「メルペイ」や「ビットコイン取引サービス」など、近年成長を続けているメルカリグループのフィンテック(以下、FT)事業。そのビジネスを法務という役割から下支えするのが、メルペイ・メルコインのLegalチームです。
今回はチームメンバーの小池綾(@ryo)、青井信(@aoi)、橋本有希(@uni)、平田樹(@ohagi)の4名と、マネージャーの藤井豪(@GO)にも集まってもらい、座談会を実施。Legalチームにジョインした経緯や、実際に働いてみて感じたこと、チームの強みなど、ざっくばらんに話してもらいました。仕事への矜持は感じさせつつ、チームの雰囲気の良さを感じさせるような和やかな取材となりました。
この記事に登場する人
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小池綾(Ryo Koike)2021年7月メルペイに入社。法律事務所で1年ほど弁護士として勤務した後に、特許庁審判部で組織内弁護士として活動。その後JCOM株式会社で事業会社の法務部としてのキャリアをスタートさせ、4年間通信・放送事業やこれらにかかわるGrowth周りなどの法務業務を担当。メルペイ入社後は、メルコインを含むフィンテック領域全般の施策、広告に関するレビューや照会対応、与信サービス(あと払い・貸金)全般の新規の取り組みやincident関係などProduct関係の照会対応などを担っている。 -
青井信(Makoto Aoi)2022年1月メルペイに入社。都内の法律事務所にて5年ほど弁護士として不動産証券化・流動化取引等のアセットファイナンスや、再生可能エネルギー投資などのプロジェクトファイナンスを中心とした案件に従事し、転職。メルペイでは決済サービスに関する業務を取り扱い、加盟店領域に関する法務全般(新規獲得時の契約交渉から加盟店管理事業に関する照会対応等)や外部パートナーとの戦略的提携に関する各種検討を行うほか、資金調達、訴訟や消費者団体との折衝といった渉外案件も担当。メルコインでは暗号資産領域のProduct施策とデジタルマーケットプレイス領域の新規事業を担当。 -
橋本有希(Yuki Hashimoto)2023年10月メルペイに入社。株式会社NTTドコモに新卒で入社し、法務部にてIoTを使った法人サービスの支援やdカードのサポートなどに3年ほど従事し、法律事務所に転職。M&Aやストラクチャードファイナンス案件の支援を3年半ほど行い、メルペイへ。現在はGrowth領域の施策・広告に関する照会対応やメルカード、メルペイのあと払い関連の相談対応、根幹にかかわる重要なLegal相談対応を担当。 -
平田樹(Miki Hirata)2021年12月メルペイに入社。派遣としてメーカーや整備、ビル管理会社などで経理や総務のアシスタント業務を担当。現在はメルペイにて、Legalレビュー後の締結業務(捺印/電子署名対応)や登記手続き全般を担当。 -
藤井豪(Go Fuji)Director of Fintech BizLegal & Governance。法律事務所勤務を経て、2019年10月にメルペイLegalに参画。2016年8月から2018年7月まで金融庁企画市場局市場課で勤務し、金融規制や暗号資産関連業務に従事。弁護士、ニューヨーク州弁護士。(駆け出し)フォトグラファー。
フィンテック領域の法務にチャレンジした、それぞれの理由
――まずはみなさんにメルペイのLegalチーム応募した理由、入社の決め手から伺いたいと思います。
@uni:私は前職が法律事務所だったのですが、新卒入社したNTTドコモでの経験も活かせる「株式会社」で今後のキャリアを積んでいきたいという思いがあったのが応募した理由の一つです。何か新しいサービスをつくっている企業のLegalには、答えが決まってないからこそ取り組める面白さがあると思っていて。ビジネスチームとLegalチームが一緒になってビジネスを考えられる職場が良いと思っていたんですよね。
