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気付かされたのは「思い込みの強さ」メルペイが女性向けメンタリングプログラムを実施してみた結果

2021-12-13

気付かされたのは「思い込みの強さ」メルペイが女性向けメンタリングプログラムを実施してみた結果

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2021年4月、メルペイでは女性メンバーを対象にしたメンタリングプログラムを実施しました。これは、メルカリグループの“斜め上”の経営メンバーによるメンタリングプログラム「Exec Mentoring Program」とは別のもの。メルペイで働く女性メンバーを対象に、彼女たちの“斜め上”の経営メンバーとのメンタリングを半年間で全6回/月1h程度行いました。

さて、彼女たちに起こった変化は?

※撮影時のみ、マスクを外しています

この記事に登場する人


  • 田中マヤ (Maya Tanaka, @maya)

    2018年7月にメルカリのグローバル・オペレーション・チーム(社内翻訳・通訳チーム)のメンバーとして入社。のちに同チームのマネージャーを担いながら社内の育成制度の土台作りや、D&I促進を担当。2021年1月からは正式にメルペイHRへ異動。現在はHR Plannningとして組織設計やエンゲージメント向上施策などを担当している。


  • 松薗美帆(Miho Matsuzono、@mihozono)

    国際基督教大学教養学部卒、文化人類学専攻。株式会社リクルートジョブズに新卒入社し、人材領域のデジタルマーケティング、プロダクトマネージャーに従事。株式会社リクルートテクノロジーズに出向し、UXリサーチチームの立ち上げに携わる。2019年より株式会社メルペイにてUXリサーチャーとして、新規事業立ち上げやUXリサーチの仕組み作りなどに取り組む。北陸先端科学技術大学院大学博士前期課程に社会人学生として在学中。2021年、著書『はじめてのUXリサーチ』を出版。


  • 櫻井みづき(Mizuki Sakurai @miisan)

    2018年7月よりメルペイにQAエンジニアとして参画。入社直後よりiD決済領域を主に担当する。 キャンペーン、メルペイスマート払い、バーチャルカードの立ち上げなどに関わり、メルペイ決済全般のサービスリリースに数多く携わる。現在はエンジニアリングマネージャーとしてプロダクト全体の品質向上や女性エンジニア推進活動に奮闘している 。


  • 山路ゆうか(Yuuka Yamaji、@yyuuka)

    三菱UFJ銀行、ボストンコンサルティンググループ、GEキャピタルで金融事業の審査・与信関連業務に従事。2018年8月にメルペイへ入社、新規事業立ち上げに取り組む。


  • 井本陽子(Yoko Imoto, @yoko)

    ドイツ証券会社、ラザードフレールにて投資銀行業務、オリエンタルランドにて経営戦略、テーマパーク戦略、商品開発業務に従事。2018年5月にメルペイへ入社、Business Development(事業開発)として、様々なプロジェクトに参画。2021年7月にメルカリへ異動し、新規事業立ち上げに向けて日々奮闘している。


  • 成田彩夏(Ayaka Narita,@ayapi)

    日本取引所グループに新卒入社。韓国取引所に出向。日韓の証券取引所業務及び先物・オプション業務に従事後は、大規模取引所システム開発に参画。2019年4月にプロダクトマネージャーとしてメルペイ入社。不正モニタリングシステムの開発、KYC本人確認サービスの開発に取り組む。


「女性メンバーが自信を持てるきっかけにしたかった」

ーまずは、このプログラムを主導していた田中マヤ(@maya)に、実施までの経緯を聞きました。

@maya:統計的に、女性はリスクを回避しがちであることは証明されています。そのため、自らチャンスをとりにいかない傾向もあったんです。この事実を知ってから「メルペイには素敵な女性メンバーが多いけれど、みんながチャンスをつかめていないのかもしれない」と思い始めました。

何より、彼女たちがポテンシャルをフルに発揮できていないことが事実だったら、組織的にももったいない…。そこで、人事チームが中心となって後押しし、女性やマイノリティのロールモデルを増やすことでいい循環をつくれるのではないかと考えたんです。そしてたどり着いたのが、メルカリグループのメンタープログラムの女性版を実施するアイデアでした。

