
「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」との想いから1980年代にアメリカで活動が始まった「ピンクリボン運動」。
日本でも様々な行政、市民団体、企業などが独自のピンクリボンマークを掲げ、様々な活動を行っています。
これらの団体の一つ「ピンクリボンフェスティバル(日本対がん協会などが主催)」は毎月19日を「ピンクの日」として定め、ブレストチェックをはじめとしたブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)を推奨。メルカリでも、『女性が活躍しやすい環境づくり』を主なミッションとする社内有志コミュニティ「Women@mercari」が中心となって、毎年 ”ピンクの日”である “19日” にピンクリボンデーイベントを開催しています。
第2回を迎える今年は、 6月19日にLunch & Learn(ランチを食べながらの学びの機会)として開催。
ピンクの花やハート型のバルーンに彩られた華やかな会場の中、ピンクリボンデー特別仕様のランチやデザートとともに催しを楽しみました。
※Women@主催の過去開催イベント「第一回ピンクリボンデー」については、以下の記事のご覧ください!
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青木 映子(Eiko Aoki)
武蔵野美術大学 造形学部卒業。ファーストリテイリング(ユニクロ)で店舗運営関連業務および人材の採用・育成を経験後、渡豪。オーストラリアでランドオペレーター・ツアーコンダクターとして活動後、帰国。日本航空株式会社の客室乗務員として航空業界、社会人向け英語パーソナルトレーナーとして教育業界をそれぞれ経験し、2018年メルカリへ。カスタマーサービス部にてオペレーション業務の外部委託拠点立ち上げに携わったのち、インストラクショナルデザイン業務に従事。2021年よりマネジメント職に転じ、現在はカスタマーサービス関連コンテンツ&トレーニングマネジメントチームでマネージャーを務める傍ら、女性活躍推進コミュニティ Women@ Leadersの一員として各種イベントの企画・推進も行う。
今回のテーマは、女性にとっての「健康」と「キャリア」。
女性が「健康」と「キャリア」を両立していく上で、避けては通れないさまざまな課題について考え、選択肢を広げることを目的に企画されました。 “未来を見据えた健康管理とキャリアデザイン” をテーマに3つのセッションが展開され、性別問わず総勢130名を超えるメンバーが参加。多くの気づきと学びが得られました。
この記事では、各セッションの概要と登壇者のメッセージを振り返りながら、参加者の声や今回改めて浮き彫りとなった課題点について共有していきます。
健康を見つめ直し、キャリアを持続可能にするために
イベントの最初のセッションは、健康とキャリアについての対談。登壇者は、今年入社7年目を迎えるCS Division所属のベテランマネジャーで、公私ともに仲の良い@mikaさんと私(@eiko)の二人。働く女性が健康とキャリアのバランスをどのように取るべきかについて、自身の職務経験や現場での気づきを共有しました。
対談テーマは「からだが理由で困っていること」「からだのために心がけていること」「からだについて今知りたいこと」の3つでした。
なぜか昔から感染症に罹りやすく数々の感染症に見舞われてきた私 (@eiko)とは裏腹に、お手本のような ”健康優良児人生” を歩んできた @mikaさん。対象的な二人ですが、ともに筋腫や嚢腫といった婦人科系疾患を抱え、現在治療のため低用量ピルを服用中という共通点が。
この『低用量ピル』について@mikaさんは「治療のために服用を始めたが、結果、月経周期がくるたびに毎月発生していたひどい頭痛もなくなり、ホルモンバランスが整うなど、ピルが健康維持に一役買っているかもしれない。仕事中の体調トラブルとして生理痛が重いという方は一度検討してみては。」と語りました。
*ピルを服用する前に、医師に自分の健康状態、病歴などを伝え、副作用やリスクについても相談を行ってください。
加えて、 “からだのための心がけ” として毎週欠かさず通っている『Feelcycle(暗闇バイクのエクササイズプログラム)』など、気分転換になるような有酸素運動を推奨しました。
私@eikoからは「毎朝欠かさず取り組んでいる “白湯” と 日々の“腸活” が免疫力の改善・向上に大きく役立った」旨をシェア。また3つ目のテーマ「からだについて今知りたいこと」にちなんで、自身が4、5年ほど前に体験した「ブライダルチェック*」についても紹介。自分の状態を早期に知っておくことが将来設計に役立つ可能性をアドバイスに代えて補足しました。
