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不正検知を取り巻く環境、手口の巧妙化に対して、メルペイPMが静かに燃やす情熱の正体

2021-11-2

不正検知を取り巻く環境、手口の巧妙化に対して、メルペイPMが静かに燃やす情熱の正体

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メルペイには、大手金融会社やクレジットカード会社、銀行出身のメンバーも多く集まっています。メルペイで不正検知を行うTrust&Safety Product(以下TnS Product)のチームマネージャー、田中啓介(@kei.t)もその1人。

クレジットカード会社に13年勤めていたという@kei.tにとって、メルペイは初めての転職先だったとのこと。前職では不正検知やAML(Anti Money Laundering、マネーロンダリング対策)にどっぷりと関わってきた彼が、メルペイへの転身を決めた理由はどこにあったのでしょうか?また、入社後に感じたギャップは?

今回のメルカンでは、そこんところをくわしく聞いてみました!聞き手は、TnS Productのチームマネージャーを@kei.tに引き継いだ、メルペイ新規事業チームの川嶋一矢(@kazuya)です。

※撮影時のみマスクを外しています

この記事に登場する人


  • 田中啓介(Keisuke Tanaka、@kei.t)

    2007年三井住友カードに入社し、不正検知ルール、新しい技術の導入など不正対策やRPA等を活用したオペレーションの業務効率化を主に担当として従事。2020年メルペイに入社し、メルペイ・メルカリの既存サービス、新規サービスに関する不正監視施策やクラウド移行作業等に従事。直近はマネージャーとしてKYC、TnS Productを担当。

  • 川嶋一矢(Kazuya Kawashima、@kazuya)

    カリフォルニア州立大学ノースリッジ校卒業後、電通国際情報サービスを経て2006年株式会社エニグモへ参画。VP of EngineeringとしてBUYMAや数多くの新規事業立ち上げを経験し、2012年7月マザーズ上場。2014年より株式会社stulioの代表取締役に就任。2016年3月よりメルカリに参画後、ロンドンへ渡りメルカリUK版を立ち上げる。2018年春に帰国し、メルペイにプロダクトマネージャーとして参画。


転職しようと思ったのは「不正検知の領域でもっとチャレンジしたかったから」

@kazuya:@kei.tさんは、前職は大手銀行系のクレジットカード会社ですよね。どれくらい働いていたんですか?

@kei.t:13年ほど働いてました!そのうちの10年は不正対策を行う部署にいて、最初の2年弱はモニタリングをしていましたね。そのあとに監視のルール要件を決めて開発をするチームに約5年、不正検知の新しい技術を検討していくセクションに約1年いて、カード会社で初めてのデバイス情報を活用した不正検知のリリースも担当。その後、チャージバック(クレジットカード会社がECサイトでの売上を取り消すこと)や事務作業をRPAで自動化するようなグループにも所属していました。

田中啓介(@kei.t)

@kazuya:不正検知のスペシャリストですね!そこからメルペイへの転職を決めたのはなぜ?

@kei.t:大前提として、不正利用する人たちは、僕らがつくったしきい値を3日間で見破るなど、想像以上に学ぶスピードが早いんです。前職でも不正検知の最新技術を学べる風土はありましたが、よりスピード感があり、かつ新しい技術を身に着けられる環境へ行きたいと思い始めていました。

また、自分が不正検知のスペシャリストになったことで、銀行や加盟店・コード決済など、異なる不正検知の領域でどの程度バリューを発揮できるのかにチャレンジしたいとも考えていました。メルペイを選んだのは、成長が著しくて、企業のミッションや事業戦略にも一番共感できたからでした。実は、僕にとって最初の転職先でもあります(笑)。

@kazuya:最初の転職がメルペイだったんですね。入社前とのギャップとかはありませんでしたか?

