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メルカリAnalyticsチームのミッション・ロールモデルを策定した狙い──マネージャーが語る“変遷”と“今”

2021-3-12

メルカリAnalyticsチームのミッション・ロールモデルを策定した狙い──マネージャーが語る“変遷”と“今”

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「メルカリの成長を主導するブレインになる」──これはメルカリ分析チーム(Analyticsチーム)が独自に策定したビジョンです。

メルカリグループには「新たな価値を生みだす 世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションがあります。一方で、Analyticsチームは新体制になったことをきっかけに、独自のミッション・ビジョンを策定したほか、アナリストとしてのロールモデルも定義しました。さて、その意図は?

そこで今回のメルカンでは、Analyticsチームのマネージャーである飯田修一(@shuichi)、五十嵐 航(@igachan)、永井伸弥(@hiza)が登場。ミッション・バリュー・ロールモデルを明確にした背景と狙いを聞きました。

※撮影時のみ、マスクを外しています。

この記事に登場する人


  • 飯田修一(Shuichi Iida、@shuichi)

    メルカリAnalyticsチームマネージャー。DeNA, DeNA San Francisco を経て 2014年にメルカリ入社。 メルカリUSにて米国でのメルカリの立ち上げに参画した後、日本に帰国しメルカリJPに転籍。 現在は分析チーム全体の責任者を務める。博士(数理科学)。シリコンバレー在住歴は計7年半。

  • 五十嵐 航(Wataru Igarashi、@igachan)

    メルカリGrowth Analyticsチームマネージャー。新卒入社したグリー株式会社ではシニアマネージャーとして分析組織をリードし、全社の事業を横断的に支援。分析組織でありながら、企画書の作成や開発の進行管理、ゲームバランス調整まで一貫して行い、事業の課題解決に従事。 メルカリ入社後は、Growth領域の分析チーム責任者としてメルカリグループ成長のための事業課題解決に取り組んでいる。

  • 永井伸弥(Shinya Nagai、@hiza)

    メルカリAnalytics Infraチームマネージャー。新卒入社した製薬メーカーで社内情報システムの企画を担当。その後、ソーシャルゲーム、受託データ分析会社等で、ソフトウェアエンジニアリングや機械学習、データ分析に取り組む。2019年1月に株式会社メルカリに入社。現在は、全社の分析環境の改善や、A/Bテストの改善するチームのマネージャーを担当。


ミッション・ビジョンを策定、ロールモデルを定義した狙い

──全社で掲げているものとは別に、グループやチーム単位でミッションを決めたりするのは、なかなかめずらしい気がしています。なぜAnalyticsチームでは、ミッションやビジョンを策定することにしたんですか?

@shuichiデータアナリストやデータサイエンティストは、会社ごとにやっていることが全然違います。そのため、“自分たちが何者か”を定義し、外に発信していかないと認識がズレていくと感じていました。また、他チームからリクエストを受けて仕事するという“受け身”の姿勢だと、全体感がなくなってしまいます。そういった事態を避け、かつ“自分たちが何者か”を定義できるようにミッションとビジョンを策定することにしたのです。

@igachan:以前のAnalyticsチームは、個人プレーの要素が強い組織でした。会社のメンバー数やアナリストの数もまだ少なく、お互いの成果が見通せる状況だったので、よりスピーディーに意思決定を支える必要があったんです。しかし、業務の幅が広がり、組織間の連携や横断によって起こる課題を解決するために、「連携プレー」が重要になってきました。そのためにも、チームのミッションとビジョンをつくることにしたのです。

──ミッションとビジョンだけでなく、ロールモデルも整理されていますよね?

@shuichi:アナリストという職種の歴史はまだ浅く、途中でキャリアチェンジする人も多い。そのため、なかなかキャリアパスが見えにくい部分もあるんです。そうした背景があるからこそ、ロールモデルというかたちでアナリストのキャリアパスの4パターンに分類し、それぞれ求められる能力の基準を定義しました。同時に、「こういう可能性もあるよ」と伝わればと思っているんです。

  • Strategist(Data Analyst,Product/Data Analyst,Business)・・・事業全体への影響がある本質的な課題に対して、課題の発見から解決まで一貫して主導する事ができる
  • Expert(Data Scientist)・・・プロダクト全体へ影響のある本質的かつ高度な専門性を必要とする課題に対して、課題発見から課題解決までを一貫して主導することができる
  • Architect(Data Architect)・・・グループ全体のデータ活用のあり方について、中長期的な視点に立って、意思決定の効率、正確さを継続的に改善し続ける
  • Manager・・・グループ全体のビジョン・ロードマップに沿ったチーム方針を示し、適切なアサイン、フィードバックを通してチームの成果を最大化させることができる

