社会実装を目的とした研究開発組織として、2017年に設立された「mercari R4D(以下、R4D)」。研究開発(Research and Development)にとどまらず、未来の社会に実装される(Deployment)ことを想定したデザイン(Design)を行い、ときには既存概念や技術を破壊しながら(Disruption)、コミュニティの枠を超え、新たな価値を切り拓くために、さまざまなアプローチを実践してきました。
R4D設立から5年の節目となる2022年末、「まだ見ぬ価値を切り拓く(Pioneering the path toward undiscovered value)」というミッションを新たに策定しました。これからは、世界中のコミュニティをつなぐハブとなって、自分たちの活動の成果を社会に還元することを追求しながら、より野心的に挑戦していくフェーズとなりました。
メルカンでは、「社会実装を目的とした研究開発組織」であるR4Dの、過去、現在、そして未来について、3回にわたって思考していきたいと思います。第2回は、R4Dで空気でふくらむやわらかい乗りもの「poimo(ポイモ)」を研究している山村亮介(@yamachan)、「フリマアプリにおけるコミュニケーション」を研究している藤原未雪(@fujimiyu)、メルペイUXリサーチチームを本務としながら、R4Dで循環型社会に向けた「循環型社会に向けたサービスデザイン」の研究をしている草野孔希(@keiny)の3名による鼎談を実施。
社会実装を掲げてきたR4Dのメンバーたちは、実際にどんな研究が行われているのか。また、研究者としての「好奇心」を満たしながらも、社会課題の解決を目指し、長期的にメルカリに価値をもたらす研究をいかに進めているのか。企業で働く研究者のリアルに迫りました。
この記事に登場する人
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山村亮介(Ryosuke Yamamura)2008年株式会社デンソーに入社しディーゼルコモンレールシステム向けインジェクタの開発・設計などを担当。2018年3月に株式会社メルカリに入社しR4Dオフィサーを経て、東京大学とpoimoのプロジェクトを立ち上げ2019年より現職でpoimoの研究、社会実装を担当。 -
藤原未雪(Miyuki Fujiwara)一橋大学大学院言語社会研究科・博士(学術)。専門は文章理解、意味・語彙、日本語教育。2013年4月~2019年3月 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立国語研究所 プロジェクト非常勤研究員。日本語非母語話者の読解コーパス構築に携わる。2020年11月~2022年4月 タシケント国立法科大学・名古屋大学日本法教育研究センター(ウズベキスタン) 特任講師。2020年11月からR4D客員研究員。2022年6月に株式会社メルカリ入社。 -
草野孔希(Koki Kusano)電気通信大学大学院修士課程修了後、通信事業会社の研究所に入社し、デザイン方法論の研究および研究知見を活用したコンサルティングに従事。同時に社会人博士として慶應義塾大学院大学システムデザイン・マネジメント研究科にて博士後期課程を修了 博士(SDM学)。2018年11月にUXリサーチャーの一人目としてメルペイに入社し、UXリサーチを活用したサービスデザインに取り組む。
事業会社だからこそ、研究の社会実装に責任を負う
──まず、はじめにみなさんの研究内容からうかがっていきたいと思います。
@yamachan:では、2018年入社でメルカリ歴が一番長い私から(笑)。風船のように空気で膨らませて使う、柔らかい電動モビリティ「poimo」を研究開発しています。
「poimo」が柔らかい理由は、安全性を重視しているからです。自動車業界では、安全性に関わる研究開発が行われていますが、その理由は「自動車が人を傷つけるかもしれない」から。しかし、そもそもボディが柔らかければ、人を傷つける可能性は減らせるかもしれない。また、配送において最も大変な「トラックを停車させて配達先に届けるまで」の人力が必要な部分を効率化できる可能性があると思っています。
山村亮介(@yamachan)
@keiny:2023年1月から開始している私の研究テーマは、「循環型社会に向けたサービスデザイン」です。メルカリでは循環型社会の実現を掲げていますが、それには考えなければならない要素がとても多いんです。
