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「お客さま体験向上」だけじゃない、メルカリCREがサービス拡大に重要すぎるワケ

2021-12-24

「お客さま体験向上」だけじゃない、メルカリCREがサービス拡大に重要すぎるワケ

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CREとはCustomer Reliability Engineering(顧客信頼性エンジニアリング)のこと。メルカリでも創業まもないころから、CSツール開発などを通じて、お客さまのお問い合わせを通じてサービス体験向上に挑んできました。

そんなメルカリCREが今、大きな変化を迎えようとしています。というのも、今後のサービスおよび組織拡大につれ、CREとして開発してきたサービス基盤に限界が見え始めたのです。そこで、メルカリ全社をあげて基盤を刷新するプロジェクトがスタートしました。

ところで、今の状況をCREメンバーはどう見ているのでしょうか?今回のメルカンでは、CRE Camp Headの濱田順司(@vary3)が聞き手となり、メンバーそれぞれが感じている課題やWillを聞き出しました!

この記事に登場する人


  • 宮坂雅輝(Masateru Miyasaka、@mmiy)

    マイクロソフト、株式会社楽天、株式会社ファーストリテイリングでさまざまな国内及び、グローバル向けの製品のプロダクトマネージメント行うのとともに、開発組織強化のためにAgile開発の導入、オフショア開発拠点の立ち上げなどに従事。2018年9月、株式会社メルカリに参画。現在はProducts FoundationのDirectorを務める。

  • Mohan Bhatkar(モハン・ラムダス・バットカル、@mohan.bhatkar)

    インド出身。日本での生活は今年で11年。ソフトウェアエンジニア、チームリード、エンジニアリングマネージャーを経て、2019年4月にバックエンドチームのエンジニアリングマネージャーとしてメルカリに入社。メルカリの絶え間なく進化し続ける環境で安定したチームを作ることに従事。チーム管理以外に、データ主導の意思決定に裏打ちされたメルカリグループ全体のインシデント管理プロセスを改善。さまざまな組織管理スタイルを学ぶことに興味を持ち続けている。

  • 濱田順司(Junji Hamada、@vary3)

    2018年9月にメルカリへプロダクトマネージャーとしてジョイン。福岡開発拠点の立ち上げを経験し現在はCRE Camp Head。将来の夢は花屋かコーヒー農園のオーナーになること。

  • 松久保敬人(Yuto Matsukubo、@Peranikov)

    2018年11月にメルカリに入社。CRE CSToolチームでSoftwareEngineer/TechLeadを務めた後にEngineering ManagerになりCSToolチームとDefence Forceチームをマネージしている。カメラとボードゲームとクラフトビールが好き。

  • 桑古昌輝(Masaki Kuwako、@wako)

    2018年12月にBackendエンジニアとしてメルカリにジョイン。テックリードを経て2021年2月からプロダクトマネージャーにロールを変更。麻婆豆腐とカレーをこよなく愛している。

  • 瀧口舞(Mai Takiguchi、@tack87)

    2019年3月にメルカリに入社。CSのBIチームでコンタクトセンターの生産性指標やお問い合わせに関するデータ分析・調査に携わる。2020年1月にCREに異動し、現在はお問い合わせ対応ツールやヘルプセンターのプロダクトマネージャーを担当している。

  • 髙橋祐記(Yuki Takahashi、@ukitaka)

    2014年に新卒でDeNAに入社し、趣味が高じて複数のアイドル関連サービスの開発に携わる。2016年にLINE Fukuoka入社に伴い福岡に移住したのち、メルカリの福岡開発拠点立ち上げと同時にメルカリに入社。現在はCREチームのEngineering Managerとして、メルカリのお問い合わせ領域チームのマネジメントを行っている。

  • 梅澤慶介(Keisuke Umezawa、@umechan)

    Web企業やFintechスタートアップ等で、レコメンデーションエンジン開発や金融モデリングの経験を持つソフトウェアおよび機械学習エンジニア。現在はEngineering Managerとして複数のチームに携わっている。また、Deep Learningフレームワークやハイパーパラメータ最適化のOSS開発に携わったり、エバンジェリストとしてライブラリの普及にも努めている。

  • 島田健太(Kenta Shimada、@kentan)

