メルペイがミッションに掲げている「信用を創造して、なめらかな社会を創る」で、重要な役割を担っているのがCredit Design(クレジットデザイン)チームです。…と書くとカタ〜いイメージをしそうですが、そこにはキャリアもバックグラウンドはさまざまだけれど「信用をカタチづくるおもしろさ」に魅了された、なかなかゆかいなメンバーが集まっておりまして!
そんな彼らの個性豊かな人柄に触れつつ「あなたにとって信用とは?」と聞いちゃう本企画。第1回目は、プロダクトマネージャーの水野 寛(@kanm)と、UXリサーチャーの草野孔希(@keiny)が登場します。聞き手は、Credit Designチームのプロダクトマネージャーである鍛 哲史(@kj3104)です。
※撮影時のみ、マスクを外しています
この記事に登場する人
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草野孔希(Koki Kusano、@keiny)通信事業会社の研究所に入社し、デザイン方法論の研究および研究知見を活用したコンサルティングに従事。同時に社会人博士として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にて博士後期課程を修了 博士(SDM学)。2018年11月にUXリサーチャーの1人目としてメルペイに入社し、UXリサーチを活用したサービスデザインに取り組む。 -
水野 寛(Kan Mizuno、@kanm)Web制作会社でディレクターとして様々なWebサイト構築に従事。その後、株式会社サイバーエージェントでSNSアプリや広告メディアの立ち上げ経験を経て、アバターコミュニティサービスのUX設計や新規アプリの開発責任者を担当。2018年9月にメルカリに入社後、取引画面のUX改善を担当。2019年1月にメルペイに異動してからは、メルペイスマート払いのプロダクト開発を担当している。 -
鍛 哲史(Satoshi Kaji、@kj3104)大学在学中にWeb、ゲーム、VRの事業を立ち上げたのちブロックチェーン企業の創業に参画し日本事業のプロダクトの責任者として従事。海外の国立銀行でのプロジェクトや日本のKYC高度化プロジェクトなどを進行。2018年5月にミッションに共感しメルペイに入社し、メルペイスマート払いをはじめ、さまざまなプロジェクトに取り組む。
前職との違いは「制約あるなかでの使いやすさ追求」「市場の激しい変化」
@kj3104:Credit Designチームでは、2019年に「メルペイスマート払い」、2020年にはメルペイスマート払いで利用した金額を分けて払える「定額払い」をリリースしています。どちらも、メルペイの事業に大きなインパクトがある機能ですが、お2人それぞれの役割は?
@kanm:Credit Designチームでプロダクトマネージャーをやっています!メルペイスマート払いや定額払いを中心に、企画の立案からリリースまでの開発ハンドリングをしています。定額払いは初期の構想から立ち上げに携わりました。
水野 寛(@kanm)
@keiny:僕はメルペイUXリサーチャーとして、リサーチ業務を担当しています。体験や機能に関することには、横断的に関わっていますね。定額払いは初期段階から担当していて、お客さまのサービスに対する理解や機能アイデア、使いやすさのリサーチをサポートしてきました。
@kj3104: @kanmさんも@keinyさんも、前職では決済領域以外の仕事をしていたと聞いています。これまでの仕事との違いを感じるところはありますか?
@kanm:僕は前職で広告メディアやコミュニティサービスのプロダクト開発を担当していたんですが、当時から変わらないのは「いかに日常使いしてもらえるか」ですね。今の仕事と比べて違いをあげるとすると…法的要件とコンプライアンス遵守を強く意識するところでしょうか。お客さまの大事なお金を扱う事業なので、消費者保護の視点は欠かせません。そういった制約がありつつ、サービスとしてのわかりやすさ・使いやすさを両立できる設計は常に意識しています。
@keiny:僕はメルペイへ入社する前まで通信事業会社で研究者をしていました。コンサバティブなイメージのある業界だったので、今携わっている決済領域と似た側面があるなと感じています。違いは、変化が激しいところ!メルペイに限らず、モバイル決済は競争環境や市場、お客さまの認知もセキュリティに対する考え方も変わり続けています。そのなかで「今の状況をどう捉えるか」は、リサーチャーとして気をつけているところですね。
@kj3104:メルペイへ入社する前まで「信用」「お金」に対するイメージってどんな感じでしたか?
