こんにちは、D&I TeamでD&I Leadをしている@yokosです。
2021年8月10日、メルカリグループ有志のソフトウェアエンジニアが集い、女子高校生(※)向けITキャリアイベントをスタートしました。今回は広島県内の公立高校に在籍する学生の方を対象に、広島県教育委員会が主催となってくださり、メルカリが協賛企業として参画しました。高校生の皆さんは夏休み期間だったので、完全オンラインイベント。メルカリグループのエンジニアメンバーが登壇し、STEM分野におけるジェンダーギャップの社会課題や、キャリアヒストリーについて高校生のみなさんにお話してきました!
登壇者は、エンジニアである@mochicoさん、@wakanapoさん、@miisanさん、ファシリテーションは@tomochinさんが担当しました。
※ここでの「女子高校生」とは、からだの性を問わず、女性アイデンティティを持つ方、ノンバイナリー、Gender Noncomformingの高校生の方を指します。そのため、男性も参加可能なイベントとしました。
この記事に登場する人
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@mochico新卒で入社した会社の研修でAndroidにハマり、その後Web制作会社で数々の受託・自社サービス開発を経て2018年1月にAndroid Engineerとしてメルカリに入社。最近はJetpack Composeを使った開発に携わっており、DroidKaigi2021でもCompose Previewについての発表を行う。Twitterはこちら。 -
@wakanapoソフトウェアエンジニア(Machine Learning)。2019年にメルカリJPに新卒入社。MLOpsエンジニアとして、写真検索システムの運用、配送サイズ推定システムの開発を担当。2021年4月からソウゾウに移動し、機械学習チームの立ち上げを担当。また、サイドワークとしてD&I Women Community の leadもつとめ、Build@Mercariの運営などを行っている。好物は汁なし担々麺。Twitterはこちら。 -
@miisan2018年7月よりメルペイにQAエンジニアとして参画。入社直後からiD決済領域を主に担当し、信用・与信領域など、メルペイサービスの多くの機能に携わる。現在はエンジニアリングマネージャーとしてプロダクト全体の品質向上や女性エンジニアの推進活動に関わる。Twitterはこちら。 -
@tomochin:ファシリテーションメルカリPeople Experience(Payroll)チーム。2018年4月にメルカリへ入社。総務として社内コミュニケーション・カルチャー醸成を担当。2020年1月にPeople Experienceチームへ異動し、現在は入社受け入れ、社保手続き、退職/私事休職、アスリートマネジメントなどを担当。メルカリのベネフィット制度「merci box」アップデートPJを主導したメンバーの1人。
なぜ高校生向けのITキャリアイベントを開催するのか?
ところで、日本のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野・IT分野におけるジェンダーギャップ課題をご存知でしょうか?
OECD(経済協力開発機構)の調査では、2019年に大学などの高等教育機関に入学した学生のうち、STEM(科学・技術・工学・数学)分野に占める女性の割合は、加盟国中日本が最下位だと公表されています。
この調査では、加盟国の女性の割合の平均は、それぞれ自然科学(52%)、情報(20%)、工学(26%)だったのに対し、日本は自然科学(27%)、工学(16%)。この2分野において、比較可能な36カ国中最低の結果です。
学生にとっては、「女性は理系が苦手。文系の方が得意」「理系に進学すると結婚できない」などといった偏見を押し付けられ、「女性だから」という理由で文系学部への進学を勧められる場合が未だに存在します。
理系分野に男性が圧倒的に多いこと、そして大人たちによって植え付けられた固定観念によって、結果として理系を選択する女子学生が少ないのは非常に残念なことです。学生のみなさんが「STEM・IT分野は自分には関係のない世界」とあきらめてしまう前に「エンジニアは楽しいよ!」「まず興味を持ってほしい!」という願いを込めて、このイベントを開催しました。
@mochicoさんがエンジニアになった理由は?
