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メルカリがWeb3に参入した理由は「ブロックチェーンが当たり前の世界」を目指すから—— Meet Mercari’s Leaders:中村奎太(VP of Digital Marketplace, Mercoin  CEO)

2025-5-15

メルカリがWeb3に参入した理由は「ブロックチェーンが当たり前の世界」を目指すから—— Meet Mercari’s Leaders:中村奎太(VP of Digital Marketplace, Mercoin  CEO)

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「自分自身が時代の変革を起こしたい」。

学生時代からAIエンジニアとして、数々の実績を積み上げてきた中村奎太(@keita0q)。インターン生として、楽天ではバックエンドエンジニア、DeNAでは動画サービスでの感情分析基盤導入、サイバーエージェントではプログラミング教育サービスの立ち上げに携わった後、メルカリの研究機関「R4D」に参加。

メルカリに新卒入社後は、ブロックチェーンエンジニアとして、R4D内「mercariX」プロジェクトに携わり、「メルコイン」や「メルカリNFT」の立ち上げに参画しています。新卒入社から最前線でキャリアを築く中村の驚異的な学生時代を振り返り、メルカリにどのような可能性を感じて入社したのか。また、ブロックチェーンを軸とした「メルコイン」や「メルカリNFT」の将来をどのように捉えているのか。彼が思い描く、テクノロジー×メルカリのビジョンについて聞きました。

この記事に登場する人

  • 中村奎太(Keita Nakamura)

    執行役員 VP of Digital Marketplace 兼 株式会社メルコイン 代表取締役 CEO。大学在学中にインターン生としてサイバーエージェントでプログラミング教育サービスの立ち上げや、DeNAで動画サービスでの感情分析基盤導入などを行う。その後、メルカリの研究機関「R4D」にインターン生として参加。2018年に新卒入社後はプロックチェーンエンジニアとして、R4D内で進められていた「mercariX」プロジェクトに携わる。その後、グループ会社であるメルペイへ異動し、分散台帳開発チームとAML systemチームのPMを担当。

エンジニアリングに熱中した学生時代

—— 学生時代からテクノロジーに興味を持っていたんですか?

いえ、最初は興味なくて(笑)。高校時代は周囲の環境の影響で、医学部を目指していました。ただ、自分が本当にやりたいことが分からず、勉強が全く面白くなかったんです。

熱が入らないまま受験に失敗して、浪人することになりました。浪人時代はバイトばかりしていて、このままではだめだ!と思い直して、自分が本当にやりたいことを考えたんですね。そのとき、世間ではディープラーニングをはじめとする「AIブーム」が起きていて、衝撃を受けたんです。AIについて詳しく知るうちに「世界の変革や転換点には必ずテクノロジーが関係している」と考えるようになりました。

それからは「自分も時代の変革を起こしたい」「新しいテクノロジーを活用して事業を作りたい」と考えるようになり、AIをテーマに定め、名古屋工業大学に進学しました。

—— 在学中、どんなことを学びましたか?

在学中は、AIの「コンセンサスアルゴリズム」を研究しつつ、実用的なエンジニアリングやプログラミングを学びました。ただ、授業のスピード感では物足りず、教授に対してアプリケーションやソフトウェアの開発、ビジネスのことを学ぶ機会を切望してたんですよね。そしたら教授が、「未踏」事業出身で起業したOB社長を紹介してくれたんです。

その会社では、ソフトウェアをつくるアルバイトとして受け入れてもらうことになりました。それからはコーディングにハマって、開発に没頭していましたね。

——メルカリに入社する前、数々のメガベンチャーにインターンとしてジョインしていたそうですが、どんなことをしていたんですか?

