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「普通」にとらわれず、自分が信じることに人生を捧げる ── vol.5 michael #LeadersVoices

2023-5-12

「普通」にとらわれず、自分が信じることに人生を捧げる ── vol.5 michael #LeadersVoices

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    メルカリでは、どんなバックグラウンドを持っていても、平等なチャンスと適切なサポートのもとでそれぞれがバリューを発揮できる組織を目指し、様々な取り組みを実施しています。

    SDGsの1つにもなっている「ジェンダー平等」、そしてDiversity & Inclusion Statementに基づく多様な組織の実現は、私たちメルカリのグループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」にも深く結びついている考え方です。

    当連載「新たな価値をつくる ─ 風の時代を生きるリーダーが紡ぐ言葉の記録」の第5回は、メルペイのDirector of Credit Businessとして、信用を創造する根幹の部分を担う檜山麻衣子(@michael)を迎え、Go Bold(大胆な)なキャリアを描いてきた理由や意思決定の背景をはじめ、有限の時間を「誰かの幸せに貢献するため」に捧げたいと考えてキャリアを歩んできた彼女のD&Iとの向き合い方についてお話を伺いました。

    この記事に登場する人


    • 檜山麻衣子(Maiko Hiyama)

      メルペイ Credit Business Division Director。2001年より株式会社ソニーファイナンスインターナショナルにてカスタマサービス/クレジット審査センターの運営/育成担当として従事。2010年からは株式会社リブセンスにてHR系サイトのカスタマーサポート/サクセス/債権回収オペレーションチームのマネジメントを経験し、2019年4月よりメルペイへ入社。不正対策/加盟店審査/債権回収などのオペレーション領域のディレクター経験を経て、現在はおもに与信領域のDirectionに携わる。

    お客さまを一番に考え、お客さまから学んできた

    ──Michaelさんは新卒で金融系事業会社に入社されたんですよね。まずは、新卒で金融業界を選んだ理由について教えてください。

    当時、私は札幌に住んでいたのですが、この街が好きすぎて、他の場所に住むことは全く考えていませんでした。ただ、札幌にいながら、グローバルな視点で社会に関わっていける会社で働きたいという思いがあったので、事業拡大に向けて新しくカスタマーサポートセンターを立ち上げ準備をしていた金融会社に就職することに決めました。
    札幌で働いていた頃の写真

    ──当時の仕事内容や印象に残っているエピソードについて教えていただけますか?

    入社後は、カスタマーサポートやクレジットカードの審査センターの立ち上げに関わりました。具体的には、お客さまのサポート業務やクレーム対応、入会審査、社員のトレーニングなど、オペレーターからマネジメントまで幅広い経験を積みました。

    今でも印象に残っているのは、入社したての頃のことです。私のミスにより担当していた加盟店さまにご迷惑をおかけしてしまい、上司が加盟店さまに謝罪してくださったのですが、その加盟店さまの社長は「上司の謝罪は受け付けない。本人を出してほしい」とおっしゃいました。最初はなぜそこまで私にこだわるのだろう…と思いましたが、その後、改めて私から電話で謝罪をさせていただいたのですが、「なぜ上司の謝罪ではダメなのか、その理由を直接あなたに伝え、理解してほしかった」と言う言葉をいただきました。私が新人だとわかったうえで、教育のためにあえて私からの謝罪を求めたのだと思います。

    プロとして本来は避けるべきことかもしれませんが、仕事を通して社内のメンバーだけでなく、お客さまからも育てられていると感じる場面が多かったですね。

    新卒入社した会社では9年ほど働いて、いろいろな経験をさせてもらいましたが、30代に差し掛かるタイミングで「自分の時間を費やしていきたい仕事かどうか」を考えたときに、もっと自分の領域を広げて、スピード感のある環境で働いてみたいと思うようになりました。

    ──なるほど。30代は一つの節目といったイメージがありますが、次に選んだ就職先はどこだったんですか?

    実は上京してカフェでクレープを焼いていたんです(笑)。

    ──えっ、クレープですか!?

