ミッションは変わらない。でも、スピードを上げなくちゃいけない

ー新型コロナウイルスによって、世の中が大きく変わると予想されています。メルペイでは、今後のビジネスについて何か話し合いなどしたのでしょうか?

この先どうなるのかは、誰にもわからないですよね。しかし、以前より混沌とした状況を「社会」として付き合っていかなくちゃいけないことは確か。そのうえで、メルペイが社会に対してどんな貢献ができるのかを考えていく必要があります。

新型コロナウイルスへの対応は、メルペイ経営メンバーと日々議論しています。そこで一致したのが、メルペイのミッションである「信用を創造して、なめらかな社会を創る」は変えない、ということ。けれど、我々が目指す「なめらかな社会」の実現に向けて、さらにスピードを上げて取り組まなければならない部分があると思っています。

メルペイ執行役員CBOの山本真人(mark)

ーサービスの方向性は変えないけれど、スピードを上げなくちゃいけない?

メルペイが今進めているのは、社会におけるキャッシュレス推進。これは、今の状況下において、非常に必要性が高いサービスです。“直接触れずに支払いができる”コード決済やNFC決済は、心理的にも安心できますよね。メルペイネット決済に関しても、外に出かけることをためらうこの時期、お客さまの利用意向が高まっています。

その意味では、サービス自体を見直したり、新しく別のことを始めなければならないわけじゃない。お客さまのニーズが高い状況だからこそ、我々のプロダクトをさらに良くしていくためにスピードを上げなければと感じているんです。

ー具体的に、どんなことを進めているんですか?

メルペイは、サービスをリリースして1年ほど経ちました。その間、キャンペーンなどを通じてお客さまや加盟店さまを順調に増やし、サービスとしても「メルペイスマート払い」の開始や、より使い勝手のいいUI・UX改善など進化し続けてきました。こういったプロダクトとしての進化のスピードを高め、同時に、メルカリの良さを伝えていくことに注力しようとしています。

メルカリは心臓部、メルペイは拡張装置

ーメルペイだけでなく「メルカリも」なんですね。

そもそも決済サービスは「使えるお金があること」が大前提。なくなれば、サービス自体を使うことはできません。これは、これまでの決済サービスにおける限界でもありました。

サービスをリリースする前から発信してきたことですが、メルペイにはフリマアプリ「メルカリ」がある。メルカリを通じて不用品を売ることで、お金を生み出せる。そこに紐づくメルペイは、メルカリで得たお金をお買い物に利用できます。そして、メルペイで買ったものが不用になれば、またメルカリで出品する…。この「ぐるぐるの図」こそ、僕らがつくりだしたいお金の流れ。その心臓部に、メルカリがあるんです。メルペイをお使いいただくことがメルカリの価値を伝えるきっかけづくりになっていると思っています。

メルカリのアプリ内だけでも、売買は成立します。それを、メルペイによってさらに拡張していきたいのです。アプリ内で得たお金を、アプリ外でも使えるようになる。そうすると、サービスの範囲がぐっと大きくなり、メルカリのお客さまの生活にまで広がっていくんです。そういう意味では、メルペイで生活必需品などを買うことで、お客さまにとって「メルカリは生活に必要不可欠」と思えるきっかけになる。つまり、サービスを拡張する装置となるのです。

メルカリは、給与以外でお金を得る手段にもなります。少し大胆な言い方をすると、今の状況下で懸念されている収入減少が起きた場合も、生活の質を維持する1つの手段にもなる。改めて、メルカリ×メルペイでの「モノでモノを買う世界」の価値観が高まり、新たな信用のかたちになっていく気がしています。

モノでモノを買う世界観が、新たな信用をつくる

ーモノでモノを買う世界観が、新たな信用をつくる?

