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「地元に貢献したい」と“地銀”で副業を始めたメルカリ・メルペイメンバー、その手応えは?

2021-3-16

「地元に貢献したい」と“地銀”で副業を始めたメルカリ・メルペイメンバー、その手応えは?

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「初めまして、静岡銀行の池田早紀です」
「ご丁寧にありがとうございます、大垣共立銀行の伏見慎剛です」

そんな名刺交換から始まったのは、メルカリ・メルペイに務めながら副業として銀行で働くメルペイVP of Growthの伏見慎剛(@shingo)と、メルカリContentsチームの池田早紀(@sakiccho)の対談でした。

メルカリグループでは本業のほか、個人の副業も推奨しています。書籍執筆やイベント登壇、コンサルティングなどさまざまな副業があるなか、@shingoと@sakicchoが選んだのは「銀行員」。一体なぜ?対談は、2人が「銀行員」として副業を始めるきっかけからスタートしました。

※撮影時のみマスクを外しています。

この記事に登場する人


  • 伏見慎剛(Shingo Fushimi)

    早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、株式会社リクルート(現株式会社リクルートホールディングス)に入社。人材領域や販促領域での営業や営業マネジメントを経験した後、新規事業開発に従事。主にO2O決済分野のサービス立ち上げや事業運営に携わる。2012年より、創業期の株式会社Origamiに参画し、事業拡大のためのビジネス全般を担当し、戦略的提携や資金調達等にも従事。2020年2月、同社のメルカリグループ参画により、株式会社メルペイへ入社。2020年7月より現職。

  • 池田早紀(Saki Ikeda)

    大学卒業後、株式会社幻冬舎に入社。雑誌編集者や単行本の企画、企業ブランディングブックの企画を経験した後、組織開発のベンチャー企業に転職し、10年間で約100社の組織開発業務に従事。2人目の育休取得中にメルカリにハマりすぎてメルカリに入社。HRにて採用・組織開発に従事したのち、ブランディングチームへ異動。現在は、お客さまとのイベントやおもにSNSを通じたコミュニケーションを担当。


Origami時代からつながっていた大垣共立銀行との縁

@shingo:名刺交換してみましたけど、このやりとりは不要だったんじゃ(笑)。

@sakiccho:本当に不要でしたね(笑)。今日はよろしくお願いします。さっそくなんですが、@shingoさんと私はメルカリグループで働きつつ、地銀で副業もしています。@shingoさんの場合は、岐阜県の大垣共立銀行で副業していますよね?どうして大垣共立銀行だったんですか?

@shingo:僕はOrigamiの創業時からメルカリグループ入りするまで、事業開発などを担当していました。ちょうどOrigami Payというスマホ決済サービスを立ち上げるとき、高校時代から髪を切ってもらっている地元の美容院へ行ったんです。そこで「Origami Payのプロトタイプを使ってみてくれへんか?」と雑談混じりに話していました。嬉しいことに、導入してくれたわけです。そうすると、偶然にも同じ美容院で大垣共立銀行の役員の方も髪を切っていたようで。Origami Payを見て興味を持ってくださったらしく、美容師さんが僕を紹介してくれたという流れがあったんです。

伏見慎剛(@shingo、メルペイVP of Growth)

@sakiccho:まさかの出会いじゃないですか!

@shingo:僕も、Facebookメッセンジャーで初めてご連絡をいただいたとき「まさか!」と思いましたよ(笑)。よくよく話を聞いてみたら、地銀としてお客さまへ向けて預金サービスを展開してきたけれど、いろいろ市場環境が変化する流れがあったこと、新たな取り組みを考えているけれどなかなかいいものがないこと…。そこで「何か一緒にやりませんか?」と声をかけられたんです。大垣共立銀行内のフィンテック検討会みたいなところに参加したり、多くの行員の方々が集まる会に呼ばれたりしましたね。たしか…2015年ごろからだったと思います。

そのご縁から、大垣共立銀行はOrigamiへ出資。地方創生を目的とした取り組みを正式にスタートさせました。今、Origamiはメルペイと統合されていますが、僕としては引き続き、地元に貢献できればと思い、顧問として参加することにしたんです。

@sakiccho:深い歴史があったんですね。

@shingo:地元ですからね。僕の親世代と大垣共立銀行の常務や重役は同世代だったりして「◯◯さんのところのお父さんは大垣共立銀行の△△だった人だよ」「あそこの支店長さんは元気かな?」みたいな会話でよく盛り上がりますし。

インタビュー冒頭で交換した名刺

「心のどこかで、静岡のために何かしたいと思っていた」

@shingo:@sakicchoさんは静岡銀行ですよね?きっかけは?