メルペイのLegalチームは、面接時の雰囲気もすごく良くて、楽しそうな印象を受けました。まだまだ規模が大きくないからこそ、責任と裁量を持って働くことができそうだとも感じました。また、面接でマネージャーのGOさんから、Legalとビジネス部門の距離感が近いという話を聞いて「良いな」と思ったんですよね。選考のスピードも速くて、そういった組織の意思決定の速さも入社の決め手となりました。
橋本有希(@uni)
@ryo:自分は組織内弁護士としてのキャリアが長かったので、転職の際は事業会社を選んでいました。前職で扱っていたのが通信と放送中心だったので、金融業界での経験はなかったのですが、年齢に関係なく新しい挑戦ができる職場を重視していましたね。チャンスがあれば決済領域や金融、フィンテック領域にチャレンジしたいと思っていたところ、エージェントからたまたま紹介されたのがメルペイでした。
面接ではGOさんが社内事情をぶっちゃけてくれたのが、他社とは違って印象的でしたね(笑)。包み隠さずにフランクに話してくれたことに安心感を抱きましたし、大変だろうけど同時に楽しそうだとも感じたんです。みなさん経験豊富なメンバーだったので、業界未経験の自分でも飛び込めると思ったのも入社の決め手になりました。
――社内事情をぶっちゃけたんですね(笑)。
@GO:そうですね(笑)。やっぱり入ってから直面するギャップを少なくしたいと考えたのと、大変さとやりがいは表裏一体なので、包み隠さず伝えたうえでお互いが一緒に働きたいと思えることが重要だなと。
藤井豪(@GO)
@ohagi:私の場合は、プライベートでも頻繁に会う友人が、メルカリのCorp Legalのアシスタントとして楽しそうに働いていたことがきっかけでした。当時の私はオフィスビルの管理会社でアシスタントをしていたのですが、毎日狭い事務所に出社するのに、半日以上やることがない状況だったんです。上司は良い人で「好きなことをしていいですよ」とは言われていたのですが、私の場合は暇なことが本当に辛くて…(苦笑)。
そんなとき例の友だちから「メルペイのLegalチームでアシスタントを探している」という話を聞いて、「自分のいまの環境を変えたい」という気持ちもあり、メルペイを受けてみることにしました。これまで経験のない業界だったので業務内容がいまいちわからない部分もあったのですが「これは何かの縁だから」と入社を決めました。
@aoi:僕も環境を変えたかったという理由が大きいですね。新卒で入社した法律事務所で経験した案件も楽しかったのですが、ドキュメンテーションで完結する業務が多く、また、外部の法律事務所からでは案件への関与が断片的・局所的になりやすかったため、自分が関与した業務と事業との繋がりについて実感を持つことが難しいと感じていました。そこで、新しいサービスやプロダクトを展開している勢いのある事業会社へ転職しようと考えました。業界にこだわりはなかったので金融だけでなく、メーカー、IT系も受けました。
メルペイへの入社の決め手は、面接での雰囲気、組織の規模感など総合ポイントの高さですね。直感的に面白いことができそうだと感じたんです。また、フィンテック領域においては、資金決済法などの比較的歴史の浅い法律を取り扱う業務が多いのですが、この分野はベテランの方が少なく、また、新しい技術を背景とした法改正が頻繁に生じる分野であるため、努力次第で自らが活躍できる可能性があると感じたことも決め手の一つです。
「自由度の高さ」と「裁量の大きさ」は入社前の予想以上
――実際に入社してからのメルペイという会社の印象はどうでしたか?