    2018年にメルカリへ入社。CREチームでエンジニアリングマネージャーを務める。機械学習エンジニアやBackendエンジニア、Frontendエンジニアからなるクロスファンクショナルチームのマネジメントを行う。メルカリ入社前は、アメリカと日本で、フルスタックエンジニアとして10年以上働いていた。認定スクラムマスター。

  • 篠原佳奈子(Kanako Shinohara、@louna)

    2018年8月にメルカリに入社し、CREチームでCSツール、メルペイにてあと払いのPMを担当した後、Product Management Excellenceチームへ異動し、Campシステムの裏側を支える。2021年7月から現職。趣味はキャンプ。


激動の半年間で見えてきたCREの課題

@vary3:この半年間を振り返るだけでもメルカリでは新しいビジネスがいくつか誕生しています。新規事業を立ち上げる爆速感は今の組織規模になってもスタートアップを感じさせてくれますし、All for Oneで突進していくスタイルはとてもエキサイティングですよね。それをしっかり着地させるからさらに凄い。

一方、メルカリを支えるCSToolチームには今の開発速度に追従できない課題が顕在化してきました。(話し込むと3日はかかりそうな内容ですが…)今日はHead of Products Foundationの@mmiyさんから見たCREの役割、そして課題や期待値について率直にお話を聞いてみたいです。

@mmiy:いきなり(笑) 。そうですね、CREはCustomer Support(CS)、 Trust and Safety(TnS)さらには Security&Privacy などメルカリを運営するためのプロダクトを作っているチーム。このチームがいないとしたら、メルカリの運用ができない。すなわちメルカリの生命線の一つだと思っています。

写真左から、@vary3、@mmiy

@vary3:「私たちが動きを停止する」すなわち「メルカリが止まること」を意味しますからね。絶対に止めることができない。そんな@mmiyさんから見たCREの課題は?

@mmiy:このチームの課題は2つあります。1つは、チームサイズが小さいこと。小さいチームでこれだけ巨大なプラットフォームを維持していることは素晴らしいけど、徐々に周囲の期待値に対してスピード感という観点では期待に応えられなくなってきた。

そして2つ目、これは歴史的経緯やビジネス方針に依存するところが多分にあって仕方ないんですけど…。中長期的なプロダクトロードマップが持てていないことは大きな課題だと感じています。

@vary3:プロダクトが肥大化し複雑性が増した結果、機動力が落ちちゃっていますよね…。

@mmiy:そうですね。課題がそのままに期待値になっちゃうけど、これからのメルカリを支えていくためにチームを強化してほしいし、プロダクトを強くしてほしい。それができるとメルカリの運営もスムーズになるし、お客さまへのサービス改善にも繋がります。

@vary3:ありがとうございます!プロダクトを強くする一手が「Robust Foundation for Speed」となるわけですね。

<CREの課題>
・ プラットフォームの強靭化
・ 組織強化

プラットフォーム強靭化の初手 「Robust Foundation for Speed」

@vary3:先ほど@mmiyさんからも話してもらったように、私たちのプロダクト強化が最重要ミッションです。その初手として@mohanさんが推進しているタスクフォース「Robust Foundation for Speed」(以下、RFS))について話を聞きたいのですが?

@mohan:CSToolチームはCS向けのツール開発を7年以上続けてきました。そして今回、さらに効率化を追求するためにはRFSの取り組みを始めました。ソフトウェア開発ライフサイクルの中で、技術負債と呼ばれるものは必ず発生します。それをを解消しないと、ビジネスやシステムのスケールができない。そして、やるのは今しかない、絶好の機会でもあるんですよね。

@mohan

@vary3:具体的にはどのようなことをするんですか?

@mohan:プラットフォームを強靭化するためのリアーキテクチャ、それを実践するための組織強化も行います。これが実現できれば、CREのミッションやビジョンを広げることにもつながる。私たちとしてもとても嬉しいことです。

@vary3:リアーキテクチャのことをもう少しくわしく教えてください!

@mohan:CSToolチームのバックエンド開発だけでなく、フロントエンド開発にも負債があります。これは歴史的な変遷により、その時々で最適なアーキテクチャを選択してきた結果です。ただ、それが定期的にクリーンナップされてこなかったことが、これからのメルカリのビジネス拡大の足かせになろうとしています。そこを解消するためのリアーキテクチャを実施していきたいですね。

@vary3:そのためには、CREの組織強化もセットということ?

