ソウゾウに所属するエンジニアたちがインタビュアーを引き継ぎながら、ソウゾウにまつわるさまざまなことについてざっくばらんに話す連載「Souzoh Engineering Cafe」。第4回のインタビュアーを務めるのは、エンジニアリングマネージャー(EM)の@motokieeさんです。
ゲストとして登場するのは、ソフトウェアエンジニアの@naoprさん。実は@naoprさん、ソウゾウへ異動する前はメルカリでEMをしていました。なぜソウゾウではプレイヤーに戻ったのでしょうか。そんな深い話をする前に、@naoprさんがワーケーションで式根島に訪れたエピソードから二人の会話は始まります。
この記事に登場する人
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佐藤直人(Naoto Sato、@naopr)ソフトウェアエンジニア。2011年にDeNAに入社、ソーシャルゲームのBackend開発をメインにiOS/Android開発やチーム全体の開発効率化、新卒採用に従事。2017年にメルカリに入社し社内CS(Customer Service)向けツールやお客さまのセキュリティにかかわる機能開発に従事。Tech Lead、Engineerging Managerを経て2021年4月からソウゾウに異動し、主に社内CS向けツールや配送機能の開発を担当している。 -
成田元輝(Motoki Narita、@motokiee)エンジニアリングマネージャー/ソフトウェアエンジニア。2016年9月に旧ソウゾウへ入社。「メルカリ アッテ」の開発、「メルカリ カウル」の新規事業立ち上げにソフトウェアエンジニアとして参加。2018年4月からメルカリへ異動、テックリード経てエンジニアリングマネージャーに。メルペイ立ち上げ支援、Agile推進、NewBizチーム Engineering Headなどを経験。 2020年1月から新生ソウゾウへ異動。現在はソフトウェアエンジニア / エンジニアリングマネージャーとしてプロダクトとエンジニア組織をより良くしていくことに取り組んでいる。
式根島でのワーケーションは最高!
@motokiee:ワーケーションで式根島に行ったらしいじゃないですか。
@naopr:そうなんですよ。モニターとして式根島に1週間ほど滞在していました。ご飯とか宿の手配とかすべておまかせだったんですけど、最高でした。
@motokiee:式根島って何県にあるんですか?
@naopr:東京都ですね。伊豆諸島のひとつで、竹芝から船が出ています。僕のときは夜行船で22時くらいに出発して、翌朝9時くらいに到着する感じでした。帰りは3時間ぐらいで戻って来れるので、わりと手軽に行ける離島ですね。
@motokiee:海とか綺麗そう。
@naopr:めちゃくちゃ綺麗ですよ。人もいないですし。
佐藤直人(@naopr)
@motokiee:何したんですか、式根島で。
@naopr:仕事以外は温泉に毎日入っていました。ほったらかしの湯みたいなところが3カ所あったんです。どこに星座があるのかもわからないくらいに夜空一面の星に囲まれていて最高でした。流れ星もひゅんひゅんと飛んでいるから、夜は楽しくて3時間くらい温泉に入ってましたね。
@motokiee:癒されますね。ネットワークは大丈夫だったんですか?
@naopr:インフラはいい感じに整っていました。コワーキングスペースはもちろん、宿もWi-Fiが通ってるし、一部では5Gも来ていて驚きました。
@motokiee:すごい。ご飯は?
@naopr:漁業のある島なので、その日に捕れた魚介が朝晩食べられるんですよ。なかでも赤イカが最高でした。刺身もいいし、焼きでもいいっていう。
@motokiee:最高ですね。
成田元輝(@motokiee)
@naopr:僕、朝はそんなに食べないほうなんです。でも、旅館だと朝食が出てくるじゃないですか。昼も夜も食べる生活をしていたから、式根島に滞在していた1週間で2キロくらい太りました(笑)。だから、絶賛ダイエット中です。
@motokiee:いいなあ。そんな環境にいて仕事は捗るんですか?
@naopr:誘惑が少ないので、それなりに集中できるんですよ。これが夏だったら危なかった。釣りしたり、海に入ったりしていたと思います。
@motokiee:じゃあ、次は夏に?
@naopr:そうですね。機会があれば本当に行きたいです。
@motokiee:ソウゾウのメンバーでワーケーションしたいですね。
@naopr:けっこうアリだと思います。
EMの経験はキャリアにどう作用する?
@motokiee:アイスブレイクはこのあたりにして、そろそろ本題に入りますね。@naoprさんと僕はメルカリからソウゾウへ異動してきたじゃないですか。どんなきっかけでソウゾウに来たんですか?