今回イベントに参加した@mochicoさんは、実は大学時代は文系の学部で、社会人になってからプログラミングを学んだという経歴の持ち主。大学卒業後未経験でシステム開発系の会社に就職し、Java、さらにAndroid開発を習得したそうです。そのままアプリ開発にハマってアプリ制作系の転職を続け、メルカリへJoinしました。拠点が違うメンバーと一緒に開発をしていて、普段の仕事は英語中心です。普段はPM(プロダクトマネージャー)、デザイナー、Backendエンジニアなど様々な職域のメンバーとチームを組んで開発をしています。
@wakanapoさんの「私がソフトウェアエンジニアになるまで」
高校では理系選択、大学・大学院では工学部専攻だったという@wakanapoさん。なぜ理系選択をしたのか深掘って話してもらいました!
写真を撮るとその写真と同じような商品を探せる機能の開発や、配送サイズの推定機能の開発を担当してきました。
2021年4月からグループ会社の株式会社ソウゾウに異動し、「タイムラインの最適化」を中心に、機械学習全般を担当しています。簡単にいうと、「商品一覧の画面にどんな商品が表示されるとお客様が欲しい物が見つけやすくなるか?」を考え、その機能を設計し、実装していく仕事を担っています。
<高校では理系クラス。電気電子工学科を選択した大学時代>
高校では理系クラスでした。「悩むなら理系にいきなさい」という学校方針に後押しされましたね。学校としては、文系から理系に転向するのは大変だからという理由があったんだと思います。といっても、私は文理選択にそこまで悩みませんでした。社会や英語よりも数学が好きだったんです。それに、女性が理系を選ぶことに対して「え?」という差別的な雰囲気もありませんでした。
大学では電気電子工学科を選択しました。「実験が多い学部」という条件で探した結果、自然とそうなったんです。座学で理論を学ぶより、モノづくりができる学科のほうが楽しそうだと思って。
将来ソフトウェアエンジニアになるんだったら、情報系の学部のほうがいいのではないか?という考え方もあると思います。確かに進路がソフトウェアエンジニアと既に決まっている人は、情報学科の方がより深く学べるでしょう。
一方電気系の学科で学べることは、発電の仕組みや半導体や電気回路をメインに、電気をつかった機械のすべてについてです。「そもそも、コンピューターはどうやって動いているのか?」ということまで学びたい人は、電気系という選択肢もありですよ。実際、電気工学科からソフトウェアエンジニアになっている人もたくさんいます。
<研究・実験に打ち込んだ大学生活>
この写真は大学時代に私が作った「お掃除ロボット」です。先生から距離を測るセンサーだけを渡されて、「これで好きなものを作りなさい」という授業があったんです。他にも、研究発表でハンガリーに行かせてもらったり、多様な経験をさせてもらいました。すごく楽しかったです!
学生時代からソフトウェアエンジニアには興味があったので、大学院時代にとある企業でインターンに参加したことがあります。その中で、社員さんからのフィードバック機会があり、深く考えさせられる出来事がありました。それは「あなたのコミュニケーションには壁がある」というフィードバックです。「なぜそう受け取られたのだろう?」と。私は「寡黙なタイプではない」という自覚があったので、なぜそう評価されたのか自分を振り返る必要がありました。
その中で気づいたことがあります。
・大学が男性ばかりのコミュニティで気軽に話しかけられる人が近くにいなかった
・知らず知らずのうちに「女性」ということで悪目立ちしないしないよう気をつけていた
このように男性ばかりの環境に適応しようとして、消極的なコミュニケーションスタイルになってしまっていたのではないか?という発見がありました。
<ロールモデルとなる女性エンジニアとの出会い>
そんなとき、大学でGoogleのセキュリティ部門でエンジニアをされているParisa Tabrizさんの講演会を聴きに行ったことがあります。
彼女は仕事におけるジェンダーギャップについて、「乗り越えられていないこともあるけど、私が今ここに立つことで変わることがあると思う。Next generation will be proud of me.」とおっしゃったんです。
とてもかっこよくて、自分もそう言えるようになりたい!と思いました。
まず第一に、わたし自身がソフトウェアエンジニアとして活躍すること。次に、女性エンジニアの活躍を応援していくこと。これらに取り組むことで、自分自身の価値にも繋がっていくと考えています。
高校生のみなさんからの質問タイム!
