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Mercari Conversations──派遣研修中の徳島市役所職員はメルカリでなにを得て、地域になにを持ち帰るのか?

2023-2-21

Mercari Conversations──派遣研修中の徳島市役所職員はメルカリでなにを得て、地域になにを持ち帰るのか?

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    いまや2,000人規模の会社となり、YOUR CHOICE(個人と組織のパフォーマンスおよびバリューがもっとも発揮しやすいワークスタイルを自ら選択できる制度)によってメルカリらしいワークスタイルが確立されてきています。一方で、少し離れたところで繰り広げられているメンバーとメンバーの会話や雑談をふと耳にする機会が少なくなったのはまた事実です。そこで「Mercari Conversations」と題して、ふだんから一緒に仕事するメンバーや、仕事をする機会は少ないけど仲の良いメンバー、はたまたこの機会に気になるあの人と会話してみたい、そんなメンバー同士のざっくばらんな「Conversation(会話)」を記録していきます。

    初回は、PRの鈴木万里奈(@Marina)が、2023年3月まで徳島市市役所から派遣研修中で、経営戦略室政策企画とD&I チームに所属する麻空公美子(@soramix)に、徳島市での仕事、メルカリでの仕事、そして『北斗の拳』に学ぶ人生訓まで、あれこれ聞いてきます!

    この記事で会話する人


    • 麻空公美子(@soramix)

      メルカリ政策企画。2010年徳島市役所入庁。住民課において戸籍等交付業務に従事。その後、再開発事業、公共工事の入札の業務を担当する土木政策課で執務するなか、徳島市の重要課題となっていた「中心市街地活性化基本計画」策定に向けた市長直轄の組織として2021年12月に設置されたプロジェクトチームのメンバーに抜擢され、立ち上げから2022年3月の総理大臣の認定までの主要なメンバーとして携わり、2022年4月から2023年3月までメルカリに派遣研修中。経営戦略室政策企画とD&Iに所属し自治体連携や「メルカリ教室」「メルカリ寄付」「メルカリShops」「無意識バイアスワークショップ」などの業務を担当。


    • 鈴木万里奈(@Marina)

      2015年、国連東ティモール UN WomenにてWPS・CEDAW等女性のエンパワメントに関するCommunication Assistantとして勤務。2017年よりメルカリでPMインターン。2018年に新卒初のPRとしてメルカリへ入社し、Corporate PRを経たのちにフリマアプリ「メルカリ」と「メルカリShops」のProduct PRに従事。入社後、部活動の延長線としてD&Iチームの立ち上げも行う。趣味は観劇と登山。

    思わぬ人事異動でメルカリへ

    @Marina:soramixさんとはお互いD&Iチームのサポートメンバーとして出会ってから、ずっとメルカンで紹介したくて震えていました。私にとって初めてお会いする徳島市役所の方ですが、とてもエネルギッシュな印象です。まずはこれまでのキャリアや歩みを教えてください。

    鈴木万里奈(Marina Suzuki)

    @soramix:私の周囲を取り巻く人がみんな公務員でしたので、「当然公務員になるんでしょう」という環境の中で育ちました。公務員になると言っても、試験をクリアすることは難しいと言われていることから、多くの葛藤があったので合格したとわかった時は嬉しかったです。2010年に徳島市の行政事務職員として採用されてから色々な経験をしました。住民課で戸籍や住民票の窓口業務をしていた時に、自分の思い込みに気づくことができるようになりました。

    @Marina:思い込み?