@mohan:そうです、全力で仲間を探しているところです。気になる方、ぜひ声をかけてください。

@vary3:これまでレガシーなサービスを維持することに精一杯だった私たちにとってRFSは「反撃の狼煙」のようなものなのでチーム総力戦で取り組んでいきたいですね!

RFSに向けた意気込みはいかに?

CSToolチームはRFSにフルコミット!

@vary3:せっかくなので、PMやEMなどのメンバーも紹介します!まずはCSToolチームから@wakoさん、@Peranikovさんお願いします。

@wako:“CSツール = 社内ツールの開発”というと若干ディフェンシブなチームと思われがちです。しかし、RFSをきっかけに攻めの姿勢へ切り替え、良いCS体験を提供できるよう様々な取り組みをしていきたいです。

写真奥から@wako、@Peranikov

@Peranikov:CSToolチームは、メルカリのローンチ当初からあるサービスをモノシリックなPHPで開発してきた歴史もあります。そこから様々な改修が施され、今ではAPIの数だけで500近く。一部は私たちが主管するGraphQLに移管を進めていますが、まだその多くは残っているというのが現状ですね。RFSではまず各APIの疎結合化、そしてGraphQLに集約していくという作業を進めていくつもりです!

@Peranikov

@wako:まずは1年を目処にやっていきたいですね。

@Peranikov:そうですね。CSツールが巨大なものなので愚直に依存を剥がしていくとなると数年はかかります。だからこそ、まずはコードの依存度を分析。いざ開発に入ってから安全にリリースしていくための準備を進めているところです。それができると、組織がスケールした分だけ生産性もあがっていくはず。今がとても大事なフェーズです。

@wako:新しいメンバーが入る準備も着々に進めています。本当に楽しみ!CSToolチームの取り組みを詳しく知りたい方はメルカンの記事を見ていただけると嬉しいです。

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グループ全体で利用可能な違反検知基盤の再構築に挑戦

@vary3:それではTnSチームの@lounaさん、@kentanさんお願いします!

@louna:TnSチームでは、これまでは出品商品監視のためのツールやMLモデルを開発をしていました。そこからちょっと踏み込んで、そもそも違反行為が起きないなど、不正な出品ができない仕組みづくりを進めています。機能開発 × CS OpsのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング:プロセスを分析し、再設計するもの)だったり、AI/MLを利用したソリューション開発を両軸でやっていたりします。

もう1つ注力しているのは、データドリブンな意思決定ができるために、KPI設計も進めているところです。ここを一緒に進めてくれる仲間を今すぐにでもほしい(笑)!

@louna

@kentan:違反検知基盤(Moderation Tool)の刷新はRFSより先行して開発が進んでいるサービスです。なので、将来的にはメルカリ全体で利用可能なサービスとして転用できるように、最新のアーキテクチャで開発を進めています。特に違反検知領域はAI/MLを絡めた施策も多いので、PM、エンジニアともに今後のキャリアにも有用だと思いますね。この領域に興味ある方は、ぜひ声をかけてほしいです!

@kentan

@vary3:いいですね、気になっちゃう(笑)。

マーケットプレイスの安心・安全を支えるTnSは相当奥深いので気になる方がいたらカジュアルにお声掛けいただきたいですね。TnSの詳細はメルカンや以前開催したTech Talkの記事をみるとより理解が深まると思いますので是非。

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お客さまのお困りごとをテクノロジーで解消したい

@vary3:続いては、お問い合わせ領域に取り組むCXP&CRE-AIチーム!@tack87さん、@ukitakaさん、@umechanさん、お願いします!

