メルカリでは、どんなバックグラウンドを持っていても、平等なチャンスと適切なサポートのもとでそれぞれがバリューを発揮できる組織を目指し、様々な取り組みを実施しています。
SDGsの1つにもなっている「ジェンダー平等」、そしてDiversity & Inclusion Statementに基づく多様な組織の実現は、私たちメルカリのグループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」にも深く結びついている考え方です。
当連載「新たな価値をつくる ─ 風の時代を生きるリーダーが紡ぐ言葉の記録」の第6回には、
Acquisition & Activation TeamのAndroidエンジニアとして、さまざまなプロジェクトを牽引するAnastasiia Laushkinaが登場。まもなくマネージャーとしての一歩を踏み出し始める彼女に、自身が目指す理想のリーダー像、組織像について語ってもらいました。
この記事に登場する人
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Anastasiia Laushkina (Android engineer/Engineering manager)ロシア出身。ノボシビルスク州立工科大学の応用数学・コンピュータサイエンス学部を卒業。2021年に海外在住の業務委託雇用でメルカリに入社し、2022年に正社員になる。前職ではヤンデックスでAndroidエンジニアとして、検索サービスのUIに関する調査・開発に従事。また、ソフトウェアエンジニアリングやバックエンド開発に加えて、運送ロジスティクス関連のコンサル企業にてAndroid開発を経験するなど、さまざまな分野でキャリアを積む。メルカリでは認証周りや新規のお客様の売買体験に関わるUX開発プロジェクトなどに携わり、現在はエンジニアリングマネージャーとしてのキャリアに移行しつつある。
結果を重視するカルチャーが浸透している会社で働きたかった
──まずはAnastasiiaさんのこれまでのキャリアについて教えてください。
最初にキャリアをスタートさせたのは、今からおよそ8年前、大学院生のときでした。母国のロシアでは、在学中にパートタイムなどの雇用形態で就職し、卒業後もそのままそこで正社員として働く人が多い傾向にあります。
私も修士号取得に向けて勉強に励む傍ら、出身地のシベリアにある物流テックのスタートアップで働き始めました。実務経験はありませんでしたが、小さな会社だったこともあり、バックエンド開発、Microsoft SilverlightからAndroidへのマイグレーション、デザイン、QAに至るまで幅広く担当させてもらいました。駆け出しのエンジニアとしてスキルを身につけるにはうってつけの環境だったと思いますし、今でもあの頃のことを思い出すと幸せな気持ちになります。
シベリアで3年間働いた後は、ロシアで検索サービスなどを手掛ける大手企業「ヤンデックス」に転職しました。そこでは、ミドルクラスのAndroidエンジニアとして、検索サービスのUIに関する調査・開発に携わりました。ロシア版Googleと言われるだけあり、会社の規模は非常に大きく、プロジェクトも壮大で複雑なものばかりでした。また、他のチームとコラボレーションする機会が多かったため、コミュニケーション力や調整力も身につきました。
──その後来日し、メルカリに転職したんですよね。来日のきっかけやメルカリへの入社理由を教えてください。
大学生の頃から「いつか海外で働きたい」と考えていました。モスクワやサンクトペテルブルクでは、ヨーロッパに目を向ける人も多いですが、私は西中国やカザフスタンとの国境に近いシベリアで生まれました。アジアに興味を持ったのは、国境が近いということもあったのですが、アジア諸国の文化的な存在感もその理由の一つです。シベリアには、多くの都市にアジア諸国の貿易センターや文化センターがあり、強く興味を惹かれたんです。
そして、海外で働くことを本格的に検討し始めた頃、交際相手が日本語の勉強を始めたことをきっかけに、私も日本に興味を持つようになりました。日本の言語や文化について学んでいくうちに、日本人の礼儀正しさや相手を思いやる気持ちに惹かれました。また、協調性を重んじる日本の文化が自分の仕事観にマッチしていると思い、日本で働きたいと考えるようになりました。
いくつかの企業を検討するなかでメルカリを選んだ理由は、大胆なチャレンジを推奨し、最高のバリュー・パフォーマンスを発揮した人を評価する仕組みが整っていたからです。社内政治で評価が決まる会社ではなく、結果を重視するカルチャーが浸透している会社で働きたいと考えていたため、メルカリは自分にぴったりだと思いました。
また、日本語が話せないメンバーの受け入れ体制が整っている点にもポジティブな印象をもちました。メルカリには、海外移住サポートや言語教育プログラムなど魅力的な制度がたくさんありますが、何よりも嬉しかったのは、選考プロセスのなかでさまざまな国籍のメンバーが面接を担当してくれたことです。こうした経験は、日本企業でメルカリが初めてでした。また、面接の質問も興味深いものばかりで、属性にとらわれず、私の実力を正しく評価しようとしてくれたことが嬉しかったです。
モスクワでアクティビティを楽しむAnastasiia
厳しくも、温かいサポートができるメンターでありたい
──メルカリへ入社後はどんなプロジェクトに携わってきましたか?
