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ゲームチェンジを起こし、過去10年の延長線上にはないグローバル展開を推進する——Meet Mercari’s Leaders:迫俊亮(VP of Cross Border)

2024-3-22

ゲームチェンジを起こし、過去10年の延長線上にはないグローバル展開を推進する——Meet Mercari’s Leaders:迫俊亮(VP of Cross Border)

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「改善ではなく“ゲームチェンジ”を」。

経営者の役割を聞かれ、迷いなくそう答えるのは執行役員 VP of Cross Borderの迫俊亮(@sakoshun)です。「社会を構造的に良くしたい」という思いを胸に、グローバルへのチャレンジを続けてきた彼は、なぜ新しい挑戦の場にメルカリを選んだのでしょうか。経営者の役割を「ゲームチェンジを起こすこと」と語る、その真意は。過去のキャリアを通じて学んだことや、今後の事業の展望までじっくりと聞きました。

この記事に登場する人


  • 迫俊亮(Shunsuke Sako)

    UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業後、2008年三菱商事株式会社入社。その後、株式会社マザーハウスでの事業立ち上げや海外拠点開拓を経て、2014年4月にミニット・アジア・パシフィック株式会社代表取締役社長に就任し、APAC地域6か国で展開する“ミスターミニット”事業を統括。ユニゾン・キャピタル株式会社 マネジメントアドバイザーの後、2021年11月に執行役員としてメルカリに参画し、2023年6月、執行役員 VP of Cross Borderに就任。


「越境プロジェクト」でグローバルマーケットプレイス実現の足がかりをつくる

——sakoshunさんが管掌されている領域について教えてください。

私のミッションは、「メルカリをグローバルマーケットプレイスにすること」です。そのために、現在はVP of Cross Borderとして越境販売を通じたグローバル展開に取り組んでいます。

越境販売とは、メルカリ上に出品されている商品を海外の利用者に販売できるようにする取り組みです。メルカリは2019年から越境販売を開始し、海外からの取引金額が大きく伸びています。

これまでの取り組みによりGMVは着実な成長を遂げており、メルカリの商品に魅力を感じているお客さまが世界中にたくさんいることが見えてきました。なかでも取引金額の大きい国・地域は、メルカリサービス展開のポテンシャルが高いと言えます。このように、越境販売を通じた市場理解や顧客基盤の獲得は、いざ海外でCtoC事業を展開する際に活用することができます。つまり、越境プロジェクトを推進していくことが、グローバルマーケットプレイス実現の足がかりになると考えています。

マザーハウスで感じた経営者としての力不足

——sakoshunさんはメルカリ入社前より一貫してグローバルへの挑戦を続けられてきましたが、これまでのキャリア変遷について改めて教えてください。

グローバルへの想いは、大学時代から持っていました。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で社会学を学び、「社会を構造的に良くしたい」と思うようになったんです。当初は社会学者を目指していたのですが、より社会に影響力を与えられるのはビジネスではないかと感じ、民間企業に就職することに決めました。

ただ、UCLAが夏季卒業なので、入社までに半年ほど時間がありました。そんなとき、友人からマザーハウスでのインターンに誘われたんです。当時のマザーハウスは創業1年くらいで、社員もわずか一人しかいませんでしたが、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という大きなビジョンを掲げ、事業を通じて本気で社会を良くしようとしていました。社長の山口絵理子さんのブログを読んで興味を惹かれ、約半年間インターンとして働きました。

その後、三菱商事に新卒入社。しかし、マザーハウスで過ごした日々が忘れられず、再び戻ることを決心しました。マザーハウス入社後は、小売に関わるほとんどのことを経験しました。営業、マーケティング、財務、経理、労務、販売と、本当になんでもやりました。特に印象的だったのは、お店づくりを自分たちの手で行なったこと。大工さんに弟子入りして学び、設計図を描いたり、木材を買って床や什器をつくったり…(笑)。合計15店舗を一から自分たちでつくりました。

毎晩遅くまでハイになりながら働き、「3年後、5年後はこういう会社になろう」と語り合う毎日はお祭りのような日々でした。それに、社会をより良くできているという手触り感もあったんです。バングラデシュ工場で働く社員たちは、「マザーハウスで働く前は過酷な労働を強いられていたけれど、今はきちんと休みがあって、給料もよくて、子どもを学校に通わせられるようにもなった」「マザーハウスに入社して人生が変わった」と言ってくれました。マザーハウスの存在が、社会を良い方向に変えていると確信していたのです。

——楽しさも、社会的意義もある。それほど熱狂できる会社を退職した理由はなんだったのでしょう?