@keiny:以前までは「信用とお金」には共通認識があると思っていたんです。でも、メルペイへ入社してリサーチを続けていくなかで、人によって意外と認識が違うことに気づきました。あと、お金との付き合い方には家計管理アプリなど「お金を管理したい人向けツール」や「コンテンツ」はたくさんある。だからこそ、決済サービスでも「お金とうまく付き合う方法」を学べるようなデザインがあってもいいと思うようになりました。それがないと、これまでのようにATMから現金を引き出し、財布にレシートが溜まっていくことで「使いすぎた」と感じるほうがいいと言われてしまったりします。
@kanm:実は僕自身がお金に対して無頓着で、それがコンプレックスでした(笑)。信用については「クレジットカードの与信のこと?」くらいの認識でした。それでもメルペイへ入社を決めたのは「お金のあり方を変えていく」「既存の金融サービスでは恩恵を受けられなかった人も使えるようにする」というテーマに熱量を感じたからです。
入社後、メルペイのミッションど真ん中にある「信用を創造する」部門であるCredit Designチームにジョインしてからは、お金に対する価値観を変える最前線にいるんだと感じながら、日々楽しく仕事をしています!
金融サービス未経験者がいるからこそできる議論がある
@kj3104: @kanmさんも@keinyさんも、メルペイスマート払いのリリースから深く関わり続けているメンバーでもあります。プロダクト観点、お客さま観点から感じたことは?
@keiny:メルペイスマート払いのリサーチに関わっていて1つおもしろかったのが、お金に対する欲求が「欲しいものを買うために今すぐ使いたくなる」一方で「長期的に健全なキャッシュフローをつくりたい」と、トレードオフな部分があることです。サービスとしては射幸心を煽れば…みたいな考え方もできますが、メルペイでは避けたいところでもあり。
草野孔希(@keiny)
@kanm:あー、すごく同感です。誤解を恐れずに言うと、決済サービスをグロースさせようとすると、与信を引き上げるなどして利用機会を増やす手段があります。しかし効果がすぐに見込める一方で、お客さまによっては利用額が積み上がって負担がかかってしまうこともあります。僕らとしても、そんな手段は使いたくない。
グロース視点では、メルペイの利用を増やすことを考えつつ、使いすぎにならないようにするという、アクセルとブレーキはうまく使い分けるようにしています。具体的には、ネットのお店でスマート払い決済ができるバーチャルカード機能のように利便性を強化しつつ、月々の支払い方や手数料のかかり方など、大事だけど複雑になりがちな情報をわかりやすく表現することに力を入れています。それによって、より日常に溶け込んで使われるようになり、長く愛用される存在にしていきたいです。
@kj3104:数字を伸ばすだけじゃないってことですよね。
鍛 哲史(@kj3104)
@keiny:ですね。そういう意味でも、僕らのチームは議論するテーマが多いですね。例えば、法律を守ることと、お客さまの使いやすさを追及することは方向性が一致しないこともあります。お客さまを守る法律だけを見ていると、使いやすさを追求できなくなることもあったり。だからこそ、それらを両立できるように真摯に議論しています。
@kanm:メルペイって、金融サービスをつくってきた経歴を持つメンバーが多いわけじゃないんですよね。それこそ、僕も含めてメルペイが初めての金融サービスというメンバーもいます。新サービスをつくる議論でも、既存のものをトレースするのではなく、金融のことがわからない立場の視点からシステムを捉え直したうえで、お客さまに伝わりやすい仕組みへ落とし込めています。お客さまのニーズや利用状況からサービスを発想できるのは、そういった環境があるからかもしれません。
また、@keinyさんをはじめUXリサーチチームの協力のもと、インタビューやユーザビリティテストなど、実際のお客さまとの接点を開発プロセスの中で常に持ち続けています。おかげで仕事も進めやすいですし、ものづくりの本質に向き合えている手応えがあります。
あと払いの仕組みを浸透させて「生活を豊かにする手段」にしたい
@kj3104:お2人とも、どのようなモチベーションでプロダクトを作っているのでしょうか?