@aoi:前職の法律事務所とは業態がそもそも違うので、ギャップがあることは想定しており、それ自体は問題ではありませんでした。ですが、裁量の大きさは法律事務所時代にはないものだったので、最初は戸惑いがあったことは事実です。ひとつのミスが大ごとになるので、正直しびれるような緊張感はあります。とは言え、自分で全部決めないといけないというわけでもないんです。困ったことや悩みごとは定例で共有したり、1on1で相談したりして助けてもらっています。
青井信(@aoi)
@ryo:面接でいろいろと実情を聞いていたので質的なギャップはなかったですが、上場企業であるメルカリの傘下にしては決まってない領域が多いな…とは思いました。いまでこそ慣れましたが、コミュニケーションもルールもかなりカジュアルなので、想像以上にカオスでライブ感がありましたね(笑)。実際、法務のリソースが限られているので「余計な相談をさせない」というスタンスを取る事業会社も多いと思いますが、当社では検討初期段階でもどんどん相談が舞い込みます。ただ、早めに情報をキャッチできるからこそ、Legalの立場からすると取れる選択肢が広がるので助かる部分もあります。
――早めに情報をキャッチできることによって、例えばどんな選択肢が広がるのでしょうか?
@ryo:そうですね…すでに仕様が決まった状態で相談を受けると、プロダクト上の制約などから取れる選択肢はどうしても限られていて。一歩前の上流工程からLegalが入ることで、根本からプロダクトの負荷や負担を減らすための提案ができると思います。
@uni:入社前から勢いと自由度が高いとは予想していましたが、入ってみたら個々人の裁量が大きく、ビジネスが動くスピードが本当に速い。良い意味で想像以上でしたね。前職の法律事務所が外資系だったのですが、雰囲気がどことなく似ているように感じます。自由な雰囲気のなかで、自信を持って楽しそうに仕事をしている人がメルペイには多いと思います。
もう一つ意外だったのは、リモートワーク中心の働き方でありつつも、ミーティングが多いこと。事業部の方と仲良くなるチャンスなので、マイナスのイメージではなく個人的には良い点だと思っています。
――みなさんはFT業界で働くことが初めてだったわけですが、情報のキャッチアップはどうやってしましたか?
@ryo:自分はGOさんからオンボーディングを受けてはいますが、入社して仕事をしながらインプットした部分も大いにあります。関連法令の知識は独学でカバーはできましたが、サービスの内容については他チームを含むプロダクトに関わるメンバーなど、周りの人に聞いて教えてもらいました。やはりサービスの理解が不十分だと、100%の回答をすることが難しいので。
@uni:私はNTTドコモ時代にFT事業に少し携わっていましたが、法律事務所にいた期間のブランクもあるので、正直そのときの知識や記憶がいま活きているかというとあまりなくて…。メンターのaoiさんや事業部の方にわからないところを聞いて、やりながらキャッチアップしていきました。
(見出し)フットワークが軽く、プロフェッショナルなメンバーが集うFT Legalチーム
――FT Legalチームの強みだと思うことと、課題だと思うことがあれば合わせて教えてください。
@ryo:個人の裁量が大きくて、それぞれがプロフェッショナルに業務に取り組んでいますよね。基本的には一人で仕事を進めていますが、あまり孤独を感じたことがありません。フルリモートの環境で直接メンバーと会う機会が多いわけではないですが、ミーティングなど言葉を交わすタイミングが多いので、コミュニケーションを通じて心のつながりが担保できているのだと思います。また、ミーティングをセッティングすることへの心理的な抵抗がないのも組織としての強みではないかと。
課題は情報の集積が追いついていないところでしょうか。メルペイやメルコインはスピード感のある会社のため、日々の業務でインプットされる情報も膨大で、それを整理してナレッジとして積み上げていくのが大変ですね。ただこの課題は、メンバーが増えていけば解消できるのではないかと思っています。
小池綾(@ryo)