@kei.t:メルペイTnS Product(当時はAML)チームのプロダクトマネージャー(PM)として入社しました。しかし、AMLのドメイン知識は強いものの、エンジニア経験もPM経験もほぼありませんでした。なので、「そもそもPMって何するんだろう?」という状態だったんです(笑)。前職でもプロジェクトマネジメント経験はあったのでなんとなくやることは想像していたんですが、実際はけっこう違いましたね。

@kazuya:あら、けっこう違いましたか?

川嶋一矢(@kazuya)

@kei.t:はい。前職は「(他部署から)もらったデータをどう活用するか」から始まることが多い。でも、メルペイでは他チームから「どう情報をもらってくるか」から考える。前職では、そういうところまではやっていなかったので…「Pub/Sub」という言葉すら知らなかった。さらに言うと、入社した当時は、Slackから大量の情報が流れてくるなど、前職とは仕事の仕方がまったく違ったので、はっきり言って「本当についていけるかな?」と不安でした。

@kazuya:それは戸惑いますね!僕たちはツール含めてネットカルチャーに慣れているから当たり前になっているけど、異なるバックグラウンドから来た人にも伝わりやすくしなければと改めて感じました。そういった、入社してから感じたギャップはどうやって埋めていったんですか?

@kei.t:エンジニアや他のPMにとても親切にしてもらったおかげで、入社してから3ヵ月くらい経ったときに「今やっていることって、前職と実はそんなに変わらないんじゃないか?」と考えられるようになりました。

それ以降は「前職での経験をメルペイでどう活かすか」を考え、置き換え作業的なことにも挑んでみました。「メルペイなら、この方法で実施したほうがいいな」という糸口が見え始めてからは、よりキャッチアップのスピードも上がっていきました。

メルペイAML→TnS Productへ名前を変えた背景

@kazuya:入社してから約2年経ちましたが、現在はどんな業務をやっているんですか?

@kei.t:TnS Productは、具体的な不正対策・要件に必要なものを考え、実装するチームです。既存の不正検知ルールのなかで、監視の精度を維持しつつ人手をどう減らすのかを考えたり、チャージバックへの対策を考えたりしています。

@kazuya:ちなみに、@kei.tさんが入社した当時は「AML」というチーム名でしたが、2021年10月から「TnS Product」に名前が変わっています。マネーロンダリングだけではなく、不正ログインなど不正対策の業務範囲を広げていますよね?

@kei.t:そのとおりです。我々のミッションは「不正決済を防ぐこと」だけではなくて、「お客さまに安心して使っていただけるプロダクトをつくる」こと。というのも、近年では不正を取り巻く環境が急変していて、フィッシングやチャージバックが巧妙化しています。同時に、メルカリ・メルペイのサービスが順調にグロースしているので、不正する側から注目されてしまう懸念もあると思っています。これまでは不正のモニタリングや決済を拒否するなどのいわゆる“出口”部分に重きを置いて対策してきました。でも、それだけでは不十分なんです。そこで「認証などの“入り口”からも不正対策をプロデュースする」ため、TnS Productチームを名乗ることにしました。

@kei.t:逆に聞きたいんですが、@kazuyaさんはもともとCREチームのPMをしていましたよね。そしてTnS ProductチームでPMもしていました。業務としてやることはけっこう違うと思うのですが、どうでしたか?

@kazuya:以前までは新機能を開発したり、新たな企画を考えることが中心でした。なので、TnS Productチームでの仕事は、最初はピンとこなかったというのが正直な気持ちでしたね。でも、不正検知の領域を知れば知るほど、非常に奥深い分野だと感じるようになりました。不正する人たちのなかにはプロ集団もいて、攻防もある。我々としては、巧妙化する不正に対して、機械学習などのテクノロジーで検知しようとしています。ルールベース、ML、目件チェックなど、さまざまな対策の掛け合わせを学ぶことにもなりました。