@naopr:実は去年末くらいからキャリアについて悩んでいたんです。EMとして1年くらい経験を積んで自分としても動き方がわかってきました。それに対する満足感がある一方で、このままEMとして働いていてもMoM(Manager of Managers)やVPoE(VP of Engineering)のようなさらに上の役職を目指すイメージがなかなか湧かなくて。それなら、もう少し小さな組織で働くのもいいかなとぼんやり考えていたんです。
@motokiee:そうだったんですね。
@naopr:そんなときにソウゾウの説明会があったんですよ。@mazeさん(ソウゾウ代表取締役CEO、石川佑樹)とはメルカリNOWのときに一緒だったし、@suguruさん(ソウゾウ取締役CTO、名村 卓)とも近い場所で働いてみたかったので、これはもう応募するしかないと思いました。
@motokiee:@naoprさんは現在、EMではなくIC(Individual Contributor)として働いていますけど、それは希望してのことだったんですか?
@naopr:そこまで深く考えてなかったですね。ただ、ソウゾウへ異動するんだったらICとして働くのかなと思っていました。マネージャーが必要な段階でもなかっただろうし。でも、他社に転職するんだったら、EMになるだろうと思っていました。
@motokiee:実は僕も@suguruさんと一緒に働いてみたいと思ったのが異動してきた理由のひとつなんですよ。これも@naoprさんと同じなのですが、僕もメルカリで2年ほどEMとして働いていたんですけど、今後のキャリアについて考えるとこのままでいいのかと悩んでいました。それでもう一度ICとして働こうと思ってソウゾウに入ったんですよね。なんだかんだ今はEMをやっているんですけど(笑)。
@naopr:そうですよね(笑)。
@motokiee:EMからICに役割が変わったことでコードをがっつり書くようになったわけですが、実際はどうですか?
@naopr:表現が難しいんですけど、コードを書くほうが楽だなと思いました(笑)。
@motokiee:それはどういう意味で?
@naopr:コードって書けば前に進めるじゃないですか。作業をしていてわからないことがあっても、誰かに聞けばある程度のことは解決できます。その点、満足感を得やすいと思うんです。一方でEMの仕事は明確な答えがあるわけでもないし、時間をかけたからといって良くなるわけでもない。
@motokiee:その葛藤は常にありますよね。
@naopr:そもそもメルカリに入社する以前は、EMになることに価値を見出せないでいたんです。専門性がわかりにくいし、現場から数年離れるだけでもエンジニアリングスキルが落ちそうで怖いという気持ちもありました。でも、メルカリで一緒に働いたEMからマネジメントの面白さを教わったことで、「チームの生産性はどうやったら上がるのか」「みんなが楽しんで開発する環境をどうやってつくるのか」みたいな課題に挑戦したい意欲が湧いてきて。それでEMをやってみようと思ったんですよね。
@motokiee:めちゃくちゃ良い話じゃないですか。でも、EMをやりたがらない人ってけっこう多いですよね。実際、僕もそうでしたし。
@naopr:@motokieeさんはどうしてEMに?
@motokiee:メルカリでお世話になっていたマネージャーから「推進力のある人って実は少ないから、一度くらいはEMを経験してみてもいいと思う」と言われて挑戦してみたんです。そうやって道筋をつくってくれる人がいるのも大事ですよね。
@naopr:間違いないですね。
@motokiee:ある記事で「最強のICはEM経験がある人だ」と書かれていました。@naoprさんは、この記事を読んで実感するところはありますか?
@naopr:絶対にそうだと思います。EMがどんなことを考えているのか、なんとなくわかるようになるんですよね。
@motokiee:確かに。EMを経験した前と後で1on1の向き合い方が変わった気がします。
@naopr:ただ、EMからICに戻る際にアンラーニングしなきゃいけないこともある気がします。たとえば、ついついEM目線で物事を判断してしまったり、物事を抽象化しすぎてしまったり。
@motokiee:そういうこともあるんですね。ちなみに、もう一度EMに挑戦してみたいと思いますか?
