メルカリで働くソフトウェアエンジニアにちょこっとお話を聞いていくインタビューシリーズ「エンジニアと立ち話」。第20回目の今回は、メルペイSite Reliability Engineering(以下、SRE)のエンジニアリングマネージャー(以下、EM)を務める高木潤一郎さん(@tjun)に話を聞きました。聞き手はメルペイのVP of Engineeringである木村秀夫(@hidek)です。
メーカー勤務を経てメルペイに入社したという@tjunさん。SREを希望した背景、そしてEMとして感じる役割とは?
事業ドメインと技術スタックがドンピシャだったメルペイ
@hidek:@tjunさーん! ちょっとお話、いいですか?
@tjun:あ、メルカンのインタビュー企画「エンジニアと立ち話」ですね? はい、どうぞ。
@hidek:(お、今回はすんなり話に入れそうだ……)さっそく、入社日と職種、これまでの経歴などを簡単に教えてください。
@tjun:2018年4月にメルペイへジョインしました。前職のソニーではnasneなどに使われていたネットワークライブラリ開発に携わったあと、Sony CSL(ソニーコンピュータサイエンス研究所)に異動し、複数の新規事業立ち上げを行いました。
@hidek:新規事業とは、具体的にどんなことを?
@tjun:教育系サービスやドローン開発ですね。職種はソフトウェアエンジニアだったのですが、ときにはプロダクトマネージャー(以下、PM)っぽいこともやらせてもらっていました。
@hidek:メルカリグループはIT系企業の出身者が多い印象ですが、@tjunさんはメーカー出身なんですね。しかも関わってきたサービス・プロダクトもさまざま。そんな@tjunさんは、どうしてメルペイに?
@tjun:昨年冬、ちょうど転職も視野に入れてキャリアを考えていました。そんなときにメルペイの設立が発表され、すぐに応募。CTOの@sowawaや、立ち上げメンバーでPMの@hisatomo、メルペイのArchitectをリードしている@kazegusuriと話してみて、メンバーも事業ドメインも一番面白そうだなと感じました。そして今のSRE(Site Reliability Engineering)チームに入ったんです。
@hidek:なるほど! そんな背景があったとは。
@tjun:メルカリは、SREという職種では国内で圧倒的なプレゼンスがあります。そんな環境で新規事業に関われるということも、動機として大きかったですね。当時はまだ走りはじめたばかりでしたが、マイクロサービス化の推進とGCP+Golang+Kubernetesの技術スタックも自分のやりたいことにピッタリとはまっていました。
グループ全社で一緒にプロダクトを生み出していく
@hidek:4月の入社タイミングだと、メルペイで「何を生み出すか」は決まっているものの、「どう生み出すか」を一番模索していたのかなと思います。
@tjun:そうですね。SREとしてメルペイに入社するのは1人目だったので、まずはメルカリのSRE/Microservices Platform チームメンバーとコミュニケーションを細かくとっていました。メルペイは金融事業を推進していきますが、土台となるのはフリマアプリ「メルカリ」。その点では、先にメルカリSREの思想や構想、体制を理解できたことは、今のメルペイSREにも活かせているのかなと思いますね。
@hidek:SREに限らないところですが、メルペイとメルカリはプロダクト面で密な連携が本当に必要ですよね。そのあたりのやりとりはどうでしたか?
@tjun:メルペイにはメルカリのサービス開発経験があるメンバーも多いですし、関係構築をサポートしてもらえたのはありがたかったですね。入社時のオリエンテーションやオンボーディングプログラムもメルペイに限らず、「メルカリのメンバーとして」インプットできる機会があったのも意外でした。
@hidek:「意外」とは?
@tjun:あまり期待してなかったというか。会社としてもできたばかりだから、いろいろ雑でカオスなんだろうなと思ったら、しっかりしていたんですよ。そういう意味で意外でしたね(笑)。
@hidek:なるほど(笑)。オンボーディングの部分は常に改善し続けているし、組織としても新メンバーが活躍する土壌を整えることに注力しているのもメルカリやメルペイのいいところですよね。
EMの悩みは「面白い仕事を誰に渡すか」
@hidek:今はプロダクトリリース前ですが、SREとして注力していることはありますか?
@tjun:今後、メルペイではマイクロサービス化ベースにプロダクトを開発し、運用していきます。つまり、マイクロサービスごとにオーナーシップを持たせて運用していく前提があるんです。とはいえ、サービス全体のセキュリティや品質面での信頼性を高めていく部分は、SREとして責任を持ってやりたいですね。
@hidek:ボーダーラインを適切に上げつつ、コンセンサスを取っていく感じですね。SLO(サービスのレベル目標)をどう定義して、担保していくか。あとは障害時のエスカレーションなどのルールづくりもですよね。
@tjun:まさに、そうですね。リーズナブルな基準をつくったりコントロールを効かせる部分をつくるのは、金融事業をやるうえでも必須ですから。もちろん技術的なチャレンジは続けていきたいですが、ソフトウェアエンジニアに限らず、PMやオペレーションズ、リーガルメンバーと話しながらお客さまに安心安全に使い続けていただけるプロダクトを生み出したいなと。
@hidek:@tjunさんには10月からEMの役割も担ってもらうようになったわけですが、動き方などは変わってきましたか?
@tjun:面白い仕事を自分が取るのか、チームメンバーに渡すか。そのあたりでちょっとした悩みが出たりしますね(笑)。
@hidek:わかります。とくに初めてマネージャーになると、余計に(笑)。EMの理想像って、組織やフェーズにもよると思うのですが、やっぱり「なにかあったらいつでも手を動かせる」は大事にしたいところです。説明責任を果たしたり説得力を持ったりすることは、チームを牽引することにも直結するし。
@tjun:私自身もそう思っています。人がまだまだ少ないことの裏返しでもあるんですが、プレイングマネージャーとして動けるのは、ソフトウェアエンジニアとしても魅力的だなと思います。
@hidek:メルカリグループでは、マネージャーは「役職(職位)」じゃなくて「役割」。だから、最前線の現場に戻るという選択肢もありますしね。
@tjun:「マネージャーのやらされ感」がないのは、とても安心できます。
メルペイらしいSREの姿を目指して
@hidek:あっという間に、もう終わりのお時間です。最後に、@tjunの考える、SREチームの展望について聞かせてください。
@tjun:今のSREチームはバランスのよいメンバーが集まってるので、きちんと土台をつくることがまず一つですね。その次は、技術的な「尖り」を持ったメンバーが増えてくれば、チームに「強さ」も生まれるのかなと。
@hidek:それをイメージできるキーワードはありますか?
@tjun:Kubernetesなどのコンテナ技術やDB、セキュリティ、DR、インフラ、マルチクラウドなどなど、キーワードを出せば切りがありません。
@hidek:尖ってますね(笑)。@tjunさん含め、SREメンバーをみていると、メルペイらしいSREを体現しているなといつも思います。これからもよろしくお願いします。
@tjun:はい。こちらこそ。