@kanm:個人的には、金融リテラシーの向上に興味があります。メルペイスマート払いも定額払いも、世間一般からするとどうしても借金を生むサービスのような捉え方をされます。でも、よくよく考えると「あとから支払えないほど使ってしまうこと」がネガティブなんですよね。同時に「自己投資のための機会」を先に得られるというポジティブな捉え方もできます。欲しい商品があったら、まずは自分で設定できる予算の範囲で買ってみる。もちろん毎月のキャッシュフローを安定させるのも大事で、メルペイもその支払計画をサポートする。こんなふうに、使っていくうちにお金との付き合い方が上手になっていくプロダクトにしていきたいです。メルペイを入り口に、あと払い関連サービスを「生活を豊かにする手段」として使ってもらいたい。その可能性を模索するところは、おもしろいですね。
@keiny:僕はあと払いを「二度と使いたくない」と感じる人をゼロにしたいんです。先ほど@kanmさんが話していたように、僕らのサービスはポジティブに活かすことができます。そのために大事なアプローチは2つあると思っています。
・ プロセスの透明性を上げる
・ 小さな経験を積み重ねてもらう
@keiny:いきなり100万円の与信を手に入れて買い物…となると「使いすぎが怖くて手が出せない」となりがちです。最初は、1,000〜2,000円単位で使ってみてキャッシュフローの理解を深めていけば、あと払いでの失敗も減ります。そこへ、メルペイ内のお金を増やす手段でもあるメルカリも加わるとさらにおもしろくなる。そんなサービスはなかなかないですよね!
@kanm:わかります!自分の子どもが成人するまでの間で、お金を学ぶ最初の手段がメルカリだったらいいなって思うんですよね。不要になったものを売って売上金を手に入れて買い物をする。メルペイスマート払いで計画的にやりくりできるようになる…というプロセスに思いを馳せています。
@kj3104:そうですよね、売上金をそのままメルペイスマート払いへ回せるのはいいですよね。メルカリとメルペイのシナジーはどんどん高めたいです。
@keiny:メルカリでの購入も、お得なものが手に入ったり、意外な値段で不用品が売れたりと、商いの世界を体感できますよね。
金融は体験の幅が広い分野なので、サービスを作るチームも多様性に富んでいて、アナリストのようなデータに強いメンバーと携われるのもCredit Designチームの魅力。進太郎さん(メルカリ代表取締役CEO、山田進太郎)をはじめ、メルカリグループで働くメンバーみんながわりと本気で「世の中を変えたい」と思っています。僕らがやっていることは仕事なんだけど、青春を追いかけている感覚もあるんです。なんだか、青臭い組織だなって思いますね(笑)。
「信用とは、その人の可能性」
@kj3104:最後に、お2人にとって「信用」とは?
@keiny:あ、それ、リサーチのなかでお客さまに同じ質問をしたことがありますね。
@kj3104:なんと!
@keiny:おもしろかったのは、お客さまのなかに「信用はスコアで測れるものじゃない」「サービスに数値的に評価されるのは気持ち悪い」と話す方がいました。逆に「資格を持ってるのに評価されない」と悩んでいる方もいたんですね。その中間地点で、数値化しがたい信用をどう見せて、活用できるようにするかは、興味深いポイントです。ここがデザインできれば、世の中はもっと豊かになるはず。
@kanm:信用って、その人の「可能性」でもありますよね。メルペイでは「メルカリ」「メルペイ」における過去の利用実績を元に与信が決まります。それが今まで表現できなかった新しい信用を与える形になり、その人の新たな可能性を提供することになります。可能性の提供というのは、社会的にも意義があり、やりがいがあるテーマです。信用を起点に当たり前を疑ってルールを作り変えていくことは、まさに僕らのチームがやろうとしていることでもあります。
@keiny:メルペイはサービスとしてまだまだですし、磨くところも多いです。お客さまにご迷惑をかけていることもあると感じています。そこは真摯に向き合いながら、より良いサービスにするために頑張りたいですね。