@naopr:実際のところ、「ICかEMか」みたいなポジションに対するこだわりは強くなくて。それよりも自分が所属している組織に対して貢献したいなと思っています。だから、人手が足りないんだったらEMをやるし、充実しているならICに戻ればいい。
@motokiee:@suguruさんがよく言っているんですけど、EMがコードを書いちゃいけないっていう決まりはないですもんね。
@naopr:そうですね。ただ、バランスをとるのは難しくないですか? EMとしての役割を最大化しようとすると自分のやりたいことは二の次になってしまうというか。自分がコードを書くより、チームの生産性を10%でも高めたほうがレバレッジが効くだろうし。
@motokiee:すごくわかります。「この細かいバグは俺じゃなくても直せるんだよな」とか考えるようになりますよね。
@naopr:悲しいことに。それでもEMになりたての頃は、頑張って書こうと思って時間を押さえていたんですよ。でも、労働時間が長くなるだけで組織への大きな貢献ができるわけではないので、自然と書かなくなっていく。とはいえ、技術的なキャッチアップがないとメンバーのことを評価できないし、話にもついていけなくなるので、最低限のことはやっていましたけど。
組織力強化のために役割交代制の導入もありでは?
@motokiee:結局のところ、両立ってできないんですかね?
@naopr:僕自身、まだまだ経験が浅いので何とも言えないですが、数十人規模の会社だったら両方の役割を求められます。それに、もっと大きな規模の会社であればコードを書くよりマネジメントに専念することを求められるケースが多そうです。なので、自分の意思だけでなんとかなる話でもない気がします。
@motokiee:確かに。
@naopr:個人的には、定期的に役割を変えていくのは面白いと考えています。メルカリのCSツールチームでテックリード(TL)を任されていたときも「半年後には引き継ぐ」とマネージャーに宣言していたんです。そうして一定期間で交代する文化ができた結果として、チームのほぼ全員がTLを経験することになって。
@motokiee:それって全員にTLを経験してもらおうと思って取り組んだんですか?
@naopr:必ずしも全員に経験してもらおうと思っていたわけではないですが、固定化する必要はないかなと思ったんですよね。それに経験してみないとわからないことってあるじゃないですか。
@motokiee:ありますね。
@naopr:全員がTLを経験することでスキルがブラックボックス化しない。それに、やめた後も仕事をするうえでの視座が上がるのでいいなと。
@motokiee:いいですね、交代制。さらにいうと、メルカリグループでは「マネージャーは役割」という認識が強いのでTLだけでなくEMも交代できる余地はありますね。
@naopr:ソウゾウなら実現できそうですよね。僕自身、EMとICを行ったり来たりするのもいいなと思います。
@motokiee:そうやって回していけば、2〜3年目ぐらいのジュニアでもTLやEMの経験が積めますしね。
@naopr:そうですね。僕のときはTLになるところから逆算して半期毎の個人目標を考えてもらっていました。いつまでにどんなスキルや経験を積むべきか明確になるので。ただ、ICからTLになるよりも、TLからEMになるほうが今までと地続きでない専門性が求められるという意味でハードルが高いと感じました。特にピープルマネジメントなんかは、事前にインプットをしておかないと何からやっていいかわからなくなりますし。
@motokiee:技術に関すること以外の本を読む時間が増えますよね。
@naopr:増えますね。最初こそ特によくわからないじゃないですか、マネジメントって。それだけじゃなく、PMとビジネス的な話ができないといけないし、組織の生産性についてもスクラムマスター研修で学ぶくらいの知識は必要になる。そのため、名著と呼ばれるものなど、おすすめされたものをひたすら読みました。改めて振り返ってみると、ICのときよりもインプットの量はずっと多かったです。
@motokiee:しかも、それがわかりにくいじゃないですか。プログラミング言語を新しく学んだときって書けるかが基準になるので、自分にスキルが身についた実感が湧くんです。でも、EMってそういうことがない。暗黙知というか。
@naopr:だから、たまに驚くことがあります。最近、Meetyを使って他社のICやEMの方と話す機会が増えました。そこでは、相手の悩みや質問に対して1年前には絶対に話せなかった自身の経験やアドバイスを伝えることができています。そういう意味ではきちんと成長しているのかなと思いました。
@motokiee:それは一番成長を感じる場面かもしれないですね。言われてみれば、以前だったら意見を聞かれてもお茶を濁していた話題に対して意見できることが僕もあります。知らない間に血肉になっているんでしょうね。
@naopr:そうだと思います。
@motokiee:今日はすごく深い話が聞けて面白かったです。ありがとうございます。
@naopr:こちらこそ!
@motokiee:ということで、@naoprさんにインタビュアーのバトンを引き継ぎたいと思います。次回も楽しみにしていますね。
@naopr:ありがとうございます。頑張ります!