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メルカリ・メルペイ独自の与信体験を追求するため、「お客さまの声」を徹底的に聞いて“Why”を深く理解する

2024-1-17

メルカリ・メルペイ独自の与信体験を追求するため、「お客さまの声」を徹底的に聞いて“Why”を深く理解する

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2019年2月に「メルペイ」をリリース後、同年4月に「メルペイあと払い」をローンチし、2022年11月にメルカードの提供がスタートするなど、次々に新しいサービスを展開してきたメルペイ。それは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションのもと、「新しい与信の仕組みと信用のデザイン」に挑戦してきた歴史でありました。

この「新しい与信の仕組みと信用のデザイン」は、どのようなメンバーが、どのような思想(あるいは哲学)を持ってつくられているのでしょうか?

メルカンでは「私たちはいかにして信用と与信のあり方を変えていくのか」と題して、全5回にわたって与信事業とそれに関わるメンバーをさまざまな角度から探っていきます。連載の第2回では、「利用 / 返済」の体験にフォーカスし、プロダクトを通してどんな世界を創ろうとしているかを聞いていきます。インタビューに応えてくれたのは、プロダクトマネージャーの平田愛美(@manamin)と鷺内広輝 (@sagi)、UXリサーチャーの松薗美帆(@mihozono)の3人です!

この記事に登場する人


  • 平田愛美(Manami Hirata)

    メルペイ プロダクトマネージャー。サイバーエージェント新卒入社後、AbemaTVなどメディア事業のグロース・新規事業立ち上げに携わる。2017年6月にソウゾウへ入社、2018年1月〜メルペイにてiD・ApplePay決済、メルカードを担当。


  • 鷺内広輝 (Hiroki Sagiuchi)

    プロダクトマネージャー。2018年4月にメルカリに新卒入社後、メルペイのあと払い、定額払い、メルカードなどの与信関連プロダクトの開発に携わる。


  • 松薗美帆(Miho Matsuzono)

    国際基督教大学教養学部卒、文化人類学専攻。株式会社リクルートに新卒入社し、人材領域のデジタルマーケティング、プロダクトマネジメント、サービスデザインに携わる。2019年より株式会社メルペイにてUXリサーチャーとして、新規事業立ち上げやUXリサーチの仕組み作りなどに取り組む。北陸先端科学技術大学院大学博士前期課程に社会人学生として在学中。2021年、著書「はじめてのUXリサーチ」を出版。


 「お客さまの声」を徹底的に聞くのは、“Why”を深く理解するため

 

――連載の第2回となる今回は「利用 / 返済体験」についてフォーカスしていきたいと思うのですが、みなさんはそれぞれどのようにプロダクト開発に関わっていますか?

@sagi:私は新卒でメルカリに入社して以来、プロダクトマネージャーとしてあと払いやメルカードの開発に関わってきました。定額払いの立ち上げや収益性の改善などを経て、直近ではより多くの人になめらかな与信体験を提供するためのUX改善に携わっています。

@manamin:私はメルカードの立ち上げから関わり、現在もプロダクト全般に携わっています。全般といっても守備範囲はかなり広く、かつ社内の関連部署との連携だけでなく、関わるパートナーの数も多いので、いろいろな観点が求められます。sagiさんたちCredit Frontlineチームが与信の領域を担当されているのに対して、私たちFrontline Paymentチームは決済インターフェースの部分に携わっています。

@mihozono:私はUXリサーチャーとして、UXリサーチはもちろん、お客さま視点での品質を担保するための体験面のレビューに携わっています。ひとつ特徴的なのは、UXリサーチャーだけではなく、PMを中心にリサーチを行う文化が根付いている、「お客さまの声」を非常に大切にする組織だと思います。

松薗美帆(@mihozono)

――なるほど!利用 / 返済体験の向上のためには、「お客さまの声」を聞くことは欠かせない姿勢だと思いますが、それぞれが大切にしていることをもう少し深掘りして聞いていきたいと思います。

@sagi:自分たちだけで分かった気にならず、お客さまに徹底的に向き合うということを大事にしています。「何がどう使われているか」という“What”や“How”は直接データに現れますが、例えば「何故このお客さまは延滞してしまったのか」といった“Why”はデータからは明確には分かりません。

自分の頭の中だけで考えても、本当の答えには辿り着けないことがほとんどです。なので、実際に沢山のお客さまの話を聞いたり、プロトタイプを見ていただいたりしながら、そこで得た発見をもとに仮説を立てて、プロダクト開発に活かすようにしています。

その一方で、データを用いた定量分析も非常に大切にしています。与信体験は複雑で、利用(決済)から返済に至るまでの時系列も存在します。お金を借りる時は「便利だな」と感じたとしても、返済が苦しいとトータルでは悪い体験になってしまう。与信の世界では、お客さま自身は「返済」を楽観視してしまうことも多く、それが後悔のもとになってしまうことも少なくありません。私たち開発者が客観的にデータを見つめて、お客さま自身が見通しきれない体験全体を俯瞰することも重要だと考えています。

メルペイの与信事業には「返せる与信」というコンセプトがあります。入口のところで「使いやすい」「たくさん利用される」だけではなく、出口まで「返しやすい」「無理なく返せた」を追求する。お客さまが心地良く体験を終えて、「また使いたい」と心から思ってもらえるようなプロダクトを目指しています。