    @soramix:そう。入庁4年目で窓口業務しかしたことがなかったのですが、再開発を推進するプロジェクトチームに選ばれました。起案したこともなければ文書を作ったこともなく、気軽に話せる同僚もいないうえに、組織のルールも知らない自分にはできることがないと思いつめていたんですね。でも、当時の課長や補佐に「必要のない職員なんていない、決して軽んじているわけではない」と言われたことをきっかけに、自分の得意分野を作ろうと思い直しました。

    そうなったら多くの人は勉強を始めることが多いと感じるのですが、私は「まちの人と繋がり」を作ることにしたんです。戦略的に作るっていうよりかは、「自分が担当している仕事なのにまちの実情を知らないっておかしいのでは?」と思っていたこともあり、観光資源であるひょうたん島周遊船を運転できるように船舶免許をとったり、とくしま観光ガイドボランティア会に入ってまちあるきガイドをするようになりました。あと、市役所から再開発組合事務所に行くまでの間に商店街があるんですけど、徒歩で移動しながら「今日はいい天気ですねえ」なんて話をお店の人としていたら、いつの間にかまちの人が私を認知してくれるようになっていました(笑)。今となっては市役所内外から頼られる事も多いので、あの時の自分の選択は間違ってなかったなと思っています。

    麻空公美子(Kumiko Asasora)

    @Marina:船舶免許ですか!?今度ひょうたん島へ連れてってください(笑)!そこから、どのようにメルカリへたどり着いたんですか?

    @soramix:メルカリへの派遣についてはシンプルに言えば人事異動なので、そこに自分の意思はなかったんですけど、このお話があった時はさすがに言葉が出ませんでした。今まで私の知るかぎり、民間企業への派遣は行っていなかったので。一方で、自分の生き方や可能性について常にアップデートしていきたい私にとっては念願でもあり、言葉にならない喜びがありました。話をしてくれた人事課長は私の百面相ぶりにさぞ驚いたと思います(笑)。

    しかし派遣研修といえども、課題や面接に合格しなければならず、派遣が本当に決まったのが3月下旬だったので、そこから家を見つけて契約して、4月1日からはメルカリで働く……という怒涛の日々だったので、むしろ仕事内容への不安を感じる余裕がなかったです。入社してみたら、早速メルカリのメンバーみんなにGo Boldだと歓迎されました。最初は何のことかわからなかったんですが、メルカリのValueのひとつであると知って嬉しかったです。

    またしても「思い込み」。自分の限界を勝手に決めていた

    @Marina:驚きの連続の日々だったかと思いますが、特に市役所での働き方と違うな、と感じた点はありましたか?

    @soramix:今まで自分はマルチタスクで柔軟性もあると思っていましたが、それはまたしても「思い込み」でした(笑)。メルカリに派遣されて、自分の限界を決めてしまっていることに気づきました。その壁の存在を知って、周りのスピード感についていこうと自分なりに頑張っていたら、いつの間にか乗り越えて、今は大きな海を見ることができている感じです。多くの業務を同時に行いながらも、情報共有が頻繁に行われているのがメルカリの素晴らしいところのひとつです。

    Slackや週1回のチームミーティングで進捗状況を共有しながら仕事を進めていますし、惰性で行っても意味がないことから「明日はアジェンダがないのでskipしましょう」なんてこともあります。ミーティングは30分が基本でダラダラと長くなるなんてこともありません。働く場所も時間もみんな違うから、ミーティングはおもにオンラインで行うんですけど、出社して同じ空間で仕事をする働き方よりコミュニケーションが密なのではないかとすら思っています。それはメルカリのカルチャーであるTrust & Opennessとか、3つのValuesがメンバーに浸透しているからこそのもので、一朝一夕では実現しないと感じました。

    偶然、私がメルカリの働き方にフィットしただけなので、メルカリの働き方の一部だけ真似したいと誰かにもし相談されたら「組織をカルチャーから変えていく覚悟はありますか?」と問うかもしれません。そんなことを言われたら身構えてしまうかもしれませんが、言いたいことはシンプルで、結局は柔軟に働ける環境を作ることが大事だと思っています。

    @Marina:なるほど。私は新卒でメルカリ入社だったので、別の視点からお話を聞けて楽しいです。他にも気づいたことはありましたか?