「実現性」という観点だけで言えば、どんな技術で実装すればいいか、それにはお金がいくらかかるかを考えることが主でしょう。しかし、「人間中心設計」の考え方の視点で考えると、お客さまがどんな状況で何を求めており、どんな体験すべきか…それが社会にいかに影響を与えて、環境にどう影響するかまでを考えなければなりません。個人のがんばりではどうにもできないほど要素が多い中で、より持続可能なサービスを作るためにどのようなアプローチをとるべきか、その方法を考えています。
@fujimiyu:私は「フリマアプリにおけるコミュニケーション」がテーマです。いま研究しているのは、お客さま同士のトラブルを回避するために、事務局はお客さま同士のコミュニケーションに入ってレフェリーの役をはたしますが、その際、どのように書かれたメッセージが読み手であるお客さまにとって好ましいかという研究です。
たとえば、「お客さまには丁寧に接するべきだ」と思って敬語を多くすると、長くてわかりにくい、読みづらい文章が生まれます。かといって、事務局がお客さまに謝罪する文章で、わかりやすくするために簡潔に見出しを付けて整理したり、箇条書きにしたりすると、「事務的だ」「上から目線だ」と心象が悪くなることがあります。また、「ご不安な気持ちかと存じますが」のような、一見いい人風な表現を用いればよいだろうと思われるかもしれませんが、人によっては感情に踏み込む表現に嫌悪感を抱くこともあるようです。「私の気持ちがあなたにわかるはずないでしょう。なのに、どうしてそんな言い方をするの」と。
そういった感情は、実際に生の声を聞かないとわからないことが多いんです。読み手の性別や年代など幅広い属性の方に、泥臭くインタビューしてデータを収集・分析することで、「情報伝達」と「感情伝達」のバランスを探っています。
──もうすでに、かなり多種多様な研究者がR4Dに集まっていると伝わります。特にyamachanさんの「poimo」はハードウェアである点が特徴的ですが、R4Dでこうした研究を始められた経緯についてお聞かせください。
@yamachan:私は前職のデンソーで、ディーゼルエンジンの研究開発や設計に約10年間携わっていました。しかしながら、エンジンの研究開発では、燃費を少しよくするために多大な労力を割いています。例えるなら「99%の精度を持つ機械学習のモデルを、99.1%にする」ようなものです。「もっとチャレンジしたい」と前職に退職願を出した後に、シェアサイクルサービス「Merchari(メルチャリ)」でハードウェアエンジニアを募集していたメルカリから、「一度会ってお話しませんか?」という連絡があり面接を受けました。
面接で「R4Dの方が向いているんじゃない?」と言われてそちらで採用された後、既に共同研究パートナーであった東京大学の川原先生(現 R4D Head of Research)に研究合宿に誘われ、その中でpoimoのアイデアが生まれました。その時は「これは、今までの企業では実現が難しいモビリティだろう」と思いましたね。
メルカリは、取引が成立して、モノが移動してお客さまのもとに無事届く、その一連によって成立しているサービスです。だから、モノの移動にも責任がある。R4Dで研究したことを社会実装することで、その間を安全にできる。その意味で、研究としての新規性も、イノベーションを起こせる可能性も大いにあると思っています。
──研究するだけならば大学院でも良いのではないか、という意見もあると思いますが、事業会社で研究するメリットは「社会実装できること」が大きいのでしょうか?
@yamachan:そう思いますね。事業会社である以上、研究だけで終わらせてはいけない。社会実装して、利益を生まなければいけない。そうした責任やプレッシャーが、僕は個人的に好きなんです。
前職でエンジンに関わっていた頃は、「車のボンネットを開けると自分が設計したものが搭載されている」「自分が関わったエンジンでみんなが街を走っている」という体験がすごく嬉しかった。社会実装までやり切ったからこそ得られる充実感を感じたい。それができるのは事業会社ですし、かつ、社会実装までやりきると掲げている組織です。だから、R4Dという組織は僕にとても向いていると思っています。
知的好奇心に導かれてメルカリR4Dにたどり着いた
──研究の社会実装という点では、fujimiyuさんの「フリマアプリにおけるコミュニケーション」もすぐに応用できる、まさにメルカリに適したテーマだと思います。
@fujimiyu:この研究は私にとってほぼ趣味なんです。という言い方をすると、かなり語弊がありますが…(笑)。個人の興味関心を追求しているので、本当にお給料をもらうのが申し訳ないと思っているぐらいで…。
──そもそも、fujimiyuさんはどのような経緯で研究者になり、R4Dで働くに至ったのでしょう?
