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「あなたの能力を信じています」このひと言が組織に大きな変化をもたらす──vol1. Snehal #LeadersVoices

2023-4-3

「あなたの能力を信じています」このひと言が組織に大きな変化をもたらす──vol1. Snehal #LeadersVoices

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メルカリでは、どんなバックグラウンドを持っていても、平等なチャンスと適切なサポートのもとでそれぞれがバリューを発揮できる組織を目指し、様々な取り組みを実施しています。

SDGsの1つにもなっている「ジェンダー平等」、そしてDiversity & Inclusion Statementに基づく多様な組織の実現は、私たちメルカリのグループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」にも深く結びついている考え方です。

当連載「新たな価値をつくる – 風の時代を生きるリーダーが紡ぐ言葉の記録」の第1回は、Product ExperienceチームでDirectorとして働くSnehal Shinde(@snehal)を迎えて、複数の国でエンジニアとしてのキャリアを歩んできた自身のストーリー、IT分野・STEM分野における教育の重要性、そしてインクルーシブなプロダクト、そして組織づくりへの想いを語ってもらいました。

この記事に登場する人


  • Snehal Shinde

    2009年にプネ大学でコンピュータサイエンスの学士号を取得後、iOSエンジニアとしてキャリアをスタート。エンジニアとして、自動車・ヘルスケア・ゲームなど、さまざまな業界でモバイルアプリケーションやビジネスソフトウェアの開発に携わる。2019年12月にメルカリに入社し、現在はProduct EngineeringのDirectorを務める。

「パーパス」を原動力に、さまざまな国でエンジニアのキャリアを積んできた

──まずはSnehalさんのこれまでのキャリアについてお伺いしたいのですが、エンジニアを志したきっかけは何でしたか?

元々は、父の影響もあってパイロットになりたかったんです。しかし、高校で必須科目だったコンピュータに興味を持ち、大学でコンピュータサイエンスを専攻したことで将来の夢が変わりました。

ですが、私が大学を卒業した年はリーマン・ショックによる影響で世界的な不景気でした。インドでも数々の企業が倒産していた時代だったので、卒業しても就職先がなかなか見つからなかったんです。そのような状況の中、幸いにもインターンのポジションで雇ってくれる会社を見つけて、2009年にiOSエンジニアとして働き始めました。

キャリアの転機となったのは、ヘルスケアアプリを運営する会社で働いたことです。それまでの会社では、ただ単に与えられた仕事だけをやっていた状況だったので、キャリアにおける具体的な目的を持っていませんでした。しかし、病気や障がいによりコミュニケーションを取ることが困難な方に向けたアプリの開発を通して、自分が書いたコードが人々の生活に影響を与えていることを初めて知ることができたんです。これがきっかけで、チャレンジングな仕事を通して、自分自身の枠を越えてみたいと思うようになり、そこからはパーパスを軸にして会社選びをするようになりました。自分のモチベーションを保ち、仕事に情熱を注ぐためには、パーパスが非常に重要だと思っています。

シンガポールで働いていた時の1枚

──素敵なエピソードですね。メルカリにはどのような経緯で出会いましたか?また、ご自身の経験から、メルカリの会社として多様な人材が活躍できる環境を提供できていると思いますか?

結婚後にマレーシアに引っ越して仕事をしていたのですが、息子が生まれ、ワークライフバランスを保って柔軟な働き方ができる会社を探していました。そんな時に、メルカリに出会いました。メルカリの面接では、自分が母親かどうかではなく、技術的スキル、マネージャーとしてのスキルを評価してもらえました。技術的なチャレンジができる環境はもちろん、会社のミッションや考え方に惹かれたことも入社の決め手となり、2019年に、息子と共に来日しました。

異なる言語には苦労もありましたが、これまでも母国以外で働いた経験はありましたし、なにより私はGoogle翻訳のマスターなんです(笑)。幸い行政手続きや保育所の入園手続きなどのプロセスに関しては、会社が多くのサポートを提供してくれたので、日本に馴染むことができました。

コロナ禍で、息子の面倒を見ながらリモートでメンバーのマネジメントをしなければならなかった時は大変なこともありましたが、息子がぐずっているときは一度会議を中断したり、時には息子と一緒に会議に参加したりと、周囲が理解してくれる雰囲気だったので安心しました。

親子で過ごす大切な時間のワンシーン

日本には、時には自分の役割を超えてでも、困っている人に手を差し伸べてくれる文化があると感じます。また、日本は驚くほど治安が良く、子供たちだけで家から学校まで安全に通うことができますし、息子を外で遊ばせていると近所の方々が声をかけてくださったり、お菓子をくださったりするんです。私たちを温かく歓迎してくれていると感じますし、仕事のみならず、自分の人生をよりよくするという点でも、日本で働くことができて本当によかったですね。

インクルーシブなプロダクトづくり、そして組織の多様性への強い想い

──IT分野・STEM分野においては、女性がまだまだマイノリティですよね。その分野において、属性問わず活躍機会を増やしていくためには、何が課題だと思いますか?

