メルカリらしいアイデアやコンセプトを形にし、メルカリのブランド価値を高めるためのプロジェクトを社内の各部署と連携しながら、ブランディング、広告、映像、Web、ノベルティーなど、さまざまなお客さまとのタッチポイントのクリエティブ全般を担っているチームがあります。それが、クリエティブディレクター、デザイナー、ビデオディレクター、Webディレクター、ライターなどで構成されるCreative チームです。
では、Creative チームはメルカリグループにおいてどのような役割を担い、どのような醍醐味を感じてメルカリで働いているのでしょうか?
今回はCreative チームのクリエイティブディレクター古川万里(@banri)とアートディレクターの太田美帆(@ota-mi)、ビデオディレクターの黒沢恵(@gu-megu)の3名にメルカリにジョインした経緯から、入社してみて感じたブランドの価値、そして「メルカリらしさ」を形づくることのおもしろさなどを聞いてみました。
この記事に登場する人
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古川万里(Banri Furukawa)株式会社メルカリCreative Team / CreativeDirector。武蔵野美術大学を卒業後、スタートアップにてデザイン・ディレクション業務に携わる。その後レシピアプリサービスでコンテンツ企画・広告商品開発に従事。2022年メルカリグループの株式会社ソウゾウに入社。現在はメルカリのプロモーション企画、クリエイティブ管理を担当。 -
太田美帆(Miho Ota)武蔵野美術大学卒業後、広告制作会社で百貨店などの広告デザインや撮影ディレクションを行う。2019年にメルカリCreativeチームへ入社し、プロモーションをメインに、オフラインからオンラインまで幅広い事業のデザインディレクションを担当している。 -
黒沢恵(Megumi Kurosawa)東北芸術工科大学デザイン工学部映像学科卒業後、スタートアップの広告制作会社で動画クリエイター/プロデューサー業務に携わる。その後IT教育サービスのインハウスクリエイターを経験したのち、2022年4月メルカリに入社。ビデオディレクター/モーションデザイナーを務めている。
プロジェクトの根幹から携わり、長期にわたってブランドをつくっていける
――まずはみなさんのメルカリ入社経緯や、現在の役割について教えてください。
@banri:私は2022年にメルカリグループに入社し、クリエイティブディレクターとして働いています。最初はソウゾウの新規事業として立ち上がった『メルカリShops』のマーケティング領域を担当していました。その後メルカリに異動して、いまはマーケティングチームと一緒にキャンペーンやプロモーションをメインに、ブランドコアを各方面に浸透させるためのガイドラインの作成などもしています。
僕はそもそも入社前から、ユーザーとしてメルカリのグラフィックやデザインには注目していました。前職ではデザインの仕事からいったん離れて、マーケティングの部署でコンテンツディレクターとして働いていたのですが、当時メルカリで募集していた職種はプロダクトデザイナーだけだったため、自分の経験が活かせるポジションはないと思い転職先として検討していませんでした。
ですが、コロナ禍でリアルのショッピングが難しい時期でもあり、個人商店がECショップを立ち上げるという事業に可能性を感じていたので、当時新規事業として立ち上がった『メルカリShops』にはすごく興味があったんです。そこで、前のめりにカジュアル面談を申し込んでみたところ「実はやれる仕事はいろいろある」と言われたので、応募することにしました。
実際に入社したら、やるべきクリエイティブの仕事は想像以上にたくさんあって(笑)。ソウゾウのマーケティングやPRのメンバーと一緒に『メルカリShops』のサービスをつくりながら、グループの一員として周囲との信頼関係を構築していきました。
古川万里(@banri)
@ota-mi:私は2019年入社で、事業が拡大期へ差しかかるタイミングにジョインし、これまで多様なプロジェクトに携わりました。アートディレクションもするし、デザイナーとして手を動かしてプロモーションツールも制作しています。
前職がクライアントワークの広告制作会社だったので、「もっとプロジェクトに深く入り込んで、長期的なクリエイティブをつくりたい」という思いがありました。転職を考えたのがちょうどメルカリのCMが頻繁に流れ出した時期で「勢いがあるなあ」と感じていました。そういう意味では、良いタイミングに入社することができたと思います。
入社して驚いたのは事業スピードの速さと量ですね。また、幅広い職種のメンバーがいるので、なぜこのクリエイティブが良いのか工夫して意図を伝える癖が身につきました。
メルカリグループとしては、サービスの信頼につながる「あんしん・あんぜん」のブランディングも進み、一緒に成長している実感があります。わりと長くメルカリにいますが、チームメンバーはみんな個性的で、かつフットワーク軽いので常に新鮮で面白いですね。
@gu-megu:私は2022年に、ビデオディレクターとしてメルカリに入社しました。入社してしばらくはデジタル配信される動画広告をメインに、自分自身で企画から制作まで担当したり、外部のパートナーの制作するクリエイティブをディレクションしたりしていました。現在は、フリマアプリ以外にもメルカードやメルコイン、また最近リリースされたスポットワークサービスの『メルカリ ハロ』の紹介動画など、動画を通じてお客さまへワクワクを届ける仕事をしています。
私は新卒からデジタルマーケティングに強い広告制作会社で働いていたので、どうしても目の前の仕事に追われることが多くて、短期的な目標に対して強くコミットすることはできていたものの、長期にわたってブランドやサービスを伝える仕事には携わることができていませんでした。もう少しプロジェクトの根幹や前提をしっかり自分で考えて噛み砕いた上で、クリエイティブをつくって発信できる仕事がしたいと考えるようになりました。それができる事業会社を探していて、出会ったのがメルカリだったんです。
メルカリは新しい会社ではあるものの、「ブランドとはどういうものなのか」をしっかり外部に発信している点が素晴らしいと感じました。インハウスのクリエイティブ職は広告代理店や制作会社に比べると採用の枠も少ないですが、メルカリは直感的に「いいな」と思う部分が多かったので、迷うことなく応募しました。
黒沢恵(@gu-megu)
▼gu-meguが担当した制作実績の一例
――ご自身のキャリアやスキルは、メルカリでどのように生きていますか?また、一方で難しいと感じた部分はありますか?
