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メルカリの“ブランド保護”の最前線で奮闘。事業部の垣根を超えたプロジェクトの1年間の歩み

2022-12-19

メルカリの“ブランド保護”の最前線で奮闘。事業部の垣根を超えたプロジェクトの1年間の歩み

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こんにちは、メルカリマーケティングチームの上村一斗(@uemu)です。

今回は、2022年1月に発足した「PJ Brand Protection」プロジェクト立ち上げの背景および取り組みの事例についてご紹介します。

PJ Brand Protecitonとは、悪質なビジネス(フリーライドなど)の広告宣伝を行う、メルカリ以外の第三者の活動が原因で、メルカリの企業やサービスブランドイメージを毀損する情報商材や偽サイト、偽アカウントなどへの対応をまとめたガイドライン策定を行うプロジェクトです。

今回は本ガイドライン策定における主要な論点や、チームの特性を活かしたメルカリならではの体制づくりや運用方法などの話をとおして、企業でブランド保護を担当されている方や、またこれから取り組みをはじめようと考えている方々の参考になれば幸いです。

上村一斗(@uemu)

プロジェクト立ち上げの背景

従来メルカリでは、法務や知財といった専門性を持ったチームが個別に権利侵害の事案に対応しており、規約違反や知財侵害などが認められれば、テイクダウン(*)の措置や法的なアプローチを活用した個別対応を実施してきました。

しかしながら、形式的には知財侵害などが認められる場合であっても、テイクダウンすべきか判断に迷う事案が発生しており、「どのような場合にテイクダウンを行うのか?」基準が明確ではなく、対応に苦慮する場面が増えてきていました。

さらには、偽サイトや偽アカウントなどについての問い合わせが、法務や知財、カスタマーサポートなどに分散して届いており、問い合わせ先が不明確になっていたという課題もありました。

こうした背景から、法務と知財担当者が声を上げ、会社としてテイクダウンの基準を作り、現在の国内フリマ事業を皮切りに事例を収集しながら基準を精緻化していくという方針のもと、プロジェクトを立ち上げました。

(*)著作権に関する手続きの概念のうち、プロバイダが著作権者から通告を受けた際に、当該コンテンツを速やかに削除し、また、コンテンツの発信者に通知を行う、という手続きを含んだ一連の流れ

出身チームの特性を活かした運用基盤づくり

本プロジェクトには、ブランド、セキュリティ、法務、政策企画、知財の各チームからそれぞれ1名以上が参加し、チームを組成しました。

それぞれの出身チームの特性を活かし、下記のような役割をそれぞれが担い、事業部の垣根を超えて、運用していることが特徴的です。

それぞれの役割
・ マーケティングチーム:プロジェクトオーナー。おもにブランド毀損の判断
・ セキュリティチーム:偽サイトに関連するフィッシング対策
・ 政策企画チーム:省庁や業界団体との連携
・ 法務チーム:利用規約違反などのチェック
・ 知財チーム:偽サイトのドメインなどの調査や侵害の判断と実際のテイクダウンの申立て

上記以外にも、カスタマーサポートやPRチームとの連携も行い、テイクダウン対応における情報収集や対応時のリスクについてフィードバックをもらうなど、事案に応じた柔軟な連携が取れる体制を構築しています。


事業部の垣根を超えてプロジェクトに参加するメンバー、特性やスキルもさまざま

ガイドライン策定における論点となった「ブランド毀損の基準」

ガイドライン作りにおいて、おもな論点になったのは「ブランド毀損の基準」についてです。

下記は実際に行った議論の一部を抜粋したものです。

・知財侵害などが認められる場合であっても、あくまでファン活動の域を超えていない境界線はどこにあるか
・お客さまの好きが高じて「メルカリの使い方をレクチャーするプロ」になり得るケースをどのように捉えるか
・プロジェクトチームのキャパシティを考慮するとある程度「リスクの大きさ」と「ファン活動としてポジティブな影響」を天秤にかけるという視点も取り入れるべきではないか
・法令違反などの悪質さはフローのどこで判断するべきか

想定ケースの洗い出しと過去事案のレビューを繰り返しながら、上記のような論点を一つずつクリアにし、プロジェクトメンバー間で丁寧に目線合わせを行っていきました。

また、判断基準を定めていく中では、社内の関係者へのヒアリングはもちろん、他社のブランド保護体制についてもヒアリングを行うなどし、メルカリ独自の基準を模索していきました。

このようにして、メルカリでは、「ファン活動を超えるものや、“メルカリ公認・公式”と誤認するような発信や表記がされている場合は“ブランド毀損”と判断する」という基準を設け、試験的にガイドラインの運用を始めることで、さらなる事例の収集と基準の精緻化を進めてきました。

下記にこれまでに行ったテイクダウン事案をいくつかご紹介します。

①副業に関するセミナーへの参加募集
メルカリを使った副業セミナー参加者の募集や被害事例
②メルカリの名を使った第三者アプリ
APIを利用してフリマアプリの出品通知や一括検索が行えるアプリがStoreに掲載された事例
③クラウドソーシングサービス上の募集
メルカリの名を使った効率化ツールの開発を募集した事例。本事案をきっかけにプラットフォーム事業者との連携体制構築に着手
④偽サイト
メルカリの出品情報をコピーし、販売しているような外見を持つ偽サイトが出現した事例
⑤中国人向け偽サイト
メルカリの出品情報をコピーし、中国人向けに販売していたと思われる偽サイトが出現した事例

現在では、月に数十件から多いときには数百件の通報を受け付け、対応を行っています。また、テイクダウン事例を元にガイドラインもアップデートしています。

目指すはグループ全体に展開するブランド活動としてのプログラム

今後の展望として、国内フリマ事業を統括するプロジェクトから、いずれはグループ全体に展開するプログラムとなるように、事例の収集や判断フローを磨き込んでいきたいと考えています。

一方で、メルカリの魅力を広める活動をしてくださるお客さまついては、みなさまが安心して発信していただける環境を作っていけるよう、いわゆるクリエイター向けのガイドラインやナレッジの整備を進めていきます。

個人的には、日常的にお客さまとの接点を持つマーケティングチームが本プロジェクトのオーナーシップを持つことで、マーケティング活動におけるお客さまコミュニケーション設計に繋げることができるというのが副次的なメリットだと感じています。

10月よりスタートした、売り買いの楽しさを“発信していく”コミュニティ『メルカリサロン』の活動においても、体験設計や参加者のみなさんとのコミュニケーションに活かすことができています。

“ブランドプロテクション”とはいえ、“守り”を固めるだけでなく、“攻め”のアクションにもつなげていきたいと思っています。

「ブランドを守る!」を表現したブランドプロテクションポーズで集合写真

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