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新ポジション“PMM”のメルカリにおける役割は?誕生のきっかけである「ドコモとのプロジェクト」から紐解く

2021-5-11

新ポジション“PMM”のメルカリにおける役割は?誕生のきっかけである「ドコモとのプロジェクト」から紐解く

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2021年1月から、メルカリグループでは「Product Marketing Manager(PMM)」という役割が新たに加わりました。

メルカリでのPMMとは、プロダクト開発の企画・進行を務めるProduct Manager(PdM)やマーケティングメンバーの役割に含まれていた「パートナーとの連携やマーケティング」を担当。しかし、なぜこのタイミングで新たにPMMを加えたのでしょうか。話を聞いてみると、きっかけはメルカリアカウントとdアカウントを連携させることでdポイントが貯まる「たまる・つかえる」機能にあるようで?

そこで今回は、dアカウント連携プロジェクトに初期から関わっていたPdMの高城良岳(@yoshi)とデザイナーの篠原友希(@u-ki55)、そしてPMMである佐伯航平(@kotazi)にインタビュー。dアカウント連携プロジェクトからPMMが生まれた経緯を聞きました。

※撮影時のみ、マスクを外しています

この記事に登場する人


  • 佐伯航平(Kohei Saeki、@kotazi)

    大学卒業後、株式会社サイバーエージェントにソフトウェアエンジニアとして入社し、ソーシャルゲームの開発業務を担当。2016年、メルカリのグループ会社であるソウゾウにジョイン。現在は、Partner Marketingチームのマネージャーとしてプロダクトマーケティングやグロース領域を担当している。


  • 篠原友希(Yuki Shinohara、@u-ki55)

    大学卒業後、制作会社にグラフィックデザイナーとして就職。紙・パッケージ・Webサイトなど、媒体&役割問わずのなんでも屋を経て、2018年9月メルカリに入社。現在はUI/UXデザイナーとしてフリマアプリ「メルカリ」のデザインを担当。


  • 高城良岳(Yoshitaka Takagi、@yoshi)

    大学在学中、21歳のときに福岡で起業し、学生向けコワーキングスペースや美容師と顧客のマッチングサービスなどを立ち上げる。2016年より株式会社サイバー・バズに入社し、複数の新規事業の立ち上げに従事。2018年に株式会社メルカリに入社。現在はPartner MarketingチームのプロダクトマネージャーとしてNTTドコモをはじめとしたパートナーと共同でプロダクト改善を担当。


PdMだけでは成り立たないプロジェクトからPMMが誕生

ーPMMの役割が新たに加わったきっかけがdアカウント連携による新機能と聞いたんですが、事実ですか?

@kotazi:事実です(笑)。dアカウント連携による新機能開発は、NTTドコモさんとのプロジェクトでした。これは、dアカウントとメルカリアカウントを連携させることで、メルカリで買い物をするときにdポイントを使えるというものです。機能をリリースさせたのは2020年6月。翌週にはキャンペーンをスタートさせるスピード感で進める必要がありました。そこでこのプロジェクトから、僕はPMMとして参加することになったんです。

通常、新機能を開発するときはまず一部のお客さまへ展開し、検証をくり返しながら全展開していきます。しかし、今回のプロジェクトでは6月にリリースしたら、すぐにキャンペーンを大々的に告知。リリースと同時にテレビCMを放映することになっていたので、いつも以上にミスができない状況でした。また、NTTドコモさんというパートナーと連動しながら開発やキャンペーン施策をつくっていたので、ギリギリまで交渉していた記憶です(笑)。

@u-ki55:私はデザイナーとして参加していましたが、このプロジェクトはNTTドコモさん側の仕組みも理解したうえで開発やデザインするほか、メルカリだけでコントロールできない部分も多かったんです。「こちらはどこまでできるか」「NTTドコモさん側でどこまでやってもらえるか」は、しっかりとした整理も必要でした。

篠原友希(デザイナー、@u-ki55)

@yoshi:PdMである僕にとって、dアカウント連携のプロジェクトで大変だったのはリリース日の社内調整ですね。各所に影響が出やすい場面だからこそ、なかなか難航しました。あと…“強制アプデ”とか!

ー強制アプデ?

