新型コロナウイルスの影響で、さまざまな講座やイベントが開催自粛になったことはご存知のとおり。フリマアプリ「メルカリ」の使い方をイチから学べるメルカリ教室も、当然ながらその大きな流れに飲み込まれていました。
「メルカリ教室」がスタートしたのは、2019年4月。当初は2拠点ほどだったものの、同年9月には50拠点で開催、さらに12月にはドコモショップ134店舗のスマホ教室でも実施するまでに急拡大。これまで、約250か所で累計約2万名のお客さまに参加していただきました。
そして2020年9月、「オンライン版」としてリスタートを切ったメルカリ教室。運営に関わり続けてきたメルカリOMO & Mercari Stationチームの守月葵は今、何を思うのでしょうか?
今回のメルカンでは、メルカリ教室誕生の経緯、そして再開までの日々を守月にインタビューしました。
※掲載写真はすべて、2019年末に撮影したものです。
この記事に登場する人
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守月葵(Aoi Morizuki)WEB広告、アドテクノロジー事業者での営業を経てYahoo! JAPAN株式会社のメディア事業に従事。メディアのリブランドやアプリのリリースに携わった後、地域事業サービスのマーケティング担当を経て2018年、株式会社メルカリに入社。現在はOMO & Mercari Stationチームのメンバーとして、メルカリ教室の企画・運営を担当する。
「1講座5名」から、累計約2万名のお客さまが参加する規模まで急拡大
ー改めて聞きたいのですが、メルカリ教室はどういったかたちでスタートしたプロジェクトだったんですか?
メルカリ教室は当初、60歳以上の方を中心としたフリマアプリ「メルカリ」の新規利用層のタッチポイント増加を目的に発足したものでした。そして、「タッチポイントを増やす」だけでなく「良質なオンボーディングができる」ことが明らかになり、メルカリの事業成長の要となるOMO(Online Merges with Offline)施策「メルカリ教室」として、大きく舵を切ったのが2019年4月ごろです。
メルカリ教室のミッションは、年齢問わず、メルカリを利用する「初めの一歩」の後押しとなり、楽しく自走して使っていただけるお客さまを増やすことと、そこで得られた知見をオンラインでコンテンツ活用へつなげ、より多くの方々のオンボーディングをサポートすることです。
新型コロナウイルス発生前に開催していた、メルカリ教室の様子
メルカリ教室では「出品体験編」として、出品方法をお伝えしています。実のところ、出品って難しいんですよね。出品物の撮影、説明文の記入、値付け…。そして売れたら梱包発送をする必要もある。とにかく、スマホ画面だけでは完結できないことが多いんです。
メルカリは、より多くのお客さまにサービスを使ってもらうためにも、それをイチからお伝えする必要がありました。メルカリ教室を始めたばかりのころは、「この説明はわかりにくかった」「この言い回しのほうがいい」など、改善点があれば、翌日の講座内容をすぐにアップデート。とても真剣に受講してくださっているお客さまの気持ちを裏切らないよう、ひたすらPDCAを回していましたね。
ーひたすらPDCAを回した結果は?
メルカリ教室としてスタートしたばかりのころは、当然ながら開催場所も少なく、定員は多くても1講座5名ほど。ところが、6月に東京・光が丘郵便局で実施したときは、電話回線がパンクするほどお客さまからお申し込みが殺到し、1講座30名まで拡大することになりました。急遽、開催枠を倍にするなどてんやわんやしていましたが、このときお客さまの需要を実感しました。
守月葵(OMO & Mercari Stationチーム)
おかげさまで、2020年2月地点では250拠点以上でメルカリ教室を展開。そして今、メルカリ教室の開催パートナーさまは100企業以上いらっしゃいます。委託先も、20名以上の方にご協力いただいていて、大所帯になってきました!
参加してくださったお客さまも、累計約2万名になりました。お客さまが出品するまでのオンボーディングをしっかり行えているので、LCR(Lister Conversion Rate = 出品転換率)は80%以上をキープ。月間の出品数は通常の新規出品者と比較すると倍以上になっています。
「お客さまの喜びをリアルに感じたい」
ー守月さんは、ずっとメルカリ教室を担当してきたのですか?
いえ、入社後はメルカリチャンネルを担当していました。メルカリへ入社したきっかけも「メルカリチャンネルがやりたいから」だったんです。
と言うのも、メルカリへ入社する前までは、メルカリを使っていたものの「入社したい」とまでは思っていなくて(笑)。当時、メルカリチャンネルを担当していたメンバーと直接話す機会があり、それが楽しかったんです。面接でも、「どうすればメルカリチャンネルを急成長させられるのか?」とディスカッションしていた気がします。
このとき、すでにメルカリチャンネルをリリースして1年経っていたころ。しかし、思い描いていたところまでたどり着くことはできませんでした。そして、メルカリチャンネルは2019年7月にクローズ。この決定が下ったとき、メルカリチャンネルを使ってくださっていたお客さまへ申しわけない気持ちと、少なからず心残りもありました。
ー心残り?