バックエンドエンジニアをメインとしていました。1社目の楽天のインターンでは、大きなサービスを手がける人たちのスキル感やクオリティのイメージを学び、そして腕試しをしたいと思っていました。

実際にやってみたら、想像以上にコードが書けたんですよね。社員の方々からもかなり褒めてもらって、気持ちが楽になりましたね。それからはインダストリーやプロダクト寄りの思考力を磨きつつ、もっといろいろな開発に携わりたいと考えるようになり、名古屋に帰らず、DeNAやサイバーエージェントでインターンを経験しました。

AI研究から見出した、ブロックチェーンとの共通点

—— メルカリに入社した経緯を教えてください。

インターンとして受け入れてくれた会社は「サービスをより便利にするためにAIを活用する」という考え方で、「AIだからこそできるビジネス」ではありませんでした。僕の個人的なミッションを達成できそうな会社は日本にはないかもしれない、と諦めかけていたとき、ブロックチェーンの研究開発に燃えるメルカリと出会いました。

すこし専門的な話になりますが、初めてビットコインのホワイトペーパーを読んだ時にコンセンサスアルゴリズムが共通化されていて、すごく興味を持ったんです。「もしかしたらAIよりもブロックチェーンの方がプラットフォームとして世の中の変化を起こせる可能性があるのではないか」そう思い、入社を決めました。

ただ、当時の「メルカリ」は既に世の中へ浸透していて、実際に社会変化を起こしていました。なので当初は全く興味を持てなかったんですが、話を聞きに行った際に「『メルカリ』はブロックチェーン時代において最も破壊されるサービスだから、自分たちで破壊しないといけない」という一言に心を惹かれ、エンジニアの性に従う形で入社を決めました。

—— 実際に入社してみて、ギャップは感じましたか?

ギャップは全くなかったです。むしろ、驚くことばかりでした。天才たちが集まって、新しい技術を使って、遊んで、ディスカッションを重ねる。そんな環境は、もう日本にはないかも……と思えるほど、貴重な経験ができたと思っています。「この場所であれば、自分がやりたいことにもチャレンジできる」と感じたんです。

“使った人の生活が変わるくらいのインパクト”を求めて

—— @keita0qの管掌領域について教えてください。

「メルカリ」でNFTの取引ができる、NFTマーケットプレイス「メルカリNFT」を担当しています。「メルカリNFT」は、R4D内で「メルコイン」を立ち上げるときから構想していました。約4~5年前にNFTが盛り上がったときから、その価値をいかに伝えていくかを考えていました。

僕のなかで「新しいテクノロジーを使ってビジネスがしたい」というゴール設定はあるんですけど、本当の意味で多くの人に使われて、その人たちの生活が変わるぐらいのインパクトがあることじゃないと、やる意味がないと思っています。

ですので、「メルコイン」のミッション「多様な価値がめぐる新しい経済をつくる」はクリプト(暗号資産)の領域に限ったものありません。今、世の中にない価値を発見してもらったうえで、その価値を循環させていくために僕たちができることはなにか? その裏側に存在する「テクノロジー」をベースにしたミッションだと捉えています。NFTは、そのなかでも重要なキーピースだと思っています。

—— なぜ、今のタイミングでNFTのサービスをリリースしたんですか?

タイミングは関係ありません。マーケットがなかったから、「メルカリ」が「マーケットプレイス」をつくりました。NFTそのものは、1度膨らんでシュリンクする流れを経験していますが、僕たちはその時流を受けてやってるわけではなく、完全に「新しいマーケット」を用意して、「新しいお客さま」に向けてやっています。

また、「メルコイン」には、クリプトの成功事例があります。メルカリのお客さまにとって、ほとんど誰も知らないものだったクリプトを、ある程度使ってもらえる状態まで育てました。そのナレッジをベースにしながら、RWA(Real World Asset)としての価値が生まれ始めてきたタイミングに標準をあわせて、「本質的に使われるNFT」を流通させることを目指していきます。

—— 「メルカリNFT」では、「ガス代」や「メタマスク」というインプットが大変な専門用語に対し、最小限の説明にまとめている印象です。どんなことを意識しているんですか?

