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メルペイの与信の“コアバリュー”をかたちづくる、既存の金融サービスの枠組みにとらわれないプロフェッショナルたち

2024-1-23

メルペイの与信の“コアバリュー”をかたちづくる、既存の金融サービスの枠組みにとらわれないプロフェッショナルたち

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2019年2月に「メルペイ」をリリース後、同年4月に「メルペイあと払い」をローンチし、2022年11月にメルカードの提供がスタートするなど、次々に新しいサービスを展開してきたメルペイ。それは、「信用を創造して、なめらかな社会を創る」をミッションのもと、「新しい与信の仕組みと信用のデザイン」に挑戦してきた歴史でありました。

この「新しい与信の仕組みと信用のデザイン」は、どのようなメンバーが、どのような思想(あるいは哲学)を持ってつくられているのでしょうか?

メルカンでは「私たちはいかにして信用と与信のあり方を変えていくのか」と題して、全5回にわたって与信事業とそれに関わるメンバーをさまざまな角度から探っていきます。連載の第3回のテーマは「与信のコアバリュー」です。吉澤弘(@hiro)、椙本功弥 (@mogi)、前田萌(@moeda)の3名に、機械学習モデル、データ分析、信用リスク上の評価・モニタリングの観点から、メルペイの与信の「独自性」と、コアバリューをつくるためのコラボレーションについて聞きました!

この記事に登場する人


  • 吉澤弘(Hiroshi Yoshizawa)

    金融機関のシステム開発や機械学習、データサイエンスのコンサルティングに従事した後、2021年にメルペイにMachine Learningエンジニアとして入社。現在はEngineering Managerとして与信モデルなどの開発、運営に取り組んでいる。


  • 椙本功弥 (Koya Sugimoto)

    データ分析のコンサルティング会社や事業会社でのデータアナリストに従事した後、2022年にメルペイにデータアナリストとして入社。与信に関するデータ分析を担当している。


  • 前田萌(Moe Maeda)

    銀行系消費者金融企業にて、カードローンやおまとめローンの戦略立案・実装に従事した後、2022年よりメルペイのRiskTeamに入社。メルペイの提供する与信サービスについて、信用リスク上の評価・モニタリングに取り組んでいる。


メルカリの利用実績を基にした、機械学習モデルによる独自の与信

――連載第3回は「与信のコアバリュー」についてフォーカスしていきたいと思うのですが、みなさんはそれぞれどのようなミッションのもと業務に携わっているのでしょうか?

@hiro:私はCredit modeling チームのマネージャーとして、「機械学習やデータサイエンスの技術を用いて、あらゆる人に価値を届けられる与信ビジネスを作ること」をミッションに、与信領域の施策の企画と開発、与信モデル(機械学習モデル)の運用改善などに取り組んでいます。機械学習モデルの精度や仕組みの改善を通して、与信事業のKPI、つまり収益性や利用額を向上させることに貢献しようとしています。

@mogi:「会社における意思決定の質と量を最大化する」ことをミッションに、Data Analyst チームで与信領域のデータ分析を担当しています。与信領域の施策の効果試算や効果検証を行い、施策の実行有無、優先順位づけ、施策の改善などの意思決定をデータに基づいて適切に行えるようになることを支援しています。

@moeda:私が所属しているMP Riskチームは、「持続的な事業の成長を可能にするために柔軟性を兼ね備えた効果的なリスクマネジメントを推進する」ことをミッションに、事業に関わるリスクカテゴリーについて管理体制の十分性の確認・リスク状況のレポートに取り組んでいます。その中で私はおもに、与信事業の収益性についての将来予測のチェックや、延滞率をはじめとした、社内外の目線から遵守すべき制約条件のモニタリングを担当しています。メルカリというプロダクトに対して、新しい経済圏をつくっていくことのおもしろさを感じて2022年に入社しました。

前田萌(@moeda)

――それぞれに高い専門性を持つメンバーが集まっているわけですが、「与信のコアバリュー」を探っていくには、メルペイの与信の「独自性」を聞いていくのが良さそうですね。

@hiro:これはまさに「独自のデータ」をもとに与信を提供しているということですよね。

@mogi:一般的な与信は、お客さまの年収、世帯人数、住宅ローン・家賃の有無などの属性情報から支払能力が評価されて決まりますが、メルペイの与信はお客さまのメルカリでの様々な行動から約束履行能力が評価されて決まります。例えば、メルカリの売買履歴やメルペイのあと払いサービスの利用履歴を用います。メルペイのあと払いの利用履歴であれば、「メルペイのあと払いを使って、しっかり期限内に返済しているか」というような行動が約束履行能力として評価されます。