@gu-megu:私は前職でも自分自身でクリエイティブをつくっていたし、自社のマーケティングの担当者ともやりとりしてデジタルマーケの知識を学んできた経験が、メルカリでも生かせていると実感しています。
@ota-mi:メルカリは施策の数が多くて、事業スピードが速いがゆえに突発的に新しい依頼がくることもあります。そういうときにきちんと情報を整理したり、お客さま視点を持って取り組めているのは、制作会社での経験があったからだと感じています。一方、会社の変化に合わせて常に新しいプロジェクトが動いでいるので、毎回違う問題に直面するという難しさはあります(笑)。そこが面白さでもあるんですけどね。
@banri:僕は前職でデザインの仕事からいったん離れた時期に、マーケティングの仕事を通じていろいろな商品を扱い、お客さまにどう伝えるかを考え抜いた経験がいまに生きていると感じます。ただ難しさを感じるのは、広告をつくることに加えて、メルカリというサービスの体験自体を同時に向上させる取り組みです。たとえ広告単体が良かったとしても、お客さまが取引で嫌な思いをしたらブランドの価値は崩れてしまう。そのため、プロダクト内の体験も同時進行で一貫したものにする必要があると考えています。いまはちょうどプロダクトチームをはじめ、さまざまなチームと一緒になって、メルカリ全体の体験向上に努めているところです。
――みなさんは仕事をする上で、どのようなステークホルダーとコミュニケーションをとっているんですか?
@ota-mi:マーケや、プロダクト側だとPM・デザイナー、事業の守り観点でリーガル・CSだったり、それこそ場合によってはVPなど本当にさまざまですね。
@gu-megu:でも、どこのチームともフランクなコミュニケーションが取れて、議論ができる「場」があるのが良いところだと思います。めちゃくちゃ働きやすいです!
@banri:「クリエイティブのことなら、まずはCreative チームに相談」というプロップスが得られてきているので、いろいろなチームやプロジェクトからラフに相談が来ていますよね。
メルカリらしいクリエイティブは、日々の小さな積み重ねから生まれる
――入口となるマーケ的な訴求からプロダクト内まで、一貫した体験の向上を目指すとなるとグループ全体を横断的に見ないといけないですよね?そうしたときに、皆さんは「メルカリらしさ」をどう捉えて実践してますか?
@gu-megu:「ワクワク」というイメージが強いかな。『メルカリ』の中でいろいろなことができるというワクワク感はもちろんあるんですけど、私としては未来に向けてのワクワク感も意識したい。動的な表現で既にあるものにプラスαの演出をしていきたいと思ってます。
@ota-mi:gu-meguさんと近いんですけど、メルカリは多くの人の生活に寄り添っていて、フレンドリーでワクワクするような存在ですよね。Creative チームは、新規サービスのブランディングにも関わっていますが、日々の作業はけっこう地道です。配色やフォント選び、イラストの使い方など小さい選択を積み重ねて最終的に第一印象になっている。だから「メルカリらしさ」は「積み重ね」だと思っています。
太田美帆(@ota-mi)
ota-miが制作した各種キャンペーンのクリエティブ
@banri:「メルカリらしさ」はそれぞれのお客さまの中にあって、どこを切り取るかでも変わってくると思います。先ほども言ったようにクリエティブだけ良くしてもダメだし、お客さまが取引上で嫌なことがあったら信頼はあっという間に途切れてしまう。広告から入ってきて、『メルカリ』で取引をして、商品が届いて、評価が完了するまでの体験に一貫性があって、かつ「あんしん・あんぜん」でワクワク感があることを目指しています。あと、Creativeチームの「らしさ」という観点でいうと、「ちょっと奇妙」なところにあるような気がします。どこかいつも変わっているけど、親しみがあって信頼できるというのが「メルカリらしさ」ですかね。
@gu-megu:過去につくったクリエイティブを少しだけ変えて使うこともできるのに、そうならない、そうしないところがメルカリのCreativeチームの「らしさ」ですよね。いろいろと新しいことをやりたくなってしまう人が集まっていると思います。
――ちなみに、現在のCreative チームの人たちはどういうタイプの人がいるんですか?