*妊活チェック・妊活ドック等とも呼ばれ、妊娠・出産に関する健康状態やリスクを事前に確認するための健康診断。婦人科系の疾患や性感染症の有無、ホルモンバランス、風疹抗体などを調べるもので、妊娠前に適切な対策を講じることができ、健康な妊娠・出産に繋げることができる。
私たちが改めて強調したポイントは、 「健康はキャリアを支える土台」 であること。
具体的には、体調不良が仕事のパフォーマンスや意思決定に与える影響を無視せず、「自分のからだの声」を優先する重要性を挙げました。また、普段から小さな体調の変化に気づくためのセルフモニタリングの習慣や健康診断を活用したチェックの必要性についても触れました。
多忙な毎日の中でも「自分の体調を見つめる時間を確保する」。そしてさまざまな知識を学び「自分に合った対策を取ること」が、キャリア形成を長期的に支えてゆく。そういったことが結果として、中長期的に見た組織の生産性や社員のヘルスリテラシー向上・離職率低下の鍵になるのではないでしょうか。
ホルモン周期を理解し、自分を労わる習慣を
2つ目のセッションでは、株式会社SQUIZの渡邊 沙央里さんを社外ゲストとしてお招きしました。
渡邊さんは、看護師・助産師・保健師・精神保健福祉士と複数の資格を有し、産婦人科で10年以上の経験を持つ認定を受けた医療専門家でいらっしゃいます。ご経験の分野も非常に幅広く、分娩支援/新生児・産後ケア・婦人科手術・化学療法看護・家族計画・不妊治療、また不妊治療クリニックの立ち上げ… と多岐に及びます。
現在は、女性の健康増進への情熱に突き動かされたことで臨床現場から政策と社会実装に焦点を移されております。さらに、医療政策/経営の修士号取得の傍ら、オンラインピル処方サービスOops WOMB(ウープスウーム)・妊娠・出産に関わる大変ごとをパーソナライズサポートするSUNME(サンミー)等、多方面で活動を展開されています。
その一環として今回、助産師や産婦人科看護師としてご活躍されてきた中で培われた豊富な臨床経験を踏まえ、女性の体調が月経やホルモンバランスに大きく影響される仕組みを科学的な視点から解説いただきました。
渡邊さんのセッションの中でも特に印象的だったのは、「私たち女性の一生の中で、生理中として過ごす時間は計6年9か月にものぼる」 というエピソードです。この時間の長さを改めて知ることで、多くの参加者が「普段から感じる不調の理由を深掘りし、改善策を考えたい」と考えるきっかけになったことと思います。
また、月経前症候群(PMS)や更年期に悩む女性たちが抱える症状には、共通して “ホルモンの変化” があることに触れ、「ホルモンのジェットコースター」という例えで、1か月ごとのエストロゲンとプロゲステロンの周期的変動が女性の感情や体調に与える影響について具体的に説明いただきました。
PMS(月経前症候群)や更年期障害などは、ともすると、ただの“気まぐれ” “大げさに捉えている”と見なされがちですが、そうしない・そうならないために、日常的に「自分の体調不調を理解・受け止め、職場でチーム全体でのサポート体制を作る」ことの重要性を示されました。さらに、具体的なセルフケアや医療の選択肢としてピルやIUS(ホルモン放出型子宮内装置)、ホルモン補充療法(HRT)などの治療法、さらには漢方薬の活用、オンライン診療サービスを活用したヘルスケア支援の可能性など、多様なアプローチを紹介。渡邊さんご自身の経験を交えながら「正しい知識を持つことで選択肢を広げてほしい」と強調されました。
「月経症状が重すぎて緊急搬送される人もいる」などのリアルな臨床体験に根付くエピソードや、時にご自身の過去の実体験からの学びなどを交えつつ、参加者へ惜しみなくさまざまなアドバイスをシェアしていただき、驚きや発見に溢れた貴重な時間となりました。
また、セッションの最後に渡邊さんが伝えられた「『体のことを知る』ことは『人生を選ぶ』第一歩であり、『医療の選択肢を知る』ことは『人生を豊かにする』可能性を広げることにつながる」というメッセージ。その言葉には、助産師や看護師として複数の資格をお持ちで、10年以上にわたって医療の最前線に立ちながら無数の事例を直に目にされてきたご経験と熱い想いが込められていました。
渡邊さんは「ホルモンに振り回されず、自分自身の体を理解し、笑顔で毎日を過ごすことのできる人を少しでも増やしたい」という深い願いと決意を胸にこのテーマに取り組んでいらっしゃいます。その力強くも温かなメッセージが、セッションを通じて参加者一人ひとりの心に深く届き、自分自身の体やこれからの人生について改めて見つめ直すきっかけを与え、前向きな気持ちと希望を抱かせてくれました。