    @soramix:あとは、成果主義のメルカリで働いてみて、自分をアピールする能力が低いことにも気がつきました。市役所では1年に1回自己評価を行うんですが、業績評価欄が350文字程度しかないなかで、今まで私はその半分を周囲への感謝にあてていて、自分の成果をそこまでアピールしてきませんでしたし、それが美しいとすら思っていました。

    でもメルカリに入って「soramixはどうしたいのか、soramixの言葉で聞きたい」という場面が多々あるなかで「みんなの迷惑にならないのであればこうしたい」と繰り返し答えている自分に気づきました。絶対枕詞を付けてしまうんです。それに気がついてからは、できるだけ枕詞をつけないでおこうと思っていますし、今回から業績評価欄に周囲への感謝を書くこともやめました。

    自分はわざわざ周りに感謝していることを文字にしなければ、そのことに気づいてもらえないような人間ではないと思ったからです。気づいてもらえなかったらそれは自分の普段の行いが悪いわけだし、それよりも自分の成果をアピールしていこうと思うようになりました。そのことに私自身が気づくまで根気よく何回も聞いてくれたメルカリの皆さんには感謝しています。

    メルカリと徳島市の双方にWinをもたらしたい

    @Marina:行ったことに対するアピール能力は確かに必要な雰囲気がありますね。そんなsoramixさんのアピールしたい、今進めているプロジェクトについてぜひ知りたいです!

    @soramix:はい、私は経営戦略室政策企画とD&I チームの仕事を兼務しているので、まずひとつは自治体連携です。自治体連携では「メルカリ教室」「メルカリShopsセミナー」「教育プログラム」「メルカリ寄付」などを通してたくさんのことを経験させてもらいました。全国各地に出張させてもらって、他都市の街並みを見るだけでも勉強になったし、「メルカリ教室」や「メルカリShopsセミナー」を受講した方の生の声を聞くことができたのも良かったです。

    私は学生の頃、不要品を売るためにオークションサイトに会員登録しましたが、手順の説明を読んでひとまず自分でやってみるところからスタートしたので少し苦労した記憶があります。メルカリはいくら営業活動だからといっても、「ここまで丁寧に教えてくれるのか!」と驚きました。私はユーザーファーストな企業がすぐに大好きになってしまうので、メルカリのことも大好きになるまで時間はかかりませんでしたね。

    最近印象に残っているのは、とあるご夫妻の「メルカリShops」の出店サポートを行った時のことです。通帳を握りしめてセミナーに参加してくれたんですが、当日の個別サポートができなくて、その後偶然徳島出張が続いていたので改めてフォローさせていただいたところ、段々と自分の祖父母のように思えてきて(笑)。

    無事出店もできた時に「こんなに親切にしてもらったんだからこれも何かのご縁だ。メルカリの株を1万株程買いましょう」と。ご夫婦そろって投資が趣味だとは聞いていましたけど、さすがにびっくりしちゃって。

    @Marina:1万株!?出店いただいたうえに、1万株……!?

    @soramix:「株のことはわからないけど、損をしないタイミングで思い出した時に買ってもらえたら」と言って帰ってきました。今まで公務員として働いてきてお返しに何かをもらうことがなかったものですから、民間企業で働くってこういうことなんだなあ……と感じています。その後も、初めて商品が売れたり、発送が無事終わったりすると報告してくれるので自分のことのように嬉しく思っているところです。

    @Marina:1万株の話だけで3時間いけそうなのですが、2つ目のD&Iチームで行っている業務についても教えてください。

    @soramix:D&Iチームでは、「無意識バイアスワークショップ」のファシリテータをしているんですが、みんな正解なんてわからないまま手探りでベストを探しているんだなあと思っています。ファシリテートをするといっても、私が先生というわけではなくて、ともに学びましょうというワークショップです。ファシリテート前の1on1では、私をファシリテータとして育ててくれたGabeにいつも「緊張しないで、リラックスだよー」と言われています。わかってはいるんですけど、「良いこといわなきゃいけない」と無意識に思ってしまっているみたいで、なかなか板につかないなあと感じています。そもそも、D&Iをちょっとかじった人間が良いこと言えるわけないんですよね。