@sakiccho:私は静岡出身で、大学までずっと県内にいました。静岡が大好きなので、県外へ出ようと思ったこともなくて、就職も当然県内でしようと考えていました。そんな大学卒業直前に、インターネットのすごさを知ってしまいまして。

@shingo:なるほど(笑)。

@sakiccho:すでに静岡のマスコミから内定をもらっていて「よーし、この仕事で地元を元気にするぞ!」と考えていました。一方で、インターネットで世界の広さを知るにつれて「静岡から出たことがない私が、本当に地元の役に立てるんだろうか」と思い始めたんですよね。静岡のいいものを広げたいなら、県外にネットワークをつくってから戻ってきたほうがいいのではないかと。そのため、県内企業の内定を辞退し、東京で就職することを選びました。そして、静岡へ帰ることなく東京で働き続けているわけですけれども!

一方で、心のどこかでずっと静岡のために何かできたらいいなと思っていました。そうしたら、ちょうど1年半ほど前に静岡銀行から「メルカリの人事制度を聞きたい」と知り合い経由でご連絡をいただいたんです。話してみたら、静岡銀行でOKR(Objectives and Key Results)を取り入れたいという相談でした。にも関わらず、相談を聞き終える前に「それはうまくいかないと思います」と食い気味に言っちゃって。

池田早紀(@sakiccho、メルカリContentsチーム)

@shingo:ははは。

@sakiccho:銀行のビジネスや風土を考えると、OKRは合わない部分が多いと感じたんです。てっきりそれで終わりかと思いきや、そこからお付き合いが続き、数カ月後に静岡銀行の人事部長から「副業人材第一号として一緒に変革しませんか?」とご連絡をいただき、参加することになりました。

「静岡銀行の変革…重たそう!」とも考えたんですが…。頭取にもお会いし、「お客さんのためにもっと課題解決ができる企業にならなければいけない」「そのために本気で多様性ある静岡銀行に変えたい」という話を直接聞いて、何か役に立てるかもしれないと思ったんですよね。頭取は中学校も高校も同じで「先輩じゃないですか〜」と、地元特有の盛り上がりもありました。

@shingo:あるあるですね。

課題解決型企業にするための「社内ルール」を見直す

@sakiccho:余談なんですけど、私が「静岡銀行とならできるかも」と感じたエピソードがあって。メルカリのオープンな文化やそれをつくるコミュニケーションツールとして、Slackの事例を出したんです。そのときの反応は「Slackって何?」みたいな感じでした。

しかし、数時間後に人事部長から「自分のスマホにSlackを入れてみました。これでやりとりしましょう!また相談させてください」と言われて。新しいものをまず試してみるとか、できない理由ではなく「できる方法を探す」とか、そういうスタンスを感じた出来事でしたね。

@shingo:銀行は別に閉じているわけじゃなく、ただ最初の一歩が重たい企業体なだけなんですよね。そもそも地元の超人気企業で働く優秀な方々なので、きっかけさえあれば、ぱっと動くというか。

@sakiccho:そうなんですよね。ご一緒して一番驚いたのは「この人たち、めちゃくちゃ動きが速くない?」でした。私は人事部のメンバーとして静岡銀行で副業しているのですが、コロナ禍で会社説明会ができなくなり「いい方法はないか?」と相談されたので、「YouTubeでライブ配信をやってみては?」と提案。その2週間後には、1回目のライブ配信が始まっていました。また、すべてリモートで企業の採用支援をしてくれる会社を紹介したら、2週間後には法人向けのソリューションの一つとして業務提携が確定したり。銀行に対しては保守的&腰が重たいイメージを持っていたのですが、それを覆されることも多々ありましたね。

@shingo:わかります。そういうところが銀行にはありますよね。僕の場合、対面で会うときにシャツを着ていくんですが、これをTシャツに変えられないかと考えたことはありますね。ただ、銀行内では服装の規定があるので、さすがに自分だけTシャツで行くのはなんとなく忍びないので断念しましたが。

@sakiccho:銀行には、いろいろなルールがありますよね。そのなかには、変えたほうがいいものもあれば、変えないほうがいいものもある。静岡銀行では昨年、服装のルールを変更しました。シーンに合わせて自由に選べます。というのも、静岡銀行は課題解決型企業になるために働き方も見直し、行員がより成果を出し、成長できるように、フレックス制度やテレワーク、また副業の推奨(!)まで導入しています。これはもう、今やメルカリとほぼ変わらない。だいぶ先進的だと思います。変革のためにどんどん見直していきたいですよね。

銀行から学んでいるのは、信用力を高める作法・向き合い方

@sakiccho:@shingoさんは、大垣共立銀行でどんなことをしているんですか?

@shingo:大垣共立銀行には中途採用の方があまりおらず、新卒から働き続けているメンバーがほとんど。いわゆるDXやカスタマーサービス、フィンテックなどを考えようとすると、内部だけでアイデアを出すには限界がありました。だからこそ、うまく外の情報を取り入れつつ、大垣共立銀行にとっていい方法を見つけることが大事。僕はまさに“外の情報”を取り入れる役割を期待されています。と、そんなことを言っていますが、実際には僕のほうが教えてもらうことも多くて。

@sakiccho:例えばどんなことですか?