    はい(笑)。接客業のフロントに立つ経験を手に入れるために1年ほどカフェでアルバイトをしました。お客さまの顔を見て、欲しいものを聞いて、商品を作り、提供して代金をいただくというシンプルなサイクルを通して、お客さまに関する一次情報を得たのは貴重な体験でしたね。そのおかげで、それまでの私はいかにお客さまの視点に立って考える機会が少なくなっていたかに気づくことができました。

    その後、HR系の事業会社に転職しました。設立間もないスタートアップで、環境や制度は​​未整備でしたが、サービスが大きくなるのを直近で見るのはやりがいがありました。
    檜山麻衣子(@michael)

    ──その後メルペイにジョインしたきっかけや入社の決め手になったエピソードを教えてください。

    リファラルで声をかけいただいたことがきっかけにメルペイと出会ったのですが、「信用を創造してなめらかな社会を創る」というミッションに強く共感させられました。さまざまな社会問題に挑戦するために新しいプロダクトやサービスを世に打ち出して、誰かが幸せになっていく世界って素敵ですよね。

    また、入社当時40歳という節目を迎える自分にとって、次の10年をどう生きるかを考えたときに、善い志を持ってゴール設計している会社で働きたかったんです。お客さまの立場に立つことを大切にしてきた自分にとって、メルカリ・メルペイは、自分がお客さまでもあるという立場でサービスを提供できるという点も魅力的でした。

    時間は有限。「誰かの幸せに貢献する」ための最短ルートがスタートアップで働くこと

    ──1社目の大手企業から、カフェ、HR系スタートアップ、そしてメルペイと、さまざまなご経歴をお持ちなのが印象的なのですが、これまでのGo Boldなキャリアを描いてきた理由や意思決定の背景には、どのような思いがあったのでしょうか?

    1社目の会社は大手企業だったこともあり、安定しているため変化のスピードが遅いと感じていました。20代前半の頃は、やればやるほどできることが増えていくことに喜びを感じてたのですが、ある程度できるようになるとその喜びがだんだん薄れていく感覚がありました。

    そのまま勤め続けていれば、新しい領域にチャレンジできたのかもしれませんが、自分の周りを見る限りではあまり期待できませんでしたし、できたとしてもかなり時間がかかるだろうと感じていて。

    また、私が入社して1〜2年目ぐらいの頃、いわゆる団塊の世代の先輩方と仕事をすることがあったことも影響していると思います。彼ら/彼女らの働き方や、危機感を持って次のことを生み出していく戦略や戦術がとてもかっこよくて、そのスタイルに惹かれていたんだと思います。

    ──団塊の世代の方々の働き方というのは、どういうものだったのでしょうか?

    何もないところから自分たちの力で事業を成長させる、現代のスタートアップの働き方と似ていると思います。スタートアップの環境下では、常に次の一手を生み出し続けなければいけないという危機感が常にあります。そうした状況の中で日々試行錯誤する経営者と、戦後の日本を立て直してきた団塊の世代の方々の考え方は根源的な部分で共通点が多いと、個人的には思いますね。

    その世代を生きてきた当時の役員たちは、肩書きや年齢に関係なく良い意見は素早く受け入れ、ハンコを押さなくてもすぐに提案が実現できるような雰囲気があって、本当にかっこよかったです。

    ──そういう働き方への憧れがあったのですね。3〜4社目をスタートアップ環境で過ごしてきた目線から、立ち上げフェーズの会社で働く面白さや醍醐味は何だと感じていらっしゃいますか?

    立ち上げ期の醍醐味は、2つあります。1つは、必要なものをミニマムでガンガン作り、細かいトライアル&エラーを繰り返せることです。ものすごく大変ですが、自分で考えて行動したいタイプにとって最も楽しく、満足感が得られやすい時期だと思っています。

    2つ目は、チームとしての成果を感じやすいことです。がむしゃらに働く時期なので、個人的な失敗を恥ずかしがる暇もなく、チームのメンバー各々が強みを発揮し、弱みをカバーしあって前進していくカルチャーが自然と生まれるんですよね。この時期に関わった人たちとは一生の友人になりますし、今でも大切な存在です。
    前職時代を共にした同僚たちとの楽しいひととき

    ──メルペイに入社後、「40歳になっても、まだまだ挑戦したい」と思ったそうですが、このようなフレッシュな価値観の根源にあるものについて、ご自身はどうお考えでしょうか?