メルペイ経営会議でそのことを提案をしたら二つ返事をもらえました!その後、女性メンバーを10名ほど選定し、メンターとなる経営陣との組み合わせも始めたのです。

今回の女性向けメンタリングプログラムをリードした、田中マヤ(@maya)

@maya:プログラムの目的は、女性メンバーの目線を上げ、影響力を高めてGo Boldな動きができるように背中を押すこと。つまり、自信を持ってもらうきっかけにしたかった。個人的には経営層にも普段関わりのないメンバーと関わることで新たな発見が一つでもあることを願い、実行に入りました。

ーその手応えはどうだったのでしょうか?今回のメルカンでは、女性向けメンタリングプログラム体験記事の書き手を募ったところ、5名の参加メンバーが手をあげてくれました。せっかくなので、書き手に立候補した櫻井みづき(@miisan)と松薗美帆(@mihozono)、山路ゆうか(@yyuuka)、井本陽子(@yoko)、成田彩夏(@ayapi)に、直接感想を聞いてみました。聞き手は、プログラムをリードしていた@mayaです。

「経営視点がほしかった」「藁にすがる気持ちで…」それぞれの参加理由

ーまず、みなさんがメンタリングプログラムへ参加した理由を聞きたいです。やはり、相談したいことがあって参加を決めたんですよね?

@miisan:私は、メルペイへ入社して3年経ちます。メルペイという組織やプロダクトはグロースしているけれど、自分自身の成長確度は足りていないんじゃないかと思い始めていて…。そんな悩みを経営メンバーに壁打ちしてもらえるチャンスだと思ったんですよね。

@mihozono:いいチャンスですよね。私は今UXリサーチャーをしていますが、将来的には事業戦略にも関わっていきたいんです。経営メンバーとのメンタリングが今後のキャリアのヒントになるんじゃないかと思って参加しました!

松薗美帆(@mihozono)

@ayapi:私も、経営メンバーからアドバイスや新しい視点をもらえるなら…と思って参加しました!私は普段からプロダクト視点で物事を考えることが多かったので、もっと経営視点を持ちたいなと考えていたんです。

ー@yokoさんと@yyuukaさんは?

@yoko:私もメルペイへ入社して3年が経ち、これから先、どうやって事業に貢献していくかを悩んでいました。自分が何をやりたいのか、どういう役割が適しているのか、世間でよく言われる「スペシャリストか、ジェネラリストか論」の罠にもハマってしまっていたんです。「どうにかして貢献する道を見つけなければ…」と思っていたところだったので、藁にもすがる気持ちでした(笑)。

@yyuuka:私も同じく、メルペイへ入社して3年くらい経ちます。当時に比べてマネジメント層と物理的にも距離を感じるようになったんですよね。入社したばかりの頃は少人数だったからすぐに話しかけられたけれど、組織規模がどんどん大きくなっていく中で接点も減っているような感じと言いますか。だから、今回のメンタープログラムは面白そうだと思ったんですよね。

メンタリングでの気づきは、思い込みの強さと「遠慮」

ー@miisanさんと@mihozonoさんは@markさん(現メルペイ取締役COO、山本真人)、@ayapiさんは@osariさん(メルペイ取締役 VP of Corporate、長利一心)、@yyuukaさんは@shingoさん(メルコイン取締役、伏見慎剛)、@yokoさんは@m-tochinokiさん(メルカリ常勤監査役、栃木真由美)をメンターに指名しています。話してみてどうでしたか?

@miisan:話すトピックを6つくらい用意していたんですが、特に悩んでいたマネジメントと今後のキャリアを深く話しましたね。私が現在進行系で対峙している課題や疑問、また@markさんが過去につまずいたことも赤裸々に話してくれました。そこから勇気をもらいました!