@kotazi:dアカウント連携は当初、旧バーションのアプリでもキャンペーンに参加できることを想定したスケジュールで進めていました。しかし、ふたを開けてみたら、最新バージョンにアプリをアップデートしないとうまく参加できないことがわかったんです。その瞬間は「\(^o^)/オワタ」と思いました(笑)。そこで考えたのが、お客さまのメルカリアプリを最新のものへアップデートしてもらう「強制アプデ」でした。

しかし、強制アプデを進めてしまうと、お客さまが商品を発送するタイミングとアップデートが重なり、作業を妨げしまう可能性もありました。当然、サービス体験を下げてしまうことになりますよね。それだけは避けたかった。なので、最終的には「アップデートをすると、お客さまにいいことがあるよ」と事前にポップアップでメッセージを出すことで、なるべく早くアップデートしてもらえるような働きかけにしたんです。

佐伯航平(PMM、@kotazi)

@yoshi:メルカリだけの施策だったらリリース日をずらすこともできるんですけど、今回はパートナーさんもテレビCMも絡んでいて変えられない大前提がありました。だからこそ、いろいろな選択肢があるなかで「どうやるのか」をまとめ、そのなかでのプロコン(良い点=Pros、悪い点=Cons)を出して一つずつ潰していったんです。大変でしたけれど、この方法のおかげで乗り越えられました。

@kotazi:実はキャンペーン開始直前までデッドラインを設けていて「いつまでに浸透しなかったら強制アプデしよう」という計画も準備していました。幸い、メッセージを出すことでいつもより早く浸透できたので、強制アプデはせずに済みました。

@yoshi:「もう時間がない!」の焦りが一番辛かったですね。いかにUXを変えず、アップデートへ促すかはめちゃくちゃ考えました。このときの頭の回転は、すごく早かった気がします(笑)。

PdMは「開発・機能をつくる」、PMMは「価値を広める」

ーそして、新たに加わったのがPMM?

@yoshi:そうです。これまでのメルカリでは、機能をリリースしてテストし、問題ないことを確認してからキャンペーンを仕込み、2ヶ月ほどかけて浸透させていく流れでした。そのため、今回のようにdアカウント連携の開発とキャンペーン設計を同時にやらなくちゃいけないようなケースはあまりなかったんです。こういった進め方は、PdMだけでは成立しにくいと思いますね。

高城良岳(PdM、@yoshi)

@kotazi:わかりやすい説明(笑)。でも、確かにdアカウント連携に関しては、PdMとPMMが連携して一気に動かないと難しかったかも。

ーPdMとPMMの違いをもう少しくわしく教えてほしいです!

@kotazi:PdMの役割は、プロダクト全体を見ること。業務は開発やデザイン、マーケティングなど多岐に渡るので、それを分担するためにPMMができました。PMMは、CSとかマーケティング、セールスを統括する役割です。ひと言でまとめると、PdMは「開発・機能をつくる」、PMMは「価値をつくって、広めていく」のが仕事ですね。

ーPMMの役割って、マーケティングの役割にも似ていますよね?

@yoshi:基本的にMarketingチームの役割は、メルカリを使ったことがない新規のお客さまを連れてくることでもあります。今回の場合だと、NTTドコモさんのサービスは使っているけどメルカリを使ったことがないお客さまを誘導するのがMarketingチーム、既存のメルカリのお客さまにdアカウントを連携してもらうのがPMMみたいなイメージです。

@u-ki55:キャンペーンもすでにメルカリを使っている人を対象にしていたので、PMMみたいな役割の人がいてくれるのはすごく良かったですね。

@kotazi:あと、完全に初めての取り組みだったので、各々が職種名に縛られず、成功のために職種から染み出しながら動けたこともよかったと思ってます。

プロジェクトでは、PdMとPMMそれぞれの役割が生きていた

ーキャンペーンが開始されてからは?

