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【8つのキーワードからひもとく】メルカリの10年、そしてUnleashする可能性と未来──第7回「社会との接続」

2023-4-7

【8つのキーワードからひもとく】メルカリの10年、そしてUnleashする可能性と未来──第7回「社会との接続」

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    株式会社メルカリは2023年2月に創業10年を迎えました。この大きな節目に「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる(Circulate all forms of value to unleash the potential in all people)」というグループミッションを新たに策定しました。

    メルカンでは、このグループミッションに込められた意図、そしてこれからの私たちの目指すことを「【8つのキーワードからひもとく】メルカリの10年、そしてUnleashする可能性と未来」という連載形式でお伝えしていきます。これからのメルカリを牽引するキーパーソンたちの言葉から、改めてメルカリという有機体(組織)の現在と未来を紡いでいき、これからの10年に私たちが社会にどのような貢献をしていけるかを思考します。

    第7回のキーワードは「社会との接続」です。Recommerce Divison Communication Specialist 志和あかね(@akane)、Stakeholders Alliance Specialist 天野宏(@Amarin)の二人に、メルカリがこれまでどのように社会と接続してきたのか、循環型社会を目指すうえでどのような関係性を築いていくのか伺いました。

    この記事に登場する人


    • 志和あかね(Akane Shiwa)

      大学卒業後、2008年に外国人モデル事務所に入社。マネージャーとしてCMやドラマ・映画の撮影に携わる。 2014年よりPR会社ベクトルに入社し、PR会社プラチナムでは2年間TVプロモーターとして、WBSなどの報道番組から、めざましテレビなどの情報番組を担当。その後、2年半ほどPRコンサルタント・営業としてクライアントと向き合うアカウントマネージャーを担当。2018年2月よりメルカリの広報に従事し主にフリマアプリ「メルカリ」のPRを担当。2019年11月にメルカリ総合研究所を立ち上げる。 2021年10月からはソウゾウPRチームのマネージャーも兼務。2023年4月Recommerce Division立ち上げに伴い、現職に従事。


    • 天野宏(Hiroshi Amano)

      メルカリ経営戦略室政策企画参事。2008年総務省入省。総務省では、中南米での日本の地デジ方式の展開、東日本大震災被災地の復旧・復興対応、5Gの普及促進等を担う。また、その間の2016年から2019年まで和歌山県庁に出向し、日本の自治体で初めてのワーケーション施策を提唱・実施。2019年にはワーケーション自治体協議会設立に尽力。総務省を退職し、2021年9月にメルカリに入社し、現職。現在は、ワークスタイルとして日本全国を飛び回り、地域の魅力を発掘しつつ、自ら地域でテレワーク・ワーケーションを実施する日々を送る。2021年11月より一般社団法人日本ワーケーション協会顧問。2023年4月Recommerce Division立ち上げに伴い、現職に従事。

    消費者、政府、メディア、受け手に合わせたメッセージングの重要性

    ——「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもとに創業されたメルカリですが、事業を拡大する過程でどのように社会と関係を築いてきたのでしょうか。

    @akane:創業当初から「循環型社会」の実現を目指して社会と関わってきましたが、特に強く意識し出したのは、2018年6月のマザーズ上場からです。その頃から、「社会の公器」という言葉が社内外の発信で出てくるようになりました。それまでは「若者を中心とした流行りのアプリ」だったところから、「循環型社会を実現するインフラ」へのパーセプションチェンジに挑戦し続けています。

    ——では、どのようなステークホルダーと関係性を築いてきたのか、政策企画とPRそれぞれの観点からお話しをうかがっていきたいと思います。まずは、政策企画を担当しているAmarinさんから教えてください。

    @Amarin:政策企画は、複雑に変化する現在の社会や経済は既存のルールが時代に合っていなかったり、そもそもルール自体が未整備だったりする状況があります、政策企画はそこに対してより適切なルールメイキングがなされるよう、政府と連携してきました。例えば、法律は国民・企業に対して一定の強制力を発生させますので、その制定・改廃に当たっては客観的な証拠やデータ、事実が不可欠です。政府との連携で必要なのは、法律の改正などの必要性や正当性の根拠となる、社会のニーズや世の中の変化にまつわる客観的なデータをお渡しすることです。

    すなわち、メルカリは自社だけの主観的な「想い」を伝えるのではなく、お客さまからのニーズをデータやファクトなどで客観的に整理し、現実社会のエビデンスとして政府にインプットしてきました。そのように政策企画チームは、政府などの考え方を理解し、政府などとメルカリ・お客さまが建設的に対話できるような橋渡しの役割を担ってきました。

    また、グループミッションで指している「あらゆる人」には、お客さま以外の方も含まれていることを忘れてはいけません。近視眼的に社会を捉えるのではなく、お客さまだけではなく、お客さま以外の国民の方々や法人も「社会の一員」だという、広い視野を持つよう意識しています。

    天野宏(@Aamarin)

    ——たしかに、メルカリのお客さま以外への目線も重要ですね。PRを担当しているakaneさんはいかがでしょう。

    @akane:PRが主に関係性を作ってきたのはメディアやお客さまを含めた消費者、投資家や社会全般に対してです。社会の時流に合わせ、適切な切り口を選択しながらメルカリのことを発信してきました。例えば、この数年は、SDGsへの意識が社会的に高まったことで、「循環型社会」という切り口が取り上げられやすくなっています。しかし、直近は物価高などの影響によって、消費者の関心はより生活に密着している物事に向くようになりました。

