2024-11-15
この体験を海の向こうへ。ボトムアップで実現する越境ビジネスに向けた取り組み——Meet Mercari’s Leaders:Suwen Weng(VP of Product Cross Border)
「情熱を持って何かを達成する」。
VP of Product Cross Borderとして、『メルカリ』の越境販売を通じたグローバル展開のプロダクト領域を担当するSuwen Weng(@suwen)。2019年の開始以来、『メルカリ』の越境ビジネスは成長を続け、2024年夏にはグローバル戦略の一環として「越境取引」を通じて台湾に進出しました。海外のお客さまに『メルカリ』をもっと広く知ってもらい、そして購入体験を楽しんでもらいたい、と使命感をもって語るSuwen。越境ビジネスが目指す、GMV成長の先にある「価値の循環」の展望について聞きました。
この記事に登場する人
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Suwen Weng
中国南京出身。日本で修士課程修了後、世界大手の石油サービス会社に就職。ソフトウェアエンジニアとしてキャリアを開始する。オンラインショッピング好きが高じて、日本のアパレル企業に注文管理プロダクトのPMとして転職。2021年3月にメルカリ入社後は、テクニカルプロダクトマネージャーチームに所属。メルカリではトランザクションプロダクトのTPMとして働きはじめ、PMマネージャーとしてクロスボーダーとロジスティックプロダクトの開発に従事。2024年7月より執行役員 VP of Product Cross Borderに就任。
海外のお客さまに『メルカリ』を広く知ってもらい、購入体験を楽しんでもらう
──Suwenさんが管掌されている領域について教えてください。
現在、私はVP of Product Cross Borderとして『メルカリ』の越境販売を通じたグローバル展開のプロダクト領域を担当しています。
『メルカリ』の越境ビジネスは2019年の開始以来、年々成長を続けており、私たちのチームミッションは、その成長をさまざまな方法で強化すること。昨年はAPIの有効化、オープンAPIの開発を担当しました。この開発により、海外のパートナーとのAPIによるシステム連携が実現でき、『メルカリ』内で流通する商品を世界に売ることができるようになりました。
現在は、さらなる越境のチャネルを拡大することに重点を置いて、海外のお客さまに『メルカリ』を広く知ってもらい、そして購入体験を楽しんでもらうことを目指しています。
メルカリの「プロダクトドリブン」なカルチャーに強く惹かれた
──では、これまでのキャリアについて改めて教えてください。ファーストキャリアはどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
大学時代は、コンピュータサイエンスを専攻し、コンピュータサイエンスと情報システムの学士号を取得。大学院を卒業後、世界最大手の石油サービス会社に就職して、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。その会社は、油田探査や、探査用計測機器の開発・製造をコアビジネスとしており、在籍した8年間で、多くの開発プロセスや評価システム、プロジェクト管理、そして異なるバックグラウンドの人々とどのようにコミュニケーションを取るかを学びました。電気系、機械工学系、ソフトウェア…と多岐にわたるエンジニアたちと一緒に働き、ツールにいたってもハードウェアからソフトウェア、組み込みのツールまで含めて、広く開発の経験を積みました。
また、石油業界は、安全性担保のために、産業全体に求められる品質基準が非常に高いことが特徴です。なぜなら、私たちが開発するツールやソフトウェアは、油井での非常に危険な状況で操作されるため、ソフトウェアの1つのバグが大きな損失を引き起こす可能性がありますし、最悪の場合、人命に関わることもあるからです。そのため、開発設計もそうですが、異なるドメインのエンジニアとの協業する際にも、厳格なプロセスが求められる環境でした。
──その後、転職を考えられたきっかけは何だったんでしょうか?