@hizaアナリストのキャリアは、チーム内でも重要なテーマと捉えています。だからずっと「どんなことができるのか」を考え続けてきました。現在はマーケティング・リサーチやUXリサーチ、データ分析を組み合わせをつくろうとしています。それを通じて、アナリストという枠を越え、新たなロールモデルを形成できたらと思っています。

@shuichi:スキルの幅も影響力を発揮できる場も、今よりもっと広げていけたらいいなと思っています。例えば、今までは「経営陣に提言する」「PMに改善提案する」といったことが一般的でした。それが、少しずつ外へ滲み出てきた感じがありますね。

“一人目のアナリスト”から見たチーム発足当時と現在

──ここで一度、メルカリのAnalyticsチームがBI(Business Intelligence)と呼ばれていたころまで歴史をさかのぼってみたいのですが…。@shuichiさんは、“メルカリにとって1人目のアナリスト”として入社したメンバーだと聞きました。当時、どのような状況だったのでしょうか?

@shuichi:私がメルカリに入社したのは2014年7月。当時、メルカリのメンバー数はまだ30名ほどで、日本では手数料をとっておらず、売上もほぼなかったような時代でした。そんな状況のメルカリに入社することになったわけですが、その経緯はけっこう偶然で(笑)。

──偶然だった?

@shuichi:というのも当時は、前職のアメリカ支社で働き始めて3年経とうとしていたころ。それこそ「ここに骨を埋めるぞ」くらいの気持ちだったんですが、突然「日本に戻ってほしい」と言われたんです。それがきっかけで「何か、アメリカに残る方法はないか?」と現地で就職活動をスタートしました。そんななか、「日本人が集まる鍋パーティーが開催される」と知人から聞いて参加したんです。そこにいたのが、進太郎さん(メルカリ代表取締役CEO、山田進太郎)と石塚亮さんでした。

飯田修一((@shuichi)

@shuichi:このときは、ちょうど米国事業である「メルカリUS」をローンチした直後くらいのタイミング。人を探していたこともあり、後日面接を受けて入社する流れに至りました。メルカリUSはまだシェアオフィスで、4人のテーブル席に3人分だけ埋まっている感じで少し不安もあったのですが…(笑)。

──2013〜2014年のメルカリは今よりも規模が小さく、特にアメリカでは無名でした。不安だなと思いつつ、なぜジョインすることにしたのですか?

@shuichi:個人的にもスタートアップに興味があったことに加え、面接で「先月、GMV(流通取引総額)が20億円を超えたんだよ」と話しているなど、何か異様な熱気みたいなものを感じたんですよね。数字から見ても倍々ゲームで成長していましたし、日本ではちょうどテレビCMを打とうとしていましたし。面白いフェーズだなと思って、入社を決めました。

僕はアメリカのオフィスを立ち上げる前提で入社したのですが、ビザの関係もあり、入社から1年半くらいがメルカリ日本オフィスで働いていました。最初の1年くらいは自分しかいなかったので基盤整備を進めていましたね。2016年前半くらいに@nonasho、@hasebe、@hikaruといったメンバーが入社。そのタイミングでアメリカへ行くことになりました。なので、その後の日本オフィスはあまり知りません。ただ、当時のBIメンバーは日本とアメリカで一緒に動いていました。例えば、共同分析して「アメリカはLTVが低いねぇ」とか言い合っていたんです。今は会社も別になっているので、信じられない人も多いと思いますが(笑)。

@shuichi:振り返ってみると、なかなか大変な時期だったのですが、面白さもありました。会社のメンバー全員が1つの部屋に集まるくらいの規模感だったので、新メンバーが来たら総出で歓迎会をしたり、山梨県で全社合宿も開催したり。CSメンバーとも距離が近かったし、人事や総務の専任メンバーもいなかった。みんなでペットボトルのお茶を買ってきて、それぞれが自分のコップに注いで飲むこともやっていましたね。そう考えると今のメルカリは…かなり環境が整ったと感じますね。

個人プレー型チームから「チームプレー型組織」へ

@hiza:僕からも質問です!そのころのメルカリは、定量的に分析しにくいテーマも多かったと思います。分析における役割って、どんな感じだったんでしょうか?

@shuichi:分析基盤ができあがっていなかったので、その整備に追われていました。当時はTreasure Dataというシステムを使っていたのですが、ログも少なく、動きも遅い。そのため、Treasure Dataを入れ替える提案から始めました。あとはA/Bテストの仕組みやBIツールもなかったので、そういったものの導入も進めましたね。

@igachan:僕は2019年4月にメルカリへ入社したのですが、たしかに当時働いていたメンバーは入社直後にアメリカオフィスへも行っていたと聞いた記憶があります。このときのメルカリは、組織規模も急拡大中でした。カジュアルに話を聞いていたときは500人規模だったのに、面接時には「今は1,000人規模です」と言われて、かなり驚きました。

五十嵐 航(@igachan)