    D&Iに深い知見のあるyokosさんからは、D&I関連のオススメの本を紹介してもらって読んでいるんですけど、共感することが多すぎて、なかなか読み進められないのが目下の悩みです。「あるあるある!」って(笑)。昔、読書が趣味だった時には、こんなことなかったなあと思って笑っちゃいますけど、それだけ自分に適正がある分野なのではないかと思っています。これまで気になっていた領域の名前が「D&I」なんだ、って気づきました。

    @Marina:めっちゃわかります!私も「D&I」をやりたいんじゃなくて、身の回りの環境を良くしたいな、と思って活動していたらそれがD&Iというものでした。

    @soramix:D&Iをやっていて、言葉って大事だなと改めて思います。私たちの人生は誰かの言葉や、見たこと、感じたことによって行動した結果です。誰かのちょっとした言葉が尾を引いて、それ以降の行動が自分らしくなくなることもあります。そういうことを繰り返すことが人間らしい営みなんじゃないかと思います。

    「それっておかしくないですか?」と問題提起することが苦手な私ができることは、自分が発信する言葉で誰かを傷つけることがないよう配慮することです。先日もMarinaが「ピンク会したんだ」って話をしてくれた時に、頭の中では瞬時にいろんな言葉を選んでいて、最終的に私から出た表現が「女子会」って言葉だったんだけど、写真を見たらMarinaの同僚のnobitaさんとかもいて…。わかりやすい表現として選んだ言葉だったつもりだけど、もっと違う言葉があったなとひとりで反省しました。

    @Marina:え、そんなこと考えてたんですか(笑)。全然気がつかなかったし、全然気にしてないですよ。

    @soramix:あの時の返事に関しては、今でもベストな言葉が見つかっていないです。もちろん言葉選びでMarinaが傷つくことはまずないとは思っているけど、私という人間を体現するエッセンスにはなるので、いつか同じ場面がきたら自分らしいベストな表現ができるようにしていきたいと思っています。

    日々、そんなことを考えながら生きるのって辛くないのかと言われたこともありますけど、人に優しく接することができる人こそ本当に強い人だと思っているので、辛いどころかもっと気付いていきたいです。北斗の拳という漫画に「人の哀しみを知る人間は、その哀しみを自分の力に変えることができる。」ってあるんですよ。まさにそれを目標にしています(笑)

    @Marina:北斗…。私の知ってる北斗は松村北斗さんですが、とりあえず続けましょうか。折り返し地点を過ぎて、考えることはありますか?

    @soramix:私、Win-Winって言葉が昔から好きなので、「メルカリ寄付という機能はふるさと納税と比べて、双方のWinが感じられないんですけど」と、メルカリへ来てからわりと早い段階でチームに伝えたことがありました。ただ、その返事に「世の中そんな捨てたもんじゃないよ」と言われてハッとしたんです。よく考えてみたら寄付なので、損得勘定でやるものでもないんですよね。だけど、そう考えてしまったということは、私の他にも「純粋な寄付だ」と捉えられていないお客さまがいるかもしれません。その不安を払拭するにはどうすればいいかを時折考えています。

    そんな機会を経て、今の私なら、メルカリと徳島市にWinをもたらすことができる自信があります。行政運営にも守りと攻めが必要だと思っていて、日々コツコツする仕事と、メルカリのようなGo Boldなアイディアと。その両方を学んでいるのが私だと思うんです。

    気をつけたいことは、さっきD&Iの話をしていたときにもお伝えしましたが、同じコミュニティーで同じ人たちと仕事だけしてると柔軟性がなくなってしまうこと。なので、これからも新しい分野に思い切って飛び込むし、やってみて苦手だったらやめればいいし、そんな感じでエンジョイしていきたいです。

    @Marina:soramixさん、かっこよすぎます。これからも師匠として、よろしくお願いします!

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