@shingo:地銀は、地域の血液。そう思えるくらい、お金を預かる以外でも「よろずや」として地域に浸透している。だから、存在も役割も大きくて重たい。地域に住む人たちへ信頼や安心を提供し続けてきた歴史があるから、圧倒的なプレゼンスを得ています。

IT企業は銀行における存在に比べて軽く感じることがあります。僕自身、これまでOrigamiという金融周辺サービスをやっていたわけなので、信用力を高めるための体制やお作法、向き合い方は、大垣共立銀行から学んだことがとても多いですね。

@sakiccho:たしかに、地銀のステークホルダーは本当に幅広い。

@shingo:そうそう、だから面白いですよね。どんな価値観でサービスを提供しているのか。このスタイルは、IT系スタートアップにはなかなかない考え方だったりします。だって、改めて考えてみてくださいよ?地元の人が全員知っている企業名と言えば…銀行と鉄道、地方局ですからね。このラインナップにあがること自体、すごいんですから。

@sakiccho:@shingoさんのもとに寄せられるDXの相談は、銀行内で行うものですか?

@shingo:銀行内・取引先の両方があります。取引先にある課題や銀行にとってのベネフィットを考えつつ、地域に対してよさそうなアングルを見出せないか…そのあたりに取り組んでいます。

銀行での副業を始めて「モノの見方が変わった」

@sakiccho:銀行で働いてみて、どんな知識・スキル・経験が活きていると感じますか?

@shingo:「情報の非対応性をどうするか」ですかね。フィンテックというセクターで切ったとき、どんなサービスがあり、どんなものなら受け入れられそうかを、僕なら考えられる。その感覚を、大垣共立銀行へ移植できたと思っています。その結果、彼らもフットワークを軽くしていろいろなところへ話をしに行きますし、場合によっては、業務提携だけでなく資本提携まで発展したケースもありました。

もう1つは、タッチポイントづくり。僕はリクルート出身なんですけど、そこでは地域のSMB(中堅・中小企業)へ深く入り込んでいることでの高い事業価値を体感しました。大垣共立銀行も「相談すれば、地域のサービスカバレッジのようなものをつくってもらえる」となれば、いろいろな企業から声をかけられやすくなる。そのモデルをどうつくるのか、今まさにやろうとしています。あとは、人材ですね。提携先企業に出向するケースはよくありますが、その仕組みはもっとブラッシュアップできる気がしているんです。@sakicchoさんは?

@sakiccho:私、むしろ静岡銀行で働いている経験がメルカリで活きているなぁと感じているんです。私はもともと組織開発を10年くらいやってきて、メルカリへ入社した当時も「人事担当」でした。そこから、よりお客さまと触れ合える仕事がしたいと希望を出し、コミュニティ運営を経て、今はSNS運用を担当しています。でも、メルカリのお客さまは幅広く、いざ向き合おうとしてもN=1に該当する方々が思い浮かばなくて…。そりゃそうですよね、家とオフィスを行き来するだけの生活じゃ、メルカリがターゲットとしている幅広いお客さまの感覚に触れることはできない。

静岡銀行を通じて改めて地方と関わると、幅広いターゲットの人たちの生活や価値観、リテラシーを知ることができる。勉強になることだらけなんですよね!おかげで、モノの見方が変わりましたし、もっと日本全国を360度で見ていかなければいけないと気持ちが引き締まりました。

@shingo:同感です。いろんな人と関わらないと、偏った情報しか入ってこない。この副業を通して、僕らがメルカリグループ・地銀にとっていいハブになれたら、それ以上に嬉しいことはないですよね。

「地元をどんどん元気にしたい」

@sakiccho:「静岡銀行で副業しています」とツイートしたら、静岡出身の知らない人からたくさんコメントやDMをいただいたんですよ。「何かできることがあったら声をかけてください」って言ってくれる方もいて。それを見て、地元と関わりたいと思っている人はもっとたくさんいる気がしました。けれど、関わるためのプラットフォームが整っていない。そこは、ぜひ@shingoさんに頑張ってもらいたいです!つくって!便利なやつ!!

@shingo:大役だ!(笑)。僕も、地元をどんどん元気にしたい気持ちは強いです。静岡銀行も大垣共立銀行も、限定されたエリアでどうレバレッジしていくかがビジネス上でとても大事。言い換えれば、その枠を「自分たちの庭」として認められている部分もありますよね。どう耕すのか、どう豊かにするのか。対取引先、対コンシューマーに向けて提供できるスキームをつくっていくなかで、どんな成功モデルをつくれるか。その部分を、多少でもサポートできたらと思っています。そして、地元へ還元していきたい。そのために、僕ら以外の外部人材が採用されやすい風土ができるといいですよね。@sakicchoさんに負けないよう、頑張ります!

@sakiccho:私も頑張ります!

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