@ota-mi:なんだろう……話しかけやすい人が多いかもしれませんね。だけど、同じようなスキルを持ってる人がいなくて、得意領域も違うから、異なる視点がいくつもあるのがチームの強みじゃないかな。たとえばgu-meguさんは、モーションを演出する技術も素晴らしいし、クオリティが高くて、手を動かすのも速い。それでいて振り幅の広さもすごいですよね。
@banri:ムービーのディレクションだけじゃなくて、ビジョンを見据えて施策をまとめる力がすごいですよね!
@gu-megu:ミーティングで話がまとまらずに、フワッとしたままで終わるのって時間がもったいないじゃないですか!だから「次はこれをやりましょう!」と、まとめにかかっちゃいます(笑)。私から見てota-miさんは、理解力もコミュニケーション力も高く、全部を叶えてくれる女神様です!
@banri:一番メルカリらしいというか、「信頼」とか「あんしん」をデザインや言葉のトーンで表現することがとても上手い!
@gu-megu:banriさんは臨機応変に、ギリギリでも何とかしてくれるイメージです(笑)。
@ota-mi:課題や論点をまとめたり、必要なメンバーを集めて進行するリーダーシップは、まさに「ディレクター」という感じですよね!
@banri:ota-miさんたちが本当に素晴らしいデザインをつくってくれるので、ディレクション的な役割に今は集中できています。
Creativeチームのオフサイトでのワンシーン
――お互いの強みがすぐに出てくるのがさすがというか、Creative チームの雰囲気の良さや信頼関係を感じさせますね!では、他の部署のメンバーたちと一緒にクリエイティブをつくっていくときに、何か意識していることなどはありますか?
@banri:とにかく「ミーティングには呼んでください!」と言ってきました。自分たちがそこで良い仕事をして、それを名刺代わりにして各所との信頼を築いていった部分があります。以前はプロジェクトの最初期に呼んでもらえず、要件が既に決まった状態からつくることもありましたが、いまは信頼関係を積み重ねてきたことで最初からミーティングに呼んでもらえるようになりました。マーケティングのメンバーもクリエイティブに理解があるし、もちろんマーケターの立場として率直な意見を言ってくれているし、お互いの大事なポイントもわかっているから、より良い仕事ができています。
@gu-megu:この一年ぐらいで、プロダクト開発側との距離が近くなったと個人的には思っています。私はこれまでマーケティング寄りの人間だったから、出面の演出を考えることは得意だったんですけど、アプリ内にアニメーションを入れたいという依頼が増えてきて、「メルカリのアプリ内にアニメーションをつくってください」と言われても何から手をつけるべきか、どういうフローとタイムラインで進めるべきか、最初はわかりませんでした。ですが、エンジニアやPMと会話したり、議論を重ねていくなかでお互いのことを知るようになって、以前よりもコミュニケーションの質が上がったことで、表現としていままでできなかったことができるようになってきた感覚があります。入社して2年経ちますが、常に新しいことに挑戦できている感覚にワクワクしています!
@ota-mi:おふたりが言うように、他のチームと並走してアウトプットできるようになりましたね。提案をそのまま形にするのではなく、何度も壁打ちして、より良いビジュアルを模索しながらチーム横断で作り込んでいくことで、結果的に効率良く回せるようになりました。
@banri:いろいろなところに入り込んでいったおかげで、情報が集まりやすくなってきましたよね。そうすると、俯瞰して見られるようになるから一貫性のある体験づくりを目指せるようになります。バラバラに動いているとそうはならないので。
メルカリ全体の体験向上に寄与していきたい
――最後に、チームもしくは個人として、メルカリでもっとやっていきたいことがあれば教えてください。
@banri:クリエイティブチームは、マーケットプレイスをメインで制作しているチームではあるので、どうしてもグループ横断の施策や、新規事業と完璧な連携はできていないと感じています。チームの仲間や横の連携をもっと増やして、グループ全体として一貫したシームレスな体験を提供していきたいです。
@gu-megu:現状、局所的に注力するような単発の依頼が多いので、メルカリ全体の体験に関わるような場面でアニメーションがまだ使われていません。お客さまの体験をよりスムーズにするために、アニメーションの使いどころやインタラクションの見せ方をしっかり定義して、クリエイティブをつくっていきたいと思っています。この1年でプロジェクト数が多くなってきて、毎回の振り返りレビューで「次はこうしていこうね」と話しても、それをなかなか仕組み化できていないので、根本的な課題から解決したいですね。
@ota-mi:いままでは個々人のスキルやチームの力でなんとかしてきたけど、会社としてもまた大きく変わる時期に来ているのかなと思うので、それに対応できるようにチームとして柔軟に変化していきたいですね。そのために自分の間口を広く持っていたいと思います!
それぞれにメルカリの「m」やロゴをハンドサインで表現してもらいました(笑)。
執筆:中森りほ 編集・撮影:瀬尾陽(メルカン編集部)