    そうしたときに、「循環型社会の実現」というメッセージを全面に押し出すよりも、生活者向けのメディアを介して、消費者にメッセージを伝えたい場合には、新グループミッションにある「あらゆる人の可能性を広げる」というメッセージのほうがメルカリに対する理解や共感がより進むかもしれません。メルカリが伝えたいことの芯はぶらさず、その時々の社会情勢や伝えたい先のニーズによって切り出すメッセージを変えているんです。

    また、PRは社会のニーズを社内に伝える役割も担っています。「社会」というのは、見る人の立場によって姿が変わる多義的なものなので、各事業や立場に合わせた形で情報を伝えることが大切です。そうすることで、社会が必要としている価値を、各事業が的確に把握しサービスに還元できるようにしています。

    循環型社会に向けたアイデアを形に

    ——「社会のニーズを捉える」という話がありましたが、関わるステークホルダーの方々から、メルカリはどのような期待をされていると思いますか?

    @akane:ひとつは、メルカリの仕組みを使い、既存のやり方や枠組みでは着手しづらかった課題を解決できる「モデルケース」を作ることです。

    @Amarin:例えば、鳥取県南部町では、現地のNPOと連携して、空き家の残置物をメルカリShopsで販売するプロジェクトが始まりました。廃棄物を削減するとともに、その売上金を、空き家の改修費用などにあてる取り組みです。

    他にも、市場に出すことができない「規格外野菜」も、メルカリShopsで多く販売されるようになりました。廃棄するしかなかった野菜に“新しい価値”を与え、さらに、売上金で畑を大きくしたり加工品を作れるようにする。農家さんが自身をエンパワーメントできる場をご用意させていただくことで、地域の可能性の“Unleash”に繋がると考えています。

    @akane:もうひとつは、「リユースの習慣」をより身近にすることです。「リサイクル」はかなり浸透してきたように思いますが、「リユース」に関しては、まだまだ「中古品、古い」といった認識が残っていて、生活に定着しきれていません。

    ——「リユース」を身近にするために、どのような取り組みを考えていますか?

    @akane:欧州を中心に広がっている持続可能な消費を促す「グリーンフライデー」にあわせて2020年に開催した、リユース商品のみを使った「サステナブルファッションショー」は、そうした取り組みのひとつです。リユース商品だけでもファッションを楽しめるということを、視覚的に訴えました。また、翌年の2021年にはさらに手軽にサステナファッションを楽しんでいただくために、メルカリに出品されている商品など、リユース品のみを扱った期間限定のアパレルショップ「サステなストア」を表参道にオープンしました。

    また、メーカーやブランドなど一次流通の企業に対しても、循環型社会の実現に向けて、一次流通と二次流通は補完関係にあるということを伝えていきたいと思っています。現時点では「新品 VS リユース」という対立構造に捉えられがちですが、リユース商品を取り入れることは、潜在顧客とのタッチポイントを増やすきっかけになるので、一次流通の企業にとっても必ずしもマイナスではないんです。ビジネスモデルの好例を作ることができれば、商習慣を変えていけると思っています。

    しかし、想いだけでは社会を変えることはできません。循環型社会にむけたアイデアをひとつずつ形にしていくことで、ステークホルダーのみなさんを自然と巻き込んでいければと思います。

    志和あかね(@akane)

    グループミッションを達成させる、3つの注力ポイント

    ——最後に、新グループミッションにある「あらゆる価値を循環させる」ために、今後、注力していきたいことを教えてください。

    @akane:大きくは3つあると考えています。1つ目は「仕組みづくり」。先日、政治家の方々と「本と同じように、服にバーコードをつけてはどうか」という話し合いをしました。バーコードが服に残っていれば、メルカリで出品する際に商品の情報をたどりやすくなり、リユースもしやすくなる。消費者が意図せずとも循環型社会に向けたアクションをしやすくなるようなルールメイキングと仕組みづくりをしていきたいです。

    2つ目は「価値観の発信」。メルカリは創業当時から循環型社会の実現を目指していますが、まだ同じ業界にいる方々にすら伝わりきっていないと感じています。メルカリを使うことで、CO2や廃棄衣料を削減できるとを知ってもらうこともそうですし、私たちの価値観を発信していくことで、共感して一緒に取り組んでくれる企業や人を増やしていきたいです。

    3つ目は「テクノロジー」です。環境問題の解決につながるアクションをするための手間やコストを、テクノロジーで削減していきたいと思います。事実、メルカリの調査によると、「リユースが環境にいい」と認識していても、「面倒臭い」「お金がかかる」という理由でアクションに繋げられていない人が多いことがわかりました。これまでも取り組んできたことではあるのですが、テクノロジーの活用によって環境にいいアクションへの敷居を下げ、そうした人たちの行動をいっそう活性化させていきたいです。

    @Amarin:繰り返しになりますが、メルカリ1社だけでは社会を変革していくことはできません。引き続き、政府や地方自治体、企業、業界団体、メルカリを使ってくださるお客さまなど、みなさんと協力しながら、循環型社会の実現に向けて邁進したいと思います。

    編集:瀬尾陽(メルカン編集部) / 執筆:佐藤史紹

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