暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月28日(水)に設立されたメルコイン。所属するメンバーの年齢は27〜61歳と幅広く、キャリアやバックグラウンドもバラバラ。一体どんなメンバーが、どんな思いでメルコインに集まってきたのでしょうか?
そんな疑問を1on1のバトン形式で聞いていく本企画。3人目として登場するのは、NFTのプロダクトマネージャー(PM)やデザイン周りを担当している@aya。聞き手は前回記事で@ayaを指名した、NFT関連のプロダクト開発を行う@arakawaです。
crypto関連の仕事のほか、元祖NFTカードのアーティストとしても活躍
@arakawa:普段@ayaさんとはdaily standupでその日のタスク連絡や進捗報告したり、slackでもやりとりしてますが、いろいろ聞いてみたいこともあって今回この場を設けさせてもらいました。というのも@ayaさん、結構特殊な経歴をお持ちだと思っていて。そもそも@ayaさんがブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
@aya:私は元々PCゲーマーでした。2011年くらいにとある掲示板でDIY PC buildingのスレを見て、ゲーマー向けのPCにグラフィックスカードが4枚入っているのは相当珍しいので気になり出したんです。その理由を調べていたらそれがマイニングPCだとわかりました。そこから「マイニングって何だ?」といろいろ調べて、Bitcoinのことを知って…という感じで。
@arakawa:マイニングがきっかけだったんですね。
@aya:調べていくうちにのめり込み、2013年頃には「cryptoの仕事しかしない」と決めてましたね。
@arakawa:ではそこからずっとcryptoの仕事をされている、と。
@aya:そうですね。現在cryptoの仕事は10年目です。当初は取引所(bitFlyer)に4年半ほど勤務して、UI/UX部長を務めていました。取引所には初期から在籍していたので、数名〜100名規模の拡大を経験し満足感はありました。けれどもっとプロダクトにプライドを持って、自分でクリエイティブな何かをつくりたいという思いもありました。そんなことを考えていたタイミングで、bitFlyerのco-workerだった@yutoとやりたいことが一致して、一緒につくった会社がBassetでした。
@arakawa:BassetでもUI/UX関連を担当していたんですか?
@aya:そうですね。ただそれだけでなく、解析系の業務もやってました。元々趣味として、Bitcoinのアドレス集めをしていたんですね。2014年ごろに Tokyo Bitcoin meetupのオーガナイザーをやっていて、六本木、渋谷にあるパブやバーでmeetupを開催していました。その時のメンバーがビールをBitcoinで払っていたんですよ。その様子を目の当たりにして、時間と値段を照らしあわせれば「このアドレスが、この人だ」とわかると気づいたんです。
@arakawa:当時のトランザクションはそれくらいの規模だったんですね。
@aya:そうそう。それで「この人はこのアドレスね」とメモして。それをスターティングポイントにして、パズルみたいにいろいろな人のアドレスをわかるようにしていったんですよ。
@arakawa:それってまさにBassetでやっている解析じゃないですか。そういえば@ayaさんが「Rare Pepe」っていう元祖NFTカードのアーティストという噂を小耳に挟みました。それもmeetupがきっかけだったんですか?
@aya:そうですね(笑)。ブロックチェーン上にはセカンダリー的なプロダクトがあり、それを使っていろいろ変なアートを作ってました。「Rare Pepe」はカエルの絵のNFTですね。
@arakawa:作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?
@aya:Telegram上で「ブロックチェーンで何か面白いことやりましょう」というチャットに出会ったのがきっかけです。「Rare Pepe」をローンチしたすぐ後にRare Pepe Walletという、ブラウザ上のウォレットサービスで、ブロックチェーン上のデータではなく、保有するNFTをイメージとして見せてくれるものが登場したんですよ。「それいいな。私もつくってみよ」と思ってシリーズ1をそこで作ったんです。
@arakawa:それも今だと結構な値段がついてますよね?
@aya:そこはノーコメントです(笑)。ただ、NFT.NYCのギャラリーで展示する予定はあります。
BitcoinやEthereumのほか、LandやPOAPへの興味も
@arakawa:今世の中的にはEthereumのNFTがすごくたくさん使われています。@ayaさんとしては、BitcoinのCounterparty NFTの方が好きなんでしょうか?
