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メルカリで出会えるモノで「実家」をつくったらエモすぎて泣けた。2023年もっとも盛り上がった企画の舞台裏

2023-12-26

メルカリで出会えるモノで「実家」をつくったらエモすぎて泣けた。2023年もっとも盛り上がった企画の舞台裏

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フリマアプリ「メルカリ」は、2023年7月2日にサービス開始10周年を迎え、約半年間、お客さまへ「感謝の気持ちを伝えたい!」という思いで、「メルカリ10周年プロジェクト」を継続してきました。そしてこの10周年フィナーレとして、11月30日から12月3日の5日間、原宿で「メルカリで出会えるモノでつくったウチの実家」(以下、「ウチの実家」)を開催しました。

これがSNSだけでなく、テレビを含めたメディアでも連日取り上げられ話題に。期間中は、入場まで最大80分待ちというテーマパークのアトラクション並みの待ち時間になるほど、多くのお客さまが遊びに来てくれました。

10周年フィナーレであり、「年末(そして帰省)」を連想させる本企画は、2023年の締めにはこれ以上ないコンテンツだな…という編集部の思惑もありつつ、実にメルカリらしい「Go Bold」な、そして一部では「狂気」と言われるプロジェクトの舞台裏を取り上げてたいと思います!

集まってくれたのは、マーケテイングを主務とする山岸香織 (@yamachan)、池田早紀(@sakiccho)、PRの韓昇勲(@han)、宮本祐一(@yax)の4名です。記憶もまだ鮮明なうちにあれやこれや語ってもらいました!

この記事に登場する人


  • 山岸香織(Kaori Yamagishi)

    2019年入社。「メルカリマガジン」「公式Twitter」などオウンドメディアのコンテンツプランニング・ディレクターを経てグロースキャンペーン PMへ。現在はTVCMやOOHをはじめとしたグループ横断マスマーケティングの推進ディレクター。


  • 池田早紀(Saki Ikeda)

    2017年入社。2人目の育休中にメルカリにハマりすぎて、育休明けたらメルカリに入社していた。HRとして採用や育成に従事し、職種転換してマーケティングチームへ。現在は、メルカリ教室や公式SNSなど、お客さまに近いタッチポイントの開発・企画を行うカスタマーマーケティングチームのマネージャー。


  • 韓昇勲(Sunghun Han)

    大学から日本在留し、2014年より新卒でベクトルに入社。PR会社プラチナムでコンサルタント業務とメディアプロモーターリーダー業務を報道番組含めて、年間約20本以上のOA獲得。メディアでの露出を逆算した企画作りを主に担当。メディアプロモーターリーダーとしては、メディアチームの立ち上げや30人のチーム運営。2018年12月より、フリマアプリ「メルカリ」のPRとして入社。2019年7月から2年間スマホ決済サービス「メルペイ」PRも兼務。 メルカリでは、大型マーケ連携含めて大型バラエティ番組の露出や、オフライン企画を主に実施。


  • 宮本祐一(Yuichi Miyamoto)

    大阪大学を卒業後、マネックス証券に入社。コールセンターでのお客さま対応業務を経てマーケティング部に異動し、各種金融商品のマーケティングを担当。米国株サービス等のグロースを牽引。その後、商品企画を経て、経営企画部、広報室にて証券事業のブランディングや全社横断プロジェクトの統括、事業戦略の策定・実行に携わる。2019年1月より株式会社メルペイに入社し、スマホ決済サービス「メルペイ」の立ち上げとしてメルペイカンファレンスの企画・運営を担当。その後、各種キャンペーンの発信、加盟店へのメルペイ導入の最大化、各種業務提携発表などPR業務全般に従事。

突如、原宿に出現した「ウチの実家」。そのこだわりは?

──SNSをはじめ、様々なWebメディアやTVの情報番組などで取り上げられるなど、「ウチの実家」は大きな反響を呼びましたね!実施された背景を含めて、改めてどんな企画だったか教えてください。

@yamachan:「ウチの実家」は、「メルカリ」で出会える実家にありそうな懐かしいアイテム2,000点以上でつくられた「疑似実家」を体験できる没⼊型イベントです。開催期間5日間で累計入場者数約1,800人を記録し、最大80分待ちになるほど連日行列を生むイベントとして大きな反響をいただきました。

来場いただいたお客さまからは、「想像以上に“実家”だった」や「これ私も持っていた!」「すべてがエモすぎた」などのコメントが挙がり、年代も出身もさまざまなはずなのに、なんだか同じ時代を生きて同じモノを見て育ったような、お客さまと一体感を感じるイベントになりました。

