2024年1月、メルカリ東京オフィスにて「Lightning Talk Night」をWomen Who Code東京支部と共同開催しました。
Women Who Code(以下、WWCode)とは、技術職として活躍する多様な女性たちのエンパワメントを目的に掲げた非営利団体です。本コミュニティでは、ワークショップやトークセッションなどのイベント開催と情報共有を通じて、女性のキャリアアップ支援を行っています。
メルカリにとって、インクルージョン&ダイバーシティ、特にテクノロジー業界で活躍する女性の支援は重要なテーマです。こうした素晴らしい活動に取り組む団体と協働できることを誇りに思います。
今回のイベントは、東京のテックコミュニティを構成する魅力的なメンバーの皆さまと直接お会いし、重要なテーマについて話し合う最高の機会となりました。当日は、楽天グループ株式会社でUI/UXエンジニアとして活躍する杉吉真奈(マディ)さん(イベント開催当時)、ウーブン・バイ・トヨタ株式会社で機械学習エンジニアとして活躍するBetty Le Demさん、そしてメルカリからはEngineering DirectorのSnehal Shindeの3名が登壇しました。
「Webアクセシビリティ:私たちにとって重要な理由」楽天グループ株式会社 UI/UXエンジニア 杉吉真奈(マディ)氏
マディさんからは、Webアクセシビリティの重要性と、なぜ私たちにとってWebアクセシビリティが重要なのかについて発表がありました。
Webアクセシビリティとは、障がいのある人がウェブサイトにアクセスしたり、サイト内で動作を行ったりするうえでのバリアをなくし、インクルーシブな環境を整備することを指します。ウェブサイトが適切に設計、開発、編集されていれば、あらゆるユーザーがその情報と機能に等しくアクセスできます。つまり、ウェブサイトやツール、テクノロジーは、障がいのある人も利用できるように設計・開発されなければなりません。Webアクセシビリティには、聴覚・視覚・発話・身体的・認知的・神経的など、Webへのアクセスを阻むあらゆる障がいへの配慮が求められます。
マディさんの発表は、それぞれの障がいによって、Webアクセシビリティにどのような影響があるかについて学ぶ貴重な機会となりました。米国では数々の有名企業がこの問題を巡り訴訟に発展していますが、日本では2024年4月1日に「改正障害者差別解消法」が施行され、障がいのある人への「合理的配慮」の提供が民間事業者にも義務化されたことを受け、Webアクセシビリティへの対応にも注目が集まっています。今回の発表を通して、企業に与えられた責任について改めて理解を深めることができました。
「習慣の形成:優れたソフトウェア衛生管理への道」ウーブン・バイ・トヨタ株式会社 機械学習エンジニア Betty Le Dem氏
Bettyさんは、自分のコードをより効率的に、自信を持って書くために役立った習慣や考え方について発表しました。
なかでも、「コーディングを極めるのは至難の業であっても、腕を磨いていくことは実現可能」という彼女の仕事哲学は興味を引く内容でした。
また、クリーンコードを実現するための秘訣について、自らの経験に基づく示唆に富んだアドバイスを提供してくれました。まずはツールを使いこなせるようになり、ワークスペースを整えるといった基本的なことからスタートし、次に熟練のエキスパートのベストプラクティスに倣ったり、生成AIなどの最新テクノロジーを活用したりすることが重要だと述べました。
終わりにベティさんは、コードを書くことの楽しさを忘れないことと、自分に合ったスタイルを見つけることの必要性を強く説き、発表を締め括りました。
The Path to Good Software Hygiene By Crafting Good Habits
「レジリエンスとリーダーシップ:テクノロジー業界で活躍するには」株式会社メルカリ Engineering Director Snehal Shinde
イベントの最後には、メルカリでEngineering Directorを務めるSnehalが登壇し、iOSエンジニアのインターン生としてキャリアをスタートし、その後メルカリのEngineering Directorとなるまでのテック業界でこれまで自らが歩んできた道を紹介しました。
Snehalは、VUCA(ブーカ)というVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語で、ビジネスにおいて将来の予測が困難であり急速に変化する状況を示す概念を紹介。そのうえで、VUCA時代において、エンジニア、特にジェンダーバイアスといった試練に直面する女性エンジニアが活躍するためには、「レジリエンス」こそが大事な素養だと話しました。そして、レジリエンスを養うためには、自己認識力と向上心を持つことがいかに重要であるかを説明しました。
また、リーダーシップに関しては、有能なリーダーを形成する不可欠な要素は「影響力」であると力説。さらに、技術系女性に関する議論の際によく取り上げられる「インポスター症候群」についても触れ、その対処法を共有しました。
Resilience and Leadership: Thriving in Tech
今回、とても久しぶりにWWCode Meetupを開催しましたが、大盛況のうちに幕を閉じることができました。コロナ禍以前、メルカリはWWCode Meetupを頻繁に主催していましたが、こうしたコラボレーションを再開し、日本で変化をもたらすコミュニティを支援できることを大変嬉しく思っています。次回の開催もどうぞお楽しみに!