@kotazi:機能がローンチして運用に入ってからは、数字を伸ばすことが大事になるので、グロース領域を意識して日々数字を見ながら改善をしていきました。そこから、さらに役割分担が明確になった気がしますね。

@yoshi:日々の数字進捗をベースに、まずは「ここの数字が弱い」「ここはもうちょっとポテンシャルあるよね」といった議論からスタート。次に、改善すべきポイントが「お客さまへの伝え方」なのか、「マーケティング部分」なのか、それともボタンの位置やアプリの挙動など「プロダクト部分」なのかを分析。プロダクト部分であれば、僕や@u-ki55さんが一緒に仕様を詰めて、そこへ@kotaziさんが入って「これくらいでリリースできそう」「ここから数字が伸びるかも」というマーケティング戦略やスケジュールを考えていきます。

@kotazi:今回のプロジェクトはデザイナー(@u-ki55)×PdM(@yoshi)×PMM(@kotazi)が密に連携するスタイルでした。これによって、スピードや品質がけっこう変わりましたね。僕らそれぞれの詳細な役割分担を表すと、以下のような図になります。

@u-ki55:デザイナーとしては、この体制のおかげで早めに議論に入れたのはありがたかったです。スピーディーにいろんな観点を取り入れ、つくっていくことができました。

ーメルカリにおけるPMMの第一号は@kotaziさんだった感じがあります。「@kotaziさんがPMMでよかった」と思うところは?

@kotazi:え、そんな質問する!?

@u-ki55:いい質問!(笑)。@kotaziさんはとにかく元気で、いつも明るくてめげない。それはPMMにとってすごく大事だと思います。新しいプロジェクトはいろいろな問題が起こるのですが、そのたびに「うーん」と悩んでいても進まない。@kotaziさんが「やばいっすね!」くらいのテンションで、明るくやってくれていたのは助かりました。

@yoshi:突破力があるところも良いですよね。常にかなり多くのボールを両手で抱えて全力疾走しているから、たまにこぼれちゃうんですけど(笑)。

@u-ki55:童話の『ヘンゼルとグレーテル』みたいな感じがありましたね。私たちは@kotaziさんが落としたパンくずを道しるべにしていましたし!

(一同笑)

@yoshi:常に先頭を走ってくれているからこそ、あとから続く僕らがこぼれたボールに気づけるし、拾うこともできる。@kotaziさんが攻めて、僕たちが守る。そうやって一緒に進んできた感じがします。

PMMは情熱を持ちながら、マーケ視点や推進力・安定力を持つことが大切

ーメルカリでは現在PMMを募集していますが、入社後はどの案件に携わるかは決まっているんですか?

@kotazi:今はNTTドコモさんとのプロジェクトがメインです。とは言え、ほかのパートナーさんともどんどん組んでいきたいと思っています。今のところは明確に決まっていませんが、適正を見てから多少変わることもありそうです。

ー今回のように、パートナーさんと組むようなキャンペーンやプロダクトにはPMMが重要になってくるイメージですよね?

@yoshi:そうですね。プロダクトで数字を伸ばすより、マーケティングで伸ばす感じですかね。僕らが所属するBusiness Operationグループでは、キャンペーンなどでゴリッとトップラインを伸ばしていくことになります。そのため、他チームでは新規登録率や購入率のような数字を伸ばす施策も行っています。今後は、パートナーさんと連携するプロジェクトだけでなく、プロダクト改善の一環として数字を伸ばすチームにPMMが入るのも面白いかもしれないです。

ー「メルカリのPMM」に期待することは?

@yoshi:僕はPdMであり、開発寄りの業務を担当しています。なので、マーケティング視点をチームにインストールしながら取り組んでくれることを期待しています。例えば、伝え方一つとっても「どんな表現ならお客さまに伝わり、アクションにつながるか」「キャンペーンのインセンティブ設計をどうするか」の視点があるだけで、施策の効果が変わります。これは、PMMが一緒にプロダクト開発に挑んでくれるからできることでもあります。

@u-ki55:「役割として期待すること」「実業務で期待すること」がそれぞれあります。まず役割に関しては、推進力ですね。PdMにも推進力は必要ですが、PMMは「このキャンペーンやプロジェクトを前に押し出していくぞ!」という雰囲気づくりも含めて行えるのがベスト。一方で、実業務では勢いだけでなく、細かいところを詰めていかないといけない。そこに関しては揺るぎない安定力みたいなものも大事です。根本の仕様が固まっていれば、何か問題が起こっても芯はぶれないので。

@kotazi:社内外のいろんな関係者を巻き込んで物事を動かしていかないといけないので、熱量を持っていないと動かせないものもありますね。そういった方と、ぜひ一緒に仕事がしたいです!

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