単に収益が上がる与信事業をやるのではなく、本当の意味でお客さまの人生を豊かに出来るような与信体験を提供したい。そのために、私たちは定性調査と定量分析の両輪を活用しています。

鷺内広輝 (@sagi)

@mihozono:延滞しているお客さまに調査したり、「定額払い」の18〜19歳への開放リリース後に実際の使われ方をインタビューしたり、PMを中心にお客さまのリサーチを行う文化が根づいていますよね。また、隔週の頻度でResearch Hourという取り組みを行い、定常的にお客さまにお話しを聞く機会を設けています。

私たちは、お金にまつわる複雑な体験をつくっているので、きちんと説明しようとするとどうしてもフローや文言が多くなります。そういうわかりづらさを解消せずに事業成長だけを追うと、時にお客さまを騙すような「evil」な体験になってしまう。それはやっぱり避けたい。そのために「細かい表現までこだわりきる」ことが大切で、わかりやすく、かつお客さまにとって価値があるものを提供して、結果として事業成長にもつながるFintechを目指していきたい。

@manamin:私はメルカードに携わっているので決済側からの観点になるのですが、「当たり前のクレジットカード品質」を担保するだけではなく、メルカリ・メルペイらしいクレジットカードをつくり、お客さまに体験して喜んでいただくことを念頭に取り組んでいます。

クレジットカードには長い歴史があり、私たちは最後発組です。まずは、クレジットカードの機能としての標準化、そしてお客さまに使っていただけるカードを作ることが至上命題でした。そのためには他社のカードをしっかり研究しましたし、後発参入だからこその体験を考えていきました。それはスマホ完結であったリ、申込みの簡単さであったり、セキュリティ観点での安心感としての即時通知であったり、あるいはお客さまのロイヤリティを高めるためにカードそのものデザインであったり…と、やれることは可能な限りやりきったと思います。

また、メルカードにおいても「お客さまの声」は非常に大切にしています。開発時にはUXリサーチにかなり時間をかけましたし、リリース後にはVOC(Voice of Custmor)を重要視し、CSメンバーとともにお客さまがどう理解しているか知り、改善に活かしていくようにしました。

小さな改修においてもUXリサーチは必ずかけています。たとえば、利用規約画面はリリース後にバージョンアップを重ねていっています。画像ひとつ、文言ひとつで、コンバージョンがかなり変わりますし、「細かい表現までこだわりきる」ことが本当に重要だと考えています。

 メルカリ・メルペイ独自の与信体験を磨き込む

 

――では、プロダクトを通してどのようなことを実現していきたいと考えていますか?

@sagi:メルカリ・メルペイだからこそできる与信体験を追求していくことです。普通のクレカや後払いには「借りる」と「返す」しかないですが、メルカリグループのサービスを活用してもらうことで「返す」の手前の「稼ぐ」のところからお客さまをサポートしていける。ここが私たちの独自性であり、メルカリが与信事業をやっている意味だと思っています。

今後「メルカリ ハロ」が新たに加わると「稼ぐ」の選択肢はさらに拡がることになります。有限なモノを売って返すだけではなく、「働いて返す」というようなこともできるようになる。ここに大きなポテンシャルがあると感じます。

@mihozono:sagiくんと同じような意見ですが、メルカリあってのFintechをつくることです。それは、モノで返せる「物々交換的な世界観」であり、私たちでしかできないことです。また、返済の柔軟性をもっと高めていきたいと考えています。企業が決めた毎月決まった日に合わせて返さなくてよく、いつでも返せる、もっというと何でも返せることが理想です。モノを売って返してもいいし、ビットコインが値上がりしたらそれで返してもいいし、メルカリ ハロがサービスインしたら働いて返してもいい。そうやって価値あるものをつくって、きちんと事業を伸ばしていきたいですね。

@manamin:私は決済や支払いの不安や怖さがなくなると良いなと思っています。理想は普段のお金に関する悩みがない状態に自然となっていくこと。お金に関することを気にしなくても、ちゃんと管理できている状態にまで持っていきたいんですね。お客さまにとってメルカリ・メルペイがあってよかったという体験を磨き込んでいきたいですし、一緒に伴走しているようなパートナーでありたいですね。

平田愛美(@manamin)

 お客さまの生活や人生を豊かにすることへのチャレンジ

 

――最後に、これからご自身として挑戦していきたいことなどがあれば教えてください。

@mihozono:私自身というより、まだまだやれることがたくさんあるので、メルコイン、そしてメルカリ ハロが融合した、メルカリにしかないFintechの体験設計を追求していきたいです。

@sagi:私も同じで、メルカリ独自のFintechを創ることです。私たちだからこそ提供できる価値あるプロダクトを通して、世の中を良くすることに注力したい。与信領域は複雑性が高く課題も大きいので、プロセス自体に知的挑戦としての面白さがありますし、事業としてもメルペイの収益を担う大きな柱です。ですが、プロセスや事業の成功だけに目を向けるのではなく、お客さまが本当に幸せになるという結果を追求したい。同じように考えているメンバーがメルペイには多いと思います。

@manamin:そうですね。まだまだメルカリ・メルペイだからできるおもしろいことはたくさんあるし、それがお客さまの生活や人生を豊かにできることがあると思います。そこにチャレンジし続けたいです。そのためには体験のシームレスさを強く意識していきたいですし、さまざまな課題を楽しく解消できるのはメルカリグループのサービスの強みですよね。

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