メルカリは現在、US・UK版メルカリともにリブランディングを行うなど、海外事業へさらに注力しています。
そんな中、メルカリでは一定の条件をクリアしたメンバーであればアメリカ・イギリスそれぞれのオフィスへ出向できる「海外赴任チャレンジ制度」を本格的に開始しました。この制度では、メルカリの海外オフィスに2年まで駐在できます。
現地オフィスで働く=現地のカルチャーに触れながらプロダクト開発ができるわけですが…実際に行ってみるとどういった経験を得ることができるのでしょうか。そこで今回は、赴任チャレンジ制度に先んじてアメリカへの赴任を決めた、末安さんと毛利さんに話を聞きました。
アメリカのプロダクト開発には、現地の文化を知る必要がある
―おふたりとも新卒入社なんですね。今までの経歴と、アメリカ赴任を決めたきっかけを教えてください。
毛利:私はインターン時から、US版メルカリのWebサイトのソフトウェアエンジニアとして働いていました。次第にプロダクトマネージャー(以下PM)的な業務が増えたので、新卒入社時にPMへ職種を変更し、引き続きWebサイトの開発をしています。今は、スマホアプリのような体験をWeb上で実現できるProgressive Web App(以下PWA)のプロジェクトオーナー(以下PO)をしています。
末安:私は今、新卒で入社して3年目になります。デザイナーインターンとしてメルカリに入り、そのまま新卒入社しました。今年1月からアメリカ赴任をしていて、今はアプリのUI/UXデザインを中心に、US版メルカリに関わるデザイン全般を担当しています。
毛利:赴任を考え始めたきっかけは、アメリカ側で意思決定をすることが増えたからです。現地オフィスにもWeb開発チームがあり、協力しながら開発しています。加えて、アメリカにいる他チームとの連携も増えてきたので赴任を決めました。またPMとして、コミュニケーションをとることは重要な仕事です。取締役・カスタマーサポート・エンジニア・デザイナーなど、他チームとの連携はやはり現地にいたほうがスピーディーに遂行できます。
末安:私は、現地オフィスのデザインチームとより近い距離で働きたいと感じたのが、赴任のきっかけでした。USチームでは、チームプレーが重視されています。ひとつのデザインでも、複数のメンバーでコラボしながら作り上げることが多いんです。はじめは東京からリモートでやりとりしていましたが、次第に同じ場所で働きたいと考えるようになりました。日本とアメリカでは、そもそもの環境や文化が大きく異なります。例えば、日本でモノを送ったら最短で次の日には到着しますが、アメリカでは1週間経っても届いていない、ということがざらにあります。プロダクトを作る上で、そのような状況を知っているかどうかで大きな差が出るんですね。また、アメリカ向けのデザインをするためには、現地のプロダクトに囲まれた生活をした方が、よいインプットを得られると思ったことも理由のひとつです。
毛利:それは私も同意します。アメリカ向けのプロダクトを作る上で、現地に住んでいなければ分からないことも多いと感じます。
信頼関係が、業務の進捗を左右する。まずは自分に自信を持つこと
―赴任した当初を振り返ってみてどうですか?赴任にあたって、不安はありませんでしたか?
毛利:USオフィスには、元Googleや元Facebookのメンバーが集まっています。経験の少ないPMとして、バリューを発揮できるかが不安でした。自分の担当領域(Web)の重要度が増すなか、プロダクトの成長と同じスピードで自分が成長する必要があると感じています。
末安:実は赴任時、現地のデザイナーは私だけだったんです。クリエイティブディレクターと二人三脚でリブランディングに挑んだ時は、入社史上最大の不安を感じました。厳しい状況のなか、リブランディングを成し遂げたことは大きな自信になりましたが、英語力を始め、もっとスキルを身につけたいと感じました。
毛利:USオフィスには同年代の社員が少ないので、そういう意味でも不安な気持ちはあります。一方で、アメリカの文化として年齢に関係なく働ける環境が整っているので、バリューをのびのびと発揮できる安心感もありますね。
―JPと比較して、働き方に違いはありますか?