@fujimiyu:もともと学生時代は理系で、「火山の岩石組成とプレートテクトニクスの関係」を研究していました。その後、研究者になろうかと思いながらも民間企業でエンジニアとして働いていたのですが、ある時期に「海外で暮らしたい!」という気持ちがわきあがってきたんです。
そこで、海外に行っても食べていける仕事を考えるうちにたどり着いたのが、「日本語教師」でした。実は、この仕事がとても面白かったんです。ビジネスマンや主婦、外交官、日本の大学に在籍する留学生など、教える相手によって必要な日本語は変わります。その人に合わせてカスタマイズした語学プランを立てて、私のアイディアがきちんと当たれば上達する。この仮説検証が楽しくて夢中になってしまいました。
その過程で文章理解の領域に心惹かれて、その研究をしたいと思って大学院に入り、その後、縁あって国立国語研究所の非常勤研究員として読解コーパスを構築して読解過程の研究をしました。2020年に博士の学位を取得し、「次に何を研究しようかな?」と考えていた頃、メルカリのアプリ内で行われるコミュニケーションが興味深いことを思い出したんです。「あ、そういえばメルカリの研究があった!」と。
特にコネクションがあるわけでもなかったので、自分に興味を持ってもらうために魂を込めて企画書を1枚書き、問い合わせフォームから連絡しました。そうしたら、「一緒に研究しませんか?」とすぐに返事をいただいて、現在に至ります。
藤原未雪(@fujimiyu)
──かなり異色のキャリアですね。しかし、「目の前にいる人がどう感じるか」を追求してらっしゃるという点では、研究者として一本筋が通っているようにも聞こえます。
@fujimiyu:たぶん、人の「気持ち」にすごい興味があると思うんですよね。どういう風に考えているか、なぜそんなふうに考えるのか、何がきっかけとなっているのか…そういった心の動きを理詰めで考えたい気持ちがあるんです。
@keiny:お話を改めて聞いて、好奇心が強くて研究者になったことがよく伝わりました。しかも、いま興味があることと、メルカリが求めてることがマッチしていますよね。
@fujimiyu:そうですね。ただ、私はストレートに研究者になったわけではありません。日本語教師としてのキャリアも長いですし。「何かを研究したい」というよりも、世界のさまざまなことを「知りたい」という欲求がずっとある。これって、人間みんなそうなんじゃないでしょうか。…あれ、違いますか(笑)?
──fujimiyuさんだけでなく、研究者の方は特に「好奇心ドリブン」で動いている人が多い印象があります。ちなみに、みなさんが研究者になるまでに、なにかに好奇心を持つに至った原体験があったりしますか?
@fujimiyu:私は小さい頃、「ひらがなの『い』は、なぜ『い』と言うのだろうか…」とずっと不思議に思っていたんです。親に聞いても「そういうものだから」としか教えてもらえなくて。その頃から知りたいという気持ちを中心に動いていた気がします。
@yamachan:わかります。僕も研究者になる原点は、幼い頃に流れ星を見た時に「流れ星はなぜ落ちてくるんだろう」と思ったことでしたね。
@keiny:私は幼い頃にスーパーマリオなどのゲームをプレイして、「ゲームってなんでこんなに面白いんだろう」と思ったことが現在に繋がっています。面白いゲームはいかに作られるのか、それを調べているうちに、体験づくりやデザインという領域にたどり着いたんです。
現在、私はUXリサーチャーとして活動していますが、リサーチャーという言葉には「調査者」という意味だけでなく「研究者」という意味もあります。どちらも、ある対象に対して自分が好奇心を持って探求し、学びを得て蓄積していく営みです。その一番根底にある「知りたい」という好奇心は大切にしています。
@yamachan:ここにいる三人の共通点は、好奇心に従って動くうちにR4Dに辿り着いていることでしょうか。そういった人が集まるのはなんだか嬉しいですね。
研究者キャリアは、研究と実践の行き来によって拡張する
──リサーチャーという言葉には「研究者」という意味があるという話は興味深いのですが、研究者が事業会社で働くことの意味はどう捉えていますか。
@keiny:研究の社会実装という点では、私が携わっているサービスデザインは、実際に作られているサービスの現場に近い方が研究しやすいです。そういう意味でも、R4Dはサービスを実際に作る現場が近くにあるので面白いと感じています。
