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メルカリを“もっと”データドリブンにする、VP of Analyticsが掲げた2つのミッション

2020-9-9

メルカリを“もっと”データドリブンにする、VP of Analyticsが掲げた2つのミッション

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「メルカリを“よりデータドリブン”にするのが、僕の役割です」──と話すのは、2020年7月にメルカリVP of Analyticsへ就任したJeff LeBeau。

メルカリではあらゆる数字をもとに施策検証し、プロダクトや経営に関する意思決定を行う文化があります。

VP of Analyticsは、そういったメルカリの分析業務を統括し、事業・組織内で最適な分析体制を整えることがミッション。2月に発表したばかりでもある、メルカリが持つ二次流通データを軸にパートナー企業との新たな売買体験をつくりだす構想「CONNECT」でも、重要となる部分です。

今後の鍵を握る「データ活用」を整備し、拡大させていくVP of Analyticsですが、実はJeff、入社したのは米国事業である「メルカリUS」。さらに当時は配送コスト周りの最適化を担当していたと言いますが…なぜ日本事業であるメルカリJPへ? VP of Analyticsとして、何をアップデートさせようとしているのか?さっそく、話を聞きました。

※撮影時のみ、マスクを外しています。

この記事に登場する人


    • Jeff LeBeau

      米国オレゴン大学でBSc Economicsを取得後、フリーランスとしてウェブサイトやアプリのローカライゼーションおよびグローバル展開の戦略策定に従事。2014年より、東京およびシリコンバレーでベンチャー、メガベンチャー企業に参画し、IoTやアドテクなどのテクノロジー領域において事業戦略、事業開発、広告営業・運用を担当。2017年6月にBusiness Operations ManagerとしてメルカリUSに参画。翌年、メルカリJPに転籍し、データを活用した事業戦略策定に従事。2019年よりDirectorとしてデータ・アナリティクス部門を総括。2020年7月より現職。


入社当初はメルカリUSで配送コスト周り、そしてメルカリJPへ

−Jeffさん、メルカリでのスタート地点は米国事業である「メルカリUS」だったんですね。メルカリJPにかなり馴染んでいるので、ちょっと意外だったというか。

そうなんです。入社したのは、2017年6月。ちょうど、John(メルカリ取締役CBO兼US CEO、John Lagerling)が参画し、米国事業をさらに加速させていくタイミングでもありましたね。なので、僕はアメリカでの現地採用ということになります。

−当時はアメリカに住んでいた?

僕はメルカリへ入社する前、東京とシリコンバレーに拠点があるITベンチャーで働いていました。そこで進太郎さん(メルカリ代表取締役CEO、山田進太郎)と話す機会が何度かあり、そのなかで「今後は米国事業に力を入れていく」「こうしていきたい」と楽しそうに話しているのが印象的で。海外事業は、CEOレベルが事業に深くコミットしないと成功しない。その点、メルカリUSは進太郎さんが注力することを明言していましたし、プロダクトマーケットフィット(プロダクトやサービスが市場で受け入れられている状態)も良かった。話を聞くたびに参加したい気持ちが募り、入社を決めました。

Jeff LeBeau(メルカリVP of Analytics)

入社してすぐは、US版メルカリの配送コスト周りの最適化を担当。現地のPMとデータを集めたり、実装したりしていましたね。同時に、現地の方々の動向を知るためにユーザビリティテストも実施。一時期は、進太郎さんと一緒にアメリカ各地を回っていました。僕はジェネラリストタイプなので、事業のために必要な業務は、幅広く担当していた感じですね。

−そこからなぜ、日本事業であるメルカリJPへ?

実は言うと、当時はメルカリUSにいながら、メルペイがスタートするタイミングでJP版メルカリの業務にもアサインされていました。メルペイが誕生することで、今後メルカリが取り扱うデータは、二次流通だけでなく、一次流通も含めることになる。進太郎さんと「グループ内のデータを整理しよう」と会話したことをきっかけに、JP版メルカリも担当。本格的に軸足をJP版メルカリへ移すため、2018年に転籍しました。

−では、現在にかけて「突然やることが変わった」わけではないんですね?

ですね。僕としても、徐々にJP版メルカリへのコミットが強まっていった感覚があります。

転籍後、2020年2月に行われたメルカリカンファレンスでも発表したとおり、メルカリが持つ二次流通のデータを軸に、一次流通をはじめとしたパートナー企業の方々とともに新しい売買体験をつくり出す構想「CONNECT」がスタート。一時期はDirectorとしてデータ活用を推進していましたが、役割をもう少し広げるかたちで、今回新たに誕生したVP of Analyticsに就任しました。

「社内でのデータ活用」を民主化するための分析基盤・仕組みづくり

−メルカリではBI(Business Intelligence)メンバーを中心に、あらゆる数字でプロダクトや経営を推し進めてきた歴史のようなものがあります。VP of Analyticsとしては、具体的に何をしていくことになるのでしょうか?

