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個人と組織の可能性を引き出す ──  変革への旅路を歩む、メルカリHRBPの挑戦

2024-8-2

個人と組織の可能性を引き出す ── 変革への旅路を歩む、メルカリHRBPの挑戦

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日本ではまだまだ馴染みの薄い「HRBP(Human Resorce Bussiness Partner)」というポジション。組織の成長を人事の側面から支え、事業部のビジネスパートナーとして課題解決に取り組む役割として位置づけられています。メルカリでは、事業の成長と人材開発を高いレベルで両立させるために、このHRBPの存在が欠かせません。

メルカリでHRBPを務める卜部幸恵(@sacci)は、CPO Marketplaceとして、PdM組織をリードする篠原孝明(@unryu-in)と二人三脚で、メルカリの組織と個人がより高みを目指すための取り組みを続けています。入社以降、PdMメンバーのさまざまな場面に関わりながら、各事業のロードマップ実現のための戦略立案を行うことで、ビジネス・組織・HR、それぞれの知見を掛け合わせ、個人と組織の可能性を引き出すことに挑戦しています。

メルカリは、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というミッション実現のために、ダイバーシティに富んだ組織を築いてきました。同時に、メンバー一人ひとりのウェルビーイング実現とともにビジネスゴールを達成するために、HRの在り方も常に進化を遂げてきたのです。

会社の制度や文化をアップデートしながらも、「個人」と「組織」が共に成長できる環境を作ること。そして、社員にとって「人生の原体験」となるような経験を提供すること。メルカリのHRが目指すのは、そんな理想の組織なのかもしれません。

ビジネスと人事の垣根を越えて、新しい組織のカタチを模索する卜部・篠原の言葉から、組織と個人の可能性を信じ、共に理想の未来を目指す、メルカリHRBPの姿勢を知っていただけたらと思います。

この記事に登場する人


  • 卜部幸恵 (Sachie Urabe)

    新卒で大手メーカーに就職後、結婚を機に退社。念願だったカナダ移住を果たし、20代後半を海外で過ごす。30歳で日本へ帰国後、キャリアブランク6年、0歳児を背負ってゼロから出直すことに。派遣社員からキャリア復帰、その後、コンサルティングファームで人事コンサルティング事業の立ち上げを経て、2022年1月HRBPとしてメルカリにジョイン。世界中から多様な人材が集うプロダクト部門にて、CPOの人事パートナーとして強い組織づくりに励む。


  • 篠原孝明(Takaaki Shinohara)

    フリーランスのWebディレクターを経て、2012年にグリー株式会社入社。2014年に株式会社ビズリーチへ入社し、転職メディアを立ち上げる。2017年9月に株式会社メルカリ入社。Director/Head of CREを務め2020年4月より株式会社メルペイへ異動。アライアンスプロジェクト責任者を経て2021年1月に株式会社ソウゾウを設立し、Head of Product就任。2022年7月、執行役員不正対策日本統括就任。現在は執行役員 CPOとしてマーケットプレイスの成長を牽引。


メルカリにおけるHRBPの役割と位置付け

── まずは、メルカリにおけるHRBP / HRPPのミッションについて教えていただけますでしょうか。

@sacci:HRBPは、人と組織というところにしっかりディープダイブし、各事業のロードマップの実現やビジネスゴールの達成に向けて、組織面からあらゆるHR戦略を立案して実行していく役割だと捉えています。現在では、各HRBPが伴走するリーダーはおもにVPで、各VPとしっかりタッグを組みながらビジネスゴールの達成に向けて人や組織の強化、最適化を進めています。

ひと言で「人事」といっても、いろいろな分野がありますが、HRBPの守備範囲はかなり広いです。メンバーの入社から退社まで、あらゆるタッチポイントがあり、そのすべてを網羅していくという意味では「人事の総合格闘家」だと思っています。そういう意味ではPdMとHRBPは似ているところがあるかもしれません。

現在、メルカリではHRの機能の多角化や進化が必要なフェーズです。個々の機能にフォーカスしていくために、HRの役割を分割することになりました。前述の通り、HRBPは組織に対して、HRPPは「Human Resorce People Partner」という名称が指すようにメンバー個人により対応する、と役割を分け、HRBPとHRPPがタッグを組みながら取り組んでいく体制にシフトしています。

卜部幸恵 (Sachie Urabe)

具体的には、HRBPではマネジメント支援、タレントマネジメント、組織開発、ワークフォースプランニングなど、個人よりも組織のイシューへの対応が増えてきています。一方で過重労働やキャリア・ライフに関連するメンタルケアなど、メンバー一人ひとりの事情も多様化し、メンバーの声との向き合い方により個別化された深いアプローチが必要になっている。そういう意味で、事業HRがカバーすべきイシューの面積が広くなっているのが現状です。