これまで、お金を使う=消費のイメージが強かったじゃないですか?買い物は「お金を消費する」感覚があり、不況になると「なるべく買わないようにしよう」となって、どんどんモノが売れなくなったりします。

でもメルペイは、メルカリの存在によって買うことが単純な「消費」ではなく、「投資」的位置づけにもなる。買ったものがメルカリで売れる安心感があれば、不安なく買い物ができる。

先ほどお話ししましたが、決済サービスの大前提は「使えるお金があること」。クレジットカードなどの後払いサービスもありますが、お金を使う=消費している考えがあると、結局「未来の自分に払ってもらう」感覚になってしまいます。メルペイスマート払いなら、メルカリで得た売上金で支払える。支払いのタイミングが来たら、買ったものを売って支払ってもいいわけです。支払うという行為のバリエーションが増える。

買い物をしたとき、お財布のなかに「モノ」が入る感覚までに昇華できると、「モノでモノを買う」ような世界観につながっていくかと思っています。そんなイメージで誕生したのが、先日リリースした「持ち物リスト連携機能」。メルカリで買ったものだけでなく、他ECサイトと連携し、メルペイで購入したものをリストに登録。そこからスムーズにメルカリで出品。そして、そこで得た売上金で再び連携先ECサイトで買い物をする。「買う」「売る」のサイクルを、どんどん早めていこうとしているところです。

「会って話せない」から、改めて徹底したこと

ちょっと脱線するんですけど…。この状況下になって、個人的に驚いたことがあるんです。

ー驚いたこと?

緊急事態宣言が発令される前から、メルカリグループでは在宅勤務が原則になりました。なので、多少なりとも業務効率は落ちると予想していたんです。でも、社内でアンケートをとってみたところ、そんなことはなかった。メルペイ全体がスピードを落とさず、プロダクトづくりに専念できています。

ーメルカリグループ全体で見てみても、最初こそ戸惑いはありつつも、Slack内で「在宅勤務のTips」をシェアしたり、困ったことを相談しあったりする様子は見られましたね。

ですよね。メルペイでも、在宅勤務になってから自然発生的にオープンドアなどが実施されていました。なかには、チームを越えたコミュニケーションを促進するために、ラジオっぽいものを始めるメンバーもいたり。僕も先日「話したいから飲もう!」ということで、ネット決済チームとオンライン飲み会をやりました。

この状態が続くと、今後はオンラインだけでコミュニケーションできる能力も必須になりますよね。今、リアルで会って話していたときの信用貯金を切り崩している気がすると話す人もいますが、これを「オンラインだけでも信頼が蓄積されていく状態」にしないといけない。

一方で、直接オフィスで会う機会が減っているからこそ、課題になりそうなのがメルカリグループのバリューの1つである「All for One(全ては成功のために)」。普段、打ち合わせをしないメンバーの動きが見えなくなってしまうことで、グループ全体に対する意識が薄まらないようにしなければならない。このバリューは、会社への求心力でもありますから。

そこで徹底し始めたのが、ビジネスがどうなっているのか、開発がどう進んでいるのか、経営として何を考えているのかなどをシェアすること。伝わっていないと感じたら細かくフォローし、全体への関心が下がらないようにしています。

「より良い道につながっている」と示すのが経営の役割

ーキャッシュレス推進、メルカリとの連携、働き方…。改めて見てみると、メルペイがやろうとしていることはたくさんありますね。

そうそう、やりたいことはいっぱいあります。僕らが目指すゴールが壮大なので、どれも2〜3%くらいしか進捗できていない感覚です。昨年9月のメルペイカンファレンスでも発表したビジョンもどんどん進めていきたいですし…。本当に、てんこ盛り。

ー(笑)。

先が読めない環境のなか、みんな早くもとの生活に戻ればいいと思っている。でも、すぐに戻れないなら、逆にこの環境がより良い道につながっていることを示す。それが、僕ら経営メンバーの役割です。オンラインでのやりとりが中心になっている今こそ、そこはしっかり果たせるようにやっていきたいですね。

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