一番大きかったのは、自分自身の「経営者としての力不足」を感じたことです。マザーハウスに在籍していた5年間のうち、後半の2年間は台湾拠点の立ち上げに、現地の代表として従事しました。2年がんばって拠点をある程度形にできましたが、ふと「まだ、途上国から世界に通用するブランドになっていない」ことに気がついたんです。

5年前、仲間たちと毎晩遅くまで語りあった「5年後の姿」には残念ながら届いていませんでした。しかし、マザーハウスがやっている事業は間違っていない。だとしたら、自分がグローバルに会社を広げる力を持っていないことが原因だと考え、そうした経験を積める場所に転職しようと考えました。

いかに「ゲームチェンジ」を起こせるか、それが経営者の役割

——その後、靴修理・合鍵作製をはじめとする総合リペアサービス「ミスターミニット」を展開するミニット・アジア・パシフィックに入社されたんですよね。

はい、友人からPEファンドを紹介され、そのファンドの投資傘下にいたミニット・アジア・パシフィックの事業立て直しのために海外担当マネージャーとして入社したんです。

入社後はすぐ、オーストラリア・ニュージーランド事業とシンガポール・マレーシア事業の立て直しを経験したのち、日本事業の立て直しを行うために帰国しました。はじめは部長として着任しましたが、部長として期待されていた現在の延長線上の改善策では到底立て直せないことがわかり、「本気で会社を変えるために、自分を社長にしてほしい」とファンドと交渉。そして、入社1年後にグループ全体のCEOに就任しました。

最初の半年間くらいは本当に大変でした。当時私はまだ29歳で、社長経験もなかったので、社内からの反発も少なからずありました。でも、少しずつ現場のリーダー陣と連携が取れるようになり、代表就任から1年で状況は改善。2年目には無事、事業売却に成功しました。

この2年の経験が、自分の経営者としての在り方を築いてくれました。当時、自分には2人のメンターがいました。1人はミニットの株主であったPEファンドのユニゾンキャピタルの代表の川﨑達生さん。もう1人は、ファーストリテイリングの元副社長の澤田貴司さんです。

彼らから学んだプロの経営者としてのあり方として今でも強烈に覚えているのが、「経営者の役割は、課題を解決して事業を改善することではなく、ゲームを変えることだ」という話です。

澤田さんは、ユニクロの柳井さんの例を出して教えてくれました。もともとユニクロは郊外で安価な服を売っている会社でした。しかし、フリースの販売を機に爆発的に売り上げを伸ばします。自社で製造小売の仕組みを構築し、少量品種を大量製造することで単価を下げ、郊外ではなく都心で一気に展開する。そのすべてが、それまでのユニクロとは違う発想ですよね。前例のない戦略を柳井さんは実行し、3年で10倍以上の規模に成長させ、グローバルでも戦っていけるポジションを確立しました。

これこそ、まさに経営者の役割だと思います。日々のオペレーション改善も大事だけれど、それでは現在の延長線上の未来しかない。何よりも現場が疲弊する。経営者がやるべきは、既存のゲームを前提とした改善ではなく、ゲーム自体を変えてしまうことです。その経営者マインドを意識したおかげで、2年でミニット・アジア・パシフィックの事業収益と成長期待を大きく改善し、売却まで実現することができました。

グローバルマーケットプレイスへの、明確な一歩を生み出す

——それからメルカリに転職した理由はなんだったのでしょう。

事業売却後も引き続き社長を務めていました。しかし、グローバルへの情熱をもっと追求したいと考えるようになりました。

そんなときに、旧知の中である進太郎さん(代表執行役CEO 山田進太郎)のことを思い出したんです。メルカリ創業前からずっとグローバルに使われるサービスを標榜し、その達成に向けて本気で突き進んでいるメルカリ。ここならグローバルな事業づくりに全力でコミットできると思い、入社を決めました。

——sakoshunさんが今取り組んでいる領域はまさに、グローバルな事業づくりだと思います。越境プロジェクトの数年後のビジョンはどう描いていますか?

越境プロジェクトを通じて、「メルカリが目に見えてグローバルマーケットプレイスに近づいた」と言える状態をつくりたいと思います。それはつまり、進太郎さんが創業当時から語っていた「ワンタップで、アフリカから日本のものを買える世界」に近づくということ。自社での進出だけではなく、海外企業との提携や買収なども含めて手段を選ばずにミッションを追求することで、日本国内で行われている「価値の循環」を世界に広げていきたいと思います。

そのためにも、私自身はVP of Cross Borderというポジションでありながらも、常に「経営者」としての役割をまっとうしていくつもりです。メルカリがこれまでの10年でやってきたグローバル展開は、US、UKなどの現地法人を立ち上げることでした。私に求められているのは、その戦略を実行したり、多少の改善を加えたりすることではないと勝手に考えています。これまでとはまったく異なる戦略をつくり、想像を遥かに超える非連続な変化を起こすことです。経営者として、どうしたら「ゲームチェンジ」できるかを、これからも常に意識し続けていきたいと考えています。

——最後に、どんな仲間とともにそれを実現したいか教えてください。

何度も言いますが、やっぱりゲームチェンジをやりたい人ですね。メルカリのバリューでいえば「Go Bold(大胆)」な人のことです。本当にメルカリのミッションを達成したいなら、これまでの10年の延長線上にいてはいけません。どこかでゲームチェンジが必要なんです。それができる人、それをしたいと思っている人と仲間になれたら嬉しいです。

番外編:私のメルカリ活用術!

趣味で家庭菜園をやっていて、いちじく、ラズベリー、ブルーベリーなどの果物を育てています。ホームセンターや園芸店では売っていないようなレアな品種をメルカリで買っています。いちじくの苗木のように、ニッチだけどコアなファンがいる商品をやりとりできるところが、メルカリの良さだと思います。現在、いちじくは25品種、ラズベリーは10品種くらい持っているのですが、今後はこれを苗として増やし、出品していく予定です!

執筆:佐藤史紹 編集・撮影:瀬尾陽(メルカン編集部)

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