また、HRPPは新しいポジションで、今年の3月頃から役割を分け、HRBPだった数名がHRPPに移っているという状況です。また、HRBP / HRPPは今後はそれぞれに分けた形で採用していきたいと思っています。HRPPのミッションとしては、メルカリメンバーがフルスイングでGo Boldな挑戦ができるような、過去に体感したことのない圧倒的なEmployee Experienceの実現を目指すこと。

PRやOps領域におけるCoE(センターオブエクセレンス:プロジェクト推進のための人材やノウハウを集約する組織)との接続を強化し、現場における日常のEmployee Experienceを最上位に引き上げていくことがゴールです。現状、HRBPとHRPPを行き来するメンバーもいる状態で、それぞれが広い範囲でカバーしながらやっているというのが実情ですね。

HRBPとビジネスリーダーの協働が生み出す化学反応

── PdM組織側との取り組みについて、現在のPdM組織の課題感をお聞かせください。

@unryu-in:まず、少しだけ前提のお話をしようと思うんですけれども、HRBPは、事業・組織のミッションやビジョンを実現する上で、課題となっている事象に対策をするという流れで動いています。世の中にインパクトを与えるために、プロダクト開発で課題解決するのがPdMで、人と組織の観点から課題解決をしていくのがHRBP。こう考えると、アプローチが違うだけで本質的にやるべきことの源流は全部一緒なんです。

組織として、やるべきことが定義されたとしても、推進体制が構築できなければ、世の中に価値を提供することができません。CPOがプロダクトが進むべき方向性を提示し、HRBPがその推進体制を構築していく。お互いに組織の向かうべき先をインプットしあい、HRBPから「こういうタレントがいる」「この人がいたら、こうしたアプローチも取れるんじゃないか」といった対話をすることもよくあります。基本的にはお客さまのための企画開発をしていますが、とり得る選択肢を決める上で、今の組織の状況やタレントを見ながら戦略を練っていくんです。

篠原孝明(Takaaki Shinohara)

その中で一番難しいのは、推進体制を構築するところ。人的なリソースの上限があるなかで、どのチームに人をアサインしていくのか、各チームのリソース要求とすり合わせたうえで、全体最適化していく必要があります。僕とsacciさんは、メンバー一人ひとりのキャラクターや特性を認識しながら、どこに・どのメンバーをアサインしたら最も価値を発揮できるかを考え、高い解像度でタレントのアロケーションを行なえるよう日々取り組んでいます。

@sacci:もちろん、組織としてのビジョンやミッションを捉えつつ、メンバー一人ひとりの“will”もしっかり理解したうえで、適切にアサインしていく。かつ、モチベーションを上げるためのコミュニケーションも重要です。そういったことをきちんとやっていくことが大切だと考えています。組織全体の視点を持ち、バランスを保ちながら、アサインメントや配置、コミュニケーションを行なっているという感じですね。

@unryu-in:そうですね。組織は常に変化しているので、レポートラインのメンバーよりもsacciさんとのほうが頻繁にコミュニケーションを取っているぐらいです(笑)。

── HRBPが、組織内のタレントのアロケーションにここまで深く介入するのは、HRBPの働き方としては一般的なのでしょうか?

@sacci:正直、ここまでの関わり方は他社のHRBPではあまり見たことがないですね。外資系企業だとHRBP一人あたりで、300人規模の組織を担当していることもあるので、ここまで深く介入することは難しいと思います。

メルカリの場合は一人あたりの担当数が100〜150人程度と比較的少ないため、そういった深い関与もできるのかなと。この点は、メルカリのHRBPの特徴の一つと言えるかもしれません。

この半年間、PdM組織と私たちHRBPが一緒に進めてきた取り組みとしては、タレントアロケーション、Principal制度の設計、PdMのグレード定義の整理、ジョブディスクリプションの整理、組織体制の設計などが挙げられます。

@unryu-in:僕たちの取り組みは、職種にかかわらず、世の中にインパクトを与えるために行なっているものです。そして同時に、メルカリがリーディングカンパニーを目指して歩む中で、メンバーに対して人生の原体験となるような経験を提供したい。そのためにも、組織の推進体制の構築が必要不可欠なので、HRの在り方を変革させることでその目標を叶えたいと思っています。

僕自身としては、CPOをやるにせよ、HRBPをやるにせよ、はたまたCSをやるにせよ、ミッションを達成するために必要なことをやる、というスタンスなんですよね。その結果として、メンバーに対して「人生の原体験」を創出できる。

@sacci:人間の本質って、何千年経っても基本的には変わらないと思うんですね。ある目的のもと人が集まると、そこに組織ができる、という話なのかと。そこで人と組織がどうあるべきかを真剣に考え、さまざまなアプローチを試行錯誤していく。もちろん失敗も成功するけれど、そのプロセスから得られる気づきや学びは、HRBPとして働くうえで何物にも代えがたい財産になっていると思います。