当時は、日本人と外国籍のメンバーが半々ぐらいの環境で働いていました。企業そのものは神奈川県にあったのですが、毎日英語を使ってコミュニケーションをしていたため、日本に住んでいるようには感じられませんでしたね。ときにはテストのためにラボへ行って、白衣を着てハードウェアを接続しなければならなかったし、実際の現場でのテストを行うために中東にまで出張することもしばしばありました。
日々充実こそしていたものの、一方でソフトウェアエンジニアとしてもっと顧客に近い産業で働きたいという思いが強くなっていきました。自分を含めた、多くの人の日常生活を改善できるようなソフトウェアを作りたかったんですね。そんなサービスに関われたら、と考えたことが、新しい挑戦をした一番大きな理由です。
その後、2018年にファーストリテイリングに転職し、ユニクロがグローバル市場に参入するためのEコマースシステムのプロジェクトに初期の段階から参加し、注文管理・在庫管理システムを担当。CSや倉庫、倉庫オペレーターのための管理ツールもすべてマネジメントしました。
──その後、メルカリに入社された経緯を教えてください。
メルカリに転職したのは、ファーストリテイリング時代の上司が誘ってくれたことがきっかけです。
ファーストリテイリング在籍中に取り組んだ、グローバルなパッケージを作る経験は非常にやりがいがありました。ですが、ビジネスの性質上、どうしても製品である「洋服ありき」のビジネスでもあるとも感じていました。
ユニクロは「服づくり」のプランニングと製造によって成り立っているブランドなので、どの服をもっと作るか、どの服を売っていくべきか、という観点で意思決定が行われることがほとんど。私としては、もっとデータドリブンかつ、プロダクトドリブンにビジネスを成長させる経験を積んでいきたいと考えていました。
メルカリに誘ってくれた元上司からは、「メルカリのすべてのビジネスは、私たちのサービスであるアプリとウェブに基づいて意思決定されている」と説明を受けました。私はこうしたプロダクトドリブンなカルチャーを非常に興味深く感じ、メルカリへの入社を決意しました。
──メルカリでのキャリアや働き方は、以前の企業とはどう違うのでしょうか?
以前の2社は、比較的伝統的な製造産業として、共通している点が多くありました。プロジェクトはウォーターフォールスタイルで、大きなプロジェクトだと数年を要し、また意思決定もトップダウンがほとんどでした。
一方、メルカリは大きく異なり、ボトムアップで意思決定がなされていきます。特に、いま私が働いているクロスボーダーはスタートアップのスタイルに近いと感じています。初期の計画段階から、PdM、ビジネス、マーケティング、エンジニアが一緒に仕事を取り組む。各チームメンバーが異なる視点からアプローチを考え、どのアイデアを優先するかを共有することができ、スタートアップらしい素早い意思決定が行えているように感じますね。
強い情熱を持っていて、越境ビジネスを成長させる
──目下、集中して取り組んでいることはありますか?
メルカリの越境ビジネスの使命は、世界的なマーケットプレイスを築き、誰もが購入、販売、そして価値を流通させることができることです。そこにおける私のミッションは、海外のお客さまに楽しい購買体験を提供すること、そして将来的にはメルカリプラットフォーム全体での取引を促進することです。また個人的には、単なるGMV成長を目指すだけでなく、本当の意味での「価値の循環」をさせたいとも考えています。
現在は、海外のお客さまが越境EC事業者を通じて日本のメルカリから商品を購入できるモデルなのですが、ゆくゆくは、海外バイヤーと日本のセラーが直接取引できるようにしていきたい。これを通じて、私たちのメルカリやサービスをより多くの海外のお客さまに紹介したいとも考えています。
また、エリアも徐々に拡大を続けており、2024年夏には台湾でのリリースを行いました。今後は、香港をはじめとしたアジア地域や、さらに他の地域でのリリースも検討しています。このプロジェクトは四半期や1年といった単位で完結するものではなく、数年先を見据えた計画なので、非常にやりがいを感じています。
組織の中では、どのメンバーもドメインに関係なく、ビジネスの成長を拡大するためのアイデアを共有できていますし、私個人としても、そのようなアイデアをサポートすることを大切にしています。また、すべてのチームが同じKPIを持ち、同じ目標に向かっているので、意思決定が容易で素早く行えていることも素晴らしいですね。
──最後の質問です。ご自身が大切にしている仕事の哲学について教えてください。
私が働く上で最も重要だと考えているのは「情熱を持って何かを達成する」ことです。
メルカリにジョインして3年半が経ちましたが、ここで働くほとんどの人から「何かを達成したい、メルカリの成長に貢献したい」という強い情熱を感じます。もちろん越境ビジネスの場合も同様で、メンバーは強い情熱を持っていて、このビジネスを成長させ、より良い価値を提供したいと考えてるように感じる。これは私たちのチームをまとめる上で重要なカルチャーです。
また、VPとなった現在は、経営からだけでなくメンバーからの期待を理解することも重要だと再確認しました。それぞれのメンバーがValueを発揮できるよう促しながら、ビジネスとしての価値も高められるような、良い提案を続けていきたいと考えています。