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プロジェクトからプロダクトへ。Corporate Products & IT Platform チームは、対話を重ねて“最高のEmployee Experience”を創出する

2024-5-14

プロジェクトからプロダクトへ。Corporate Products & IT Platform チームは、対話を重ねて“最高のEmployee Experience”を創出する

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メルカリの長期的な成長を支えるために必要なことはなにか?

いくつも不可欠なピースがありますが、間違いなく重要なのはITサービス基盤と運用の高度化です。グローバルプレイヤーを目指すテック企業として、新しいエンタープライズアーキテクチャへのシフトが不可欠です。そうした背景について、少し前にメルカンでは、CIOの進谷浩明とCISOの市原尚久の対談を掲載しました。

そこで語られたのは、Corporate Engineering チームのミッションと今後3年間のロードマップです。Corporate Engineering チームの新たなミッション「技術力と実現力でメルカリの可能性を広げる」のもと、「ITサービス基盤と運用」「アプリケーション基盤とコーポレートシステム」「組織と組織運営」の3つの領域で高度化を推進していきます。

Digital Center of Excellence チームのマネジャー田中博之へのインタビューに続き、Corporate Products & IT Platform チームを率いる小泉剛(@ISSA)に「高度化の推進」をいかに進めていくのか、コーポレート領域におけるAI/LLMの活用をはじめ、目下の取り組みと今後のビジョンを聞きました。

この記事に登場する人


    • 小泉剛(Tsuyoshi Koizumi)
      Corporate Engineering Team Director。株式会社リンコムにて、プログラマーとしてWebグループウェアの開発に従事、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントにてIT企画・事業企画を担当。その後、エムスリーデジタルコミュニケーションズ、チームスピリットを経て、2020年9月にメルカリのAccounting Products Teamにプロダクトマネージャーとして入社。Corporate Engineering Team のいくつかのManagerを経て、2024年3月より現職。


ボトムアップカルチャーから、プロフェッショナルカルチャーへの変遷

――2023年10月に新CIOを迎えてから約半年が経ち、Corporate Engineering チーム(以下、CET)の現状をどのように捉えていますか?

メルカリのCETは、もともとボトムアップカルチャーが成熟しており、プロフェッショナルたちが臨機応変に各事業の業務システムを構築してきました。

これまでは属人性の高い個人技に頼ってきたのですが、今後メルカリグループが5千人、1万人と組織拡大していく可能性を考えると、チームメンバーの考え方を揃えなくてはなりません。そのため、ここ2年くらいで意識的に「プロフェッショナルカルチャー」を浸透させてきました。情報システムを扱う者として、安定した業務基盤を提供できるように、理想の姿を定めて、チームで共有して、正しいやり方でものごとを進めていくこと、そして、それが組織の根本的な働き方としてインストールされている必要があります。

そのために、チームメンバーへの教育方針や方向性の共有方法などを見直しました。かつてのCETは、全員がフリーランスのような働き方をしていたのですが、現在はチームを重視した働き方になり、以前に比べると大きく変化したと感じています。

情報を集約して一元化し、メルカリの事業へ直接的に貢献する

――CETのロードマップは、「高度化の推進」をキーワードに据え、「ITサービス基盤と運用」「アプリケーション基盤とコーポレートシステム」「組織と組織運営」の3つの領域を推進していく方針です。具体的には、今後どのような取り組みを考えられていますか?

来期、情報システムに関わるアカウントを一元的に管理するSSoT(Single Source Of Truth)を提供したいと考えています。信頼できる情報源である、SSoTを基盤として各種システムとのインテグレーションを進めていきます。これによって、様々な社内システム上の問題解決を大きく前進させられると考えています。

例えば、入社・退社時のシステムアカウントの発行・停止、組織変更・異動時のロールの付与・剥奪の自動化などです。情報を集約し一元化し、それらを基盤として活用することで、社内システム・業務をより滑らかにしていきます。

この基盤は現在の課題を解決するだけではなく、今後システムを導入するには様々なインテグレーションが必要になってきます。そのためのハブ・アンド・スポークモデルのハブのような存在となり、CETの重要な資産、良い意味でのレガシー(遺産)としたいと考えています。

小泉剛(@ISSA)