そして、今のメルカリは、社会からの期待やプレッシャーがありますが、ダイナミックに意思決定がされていく環境で経験を積めることが、なによりも面白いです。

また、HRBPの課題感は常に変化しています。例えば、最近だとHRBPがリードしてCoE的なプロジェクトを企画・推進することも増えてきました。なかでも「Growing Star」という取り組みは、現在のグレードに関わらず、優秀な人材をBoldに抜擢していこうという趣旨のタレントマネジメント施策です。日頃から現場に入り込んでいるからこそ、こうした企画の解像度を上げることができるんですよね。HRとビジネスの垣根を越え、組織全体に必要な施策を打ち出せるのは、メルカリならではのHRBPの魅力だと感じています。

メルカリのHRが目指す「個人と組織の理想の未来」

── 最後に、今後のHRBP・HRPP組織の構想と、どのような志向・価値観を持っている人がメルカリで価値を発揮できるかについてお聞かせください。

@sacci:HRBP組織としては、より組織をダイナミックに成功させていくという点にディープダイブしていきたいです。メルカリは日系企業でありながら、外資企業的な人事の思考も取り入れており、ユニークな立ち位置にあります。社員の国籍もダイバーシティに富むなかで、「All for one」に目的に向かっている。

日本のベンチャー企業として、グローバルに挑戦するフェーズにあるからこそ、前例のない課題に正面から向き合い、私たち自身の手で答えを作っていかなければなりません。その挑戦のしがいこそが、メルカリのHRBPの醍醐味だと感じています。

そういった環境でHRBPとして活躍するには、まず思考の柔軟性が必要だと考えています。今までの型にはまらず、状況に合わせて発想を切り替えていく適応力が問われます。

加えて、メルカリは非連続な成長を遂げてきたため、まだ人事の仕組みが整っていない部分があるのもまた事実です。そうした環境を嘆くのではなく、「自分たちの手で作り上げていくんだ」というマインドの方がフィットしやすいと思います。「勝ち馬に乗る」のではなく、「自分たちで勝ち馬を育てていく」。そんな前のめりな姿勢を持つ人にはうってつけの環境だと自負しています。

@unryu-in:想像している未来を早く実現することにこだわり、結果に対する執着がある人がHRBPとしてフィットすると思います。

正直、HRは営業や開発のように、目に見えて前進している感覚を得るのが難しい職種かもしれません。ただメルカリの場合は意思決定のサイクルが早いので、自分たちの打った施策が、数ヶ月のスパンで成果に結びついているのを目にすることもできます。アウトプットを出して、想像した未来の実現にコミットできる人は、きっとやりがいを感じられるはずです。

また、メルカリのHRBPをやる上で、職種のバックグラウンドはそれほど重要ではありません。戦略的に自身のキャリアをピボットさせ、組織を前に進めるために必要な体制構築そのものに興味がある。そんな人とは、ぜひ一緒に仕事がしたいですね。

組織の課題にどう立ち向かい、ビジョン達成のためにどういう体制を構築するのか。要は組織を前に進める力と使命感、そこが一番大事なポイントなのではないでしょうか。

@sacci:私自身、前職では事業の立ち上げに関わり、営業から何から全部やり切った経験があります。だからこそ、今HRBPとしてビジネス現場に入り込むことの面白さを感じられているんだと思います。

@unryu-in:sacciさんは、課題に対してHR視点でのトスアップで終わってしまうのではなく、課題を捉えたらそこで止まらず、プランまで考えて提案してくれる。課題に対する思考の深さの証だと思います。

@sacci:組織としての意思決定を行ううえでは、時にシビアな判断が求められます。一方で、人を大切にするという観点を忘れてはいけない。その両輪をうまく回していける人が、HRBPとして重宝されるのかもしれません。

@unryu-in:これからもsacciさんをはじめとするHRBPメンバーと二人三脚で、メルカリの組織とメンバー個人のありたい姿を追求していきたいですね。各組織のリーダーがHRBPとのパートナーシップを通じて成果を実感できるような、そんな関係性を築いていけたらと思います。

@sacci:ぜひ一緒にメルカリの組織を鍛えていきましょう。個人的な野望としては、事業成長と人材開発を高いレベルで両立できるHRBP組織を作り上げたいと思っています。そのためにはまだまだ道半ばですが、unryu-inさんをはじめとする事業リーダーのみなさんと知恵を出し合いながら、理想の組織の在り方を模索していきたいですね。そして、HRBPという職種自体の進化にも貢献したいです。

@unryu-in:メルカリの未来は、一人ひとりの手で作っていくしかありません。HRもビジネスも関係なく、その想いに共感してくれる仲間を心からお待ちしています。共に最高のEmployee Experienceを実現しましょう!

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