@han:メディア取材会当日は、30名以上のメディアが取材に参加していただき、露出としてもテレビが10番組以上、Webメディアなど約30件ほど取り上げていただきました。取材にきたスタッフの方々が仕事ということを忘れて(?)、懐かしがってくれていたのがとても印象的でした。こんなにメディアに取り上げられたのは近年でも最大だったと思います。僕の実家は韓国なので、懐かしくないはずなのに、なんだろう、あのエモ懐かしさは…。

@sakiccho:hanさんが玄関の扉をガラガラと開けて「うわ、懐かしい!地元のおばあちゃん家もこんな感じ」って言っていたの見て、「え、実家って世界どこでも通じること?」と思いましたもんね。

懐かしのモノも話題になりましたが、よりリアリティのある体験を演出したかったので、お父さんとお母さんがいてお菓子やジュースをくれたり、「疑似家族写真が撮影できる」ということもトチ狂った演出だと話題になりましたよね。今振り返っても、普通じゃないアイディアですよね。でも「没入体験」にこだわりたかったし、心動かす体験をして欲しかった。

寡黙だけど好奇心を忘れないお父さんと、優しくて世話焼きなお母さんがまるで家族のように出迎えてくれます。会話を楽しんだり、記念に家族写真を撮影することもできました。

@yax:玄関を開けると、お母さんとお父さんが「おかえりー!」と迎えてくれるんですもんね。もうそれは「ウチの実家」以外のなにものでもないですよね。この施策、PR的には実施するタイミングがすごく重要でした。例年12月は年末の大掃除の話題が増える時期で、過去の報道を調査すると11月から大掃除を扱う番組が増えていました。

お客さまとしても実家や自宅にある不要なモノに向き合う時期ですし、ここ3年コロナで帰省できなかった人もいるだろうから、帰省体験をすることで、ちょっと年末の先取りも。スケジュールはきつかったけど時期にはこだわって11月末からにさせてもらいました。プロジェクトメンバーからは鬼扱いされましたけど、こだわってよかった。

──来場されたお客さまの印象に残った反応は?

@yamachan:お客さまが「ウチの実家」に入ったときの「豊かな表情」です。柔らかい顔つきになってなごんだ感じの方もいれば、ワーっとワクワクを抑えきれずモノを見て回る方もいて。

フリマアプリというデジタル上での取引のみでは見られない、お客さまのダイレクトな感情の動きが見られたのがとても嬉しかったです。「懐かしい」という感覚を通して、ここまで反応していただけたのがとてもよかった…。モノとの思い出は、誰にも必ずあって、その原体験には何にもかえがたい価値があるのだと再認識しました。

2023年現在34歳という設定の「妹の部屋」。「ラルフのカーディガン」や「デコ電」、「アルバのショップバッグ」など2000年前後のカルチャーを再現するために一同記憶の奥底からアイテムを引っ張り出しました。

2023年現在40歳という設定の「兄の部屋」。オープン直前のギリギリまで「BEAMSのショップバッグ」「ウルトラマリン」のアイテムのラインアップだけではなく、アドバイザーの山下メロさんといっしょにモノの配置についてもリアリティを追求すために「子ども時代のモノはこっちで、中高生時代のモノはこのあたり」など調整をかけました。

@han:自分の中で印象的だったのは、待ち時間や中を見る間でもお客さま同士で「メルカリ」について会話が生まれたことだと思いますね。もちろん、メルカリが主催するイベントだからというのもありますが、「この前、メルカリでコート出品したんだけど、昨日売れた」「え、これもメルカリで売れてるの?」など、お客さまの会話の中に自然とメルカリが入っていることが印象的でした。

@sakiccho:お母さんを早くに亡くされた方が、疑似お母さんが椅子にエプロンをかける仕草を見て号泣してしまったという話を現地のスタッフさんから聞いて、私も号泣してしまいました。それがお一人ではなく、数名涙されていた方がいらっしゃったとのことです。それだけ「ウチの実家」に没入いただけたのだと思いますし、実家といういろんな人の想いが存在する場を中途半端なものにせず、徹底的に細部までこだわって仕上げることができて本当によかったなと思いました。

台所に立つ疑似お母さん。この「いかにもありそうな」なワンシーンが没入感を高める!

誰かの不要品は、誰かにとっての価値あるモノ

──ここまで徹底的につくりこんだ、ある意味で執念を感じさせる企画を実施するからには、単なる話題づくりが目的ではないですよね?メルカリとして、なぜこのようなことをやろうと思ったんですか?