毛利:結構あります(笑)。考え方も違うので、慣れるまではかなり苦労しました。例えば、業務の優先順位を明確かつ端的に伝えるよう気をつけています。そうしないと重要度の認識に差が生まれ、個々の業務スピードにも差が出てしまうんです。また「伝えて終わり」ではなく「伝わる」までオンライン・オフラインの両面からコミュニケーションをとることが大切です。
末安:日本とアメリカでは、「よいデザイン」の基準が異なります。日本ではシンプルすぎて「もう少し手を加えたほうがいい」と思われるものがアメリカでは好まれるんです。アメリカ式のデザインに慣れない頃、USメンバーに「これはベイエリアのスタイルではない」と言われたときは辛かったですね(笑)。
毛利:アメリカの人たちはダイレクトに意見を伝えてきますよね。私も慣れるまでは悩んだりしました。
末安:私は海外に在住・留学した経験がない純日本人なので、誤解が生まれないようにハイコンテクストな会話は避けています。また言語が完璧でなくても、信頼関係さえあればスムーズに仕事ができると思っているので、アウトプットを積み重ねて信頼を得られるよう努力中です。もちろん英語ができれば最高ですが…!
毛利:現地でプロジェクトを推し進めていくには、信頼関係と、自分に自信を持っているかも重要ですね。こちらでは自分のプレゼンスが仕事の進み具合に大きく影響します。能力があっても、プレゼンスがなければ認めてもらえない、シビアな世界です。
今年が、US版メルカリの挑戦の年。やるべきことは分かっている
―USオフィスにいるからこそ、得られる経験はありますか?
毛利:シリコンバレーにはテックジャイアントを含む多くのスタートアップが存在するので、一流のPMが集まっています。ですから、アメリカへの赴任自体が自分自身にとって大きな財産になると感じています。
末安:また、日々新しいプロダクトやサービスが生まれるシリコンバレーで、刺激を受けながら働くのがとても楽しいです。JP版メルカリと比較すると、まだまだ小さいチームでカオスな部分もありますが、そのカオスを乗り越えていくのも楽しく、いい経験です。リブランディングしてから間もないので、新たなUS版メルカリのブランドを構築するフェーズに携われるのは、デザイナーとしてかなりエキサイティングですね。
毛利:あと余談ですが、メルカリのUSオフィスがサンフランシスコからパロアルトへ移転して広くなったので、作業効率が上がったことも嬉しいです。
末安:今のオフィスは私もとても気に入っています。アメリカにはオフィスに犬を連れてくる文化があるので、愛犬を連れてくるメンバーもいます。この前は、社長のJohn(John Lagerling)も犬を連れてきていて、とにかく可愛くて癒やされました…!
―最後に、今後の意気込みを教えてください
毛利:今年はUS版メルカリにとって、重要な1年になります。自分の担当領域であるWebは、組織として、また個人としても可能性を感じています。赴任をすることで貢献できる部分が増えますし、やるべきことは分かっているので、あとは実行するのみですね。
末安:US版メルカリは、リブランディングを終えて、新しいスタートを切ったばかりです。「青い」メルカリとしてのブランドを、全米中に拡大させていきます。
毛利:社長のJohnが、「今回のオフィス移転が新たなスタートだ」と言っていました。実際に、移転してからオフィスの雰囲気が変わりましたし、よりよいチームになると確信しました。新しい空気のなかで、USチームとして成果を出していきます。
―ありがとうございました!
プロフィール
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毛利竹宏(Takehiro Mouri)
2018年に新卒入社。幼少期よりアメリカで育ち、現地で初めてプログラミングに触れる。学生時代にネパールでプログラミング教育事業を立ち上げ。2017年5月より、ソフトウェアエンジニアとしてメルカリでインターンを開始。新卒入社後は、US版メルカリのプロダクトマネージャーとして、主にWebサイトの開発に携わる。2018年7月よりアメリカへ赴任。
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末安みなみ(Minami Sueyasu)
2016年に新卒入社。大学時代にベンチャー企業でデザインを0から学び、2015年8月からデザイナーとしてメルカリでインターン開始。JP版メルカリの開発に携わったのち、2017年4月よりUS版メルカリへ異動。東京オフィスからのリモートワークを経て、2018年1月よりアメリカへ赴任。