使ってもらうための一番の肝は、ハードルを下げることです。そのうえで、提供する価値をリブランドするべきだと考えています。これまでNFTを買うために必要だったクリプトの購入やwalletの準備など必要とせず、いつもの「メルカリ」と同じ体験で取引ができる状態を作り上げました。ただ今はまだ、コンテンツとしてはあるものを率直に伝えているだけなので、今後はお客さまの習熟度に合わせた、様々なステージを用意したいと考えています。

——「使ってもらえるもの」にするためには、様々な工夫が必要なんですね。

はい。世の中に新しいものが登場したと思ったら、すぐにそれが当たり前になってることってありますよね。たとえば「インターネット」は、最初は一部の人だけのものでした。それから、インターフェースが変わり続け、コンパクトなノートパソコンが誕生したと思ったら、それでも使いづらかった人のためのスマートフォンが誕生しました。それ以降、ほぼ全ての人が毎日何時間もインターネットに接続して生きる時代になりました。

先人たちが生み出したソリューション、アプリケーション、サービスがあったから、つくり出せた状況だと思っています。ブロックチェーンも、その流れに備える必要があると考えています。まだ様々な課題はありますが、ブロックチェーンが活用される未来はそう遠くないはず。だったら僕は、メルカリで「入り口」を用意しておきたいんです。

ブロックチェーンを「金融」で終わらせたくない

—— 5〜10年後の未来をどのように捉えていますか?

web3は、この先5年が勝負だと思います。キラーソリューションやキラーコンテンツによって参加する人数が増えない限り「金融化」してしまうと思っています。

ブロックチェーンは、クリプトの特性上、「お金」として評価されている状況なんですよね。そのせいでテクノロジーそのものの成長を阻まれている一方で、お金が絡むことによって産業が成熟しテクノロジーとしての破壊力が生まれることも事実です。もし今後、ブロックチェーンが「金融」だけに落とし込まれてしまうと、その価値を失ってしまうと考えています。

ですが、たとえばエンターテインメントにおけるIPコンテンツやゲーム、個人のクリエイティブなどは、個人のクリエイティブなどはブロックチェーンを使うことで、デジタルコンテンツとして価値を持つ可能性が見え始めています。これらがコアコンテンツとなって、Web3の「金融」以外の価値を伝播する突破口になるはずだと考えています。どこかで誰かが開放すべきことですし、その一端を担えると信じてやるしかないんですよね。

楽しく働くコツは、自分の気持ちに正直になること

—— @keita0qが大切にしている仕事観を教えてください。

一生懸命に仕事をしていると、何が正解なのか、どうしてここにいるのか分からなくなる瞬間がままあります。僕は「自分が何をやりたいか」をベースに、常に立ち戻れるようにしていて、そうしてきてよかったと思ったことが何度かあります。

これからメルカリで働きたいと考えている人に伝えたいことは、目的をしっかり持ってほしい、ということですね。そうすると、何がしたいのか、どんな世界をつくりたいのかが見えてきます。そうやって、僕みたいに楽しく働ける人が1人でも多く増えてほしいと思います。

——経験を重ねていくと、メンタルが沈むこともあると思います。そのとき、どのようにメンタルを整えていますか? 

つらいときは正直に「つらい」と言える環境づくりをしています(笑)。メンターの小泉さんの言葉を借りれば「つらいとき、嫌だな、悔しいなと思ったときに、チームに言える組織を作った方がいい」。

自分の気持ちを率直に伝えることで、共感と一体感が生まれて、チーム全員が解決・解消に向き合おうとするんです。だから僕のメンタルが沈んだときは、誰よりも先にメンバーに伝えていますね。スッキリしますし、またみんなで頑張ろうぜ!って気持ちになるんですよ。

番外編:私のメルカリ活用術!

「メルカリ」では服を買っています。あのアプリは、服好きにとって「宝庫」なんです。サービスの開始から長い時間を経て、服好きのお客さまの目もますます肥えてきたので、いいものを安く買うのは難しくなってきましたが、その一方で新しいものに出会える機会が増えました。「超広大なユーズドショップ」のなかに、無限とも言えるアイテムが詰まっているので、暇な時間を見つけたらディグり続けています(笑)。

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