@aya:その頃は儲かるからつくるというより、カオス感が楽しくて使っていたんです。意味がわからないものがいっぱいあって、好きでしたね。
@arakawa:BticoinやEthereum以外に好きなブロックチェーンとかコインはありますか?
@aya:メインはもちろんBitcoinですね。それは永遠に変わらないと思います。その上で、Ethereumで作っているメタバース的なプロダクトもやっています。LANDとかバーチャル不動産的なIDも面白いと思っていて、注目していますね。
@arakawa:土地のNFTも持っているんですか?
@aya:LANDのNFTは持っていますね。映画の『インセプション』的に、メタバースの中にNFTのギャラリーがあったり、LANDの中にNFTギャラリーがあったりという感じです。あとPOAPも面白いですよね。
@arakawa:僕もPOAPはかなり好きですね。今度NYでイベントがあるので、オンラインで参加しようと思っています。
@aya:POAPはいろんなファンコミュニティに広がりそうですよね。コンサートに行ってPOAPをもらって、それをトークンやグッズに交換できるというように。
B to Cへの興味と、サービスやプロダクトへの理解の深さからメルカリグループへ
@arakawa:以前は日本に住んでいて、今はカナダに引っ越したんですよね?
@aya:そうですね。2013年ごろ、素潜りの趣味が高じてカナダから沖縄に移住しています。日本に長くいるつもりはなかったんですけど、東京にいるBitcoinerと話したら「もっと日本にいたいなー」と思って。
@arakawa:どのタイミングでカナダに戻ったんですか?
@aya:コロナ禍になってからカナダに戻りました。コロナ禍でBassetのオフィスがなくなり、フルリモートになってから「日本にいる必要はない」と思ったので。
@arakawa:今もカナダからリモートワークしている、と。いろいろなバックグラウンドをお持ちの@ayaさんですが、なぜメルコインに入られたんでしょうか?
@aya:前職のBassetでは co-founderとしてBtoBやBtoG(government)業務を担当していたのですが、本当はBtoCの仕事をやりたい気持ちもあったんです。そんな時、Bassetがメルカリグループの仲間入りする機会があると聞いて「いいね!」と思ったんですよ。というのも、フリマアプリ「メルカリ」のマーケットプレイスはすごいと思っていたから。特にサービスやプロダクトがすでに文化になっていると感じていました。だからBassetのメルカリグループ参画はいいなと思ったんです。
@arakawa:メルコイン入社後はどんな業務を担当していますか?
@aya:今はNFTのプロダクトマネジメントとデザイン周りがメインです。これは悪いことではないのですが、実はメルコインに入るときにロールが不明確だったんですよ。個人的にはプロダクト戦略やUI/UX、プロダクトマネジメントなどいろいろやりたくて。できることをすべてピックアップしていったら、今の業務内容になりました。
楽しさを起点として興味を持ってもらえるNFTを作りたい
@arakawa:今後はメルコインでどんなことに挑戦したいですか?
@aya:NFTのコンセプト自体がまだメインストリームになれていないので、まずは裾野を広げたいですね。NFTというだけのvalue から、アート自体のvalueが認められるNFTというようにしたい。その上で、アート系やスポーツ系以外のNFTも挑戦したいです。POAPも使っていろいろな楽しさを感じるプロダクトをつくりたいですね。楽しさがあるから興味が湧くというような、使った人がさらに詳しく見てみたら「ブロックチェーンなんだ」と気づくフローにしたいですね。
@arakawa:楽しさが重要ということですね。僕も最近EthereumのNFT作品をアーティストの方と一緒に作って出したりしているんです。@ayaさんも興味があればコラボできると嬉しいです。僕もBitcoinやCounterpartyのNFTに昔から興味があって、Ethereum以外でそういうものを出せるといいなと思っていました。今後は仕事でも、プライベートでも、一緒にいろいろ作っていきたいです。
@aya:ぜひ作りましょう。