@sakiccho:私たちは、普段はそれぞれマーケティングとPRで部署は異なりますが、共通のミッションがあります。「未利用者にもメルカリに興味を持ってもらうきっかけをつくる」ということです。サービス開始から10年で1ヶ月に2260万人(2023年8月現在)が使ってくれるサービスにまでに成長しましたが、逆に言えば、それ以外の方はまだ使ってもらっていなかったり、離れてしまっています。そういったお客さまとの接点を作り、メルカリに興味や好意を持ってもらうための活動の一環として企画しました。

@yamachan:メルカリは、お客さまがよりよい暮らしを送るための「いち手段」であるサービスです。お客さまにはお客さまの大切な暮らしがあって、その暮らしをよくするために、メルカリが選ばれる必要がある。自然と暮らしの中で思い出してもらえるようにするためにはどうすればいいのか、それをいつも考えています。

だから、暮らしの中のワンシーンでふっと思い出してもらえるようなコミュニケーション施策を行わないと、「話題化」だけを狙った上滑りのプロモーションになってしまう。それは絶対に嫌だったんです。お客さまへのアプローチの仕方のこだわりとあわせ、コロナ5類になった2023年の今だからこそ、「実家」への接点モーメントが改めて有効なのではないかと思い、企画・実行しました。

前から「実家にある不要品」にはストーリーがあると思っていて。一見風景のようになっているような民芸品「木彫りの熊」や、バブル時代に流行ったおもちゃ「フラワーロック」など、文化的背景があるアイテムであっても人知れずホコリをかぶってしまっている。でも、同時代を過ごした人と語り合うと「あったねー」と懐かしく感じて、その価値を再認識できます。「一見不要そうな実家のあるモノ」たちもメルカリでは価値あるものとして取引されているので、実家をメルカリのメタファーとして扱うことで、「誰かの不要品は誰かにとっての価値あるモノ」を伝えられればと考えました。

@sakiccho:「メルカリにしかできないこと」にこだわり抜きましたよね。実際、今回2,000点を超える懐かしいものを集めましたが、おそらく「メルカリ」にしか売っていないだろうものがたくさんあります。体験はお客さまの興味にぐっと寄せるけど、ほかのECでは提供できない、メルカリの強みを最大限活かせました。

@yamachan:sakicchoさんと2人で夜な夜なメルカリ内でディグって、「これ実家にあったよね!?」「うわ、よく出品されているね…」「エモいーー!」なんていう会話をしながら、何度「メルカリすごいな…」と呟いたことか。改めてメルカリには何でもある!と感動し、お客さまと一緒にこの感覚を楽しむにはどうしたらいいだろうと企画をブラッシュアップしていきました。

@yax:マーケが顧客体験やその評判によって、お客さまがメルカリを「自分ごと」と感じることを狙いとしていたのに対し、PRは年末年始の不要品と関わる機会が多い時期に向け、⾃宅や実家にある不要品の価値を可視化させ、知ってもらいたいという狙いがありました。そのために、「世の中ごと(今回でいうと大掃除や不要品の整理)」に「メルカリ」を乗せ、社会とのブリッジをつくるイメージです。

メルカリが「言いたいこと」ではなく、メディアとしてニュースにしやすい、視聴者が共感できるストーリーを見つけて言語化する。今回の場合は、不要になったら粗大ゴミとして捨ててしまうようなものにも価値があるということや、具体的にどんなものがいくらで売れるのかといった、驚きの事実を可視化して印象づけることができたのではないかと思います。

──マーケティングチームとPRチームが普段追っているゴールは異なるということですよね?共同のプロジェクトとしてスムーズに連携はできたのでしょうか?

@han:終始「All for One(全ては成功のために)」に取り組めたからです。7月から続いてきた10周年企画の最後のプロジェクトでしたし、成功させるしかありませんでしたからね。面白い箱ができる予感はありましたが、マーケ視点とPR視点は異なるのでメディアバリューをどう出すのか、最初からしっくりくるストーリーがあったわけではなく、ローンチが近づくたびに焦りがありました…。

@yamachan:途中からhanさんのモードが変わってきて。私が「どう見せればお客さまが楽しんでいただけるか」「どうしたら企画を知ってもらえるか」という“How”にフォーカスしているときに、「なぜこの企画をメルカリがやるのか、サービス視点での“Why”を自分の言葉できちんと語ってください」とhanさんが真顔で問うてきたので「ゴクリ…」となりました(笑)。

私はどちらかというと、お客さまがどういう反応を示して、どれだけリアリティをもってソーシャル上で話題にしてもらえるかを気にしていたので、hanさんが“Why”を実行フェーズでしつこく聞いてくるのはなんでだろうって思ってましたね。