メルカリのiOS/Androidアプリを全面的に書き換える大型プロジェクト「GroundUp App(*開発コード名)」に携わり、Androidエンジニアとして主に認証周りを担当しました。現在は、KYC、セキュリティ、クーポン付与など、新規のお客様の売買体験に関わるプロジェクトに携わっています。
メルカリでは人生初のメンターも経験させてもらいましたが、メンティのスキルを伸ばしていくためにはどのようにコミュニケーションを取ったらいいのか非常に悩みました。
ロシアで働いていた頃、私はとても優秀なメンターに付いたことがあります。彼はミスに厳しかったのですが、間違いをただ指摘するだけではなく、どうすれば解決できるか、どうすれば同じ過ちを繰り返さないかを、いつも一緒になって考えてくれました。彼のおかげで私は多くのことを学び、成長することができました。
ミスに厳しくありつつ、失敗したときは温かいサポートをする。このバランスを取るのは決して簡単なことではありません。自分がメンターになった今、彼の仕事がいかに難しいものであったかを痛感しています。まだまだ未熟な部分も多いですが、ミスをしたときこそ相手のことを信じサポートすることが何よりも大切なのだと、これだけはいつも心に留めて業務にあたるようにしています。
怖いと思うのは、決して悪いことではない
──Anastasiiaさんは、まもなくマネージャーとしてのキャリアをスタートされるそうですね。マネージャーへの打診を受けたときは、どんな気持ちでしたか?
正直とても怖かったです。いつかマネージャーになりたいと考えていたものの、実際にその時がやってくると尻込みしてしまいました。なぜなら、私にとってメルカリのマネージャーは雲の上のような存在だったからです。みなさん優秀で素晴らしい方々ばかりなので、私が彼ら/彼女らと同じ会議室で、同じレベルで会話をしている姿が全く想像できず、本当に自分に務まるのか不安で仕方なかったのです。
ですが、せっかくいただいたチャンスなので、なぜ私がオファーされたのか、その理由について上司に尋ねるだけでなく、自分のなかでも改めて考えてみることにしました。じっくり時間をかけて自分を見つめ直すうちに、私の責任感の強さやゴールに向かって順序立てて物事を進めていく力、そして、いいことも悪いことも含めて自分の考えをはっきり伝えようとする姿勢が評価されたのだと、少しずつ前向きに捉えられるようになりました。恐怖心を取り除き、自信を持てるようになるまでには少し時間がかかってしまいましたが、自分自身に丁寧に向き合ってみたことで、オファーを受けることを決断することができました。
──今後、マネージャーとしてどんなチームをつくっていきたいですか?
チームメンバーが「自分たちはすごいことをやっているんだ」と感じられるようなチームをつくりたいです。そのためには、プレッシャーと心地よさのバランスが重要です。自分の好きなこと、得意なことをしている時間は心地よいものですが、プレッシャーを感じながらも領域を飛び越え大胆に挑戦することで、人は成長できると考えています。
こうした環境をつくるためには、さまざまなチームとのコラボレーションが欠かせません。私はマネージャーとして、他のチームとのコミュニケーションを積極的に取り、自チームのメンバーが大胆に挑戦できる土壌を整えていきたいと思っています。
──先ほど「マネージャーになることが怖かった」というお話がありましたが、同じような悩みを抱えている方々に向けて、ぜひメッセージをお願いします。
怖いと思うのは決して悪いことではないと思います。それだけ、責任感が強いということの表れですから。私のようにリーダーになることへの恐怖心があるのであれば、まずはチームメンバーに自分の正直な気持ちを伝えてみるのがいいと思います。リーダーになるにあたって、自分に足りていないところをフィードバックしてもらうのもいいでしょう。ときには、自分が想像もしていなかったような耳の痛い意見が出てくるかもしれません。ですが、そうした意見にこそ自分が成長できるヒントが隠れているので、ぜひたくさんの人に話を聞いてみてください。