大きく分けると「分析基盤の構築」「データ活用で顧客体験をアップデート」の2つがあります。

まずは「分析基盤の構築」。これは文字どおり、メルカリに関するあらゆる数字を集めた分析基盤をつくり、データ分析の民主化をさらに強めることを目的にしています。

というのも、メルカリでは「データドリブンな文化」がすでに根付いていて、個人情報を除いたプロダクト関連データが一か所に集められ、社内メンバーであれば誰でも分析できる環境がありました。

しかし、そういったデータは「一か所にある」ものの、分析業務をスケールさせる仕組みはなかった。「誰でも分析できる環境」と言いつつ、それができるメンバーは限られている状態だったのです。事業規模的にも、BIを含む限られたメンバーだけで分析を行うには限界がある。

また、分析業務の要であるBIチームも、グロースやプロダクトなどアサインされた業務ごとでバラバラになっていました。そうすると、各施策検証の結果だけでなく、各業務で得た知見も散らばってしまう。これまでの事業・組織規模であれば問題ありませんでしたが、今後のフェーズを考えると、このままでは少し厳しい。

「分析基盤の構築」の狙いは、データ活用の民主化です。

そこで、業務ごとに散らばっていたBIメンバーを一か所に集結させ、Analyticsチームを発足。彼らを中心に、分析基盤構築のほか、SQL講座や中間テーブルの活用講座をセットにして、分析組織以外のメンバーもどんどん分析業務へ乗り出せるような環境を整えていこうとしています。

メルカリ特有のデータを整備し、既存機能をアップデート

−2つ目の「データ活用で顧客体験をアップデート」は?

メルカリには、バーコードをかざすだけで出品できる「バーコード出品」、出品時に自動的に商品情報が入力される「AI出品」といった機能で、商品データを活用してきました。今後は、検索など既存機能をアップデートするため、裏側のデータ基盤整備や、機械学習の活用を加速させていきます。そのためのデータ整理を、Product Dataチームがエンジニアと連携して進めています。

メルカリは、施策ベースでGMV(Gross Marchanise Value /流通取引金額)への影響を見てきました。でも、当然ながら今の事業規模では、小さな施策だけで数字を動かすことはできません。もっと大きなインパクトを得るには、それなりの下準備が必要なんです。

−そのためのデータ整理なんですね?

メルカリのミッションは「新たな価値を生みだす 世界的なマーケットプレイスを創る」。ECサービスのように「買う」だけではなく、お客さま同士で「売る」「買う」のやりとり(=商品データ)があり、さらに欲しいものを探す(=検索データ)もあり…とにかくデータの種類も多い。そして、「商品データ×検索データ」の掛け合わせから、世の中のトレンドが見えてくる。これは、メルカリでデータを扱うおもしろさでもあります!

とは言え、これまでのデータ量は膨大なので、マンパワーで整理をやりきるにしても、各チームのステークホルダーの協力は必要不可欠。幸いなことに、Aki Saarinen(Feature Productsチーム)やDavid Cournapeau(AI Coreチーム)など、データ活用に理解があるTech PMやEM、メンバーが多く、今のところ調整はとてもスムーズです。

CONNECT実現のための下準備は「やることがいっぱいある」

−「分析基盤の構築」「データ活用で顧客体験をアップデート」が整えば、メルカリが掲げるCONNECT構想につながっていく?

大前提として、世の中的にも、あらゆる場面でデータ活用される流れが強まっています。それに応じて、メルカリでは社内にとどまらず、パートナー企業の方々など、いろいろな場面でデータを提供できるようにしたい。ゆくゆくは一次流通と二次流通を連携させ、新しい価値を生み出していく。これが、CONNECTの意図です。

CONNECTの根幹は、データ連携です。でも、データは「一か所に集めている」だけでは、何の価値も生み出しません。そのために今、メルカリではデータを整備し、同時に効率的に分析できる土壌づくりを進めている。いわば、CONNECT実現のための下準備をしているステータスですね。

−やることは、たくさんありそうです。

採用面接でよく聞かれるのは「メルカリでのデータ領域は、もうやることがなさそう」だったりします。

確かにメルカリのBIメンバー(分析アナリスト)のレベルは非常に高いですが、先ほどお話ししたように、分析基盤構築や分析業務のオンボーディング、仕組みづくり、これまで蓄積してきたデータ整理、既存機能への落とし込みなど、はっきり言ってやるべきこと・やりたいことは手いっぱいあります。

Analyticsチームに関しては、今明確にやりたいと思っているのがABテストの標準化。分析組織以外の人でも参加できる仕組み化の第一歩ですね。Product Dataチームでは、商品データの活用方法を検証しながら、引き続きデータを整理していく。

どちらも、業界的にこれと言った「正解」があるわけではありません。迷いながら突き進めていくわけですが、その先には必ず、メルカリがより“データドリブン”になれる体制があると思っています。

僕の役割は、その体制を完成させること。チャレンジングな場面も多いですが、そんな環境を楽しめる人には向いている仕事が多いかもしれませんね。

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