@han:ごめんなさい(笑)。でも、自分がそのストーリーがしっくりこなかったら、メディアもストーリーを感じられないと思ったから、ここは引かずにしっくりくるまで聞きまくりましたね。

@yamachan:あまりに自分が“How”にとらわれすぎていて、「え、そういえばなんでだっけ…」と忘れてしまっていたことに気がつきびっくりしましたね。なぜやるのか、それがより明示的でないとPR文脈が成立しないのだな…と学びになりました。

hanさんの“Why”連呼によって、「懐かしいというモノとの再会で、不要品の価値を再認識し、実家にあるまだ使える価値あるモノを出品しよう」というメッセージをやっとこさ自分の口から出せたときには、これまでずっと自分が考えていたことなのに、なぜか「ピンときた」という感覚になりました(笑)。それくらい、アウトプットをどう出すかにばかり目がいっていたことに気付かされたので、hanさんにはすごく感謝しています。

@han:今となってはこんな会話もできますが、マーケとPRは似ているようで視点が全然違うので、最初は本当に共通のコンテクストをつくるのが難しかったですね。みんな一緒のゴールを見て話しをしているのに、同じ言語で会話ができていなかった場面もあったと思います。ただ、それはお客さまやメディアとのナラティブを紡ぐうえではすごく大事な「ズレ」のポイントですし、このプロジェクトが初めての連携だったら、うまくいっていなかったかもしれません。

夏頃からいくつかのプロジェクトを協働したからこそ、お互いが伝えたいことや違いがわかった状態で、お客さまバリューとメディアバリューの真ん中を納得いくまでしっかり探そうとお互いを尊重できたと思います。

怒涛の10周年キャンペーンを終えて。次の1年にしたいこと、すべきこと

怒涛の10周年キャンペーンは、メルカリのいちメンバーとしてもとても楽しめるものでした(そしてみんなに言って回りたくなりました)。どんな取り組みがあったか、改めて振り返ってみたいと思います。

7月〜8月はサービスローンチ10週年を記念して「100人100通りのメルカリ」などのコンテンツ企画や「ARIGA湯(ありがとう)」というお風呂グッズがもらえるキャンペーンを実施。

10月には銭湯10箇所とコラボをし「メルカリの湯」という真っ赤なお風呂が出現。

11月にはSNSで投稿された「#メルカリで買ってよかったもの」を新宿・渋谷・秋葉原など都内7箇所の駅にそれぞれの地域にテーマを合わせて掲出。「片耳のイヤホン」や「デコトラのプラモデル」など、お店ではなかなか見つからない商品の数々に、「メルカリらしい広告」と楽しんでいただくことができました。

──さて、今年も残すところわずかですが、2024年にチャレンジしたいことはありますか?

@yamachan:2023年はサービス10周年ローンチの7月からウチの実家が終わる12月まで、ほぼ毎月施策がローンチする計画で動いており、集中力を保って実行し切れるかドキドキで、毎日自分を励まし続けていました(笑)。いまはやっと安心したタイミングで、ちょっとゆっくりしたいですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるとはこのこと…。

施策を企画、実行するごとにあらためてメルカリのサービスの価値を深く理解でき、明確に自分の言葉で言語化できているという実感があります。これをよりもっとメッセージとして磨き上げ、2024年もお客さまの暮らしが楽しく、明るく、ワクワクしたものになる体験ができる企画を考え、発信したいですね。

@sakiccho:メルカリを使ってくれているお客さまにもっとフォーカスをあてたいですね。メルカリはあくまでもツールであり、暮らしの脇役。便利な脇役として、どんなお客さまが使ってくれているのか、どんな使い方をしてくれているのか、世の中にもっと出していきたいと思います。

@yax:今回、個人的にはずっとずっと実現したかったマーケティングの形を実現できて本当にこのチームに感謝しています。マーケティングで実施する施策を世の中に届きやすい形とメッセージに仕立て、かつその前段としてPRの発信施策により、世の中が受け入れやすくなるパーセプションを作っておく。こうしたことができたと思っています。

今後は、これをもっと大きな範囲、単位でより大きなインパクトを出せるテーマでも実施していきたいと思います。また世の中に驚いてもらえるActionをこの素敵なチームでやっていきたいです。

@han:振り返ってみると、個人的には一年を通してずっとチャレンジした日々だったなと思いますね。すごく刺激もたくさんありました。その分より自分が強くなったことも感じます。今回の企画がたまたまということではなく、今後とも再現性高いチーム体制として発信を続ければと思います。また、個人的にはメルカリとして海外アワードで受賞してみたいです(カンヌ行ってみたい)!

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