何より、日本のEC化率は8%と言われています。EC含めてあらゆる活動がオンライン化されると、それに伴って新たな不正も生まれる。言い換えれば、不正検知はホットトピックなんですよね。これからさらに深堀りできる新しい領域なので、この魅力にPMやエンジニアも早く気づいてほしいです(笑)。

@kei.t:同感です。実は、クレジットカード会社から転職するときは「転職先が見つかるだろうか」と不安だったんです。それくらい、不正検知のスキルを活かせる企業は限られている印象が強かった。でも、ニュースを見ていると「もしかすると不正検知のキャリアは、今後さらに重宝されるんじゃないか」と考えるようになったんですよね。まだ具体的な職種名で表されることのない不正検知の仕事ですが、先ほど話に出ていたEC化率が伸びていくことを考えると存在感は増していくと思っています。

ドメインの知識と業務スピード感の間で学んだ「伝えるということ」

@kazuya:前職での経験は、どのあたりで活かせていますか?

@kei.t:ドメインの知識ですね。僕はクレジットカード会社時代、不正対策の業務にどっぷり浸かっていたおかげで“より深い部分”も理解しています。不正対策に関する知識を持っていても、迷うことが多いです。そんなとき、さっとアドバイスができるのは、前職での経験があったからこそですね。

@kazuya:逆にメルペイに入社してから感じた変化はありますか?

@kei.t:業務に対するスピード感ですかね。3ヶ月で企画からリリースまですることが多く、意思決定のスピード感に慣れるのに苦労しましたし、最初は戸惑いました。

あと他のPMやエンジニアと話すときは「どう伝えるか」をしっかり考える必要がありました。前職では、みんなほぼ同じ環境で仕事をしていたこともあり「こう言えば伝わる」といった、暗黙の了解があったんです。でもメルペイには、さまざまなバックグランドを持つメンバーが集まっています。考えていることがそれぞれ違うので、「なぜこれをしたいと思ったのか」をしっかり伝えるのは、慣れるまで少し苦労しましたね。

@kei.t:事業としては、GMV(流通取引総額)が上がるもののほうが優先順位も高まります。一方で不正検知は、そういった数値での貢献イメージは薄い。そこで、実際は不正の1億を稼ぐためにGMVが10億くらい必要なので、「GMV換算したら10億、20億のレベルなんです」と伝えることによって、プロジェクトの重要性が伝わりやすくなりました。

そのほか、チャージバックを予算化して見せることで、「このプロジェクトって大事だったんだ」と改めて伝えることができたり。そういった、「伝わりやすく伝える」「見えないところを見えるようにする」というところは工夫しました。

@kazuya:@kei.tさんは、そうやっていろいろな人に意見を伝えてTnS Productチームの存在感や影響力を上げようとしているところもありますよね。ありがたい限りです。

そんな@kei.tさんは、10月からチームマネージャーに!

@kazuya:そんなkei.tさんは2021年10月から、TnS Productチームのマネージャーに就任しました!専門性と情熱を持っているからこそ、さらにチームが幅広い領域をやっていくうえで@kei.tさんがマネージャーに適任だったんですよね。@kei.tさんのように、ミッションへの共感があるからカルチャーギャップも乗り越えられて、情熱を持ってさまざまな不正と戦える。そういう人が今のチームにはさらに必要だと感じます。

最後に、10月からTnS Productチームのマネージャーになるにあたり、意気込みを教えてください!

@kei.t:僕が入社したばかりの頃、自チームのエンジニアやPMだけでなく、関係する他チームなどさまざまなメンバーに支えてもらったからこそバリューを発揮できたと思っています。なので、まずは周りのメンバーみんなに感謝しています。僕は不正検知領域の知識は強いかもしれないですが、マネージャーとしての知識はまだまだ弱い。だから、これからもさまざまなプロダクトを見て幅を広げていく力が必要だなと思っています。自分自身が持ちうる知識を活かしながら、メルペイがお客さまに安心して使ってもらえるように、プロダクトを開発できるTnS Productチームにしていきたいです!

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