    大前提として、世の中にないサービスやプロダクトを作り、誰かの幸せに貢献するために残りの人生を費やすことで納得感が得られると思っています。それを実現するための最短ルートがスタートアップで働くことだと思っています。

    スタートアップで働く人は、サービスの規模や市場の変化によって、求められるスキルが変化していくので、自分をアップデートするために常にできないことや自分自身と向き合い、その差分に挑戦する必要があると思います。

    タイミングによっては辛さや難しさを感じることもあると思いますが、それでも挑戦してみたいと思えるかどうかは、何歳であろうと、その時々で自分自身を客観的に見つめることができるかどうかにかかっていると思います。

    もう1つの価値観としては、時間を大切にすることでしょうか。自分が昔、40代の自分を想像できなかったのと同じように、自分が50代になって何を感じるかは、なってみないとわかりませんよね。また、いつまで健康で働いていられるかも予測できないからこそ、納得できるところに自分の人生の時間を注ぎたいと思っています。
    2匹の猫と暮らす愛猫家で、社内部活「z-cat」のメンバーでもあります

    「普通」の枠から出て考える。客観的視点で考えるD&Iの展望

    ──一般的に女性目線で語られるD&Iは仕事と子育ての両立というテーマで語られることが多いと思うのですが…。Michaelさんはこれまで「仕事優先の人生」を選んできた立場として、どのように意思決定をしてきたのでしょうか?

    仕事を優先して選択してきたのは、30代を迎える節目に「普通」にとらわれていたことに気づいたからです。20代のときは、「女性は結婚して、子供を産むこと」が「普通」だと思っており、漠然と家庭を持つ人生を思い描いていました。
    ですが、ふとしたきっかけで「それって何でなんだっけ?」と疑問を持つようになったんです。結婚しなくてもパートナーと一緒に生きることができるし、子供を持たなくても生きる価値があるじゃないか、と。
    固定概念を取り払ったとき、私は何がしたくて、何が主張できて、どのように成長できるのかを考えられるようになり、誰かのためになる仕事をして生きることが幸せだと感じたことが大きな転機だったと思います。

    ──「普通」に対する問題提起がきっかけだったのですね。Michaelさんの目線で、D&Iについてどのように考え、アクションしてきたのでしょうか?

    良くも悪くも、男性中心の社会でキャリアを歩んできたため、自分自身も差別構造があることに気づかず、自然とその中に溶け込んで働いていたと思います。そのため、私は自分の主観だけではD&Iについて語るのは難しいというのが本音です。女性ではあるのですが、ジェンダーマジョリティの考え方が染みついている部分があると思っているからです。
    客観的な視点を得るために、まずは本を読んで勉強しました。今後は、今の状況を客観視しながら、会社として何を選択していくべきなのかを決めていく必要があると思っているので、「主観から離れて考えること」は続けていきたいですね。

    ──Directorとして、組織のD&Iに関する議論に参加することがあるそうですが、メルカリのD&Iの現在地を見て感じることや課題はありますか?

    メルカリグループは、日本の企業のなかでもD&I促進や推進を活発に行っています。女性管理職比率を可視化したり、登用や採用におけるバイアスを減らすといったエクイティ(公平性)の追求を進めたりなど、多くの取り組みを行っています。

    その一方で、まだまだ改善の余地もあると思います。たとえ多様な組織を実現できたとしても、その状態を継続するだけのパワーがあるかという点については課題があると思いますし、継続できる状況を作ることこそがインクルージョンの強化につながるのではないかと感じています。また、メルカリを多様な属性のお客さまに使っていただいているので、プロダクトの多様性を推進する上でD&Iはもちろん大切にすべきなのですが、それだけでは足りないと考えています。働く人の人権を守るために、組織としてD&Iを推進することに意味がありますし、続けていくべきだと思いますね。

    メルカリは、メンバーそれぞれの考え方やバックグラウンドが違うからこそ、「メンバーそれぞれが強みを持つ組織」だと捉えているので、可能性は無限大です。今まで働いてきた企業の中でメルカリが最も多様性がある会社なので、今後もどんな課題に対しても前向きに捉えていけると感じています。

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