印象的だったのは「最終ゴールを見せながら進める」ということ。このプログラムを受けている最中にマネージャーになったこともあり、チームビルディングをどうしようと考えていたところだったんです。マネージャーの役割は大きなビジョンを共有したり、ゴールテープの切り方を具体的に示すことだと言われてから、より高い視座を持つことを意識するようになりましたね。あと、ちょうどメルペイQAの採用が厳しいタイミングだったのですが、その件も相談に乗ってくれました。そうやって、自分にとってのネックを話しつつ、実際に進められたのも良かったです。

櫻井みづき(@miisan)

@mihozono:@miisanさんが話しているとおり、@markさんは自分の失敗も含めてしっかり話してくれるんですよね。実は大学の先輩でもあるのですが、雲の上の存在で話す機会があまりなくて(笑)。1on1を通じて「@markさんも人間なんだな」と感じられました。

私の場合、@markさんはビジネスに強い印象があったので、その源泉はどこにあるのかを対話していました。そのなかで印象的だったのが「スペシャリストか、ジェネラリストか」です。私は、UXリサーチャーという専門性を持っていますが、今後のキャリアを考えるとスペシャリストとジェネラリストのどちらがいいのかを悩んでいたんです。その悩みを打ち明けたら、@markさんに「(基本的にジェネラリスト=スペシャリストから領域を広げた人が多いという意味で)そもそもジェネラリストはいるんですかね」と言われて、確かに…となったんですよね。自分の思い込みでジェネラリストがいいと思っていたんだというのは大きな気づきでした。

ー@ayapiさんは、@osariさんとどんなことを?

@ayapi:私もプログラムに参加している途中で仕事上での役割が変わりました。経営メンバーが多く参加する投資会議で施策案を話す場も増えて、毎回とても緊張していたんです。そんなとき、メンターの@osariさんに資料のレビューや数字の組み立て方、戦略会議でのアドバイスを頂き、発表後はフィードバックなどしてもらっていました。「こうやってエビデンスやストーリーを出すと理解してもらいやすいんだなぁ」と、学びが多かったです。

あと、@osariさんはメルカリでの経験もあります。私の相談や発言を受けて「メルカリのあの人にタイプが似ているかも」「この人はこういうキャリアを進んだから、このやり方は合っているかも」といった方向性も提示してくれたんです。身近に目標を見つけられるきっかけにもなりましたね。

成田彩夏(@ayapi)

@miisan:私は@ayapiさんとは逆で、@markさんから「@miisanさんのロールモデルはいないかもね」「だから、自分の強みをもっと理解したほうがいい」と言われまして(笑)。

それまでは、無意識に自分のロールモデルを探してしまうところがあったんですよね。でも、@markさんからそう指摘されて、視界が広がった気がしました。自分に似た人じゃなくて、むしろ自分と全然違う人と背中を合わせて助け合ったり補い合うチーム作りがいいかもというのは新しい視点でした。

「もっと前に出て発言してもいいんじゃない?」

ー@yyuukaさんと@yokoさんはどうですか?

@yyuuka:私の場合、直接仕事でやりとりがない@shingoさんを指名していました。本当に接点がなかったので「どんな人だろう」からスタートしましたね(笑)。お互いのことがわからないので打ち解けるまでに少し時間がかかりましたが、最終的にはしっかりフィードバックをいただける関係になれました。具体的には今までのキャリアプランや先行きに悩んでいることを議題に、深堀りしていくようなスタイルでした。

ハッとしたのは、「もっと前に出て発言したほうがいい」のひと言でしたね。私、会議などの大事な場ですぐ隣りにいる上長にいろいろ発言してもらっていたところがありました。上長のほうが発言力もあるし、スムーズにいくと考えていたんですよね。@shingoさんに言われて初めて、自分が正面に立つことをしていないと気づいたんです。

山路ゆうか(@yyuuka)

@yoko:女性特有と言っていいかどうかわかりませんが、気が付かないうちに「実力を認められない状態」に陥っていたりしますよね。私が@m-tochinokiさんから指摘されたのは、以下の3つです。

1:「貢献しなければならない」という気持ちから自分のWillよりCanばかりを考えていたこと
2:Canを考えているのに「できない」ことにフォーカスしすぎていること
3:「自分は何をしたいのか」しか考えられていないこと

それぞれ、次のようにアドバイスされました。「自分は10年後どうありたいのか」「自分は誰と働きたいのか」「“自分はどういう環境で働きたいのか”を考える」「自分の今の環境や今できることを前提にしすぎないほうがいい」。@m-tochinokiさんは八方塞がりだった私の思考を、わざと「やらなければならないと思っていることからやりたいことへ」「やりたいことからありたい姿へ」と話を広げてくれたんです。おかげで、自分のWillが明確になり、次の挑戦したいことを明確にできました。