@mochicoさんと@wakanapoさんのキャリアヒストリーを聞いたあとは、メルペイQAエンジニアの@miisanさんも加わってQ&Aセッションをしました!
@miisanさんのキャリアサマリー
@miisanさんは大学時代に法学部と並行して教育学部でも学び、教職免許を取得。学生へのボランティア活動をはじめ、貧困地域の子どもたちに授業を展開するプログラムにも参加していました。教育に関わる活動を通じ、東京と地方間の情報格差などキャリア選択の機会損失を感じるようになったのだそうです。「テクノロジーによってこの課題を解決できるのではないか?」という気づきから、ファーストキャリアとしてソフトウェアエンジニアを選択しています。仕事におけるミッションは、「社会に存在する様々な格差を是正すること」。現在所属しているメルペイは、まさに「お金」に関する課題を解決する仕事であり、自分の仕事理念とのリンクを感じ入社を決意したと言います。
高校生の皆さんからは、こんな質問が寄せられました!
<文系からエンジニアになった理由は?>
・ メルカリに入社した理由は?
・ メルカリで必要な英語のレベルはどのくらいですか?
・ メルカリに入って驚いたことはなんですか?
・ 企画の提案をするときに心がけていることはなんですか?
・ コロナ禍になって、業務面で変わったことはありますか?
・ 皆さんが思う働きやすい環境はどんなものですか?
どうやら、メルカリで働くことについて興味を持ってくださった生徒さんが多かったようです。1つ1つの質問にエンジニア3人が真摯に回答させていただき、1.5時間のオンラインイベントは終了しました!
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今回、高校生のみなさんに向けた取り組みは初めてでしたが、直接エンジニアたちの声を届けられる貴重なイベントとなりました!広島県教育委員会のみなさん、ありがとうございました!
メルカリグループでは、少しでも多くの学生のみなさんがSTEM・IT分野を、魅力的な進路選択の1つとして視野に入れてくださることを願い、これからも取り組みを継続していきます!
父親がエンジニアだったので、子供の頃から家にパソコンがありました。私は本を読むことが好きだったので文系へ進学したのですが、学生時代数学は苦手だったんです。将来は編集者になろうと思っていたので、大学は社会学部のコミュニケーション学科で図書館情報学、マスコミ学、社会統計学などを履修していました。ここで初歩的なHTMLやデータベース設計の講義も受けました。
でも結局就職活動ではご縁がなく、編集者の道には進みませんでした。そこで考えたのが、自分はパソコンが好きだし、文字を書くという意味では編集もエンジニアも一緒じゃない?なんて思って。それで、未経験でも入れるIT系の企業に新卒入社。その会社でプログラミングの基礎を学んでいったんです。
<エンジニアという仕事の楽しさ>
自分の作ったアプリが知らない人の手の上で動いているのを見かけるととても嬉しいですね。プログラミングには「正解」があります。その「正解」を求めるために、毎日パズルを解いているような感覚が好きだし、楽しいんです。
私は未経験からソフトウェアエンジニアになったので、学ぶことがとても多いです。エンジニアって、お互い情報を共有して学びあうカルチャーがあり、エンジニア同士のコミュニティ活動が活発なんです。とくに最初の頃は、初学者でも歓迎の実践的なプログラミング知識を共有しあう社外の女性向けエンジニアコミュニティに参加して学んでいました。そういうところが楽しくて、良いところだと思っています。
<どうやってキャリア選択をしていくか?>
何が自分にあうか、最初は分からないものです。学生時代、文系学科を選択していた自分がまさかエンジニアになるとは思っていなかったですし。チャンスがあったときに飛び込んでみたり、偶然の出来事を利用してキャリア形成に役立てるって大事だと思うんです。ちなみにこのことを専門用語で「プランド・ハップンスタンス理論」というそうです。
まず何をしたらいいか分からない人は、好きなこと・得意なことから学んでいくのがおすすめです。ただ、「論理的に考える力」はエンジニアには必要ですし、数学的な思考力はあるに越したことはありません。