――では、 Corporate Products & IT Platform チームは、どのようなミッションを持って活動しているのでしょうか。

大きなものは、「事業に貢献する基盤づくり」でしょうか。

メルカリグループは、事業会社としてのスピード感があるので、通常ではなかなか経験できないようなことを、短期間に何度も経験することができます。メルカリグループでは、ここ数年で『メルカリ Shops』『メルロジ』『メルコイン』『メルカリ ハロ』が誕生してきたように、毎年のように新しい事業の立ち上げの機会があります。その観点で考えると、「ITサービスを運用する」だけでなく、サービスや事業を成立させるために直接的に「提供して構築する」ことも私たちがリードすべき役割です。

Corporate Products & IT Platform チームは、Accounting Products チーム、IT Platform チーム、People Products チームという3つのチームで構成され、それぞれが「事業に貢献する基盤づくり」を目指して活動しています。

Accounting Products チームでは、新しいサービス、例えば、『メルカリ ハロ』『エコメルカリ便』『ビットコイン決済』など、メルカリ内で会計処理の必要な場所、つまりほぼ全ての新しいサービスが生まれるたびに、仕組みづくりに関わっています。

IT Platform チームでは、Customer Service向けのセキュリティ性の高いVDI(仮想デスクトップ)環境や、メルカードの誕生に伴うPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)環境を構築したりと、新しい事業やサービスが立ち上がる度に必要な環境をつくってきました。そこはこれからも最優先でやっていきますし、私たちがメルカリの事業に対して貢献していると強く自負しているポイントです。

また、People Products チームでは、OKR・評価管理システム、Teams(メルカリの組織と、そこで働く人々をより深く知ることを目的に作られたプロダクト)、merportal(社内ポータルサイト)、AI 社員HISASHIなど、社内の情報系システムの開発・運用を担当しています。

特にOKR・評価管理システムは、メルカリメンバーのポテンシャルを引き出すための重要な仕組みとなっています。

――新たな取り組みとして、AI/LLMの活用にも係っているそうですが、おもにどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

2023年後半から、プロダクトだけでなくグループ全体でも大きな取り組みになっていることをうけ、おもにCorporate Engineeringを中心として、今年の1月から本格的にAI/LLMテクノロジーを社内の業務改善およびシステムへの組み込みを始めました。

現在は、経理や人事労務チームへの「ふわっとした質問」に対して、回答をAI/LLMを用いて自然言語で自動返信する作業に取り組んでいます。ユーザーの文章から必要な要素を汲み取り、merportalやSlack上での過去の質問と回答の自動収集を行い、メルポータルに記載した内容に沿って自然言語のアドバイスを提供することで、根本的に社内業務を変えることを目指しています。

さらに、AI/LLMの適用分野を広げるために人事部門と協力してハッカソンを開催しました。このイベントで得たアイデアをもとにさらに活用を加速させています。

業務プロセスを考える際に、今ではITの活用は当然のこととされています。メルカリではもう一段上の、ITとAIの両方の活用を当然の状態にしていきたいですし、ゆくゆくは一般的な業務アプリケーション、例えば、SpreadSheetsやDocsを扱うようにAIを使ってほしいと思っています。

プロジェクトからプロダクトへ。対話を重ねて「最高のEmployee Experience」を創出する

――CETのミッション「技術力と実現力でメルカリの可能性を広げる」を、今後どのように体現していきたいと考えていますか?

私は「プロジェクトからプロダクトへ」という野望を掲げています。例えば、いわゆる情報システム部門で社内システムを構築したとき、「減価償却期間は○年間だから、○年後に変更します」というような、業務部門や業務に対して要件定義をして、しっかりその通りにつくる。そして、「できて終わり」という考え方ではなく、業務部門と一緒に業務や会社を変える専門家として取り組んでいきたいと考えています。

会計や人事に関する知識を持って並走するだけではなく、技術力も持つ専門家として新しい提案ができると思っているからです。これはチームが持つべき実現力だと言えます。

また、メルカリでは「業務部門の言う通り」ではなく、自分たちが納得するシステムをつくれる環境が整っていると感じます。給与水準も高く、売上のある会社だからこそ、社内システムに対する投資も積極的です。「予算がないから我慢してください」という世界ではなく、メルカリのメンバーに「最高のEmployee Experience」の提供を目指すことができます。

そして、「最高のEmployee Experience」の提供にとって非常に重要な、「話せば分かってくれる」メンバーが集まっているのも面白いところですね。最初に「こんなシステム使えない」とか「新しいシステムは面倒だ」という後ろ向きな意見があったとしても、対話を重ねることでほとんどの場合において解決できます。自分たちの想いがしっかりと伝わるメンバーと働けるからこそ、今後の取り組みもより良い形になると感じています。

執筆:石川優太 編集・撮影:瀬尾陽(メルカン編集部)

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