ちなみに、@m-tochinokiさんを指名したのは「女性だったから」。プログラムでは、@m-tochinokiさんの話を聞く時間と、私の話を聞いてもらう時間に分けました。@m-tochinokiさんについてもお話いただく時間をしっかりとれ、なぜ今@m-tochinokiさんが監査役になったのかという歴史と背景も知り、人生の選択という意味での道標になりました。

井本陽子(@yoko)

@mihozono:「遠慮しがちになる」はよくありますよね。私も@markさんから「遠慮せずにもっと前へ出たほうがいい」と言われました。その例として教えてもらったのが、@mazeさん(ソウゾウ代表取締役CEO、石川佑樹)です。

@mazeさんは、メルペイの経営会議で何度も提案し続けて、それだけ想いがあるならばと経営陣が最後は根負けしたという強いエピソードがあるんですよね。「@mihozonoさんもそれくらいやっていい」と言われました。今までは遠慮気味なところがあったので、それはやめていこうと思いましたね。

メンターも、貢献したい気持ちが強いプログラム

ー今回のプログラムを振り返ってみていかがですか?

@mihozono:そもそも、社内の女性メンバーだけで集まることはそんなにありませんでした。プログラムの参加メンバーでランチもして、共通の課題があることがわかったり、いい情報交換の場になったりしてよかったです。

@ayapi:そうそう、ランチは楽しかった!普段しないような議論もあったりして、メンタリングとは別の気付きも多かったです。プログラムの参加メンバーがいるSlackチャンネルで議事録を公開している人もいて、読んでて面白かったです。こういうきっかけで、チームビルディングが促進されるといいですよね。

@miisan:あと、勝手なイメージかもしれないのですが、自由に発言することへのハードルがなくなったと思っています。今までは「この発言をしたらどうなるか」を気にしていたんです。このプログラムを通じて、改めて別の思考があるのだと理解でき、自分の中にある多様性が広がったと思いました。

ー次の人へのアドバイスがあればぜひ!

@yyuuka:そうですねぇ…。私は仕事上でやりとりがなかった方をメンターに選んだので、最初は話すこと自体のハードルは高いと思っていたんですよね。でも、実際には具体的なアクションを起こせるフィードバックをたくさん得られました。だから、あまり気にせず参加していいんですよ!

@yoko:同感です。こんな機会はそうそうないので、全部さらけ出すつもりで話していいと思います。今だから言うんですが、@ayapiさんのメンターを務めた@osariさんから「どんなことを話せると@ayapiさんのために繋がりそうか」と質問を受けたこともありまして(笑)。それくらい、メンターの方々も、貢献したい気持ちがとても強いんです。

@ayapi:そうだったんだ(笑)。私は最初、いろいろなパターンを想定して話す内容を箇条書きにして挑んだんですよね。でも、最初の話題だけで時間があっという間に終わってしまって!用意したものすべては話せないと思い、アジェンダを簡略化してお互いに気になる話を深堀りするスタイルに切り替えました。緊張するからこそ、話しやすいスタイルで進めるのはおすすめです。

@mihozono:私は…めちゃくちゃ緊張していましたね!それこそ、一週間前くらいから緊張していました。でもあるときに、フリートークを挟んでみたんです。それが思わぬ方向へ添加して、いい結果に繋がりました。緊張はするけれど、ゆるい感じもいいですよね。

@miisan:@mihozonoさんがめちゃくちゃ緊張して念入りに準備していたのはイメージできる(笑)。私はそんなに準備をせずに挑んでいましたね。アジェンダとしては、前回の1on1を経て気づいたことや実践したことを話していたんです。もちろん緊張はするんですけど…あまり身構えることはないということは、次に参加する人たちへ伝えたいですね。

ー経営会議で振り返りを実施したところ、「〇〇さんの発言が増えたね!」とか「〇〇さんの視座が上がった」などのコメントがあったので、完璧な制度ではまだまだありませんが、多くの参加者に自身を持っていただけたことが何よりも嬉しいです。

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