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通勤手当がなくなり、増えたのは「交通費精算の手間」開発未経験なメンバーが挑んだ自動化の詳細

2021-2-16

通勤手当がなくなり、増えたのは「交通費精算の手間」開発未経験なメンバーが挑んだ自動化の詳細

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メルカリグループでは、2020年7月から「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル」をトライアルで開始。リモート・出社の有無をチームの裁量に合わせて自由に選択可能になったと同時に通勤手当がなくなり、「経費」として交通費を計上することになりました。そんな環境下で多くのメンバーが感じたのは…

「出社するたびに交通費申請するの、面倒くさい…」

ぶっちゃけ、経費精算そのものが面倒。なのに、出社のたびに交通費も計算するのは、手間以外のなにものでもない。さらに言うと、これまで申請する習慣がなかったために、経費に加えることすら忘れてしまいそう。

そんなとき、あるメンバーが有志で「出社交通費を自動化」しました。

やり方は簡単。事前準備として通勤経路を登録しておけば、あとは出社時にSlackで「/concur_go_office」と入力して、コマンドを実行させるだけ。そうすると、交通費レポートが自動生成されます。

Slackで「/concur_go_office」と入力すると、このように表示される
全社向けに出社交通費自動化を説明したときのスライド資料

最近では、メルカリのAI社員であるHISASHIに「出勤申請して」と言えば、レポートを作成してくれる仕様もできました。

しかし、なぜつくろうと思ったの?交通費精算を自動化したSystem Engineeringチームの瀧澤佳彦(@marony)に話を聞きました。

この記事に登場する人


  • 瀧澤佳彦(Yoshihiko Takizawa)

    System Engineeringチーム。2019年1月にメルカリへ入社。当時は1チーム体制だった社内ITにSystem Engineerとしてジョインし、前職の経験を活かして認証基盤の導入とMDMリプレイスのプロジェクトを担当。オフィスネットワークの面倒も見るかたわらpythonやnode.jsを学び、ITチームの業務の一部自動化を達成。その後、少しずつ範囲を広げて様々な自動化・連携開発に挑戦している。Slack名は@marony。


新ワークスタイルで発生した「出社時の交通費精算」

ーさっそくなんですが、交通費精算を自動化しようと思ったのはなぜ?

メルカリのコーポレート部門で、ツールを使って業務を効率化させていくプロジェクト「DXソウゾウ会議」が行われていました。そこで議論されていたのが「個人タスクの効率化」だったんです。

当時のメルカリは、新型コロナウイルスの影響で「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル」をトライアルで開始したばかり。リモートと出社が選べるようになり、定期購入用の通勤手当がなくなりました。そのため、出社したときに発生する交通費を「経費」として精算しなければならなかったんです。

@marony(System Engineeringチーム

僕が所属するSystem Engineeringチームも含めたCorporate Engineering部門は、メンバーの社用PCを管理したり、オフィスのインフラを維持したりする必要があるため、交代で出社していました。だから僕も「毎回、交通費を精算するのは面倒だなぁ」って思っていたんですよね(笑)。「ならば、交通費精算を自動化すればいいんじゃないか?」と思い、取り組んでみることにしたんです。でも、最初は全社展開する予定はなくて。

ーあれ、メルカリグループのみんなが使っていますよね?

そうなんです。本当はもっとステルスで進める予定でした。ところが、開発途中でDXソウゾウ会議の運営メンバーである小野愛さんに見つかってしまい、「これはすごくいいものだから、全社展開しましょう」となったのでした(笑)。

しかし、コンカーのAPIを使うには権限周りのハードルが高く、そう簡単には使えない。そこで使ったのがRPAでした。ちょうどDXソウゾウ会議でCoopelというRPAツールを推進していたので、それを使ってレポートを申請する仕組みをつくりました。RPAを使って自動化するのは初めての経験だったので、他メンバーに教えてもらいながら、メルカリメンバーの代理で申請できるシステムアカウントを作成し、そのアカウントを使って自動処理を実装。最終的に、Slackでコマンドを入力すれば、自動で申請レポートを作成してくれる仕組みが完成しました。

一番悩んだのは、Coopelの処理における「繰り返し処理」と「エラー処理」のところ。コードを直接書く場合と違って、RPA上で表現するのはなかなかクセのある仕様だったので、他のメンバーにも「これはどうすればうまくいきますかね?」と相談しつつ、開発を進めていましたね。

「スキルを高めたい」と入社したメルカリで挑んだ業務

ー@maronyさんは、前職でも社内ITをしていたんですか?

僕のファーストキャリアは、野村総研です。そこで、海外に支社を多く持つ企業のグローバルオフィスに共通のネットワーク・セキュリティインフラを整える業務をしていました。プロジェクトマネジメントとベンダーマネジメントが中心だったのですが、ふと「自分自身のスキルも強めたい」と、転職しようと思ったんです。そのときに出会ったのが、メルカリの社内ITチームでした。

ー当時のメルカリ社内ITチームで、どんな仕事をしていたんですか?

僕がメルカリへ入社した2019年初めごろ、社内ITチームでは、認証基盤としてシングルサインオン(IDとパスワードによる認証を一度行えば、複数のサービスへログインできる仕組み)を導入しようとしていました。前職でも認証基盤を担当していたので、入社してすぐ担当させてもらうことになったんです。

ー@maronyさんは前職でもコーディングなど「実際に手を動かす仕事」をしていたんですか?

前職ではコードを書いたことはありませんでした。ベンターさんからいただいたものをレビューしたり、タスク管理したりするのがおもな仕事だったので。それこそ、コーディングやスクリプトを自分で書いたのは、メルカリが初めてでした。実は、メルカリで初めてのコーディングは自分が導入した認証基盤(Okta)のセルフパスワードリセット機能です。導入当初、パスワードリセット依頼が大量に来てITチームがパンクしかけたので、どうにか自動化できないかと頑張って勉強して開発。その経験がきっかけで、いろいろなことを自動化しようというモチベーションが生まれました。

交通費申請自動化は「メルカリで得た成功体験の1つ」

ー交通費自動化の話しに戻りますが、開発を振り返ってみてどうですか?

RPAは初めて使ったのですが、APIだけではできないことも実現できて、おもしろかったです!System Engineeringチームは、メルカリグループで働くメンバーに、本質的な仕事に集中してもらうための環境を提供することがミッション。そういう意味でも、自分にとって新しいテクノロジーを使って「面倒だ」と感じる作業を楽にできたことは、いい成功体験になりました。

先ほどもお話ししたとおり、前職までは「プロジェクトマネジメント」が中心でした。だからなのか、メルカリに入ってから、自分で手を動かしてつくったものがみんなに使われるようになり「便利だ!」と言ってもらえる感じはとても新鮮です。

ー全社展開後の反応は?

公開後は、コーポレート部門以外のメンバーから「こんなものがあったのか!」とコメントをもらったりして、「みんなが求めるものをつくれたんだ」と実感しました。公開翌月には100件ほど申請されるなど、日を追うごとに使用率は高まっています。

今後はより簡単に使えるようにするため、「出社したけど、コマンドを打ち忘れた」みたいなときにも対応できるようにしたいですね(※記事公開時点では実装済み)。今は電車通勤を前提とした仕組みになってしまっているので、バス通勤の経路にも対応したいなと思っていますし…。やりたいことは、たくさんあります!

ー@maronyさん、ありがとうございました。@maronyさんの所属するSystem Engineeringチームでは、一緒に働く仲間を募集中です!興味を持ってくださった方はぜひ求人もチェックしてみてください。

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