@tack87:私たちもTnSと同じく、RFSより先行してコンタクトセンターの刷新を行っています。お客さまからのお問い合わせは、メルカリの成長とともに日々増えています。お問い合わせの内容自体もどんどん多様化している中で、対応品質を維持しながらも効率的に対応していく必要がある。どういうツールを提供していくべきかを日々考え、価値提供しているのが私たちのチームです。プラットフォーム開発だけではなく、お客さまのお問い合わせ体験の改善も同時に取り組んでいます。

写真右から@tack87、@ukitaka、@umechan

@ukitaka:エンジニアリング的には、特殊なアーキテクチャを採用しているわけではないんです。しかし、設計の初期段階からCSの生産性可視化に関する課題があったので、ログ基盤や分析基盤の強化してきました。あとCS(カスタマーサービス)業務は皆さんが思っている以上に複雑なので、それをコードにそれを落とし込むためにドメインを中心においたアーキテクチャを採用。業務の複雑性解消に取り組んでいます。この領域は一見地味に見えますが、エンジニアリングの余地が多くあって面白いですよ。

CSの生産性を可視化して改善する活動はコストインパクトも大きいですし、成果が感じられる瞬間ですね。

@vary3:みんなでアーランC式の勉強をしていたのが懐かしい…。

@umechan:CRE-AIの取り組みとしては、CS向けに機械学習をつかったサービスの提供をしています。具体的にはお問い合わせ内容を分析して、それに最適な回答を自動返信したり、オペレーターがお問い合わせ返信時にどのような内容を返信すべきかのサジェスト機能等を開発しています。

こういった取り組みにより、お問い合わせ業務の効率化に貢献したいんですよね。テクニカルな部分では、お問い合わせ内容を自然言語処理を利用して分析し、どのような内容かを判断するための機械学習モデルを作成。我々としてはCSの業務効率化をどう実現すべきかを常に考えていて、AI/MLがひとつのHowであればそこに全力コミットしていきたいと思っています。

@umechan

@vary3:CSにAI/MLを全力投入しているのはメルカリならではかもしれませんね。この領域については以前Tech Meetも開催しているのでその情報を見ていただくとより理解が深まりそうです。

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セキュリティ犯罪やプライバシー保護の最前線

@vary3:さて最後に、Defense Forceチームです。私がPMを兼務しているので、そのまま回答しちゃいますが…フォーカスしているエリアは、プライバシーですね。そのきっかけが2022年4月に施行される改正個人情報保護法。法律はあくまでもガイドラインなので、PMとしてはそれをどのようにプロダクトに落とし込むかが大切です。正直に言って「正解がない世界」なので、セキュリティチームやリーガルチームとも連携しながら丁寧に進めているところです。

@Peranikov:エンジニアリング的な観点だとDefense Forceチームのアーキテクチャはメルカリの標準的なものを採用しているところが多いですね。課題としては、リスクに取り組むにあたり、設計をいかに柔軟に考えるかが大事なポイントかなと思っています。

@vary3:本当にそう。常に有事に備えておく必要がありますからね。

@Peranikov:ただ、知れば知るほどこの領域は面白い!

写真手前から@vary3、@Peranikov

@vary3:正解がないからこそですが、あえて攻めに転じても良いのではと思ったりもしています。

例えばプライバシーポリシーも、難しくて途中で読むのを諦めちゃうことが多い。そこをわかりやすいUI/UXで見せるだけでも、お客さまに対して優しい世界観を作れるはず。攻めにくい領域ではあると認識していますが「メルカリとしての正解はこうだ!」と言い切れるプロダクトを作っていきたいですね。

最後に。今、世界中でプライバシーテックに熱い視線が注がれています。メルカリでもこの領域は積極的に取り組んでいきたいので、一緒に戦ってくれる仲間を絶賛募集中です!そして、Defense Forceチームのメルカンは必見です!

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メルカリCREから、反撃の狼煙をあげる!

僕個人としてはやっと…本当にやっとプラットフォーム領域を強化する時がきました。これには@kwakasaさん(メルカリCTO、若狭建)の後押しがあったことに他なりません。

メルカリは改めて、グローバルに挑戦していきます。そして、グローバルで戦うためにはプラットフォームの強化は最重要課題になる。そのためのRFS、CREの組織強化です。

メルカリはまだまだ未完成で、特にプラットフォーム領域はやるべき事が山積している状態です。そんな私たちはこの挑戦にご一緒いただける仲間を募集しています。少しでも気になるという方はMeeryカジュアルに話してみませんか?もちろん直接採用フォームから応募していただいても構いません。

これから取り組もうとしている領域はとても難易度が高いです。だからこそ、それを乗り越えた時に見えるであろう景色は格別なものになるかもしれません。きっとその経験は、最高のキャリアになるはずです。

お気軽に、お声掛けください。

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