マーケットプレイス事業とフィンテック事業をひとつのグループとして推進し、相互の事業で得られたお客さまの情報をもとに与信を行っているのが、メルペイの与信の独自性です。

@moeda:一般的な金融事業では、信用情報機関(JICC・CIC・KSCなど)を主軸に、その他の属性情報を用いて、その人の信用リスクを測っています。個人的な考え方になるのですが、与信・信用の芯は「社会との繋がり方」だと思っています。社会の中でのふるまいや、人との繋がり方(立場・経済的な行動)に対して、「返済能力」という名の信用が計られ、与信が行われていると考えています。

一方、メルカリ独自の信用情報は、メルカリというエコシステムのなかで、お客さま同士が積み重ねてきた行動が信用として計られていることが強みであり、唯一無二だと考えています。

@hiro:あと、「独自の仕組み」と言って良いと思うのですが、メルペイは本邦初の「認定包括信用購入あつせん業者」であり、メルカリの利用実績を使って、機械学習モデルを用いた与信(AI与信)をしています。与信枠の見直しを高い頻度で行っており、行動の変化が与信の増加に繋がりやすいのが特徴です。また、与信枠が変わるとお客さまのメルカリ・メルペイの行動も変わりますので、貸し倒れの抑制や収益性改善にとどまらず、与信枠変更によるメルカリの事業への影響も考慮しながら与信の仕組みを改善していくという点はこの事業の面白いポイントの一つです。

――では、こうした独自性はどのような「強み」につながっていると考えますか?

@moeda:メルカリ内の売り買いの行動が、メルカードのポイント還元率やメルペイの与信につながることから、メルカリ内外でお得にお買い物ができる体験を提供できている点だと思います。

「前もって払う」「一括払い」「後から定額払い」など、お客さまのその時々の状況によって支払い方を柔軟に変更できる点もメルペイならでは。支払いの期日よりも前に「前もって払う」でお支払いいただくことで与信枠が回復する機能もあり、メルカリ内での関わり方が新たな信用を生んでいます。設計思想に一貫性があることがとても良いと思います。

また、私たちが取り組んでいる与信事業は企画から実行までの意思決定にスピード感があります。お客さまの最新の消費行動・返済行動を分析し、常に模索しながら与信の最適化を目指しています。

@mogi:それと話がつながりますが、メルペイは独自の与信の仕組みだけでなく回収率にも強みがあると思います。メルペイのあと払いサービスの支払いは、メルカリでモノを売って得られた売上金を使うことができます。マーケットプレイス事業とフィンテック事業が一体となっているので、お客さま自身に信用を創造して使ってもらうだけでなく、その人に合った柔軟な返済方法を提供できる点が強みです。

椙本功弥 (@mogi)

@hiro:個人的には、こうしたお客さまの信用を創造するためのチームワークこそが、「強み」の源泉になっているのではないかと思います。

異なる専門性を持つプロフェッショナル同士の信頼感

――「チームワーク」というキーワードが出ましたが、みなさん所属チームが異なるなかで、どのようにコラボレーションしているのでしょうか?

@hiro:mogiさんもmoedaさんも組織図上は離れていますが、Credit Business Unit(*)のビジョンやRoadmap、事業状況などはしっかり共有されていると感じています。すごく意識してつなぎあっているという感覚ではないですが、一体感はかなり高いと感じています。
(*)Credit Business Unit = Business, Product, ML, BI, Risk, Finance, Corpの他職種で与信事業全体を推進するPJ体制

@moeda:そうですね。Credit Business Unitにおける現在の課題や、与信施策の目指すべきRoadmapは共有できているので、自然と同じ方向を見てつなぎあう土壌がある印象です。与信施策時の導入時には、hiroさんらCredit modeling チームによる与信モデルの開発や、mogiさんらData Analyst チームのデータ分析(導入後の収益のシミュレーション)において、私たちRisk チームも事前の議論に参加し、施策の目的や設計思想・KPIについて全員で意識を共有できていることが大きいですよね。

@mogi : あとは、毎週実施しているCredit Business Unitの定例会の中で、詳しく事業KPIの状況が共有されているので、事業の問題点や課題に対する目線が合った状態が作られていると思います。そのため、課題解決のためのプロジェクトが組成されて、一緒に仕事をすることになっても、お互いスムーズに仕事を進められるようになっていると思います。