スキル向上のための実践的な教育への投資が必要不可欠だと考えています。学校で学ぶことができる技術は、あくまで基礎でしかないので、実際に会社で働くとはどういうことなのかを、体験しながら学ぶ必要があるからです。

メルカリでは、「Build@Mercari」というIT分野・STEM分野におけるマイノリティを対象にしたトレーニングとインターンシップのオンラインプログラムを提供しています。このプログラムでは、インターン生が実際の就業体験を通して、エンジニアとして会社で働くことについて、その楽しさや難しさ、やりがいを肌で感じることができます。エンジニアリングの技術だけではなく、チームとしてプロジェクトを推進する上で必要なさまざまなスキルを身につけられるのはとても価値のあることだと感じますね。

個人的にはこのような教育の機会を、大学を卒業した女性だけでなく、高校生などより若い世代を対象に提供したほうが良いと考えています。自分自身もそうだったのですが、高校時代は、自分がどのような分野に進むかを決める重要な時期なので、高校生たちにもオフィスに来てもらって仕事やプロジェクトについて紹介する取り組みにチャレンジしてみたいと思っています。IT分野・STEM分野に明るい未来があることを知ってほしいですし、興味を持ってもらえたら嬉しいと感じます。

──教育の機会に対する想いは、Snehalさんご自身の経験からくるものなのでしょうか?

そうですね。私が大学に進学してコンピュータサイエンスを学んでいた時、女性は全体のたった2割程度でした。また、エンジニアとしてのキャリアを重ねるにつれてジェンダーギャップを感じる機会が増えました。シンガポールのゲーム開発企業に勤めていたときは自分が会社で唯一の女性エンジニアでした。そこでは、たくさんの経験ができましたし、興味深い環境にいたと思っていますが、同時にこれだけの大きなジェンダーギャップを目の当たりにするのはショックでしたね。

そのような環境での最も大きな課題は、ロールモデルがいなかったことです。女性マネージャーや経営層もいなかったので、メンターとして、キャリアのカウンセリングやアドバイスをしてくれる存在がいなかったんです。

男性がマジョリティーの組織にいると、どうしても思考が男性寄りになるため、男性に有利な機会が与えられることも多かったと思います。私の場合、子供が生まれて生活がガラッと変わったのですが、子供の面倒を見るために長時間働くことができないと、プロジェクトから外されたり、そもそもチャンスについて打診されなかったりもしました。自分しか頼れない、自分でYES / NOを決断しなければならないと感じる局面が多々ありました。

Snehal Shinde (@snehal)

──インクルーシブなプロダクトづくりにおいて、女性をはじめとする多様な属性のメンバーが果たせる役割についてはどう考えていますか?

メルカリのサービスは、多様なお客さまにご利用いただいています。こうしたお客さまのさまざまなニーズに対応するためには、私たちサービスを作る側も多様であるべきだと考えています。

例えば、特定の属性のみで構成されるプロダクト開発プロジェクトでは、それ以外の属性のお客さまの要望に気付けなかったり、思考がおよばなかったりする可能性がありますよね。その時に、さまざまな角度からの視点があることによって、さまざまなお客さまの姿をよりリアルに想像し、ニーズに対して働きかけられるようになります。特にメルカリはインクルーシブなプロダクトを目指しているので、組織の多様性を広げることが、会社の価値向上や差別化にもつながると思います。

組織観点でも、ジェンダーや年齢などの属性関係なく、一人ひとりが声をあげられるような心理的に安全な環境を作ることで、ミッション達成に近づくことができると思います。本当は自分の考えがあるのに、それを言うことができずに抱え込んでしまうのはもったいないことですし、それが原因で会社として誤った方向にいってしまうこともあると思うので。

IT分野・STEM分野の女性比率にはまだ課題があるものの、メルカリには優秀な女性エンジニアが多数いますし、よりよいお客さま体験について熟知しているメンバーもたくさんいます。彼女たちに「あなたの能力を信じています」と言葉をかけ、チャレンジを後押しすることが、大きな変化をもたらすと感じています。そして、メンバーの能力を正しく評価し、チャレンジングな機会を提供することで、そのメンバーたちが次のロールモデルになっていく。その際に、良い面ばかりを共有するのではなく、時には困難な局面についても共有することによって、「自分は一人ではないんだ」と感じてもらえると思いますし、諦めずに挑戦するきっかけになると思います。そのようなポジティブな連鎖反応が、多くの女性エンジニアを惹きつけ、企業の成長にもつながると信じています。

──最後に、異国の地で自分らしくキャリアを歩んでいらっしゃるSnehalさんから、同じく新しい一歩を踏み出そうとしている方たちへのメッセージをお願いします!

少し長くなってしまいそうですが…(笑)。職種や属性問わずに今回みなさんにどうしてもお伝えしたいポイントが、4つあります。

まず1つ目は、自分にとって何が大切かを理解すること。自分が一番妥協できないことを定義し、書き出してみることで、自分がいるべき場所を見つけられると思います。そうすれば、自分のエネルギーや時間を適切に投資することができます。

2つ目は、周囲から与えられたやり方ではなく、自分のやり方を大切にすること。ときには、あるべき姿ややり方を誰かから指示されて、それに従わないと成功できないと思ってしまうことがあります。ただ、相手にとって良いやり方が、自分にとっても良いやり方かどうかはわからないですよね。目的を達成するために、自分なりのやり方をカスタマイズしてみることが大切だと思います。

3つ目は、時には居心地の悪い場所に身を置くこと。人は、自分にとって馴染みがあり、安心できるところに身を置きがちですが、私は「自分の仕事や環境に居心地の良さを感じ始めたら、新しいチャレンジをしていないということだ」と思うようにしています。自分の強みにフォーカスしつつも、刺激的な環境に身を置くことで、常に新しいことを学び、成長し続けることができると思います。

最後の4つ目は、自分の領域を探求し、実践し続けること。私はこれまで複数の転職を経験しましたが、その理由はいつも「新しいことを学ぶため」でした。ゼロからの挑戦には当然不安も付きまといますが、それ以上に必ず新しい発見や学びを得ることができると考えています。時間は有限です。ぜひさまざまなことに挑戦し、探求と実践をしてほしいと思っています。

オフショット。チャーミングなポーズをとってくれました。

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