ライフプランに選択肢を持つために
イベントの最後を締めくくる3つ目のセッションでは、IR teamより @Shinoさんが登壇。自身の経験をもとに「社会的卵子凍結*」という選択肢について深く掘り下げました。
*社会的卵子凍結とは、医学的な理由がない場合でも将来の妊娠可能性に備えて、卵子を凍結保存すること
@Shinoさんは、キャリアとライフプランと向き合う中で「未来を広げる選択肢」として卵子凍結を選んだ理由や、それがもたらした安心感、そしてその裏側にある現実について率直にに語りました。多くの参加者にとってこれまで漠然としたイメージだった「卵子凍結」に対する理解が深まり、自身の人生選択について考えるきっかけとなりました。
@Shinoさんが社会的卵子凍結を選択したのは約5年前。当時、キャリアや大学院進学への挑戦などさまざまな人生の転機の中で、ライフプランの優先順位に対する葛藤を感じていたといいます。将来、子どもを持ちたいという希望はあるものの「今すぐ」の実現が難しい状況で 「選択肢を残しておきたい」 という強い思いが卵子凍結を後押し。さらにそんな @Shinoさんの選択を支えたのが、メルカリが提供する 「卵子凍結補助制度」―――この制度は卵子凍結に関わる費用の補助を受けられるというもの。通常、自費となり、非常に高額な費用となる卵子凍結のハードルが、この制度によって大きく下がったといいます。
とはいえ「卵子凍結をしたからといって将来子どもを授かることが保証されるわけではない」と続ける @Shinoさん。卵子凍結のその先にも「妊娠成功率は年齢や体質などに影響される」「卵子の保存には維持費がかかる」また「凍結卵子を使った治療や妊娠にも高額な費用が発生する」といったさまざまな課題があるためです。実体験をもって「卵子凍結」と向き合った@Shinoさん曰く、卵子凍結は「万能薬」ではなく「お守りのような存在」 。子どもを持つ選択肢が完全に閉ざされず、「自分らしいキャリアやライフプランを追求できる」という安心感をもたらしてくれた存在だと語りました。
また、卵子凍結をきっかけに「体の状態を知ることの大切さ」「適切な生殖医療の知識の重要性」を実感したといいます。例えば、卵巣の予備能を測る指標であるAMH値の診断がライフプランや妊娠の可能性を大きく左右するという知識を得たことで、体と向き合う目線が変わったと教えてくれました。
このセッションを通して得られた学びの一つは、「卵子凍結」という選択肢が、キャリアやライフプランの中で自分の可能性を広げる一歩となり得るということです。そして、「選択肢を持つことが、未来への不安を軽減し、自分らしくキャリアを追いかける意欲を支えることに繋がる」ということです。
卵子凍結は決して万能ではありませんが、それをきっかけに得られる安心感や未来の可能性は大きいものです。「キャリアのために何かを犠牲にしなければならない」という固定観念を打ち破り、医療やテクノロジーを活用することで可能性を広げられるという希望を示してくれた時間でした。@Shinoさんのリアルな体験からうまれた言葉には、多くの参加者が自分の未来について行動を起こし、一歩を踏み出すヒントが詰まっていました。
知識が未来を描く鍵に ――― イベント開催を終えて
今回のイベントで共通して語られたのは「まず知ること。それが一歩踏み出す鍵となる」というメッセージです。働く女性がキャリアを築きながら、自分と向き合い、選択肢を持つことが重要です。女性の体や健康の話は他人事ではなく、自分自身や周囲の人々と直結するもの。特に各セッションで共有された「選択肢の存在」は、行動を起こすための最初の一歩を作る大切な原動力となったのではないでしょうか。
さらに、女性が置かれる健康課題やライフスタイル選択の複雑さを知り、その中でどんな支援や知識が利用できるのかをイベント全体を通して明るく、実用的に示しました。
仕事とプライベートを両立し、自分らしく生きるために「何を知り、どう選ぶべきか」を真剣に考えた60分間。今回のイベントが、参加者の皆さん一人ひとりに「自分らしい生き方・働き方」を考え、描くきっかけになったことを願っています。これからも「知る」「考える」「行動する」というサイクルを大切に、社員皆でより充実したキャリアと健康を目指していきたいと思います。
女性が活躍しやすい環境の実現をミッションに掲げるコミュニティ Women@mercari では、今後もメルカリで働く女性の支援活動、女性向けのキャリアコンサルティング、女性のヘルス関連イベントの企画・実行を行っていきます。また、女性に限らず、すべての社員が日々前向きに、健やかに働ける環境づくりのための活動を今後も推進してまいります。
次回のイベント開催も、どうぞお楽しみに!