私は研究者と実務者の距離がもっと近くなり、自由な行き来が活発化すればいいなと思っているんです。「一度研究者の道を選んだので、実務者として働く道はもうありません」と一方通行になるのではなく、「いまは実務がやりたい」「実務でいろいろ見えてきたことをもとに研究したい」と自分のその時の興味関心に合わせて仕事をすればいい。そのほうが、研究も実務の業界も面白くなっていくと思うんです。
世の中には面白い研究がたくさんあります。ただ、いまの研究者はそれを実践する機会が不足していると感じます。かといって企業で実務の世界に入ると、研究の世界に戻ったり、フィードバックすることが難しくなる。だから、ちょうどその間(はざま)にいるR4Dには、理論を実践して、そこで起こった気づきを研究の世界にフィードバックしていく社会実装の可能性がある。そこが独自性であり魅力的なポイントだと思っています。
草野孔希(@keiny)
@fujimiyu:わかります。メルカリはこれだけテキストメッセージでやり取りするアプリなのに、具体的なテキストコミュニケーションの研究は私が入社するまでほとんどなかったようです。外から見ているとそれが不思議で仕方なかったんです。なぜそんなに手つかずなんだろうかと。それはたぶん、keinyさんがおっしゃる研究者と企業の「自由な行き来」につながりますが、言語学を筆頭とするアカデミックな人がほとんど実務の世界に入ってこなかったから。その一点に尽きると思います。
また「興味関心」という話では、いま私はメルカリにいますが、ここが最終地点だとは思っていません。たまたまメルカリが文章理解の研究者を探していた。私にとっては、100%自分の興味関心を持っていることを研究できる場があった。それが現在マッチしているだけなんです。
一般的な研究開発組織では他の人が立ち上げたプロジェクトを一緒に進めることが多く、自分がやりたい研究を舵取りできることは多くないんじゃないかと思います。その意味で、ここまで自分がやりたい研究を100%やらせてくれる研究開発組織はなかなかない。ものすごく適した場所にいるなと感じています。
──keinyさんはUXリサーチを本務、R4Dでの研究を兼務として担当されていますが、「循環型社会に向けたサービスデザイン」というテーマもご自身の興味から始まったのでしょうか?
@keiny:はい。私の興味から始まっています。UXリサーチャーはお客さまと向き合ってお話を聞いたり、こちらのプロトタイプを触ってもらう様子を観察したりしながら、お客さまの求めているものや直面している課題を探っていく仕事です。それゆえに、「短期的な課題」に対するリサーチが調査対象になることが多いです。しかし、私たちがサービス全体を通じてどんなお客さま体験を実現したいのか、それが社会にとってどういった意味を持つのか、という切り口で長期的なリサーチも同時に実施する必要があると思います。短期的な仮説検証を繰り返しながら、「まだ見ぬ価値を切り拓く」べく長期的な視点でも取り組むというリサーチのポートフォリオには、納得感を持っています。
あと、私のように兼務の立場も認めて、「柔軟な働き方にトライしていいよ」と認めてくれる研究開発組織はかなり珍しいと思います。実務と研究の両輪を行き来して両方やることをライフワークとする私にとっても、非常にマッチしていると感じます。
コミュニケーション重視の研究者たちの働きかた
──ここまではそれぞれの研究内容やキャリアについてお聞きしてきましたが、いまみなさんはどのような環境で働かれているのでしょうか。
@yamachan:僕の場合はハードウェアがあるので、自宅で制作したり、東大に行ったりして研究することが多いです。そういえば、おふたりは普段どうやって研究を進めてるんでしょうか?
@fujimiyu:私は人のコミュニケーションを観察したり、現象を抽出するためにインタビューしてデータを取らないと話が進まないので、昨年は3ヶ月ほど毎日オフィスに来てインタビューをしていました。それが終わったら、分析フェーズに入るので、家でデータとにらめっこしています。データ収集がなければ、基本的には100%自宅でできる仕事です。
あとは、さまざまな文献がすぐ手に届くところじゃないと作業効率がすごく下がるんですよね。出社して研究をするのは難しいと思います。
@yamachan:fujimiyuさんも自宅がラボ化してるんですね?