――では、少し質問の角度を変えて、お互いの優れていると感じているところや、信頼できるところについても教えてください。

@hiro:mogiさんとmoedaさんに共通しているのは、誠実で仕事熱心で穏やかな人柄。mogi さんは、データの解析にとどまらず、常にアクションの提案を盛り込んでくれます。また、専門性が高いだけでなく、深いというべきですかね。機械学習に対する理解もとても深く、機械学習モデルに関連する分析においても、安心して一緒に仕事ができる方です。

moedaさんは2線の立場でありながらも、業務執行部門としての与信事業のことを深く理解し、監視や牽制のみではなく事業に対する助言や支援もしてくれます。そして、謎の安定感・安心感があります(笑)。

吉澤弘(@hiro)

@mogi:hiroさんのチームで作ったMLモデルの効果試算や効果検証の分析を担当することが多いのですが、リリースすると、ほとんどのMLモデルで素晴らしい成果がでます。hiroさんは、機械学習やエンジニアリングに詳しいのは言うまでもないのですが、どのような問題を機械学習で解けば事業課題の解決につながるのか、そもそも“How”として機械学習を使うことが課題の良い解決策になるのか、事業インパクトはどれぐらいあるのかを熟考して、チームのマネージメントをされています。なので、ほとんどのMLモデルで素晴らしい成果が出せるのだと思います。分析する立場としては非常にやりやすいですね。

moedaさんについては、hiroさんの意見に完全に同意見です(笑)。リスクの指摘に留まらず、リスクに対して、どのように対策をすべきかまで一緒に並走してくれるので安心感があります。

@moeda:お二人とも、丁寧なコミュニケーションで関係メンバーとの信頼関係を築いているので、とても尊敬しています。

mogiさんは、既存の分析手法にとらわれず、さまざまな機械学習・ビッグデータ分析の手法で課題の深掘りをしていくところがさすがだなと。そして、いつも急なデータ分析のお願いにも迅速にご対応くださり、本当にありがとうございます!

hiroさんは与信事業の運営についてよく理解していただいております。与信施策の社内の承認プロセスや施策導入時には、2線Riskとスムーズに連携いただけるので、いつも安心して協働できております。

規模と収益性、そしてメルペイらしい体験の共成長

――メルペイの「与信のコアバリュー」と、それを支えるメンバーの姿が見えてきたので、目下の課題と伸びしろについて聞いていきたいと思います。

@hiro:規模と収益性、そしてメルカリ・メルペイらしいお客さま体験の共成長をしていくことですね。

そのためにはメルカードを中心とした与信事業の成長が必須です。与信事業としての規模をもっと大きくしていきたいし、収益性も今より高めていきたい。もちろん、ただ単純に大きな与信をするというだけではなく、メルカリ・メルペイらしい体験を損なわないよう、さらに新しい体験をつくっていけるような施策を打ち、サービスをつくり、規模を拡大していくことが目下の課題であり、伸びしろだと感じています。

@mogi:メルカードを中心とした与信事業の成長について具体的に話すと、与信モデルや与信テーブルの改善による与信の提供範囲拡大、メルカードの審査条件の改善などに取り組んでいきます。また、AI与信で高額与信を実現する仕組みの構築や、与信事業の拡大に伴う安定的な運転資金の調達のための収益性改善も行っていきます。

@moeda:事業が拡大していくなかで、より強靭なリスク管理基盤を築いていく必要があります。サービスの多様化・拡大により、与信事業の収益ファクターにおいては、少しの予測のズレが将来の収益予測に大きな影響を及ぼします。Riskチームとしては、与信事業のリスクを先見的にリスクを検知・統制し、グロースを支援できる存在として機能していきたいと思っています。

――先ほどRoadmapの話が出ていましたが、課題意識についても同じビジョンを共有しているという印象を受けました!では、最後にこれからチャレンジしたいことをうかがって締めたいと思います。

@moeda:スピード感ある与信事業の支援です。金融サービスとして安心してご利用いただくためにも、継続的な事業の成長を支援・ガイドできる役割としてRiskチームが担っていきたいです。

@mogi:既存の金融サービスの枠組みに捕らわれないマインドを持っているメンバーたちと一緒に、これからも誰でも使って返せる与信サービスを一緒に創っていきたいです。

@hiro:私は事業の成長を実現するための組織づくりです。継続的な成長を実現できるようなチーム、仕組みを構築し、Go Boldな与信施策を安心・安全に実現できるようにしていきたいですね。

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