@aoi:このチームの強みは、一人ひとりプロフェッショナルであること、そしてメルカリグループのバリューを体現していることだと思います。金融事業を営む企業の法務担当として、言うべきことを言わないといけない場面もありますが、杓子定規に硬直的なことだけ言っていたら当社の法務としてはワークしません。「Be a Pro」であることはもちろん、それに加えて、事業成長のために「All for One」に思考して行動するか、それらが高い次元で両立できていることは私たちの強みだと感じていますし、今後も心がけたいと思っています。
一方、チームとしての課題として挙げられるのは、個人の裁量が大きい分、チームのパフォーマンスが個人の能力に依存すること。これは構造的な課題ですかね。
@ohagi:やっぱりフットワークがとても軽いと思います。時にはスケジュールがタイトな依頼をされることもありますが、なんだかんだ対応できているのはフットワークの軽さによるものなのかな、と。
平田樹(@ohagi)
@GO:皆さんは、ぶっとんだリクエストに対してもフットワーク軽く、常識人的に対応してくれているので本当に助かっています…。
@uni:個人的には、メンバー全員が話しやすく、ストレスなく仕事ができているのがこのチームの良さだと感じています。また、少人数のチームなのに、数十人規模の法務部の業務に匹敵する量の業務をガンガン捌いているのも、チームとしての体力や強さがあるからだと思います。
ただ、ちょっとでも歪みが生まれたりすると、そのバランスが崩れてしまわないかという不安はありますね。なので、新しい仲間と、もっともっと強い基盤を作っていけたらと思っています。
全体最適で問題提起ができて、かつ新しいもの好きな人こそ活躍できる環境
――自分たちの仕事が事業にどのような影響を与えていると感じますか?また、FT Legalチームで働くことの醍醐味をうかがいたいです。
@uni:スピード感のあるビジネスの推進力に対して過度なブレーキとならない、それでいて不足のない、都度適切なレベルでのLegalサービスを提供できていると思います。一人ひとりの裁量の幅が広いため、自分の判断がビジネスに直結することが多く、常に緊張感を持っていますが、同時にすごく楽しいと感じる瞬間も多くあります。新たなビジネスを創出していく会社なので、毎日が新鮮でとても刺激的ですね。
@aoi:適切なリスクの分析・評価、低減策の実装により、事業推進とリスクコントロールを両立できることは、まさに醍醐味だと言えます。また、法的制約条件がプロダクトの設計や仕様、UI/UXに直接関わることが多く、事業やプロダクトとの距離が近いことは大きな魅力ではないでしょうか。
@ryo:純粋なLegalの業務範囲にとらわれず、広い観点から問題提起や解決策提示を行い、当社ビジネス全般に前向きな影響を与えることができますし、個人としても専門性を磨きながらビジネス法務人材として成長できるのは、FT Legalチームならではだとい思います。
@GO:私がこのメンバーの中では一番社歴が長いのですが、ビジネスの構想段階から関与し、先回りして課題解決に動くことで、アクセルを踏み込める環境を提供できていると感じています。
FT Legalチームが扱うのは最先端の分野が多く、それぞれのキャリアにとっても付加価値ある専門性を身につけることができると思います。また、事業単位で担当することが多いため、チームとして動きながらも独力での対応力を磨いていける環境です。
――最後に、FT Legalチームにジョインしてほしい、あるいは活躍できそうな人物像があれば教えてください。
@ryo:キャッチアップは入社後でもできる環境にあるので、やはりメルカリグループのカルチャーにフィットする方、バリューに共感できる方ですかね。私たちのチームは、ビジネスリーダー領域でもあるので、職務範囲にとらわれない、全体最適で問題提起ができる人がいいと思います。
@aoi:シンプルに新しいもの好きな人がいいと思います。FTの領域における法律への関心だけではなく、テクノロジーをはじめとしたさまざまなサービスに自然に興味を持っていたり、情報収集していたりするミーハーさがある方がフィットするような気がします。
@uni:勢いや瞬発力のある人が良い気がします。会社のカラーを生かして、ビジネスとしての価値を提供できる人が理想ですね。
マネージャーのGOさんの話が脱線すると、みんなでやんわりツッコミを入れるシーンが度々ありました(笑)
編集・撮影:瀬尾陽(メルカン編集部)