私にとって、メルカリチャンネルほど「お客さまに近いところ」で仕事をするのは初めてだったんです。そこには、ただ数字を追うだけではわからない、配信者・視聴者がリアルタイムにやりとりするからこそ生まれるお客さまの喜びを感じていました。サービスクローズは不甲斐なかったのですが、一方で、あの体験をもう一度感じたい気持ちは、どこかにありました。
メルカリチャンネルのクローズが決まってしばらくしてから、CRMチームへ異動。そこでは、徹底的に数値に向き合い、シミュレーションをくり返していましたね。その後、Marketing Aweanessチームを経て、メルカリ教室の本格立ち上げを行うためにOffline UXチームにぬるっと合流しました。
ーぬるっと(笑)。
そうそう!当初は、Marketing Aweanessチームにいながら、メルカリ教室の運営とアップデートを「お手伝い」していたんです。でも、メルカリ教室は、やればやるほどクオリティが高まっていくし、お客さまと向き合えるおもしろいプロジェクト。Offline UXチームのマネージャーである石川佑さんに「メルカリ教室やるよね?」と言われたとき、YES以外の選択肢はありませんでしたね(笑)。そして、Offline UXチームに異動しました。その後、さらに注力していく体制にするため、現在はメルカリ教室のプロジェクトごと、メルカリOMO & Mercari Stationチームへ異動しています。
メルカリ教室ほど、CtoCサービスを肌身で感じられるコンテンツはない
ーメルカリチャンネル、CRM、そしてメルカリ教室。どれも「お客さまと関わる」という共通点がありますね。
それはあるかもしれません。私は、メルカリに入社したときからずっと、お客さまの近くでプロダクト開発をしてきました。メルカリチャンネルでは、売る・買うのコミュニケーションに触れ、売買の一つひとつにストーリーがあると知ることができた。CRMでは、そういったお客さまの反応を数字で見られることが興味深かったです。今、これまでの経験がすべてメルカリ教室で活きているような気がしていますね。
それに私、メルカリ教室ほどCtoCサービスを肌身で感じられるコンテンツはないと思っています。
メルカリ教室で初めて出品するお客さまの多くが「購入者の方に失礼なことがあってはいけない」と、顔が見えない相手を思いやり、丁寧に対応されています。なかには「初めて自分のお店を持つような感覚です」と話してくださるお客さまもいらっしゃいました。そんなお客さまを見ていて、メルカリは誰かを想う気持ちで成り立っているんだなと改めて感じるんですよね。
メルカリ教室で講師を務める守月(2019年時点)
同時に、メルカリ教室は「メルカリはいいサービスなんだ」と再発見できる場所でもあると思うんです。私も一時期は講師として参加していたことがありますが「出品できるようになりました〜!」と、お客さまに喜んでもらえたときは本当に感動します。「サービスを使えるようになって、こんなに喜んでもらえるんだー!」って。
この気持ちは、メルカリをつくっているメンバーの自負につながると思いました。だって、自分が関わっているサービスで「ありがとう」って言われるんですよ?こんなにハッピーなことはないですよね。
そこで、メルカリメンバーもメルカリ教室に参加してもらえるような仕組みをつくったのですが…残念ながら、新型コロナウイルスの影響で2020年3月にメルカリ教室を中止することになりました。
2020年9月からは、オンライン版・メルカリ教室がスタート!
ーメルカリ教室は、新型コロナウイルスの感染拡大によって2020年3月から一時中止。そして9月からは、新たに「オンライン版・メルカリ教室」をスタートさせましたよね?
リアルな場所でのメルカリ教室を開催できない今、新たな挑戦として始めたのがオンライン版メルカリ教室です。
オンライン版では、これまでのメルカリ教室とはまた違う視点で運用構築・企画を行う必要があり、検討することも非常に多いです。それでも、画面越しにお客さまが見えると、やる気がみなぎってきて。メルカリ教室プロジェクトを立ち上げたときみたいに、再びワクワクしています!
もちろん、今の状況が落ち着いてから、リアルな場でのメルカリ教室も再開したいと考えています。そのときは、お客さまだけでなく、先ほどお話ししていたメルカリメンバーにもぜひ参加してもらいたいですね。
ーメルカリ教室は、どうなっていくことがゴールなんですか?
メルカリ教室は、お客さまがサービスに触れ、売れるまでのやりとりを楽しみながら継続的に使っていただけるようにすることがゴールです。そのため、メルカリ教室は参加者アンケートや講師によるフィードバックなどの定性評価、お客さまの継続率といった定量指標を毎週確認し、施策を投じていきます。
「お客さまの商品が売れ、その後も継続的に出品してくれている」という定量数値を見ると、メルカリ教室に参加したお客さまが楽しんで使い続けている様子を想像し、嬉しくなります。出品できたときのお客さまの「できた!」と喜ばれている様子や、教室で出品したものがすぐに売れたときの会場の盛り上がりを実際に目にしているからこそ、その様子が目に浮かぶのかもしれません。
ー目の前でお客さまがサービスに触れている様子は、やっぱり嬉しいですよね。
嬉しいですよね!今後はより、お客さまやメンバーだけでなく、開催場所を提供してくださっているパートナーさまにも「やってよかった」と思ってもらいたい。今後も、メルカリチャンネルやCRMで培ってきたスキルを存分に活かし、関わる人みんながハッピーになれる事業に、成長させていきたいです。