@fujimiyu:私の場合は、日本語教員の時代から個人事業主みたいな働き方だったんです。自宅で授業の準備して、大学では基本的に授業するだけというスタイルが染み付いていましたし、メルカリ入社後は「YOUR CHOICE」(個人と組織のパフォーマンスおよびバリューがもっとも発揮しやすいワークスタイルを自ら選択できる制度)があるから、大きく研究スタイルを変えずに済んでいます。
@keiny:私もデジタルで完結できる作業が基本的に多いので、自宅で仕事してますね。とはいえ、オンラインで誰かと話している時間が多い気がします。お客さまとのインタビューだけでなく、PdMやBizDev、デザイナーの方などステークホルダーの方々とディスカッションする機会も多いです。
──keinyさん、fujimiyuさんはお客さまと話す機会が多いという共通点がありますが、yamachanさんはいかがですか。
@yamachan:私もたくさんのお客さまとお話しする機会が多いですよ。日本科学未来館で一日中お客さまにヒアリングしていることもありました。
メルカリはハードウェアの会社ではないので、一社だとできることが非常に限られます。だから、研究のほとんどは他社と一緒に進めているんですね。実証実験の場所を提供してくれる場合もありますし、「何かやりませんか?」と持ちかけてくれることもありますが、いずれにせよコミュニケーション自体はかなり多いですね。
@keiny:私の研究でも、他社や行政の方々とのコラボレーションの機会はあります。循環型社会に向けたデザインの研究、すなわちサーキュラーデザインの文脈だと、地域創生や製造業などとの兼ね合いで、現地でのフィールドワークをすることもあります。最近は鹿児島県の薩摩川内に行って、彼らのサーキュラーデザインの取り組みを見てきましたが、やはり現場に行かなければわからないことも多いと感じます。
また、この領域ではエネルギーや素材、物流、リユース・リサイクルまで、巨大なモデルを取り扱うので、yamachanと同様にメルカリ一社だけでできることが限られます。だから、他社の方々コラボレーションして、より前進させる方法を模索していますね。メルカリが持っているプラットフォームやデータから、「こんな可能性が生まれるかもしれない」というアイデアを発想してくださる方は想像以上に多いので、協業による事業拡大のポテンシャルは大きく感じています。
3年後、5年後のメルカリに役立つはず。R4Dが存在することの意義
──では最後に、メルカリにとってR4Dはどういう存在となっていくのでしょうか。
@yamachan:メルカリグループでは、テクノロジーの力で世界中の人々をつなぎ、あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性が発揮される社会の実現を目指しています。R4Dがあることにより、メルカリの将来的な社会像の幅が広がっていく、あるいは、より大きなインパクトを起こせる可能性が上がっていく。それぞれ得意分野を持つ人々がとにかく大胆に挑戦して、可能性を模索している場所だと思います。
「これは3年後、5年後に必ずメルカリの役に立つはず」「いまはちょっと手をつけられていないだけで、ここは必要になるはず」と思っている領域を、早いうちから研究してメルカリが目指す社会の実現に向けて動いている。そう捉えていただき、メルカリのメンバーからも期待を寄せてもらえていると感じるシーンも増えてきました。
多くの民間の研究開発組織は、その組織のミッションや10年先のロードマップなどすでに用意されており、それに従って研究に取り組んでいると思います。しかし、R4Dでは「この研究が将来のメルカリや私たちが目指す社会に役立つと思う」と自らプレゼンして承認を得ていくんです。これがR4Dで働く魅力や楽しさであり、その一方で難しさでもあります。
提案するのは自分なので、当然ですが研究結果の責任を持たないといけない。誰かから何かを言われるのを待つ人には向いていませんが、自律的に動いて責任持って取り組める人は、存分に力を発揮できるフィールドだと思います。
@keiny:メルカリはミッションやバリューの求心力がとても強い会社です。事業会社で、日々事業の成長やお客さま体験の向上を追い求めていくと、どうしても「短期的にプロダクトをどう改善するか」に目が向きがちです。R4Dのような組織が長期的な探索を担えれば、短期的な事業成長と長期的な事業領域の拡大を両立できると思っています。
私はサービスデザインを循環型社会に活かすことで、ミッションの実現に貢献できると思っています。同じように、ミッションやバリューに共感しながら社会実装までをやりきりたいと思える人にはおすすめできる環境です。まだまだ研究領域やテーマにも余白がありますし、一緒に何かを立ち上げられる人がこれからも集まると嬉しいですね。