@hiza:僕は@igachanとほとんど同じタイミングの2019年1月入社なのですが、Analyticsチームの役割分担はさておき、Buyer UXがあるなど、プロダクト開発の役割分担は進んでいた印象です。

@shuichi:2014〜2015年ごろは、Buyer(買い手)やSeller(売り手)に分かれるようなプロダクト開発体制ではなかったですし、PMもほとんどいませんでした。そこから縦に専門的な組織が立ち上がっていき、現在は横軸で連携をとるなど統合が進んでいますよね。やはり専門的な組織で分けてしまうと全体が見えなくなるので、Analyticsチームも含めて横軸に連携をとる揺り戻しは来ているな、と感じます。

@igachan:僕が入社したばかりの頃は、メンバーそれぞれが個人で動くことも多かったのですが、今はチームプレーで連携することが増えてきていますね。

@shuichi:そして、2020年にメルカリ東京オフィスへ異動。我々のAnalyticsチーム体制を再編し、それにともなって、今回ご紹介している独自のミッションとビジョンを策定したのです。

Analyticsチームは大きくジャンプするタイミング

──ミッションとビジョン、ロールモデルを策定したAnalyticsチームですが、これからどんなことをやろうとしているんですか?

@shuichi:現在もさまざまなチームと連携していますが、それでもまだまだキャッチできていないフィーチャーや事業があると思っています。例えば、コーポレート部門で行われているPeople Analytics、お客さまと密にやりとりしているCS、はたまた鹿島アントラーズなど。将来的には、そういった領域とも関わるかもしれない。データ活用という観点から見ると至るところにチャンスがあるので、機を逃さないようにしたいですね。

@hiza:僕は、A/Bテストやデータ基盤の整備、UXリサーチといった「ハードスキル」の習得をもっと強化していきたいと思っているところです。

永井伸弥(@hiza)

@shuichi:いいですね!アナリストとしてのキャリアを始める上で必要なハードスキルは、実はそんなに多くありません。ですが、アナリストとして高みを目指すには必要です。できる範囲のことを気合いでやっているだけでは、成長は止まってしまう。だからこそ、意識的に新しいことを学ぶ姿勢は、アナリストとして成長するためにも重要ですね。

@igachan:それを経験できるのは、メルカリならではと思います。他の会社では、相談できるアナリストが少なかったり、自己流でやっている人が集まっていたりして、人から学ぶのが難しい。一方で、メルカリは多様なバックグランドのメンバーがいて、なおかつハードスキルを確立しているメンバーも多い。そういうメンバーと一緒に働きながら学べるのは、良い環境だと思います。

@shuichi:UXリサーチや機械学習のプロフェッショナルもいるので、自分を高めるためには良い環境ですよね。また、サービスの規模が大きいので、その分、インパクトも出しやすい。結果を出す場所としても、非常にいい環境です。

そもそもチームとは、1人ではできないことを実現するためものです。だからこそ、同じような人が集まっていても、あまり意味がない。違うマインドやスキルを持った人が集まって、今までできていなかったことを成し遂げることもやっていきたいですね。そのために、バックグラウンドのダイバーシティも意識して、採用を進めていきたいと思っています。同時に、受け入れる側の体制も整えていくつもりです。

@igachan:少し手厳しいことを言うと、多様な人材を採用したい気持ちは強いのですが、「メルカリにいない人材」だからといって、下駄を履かせるつもりはありません。どのバックグラウンドでも、ベースのスキル要件は同じものを求めます。Analyticsチームがさらに拡大していくには、採用のチャネルを広げ、属性が違うメンバーもフラットに評価できるようにすることが重要。この2つは、コツコツと積み上げていきたいですね。

ミッション・ビジョン・ロールモデルを「マネージャーだけの満足で終わらせたくない」

@hiza:改めて振り返ってみると…Analyticsチームは組織っぽくなってきましたね。

@igachan:ですね!今回のミッション・ビジョン・ロールモデルを、専門性が異なるマネージャー3人で議論を進めたことも、環境整備が進んだ要因として大きいと思っています。お互いに遠慮せずに、対等な議論ができますし、共通KRなど横断的な目標に対しては連携して一緒に取り組めましたよね。

@shuichi:Analyticsチームのミッションとビジョンはまだ完成したばかり。どうやって浸透させていくかは、まさにこれからです。メルカリのビジョンやミッションも経営陣が言い続けたことで浸透したと思うので、口にし続けることは大事だと思っています。マネージャーである僕らの自己満足で終わらせないようにしたいですね。

@hiza:メルカリのミッションとビジョンは、全社向け資料の冒頭に入っていたり、Weeklyの会議体にも入れてたりしていますよね。個人的には、ミッションとビジョンを策定したことで、共通の空気感みたいなものを言語化でき、採用でもメンバーの目線が合せやすくなりました。今後も、非常に良い効果が続くはずだと感じています。

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